校区に里親 子ども安心 福岡市がモデル事業 「親が入院」一時預かり 友人、学校 環境変わらず

西日本新聞 2014年09月14日

福岡市は、親の病気や入院などで一時的に親と暮らせなくなった子どもを同じ小学校区の里親が短期間預かる「校区里親」制度の導入に取り組んでいる。従来の仕組みでは、家から離れた土地に預けられ、環境が激変するケースが多いことから、子どもの心の負担を減らし、地域で育てようという全国に先駆けた試み。同市西区をモデル地区に指定し、6月から地元自治会への研修会を開くなど受け皿づくりを進めている。
親と暮らせなくなった子どもは児童相談所(児相)に一時保護され、児相が年齢によって乳児院や児童養護施設、里親に養育を委託する。学校や保育園などを変わらなければならないことが多く、子どもが地域とのつながりも失ってしまうことが問題視されてきた。
保護の理由が親の虐待以外であれば、住み慣れた地域で生活を続けるのが望ましい。福岡市が提唱する校区里親制度は、遠隔地への転居や転校に伴う子どものストレスをなくすのが狙いで、里親は数カ月間子どもを預かる。子育てにかかった費用や里親手当は公費から支給する。養子縁組や長期間の養育は想定していない。今回の福岡市の取り組みについて、厚生労働省は「そういう仕組みが必要との声は上がっていたが、実践している自治体は聞いたことがない」としている。
福岡市では毎年20~50人の子どもの養育が里親に委託されているが、同市に登録している里親(養子縁組希望を除く)は今年4月1日現在で78世帯にとどまり、小学校区別では143校区中56校区とまだ少ない。
モデル地区の西区では、児相と同市子ども家庭支援センター、乳児院などが連携し、自治協議会への説明や区役所職員の研修をこれまでに計10回実施。今後は民生委員や子ども会への研修なども通じて理解と協力を求め、里親希望者を募っていく。
センターを運営するNPO法人「SOS子どもの村JAPAN」(福岡市)の坂本雅子常務理事は「親と暮らせなくなりショックを受けている子どもにとって、地域や友人は宝物。失うものを一つでも減らす仕組みを確立させ、全国に広めていきたい」と話している。

丁寧な対応 必要
西南学院大の安部計彦教授(児童福祉)の話 児相に寄せられる養護相談の半数は、親やきょうだい児の入院などで子どもの世話ができないというもの。そんな子が地域や友人と離れずに済む仕組みは高く評価できる。ただ、里親としての専門性は高くない。児相職員が丁寧に対応する必要がある。

「妊婦マーク」男性6割知らず=育児支援策、認知度低く

時事通信 2014年9月13日

内閣府が13日に発表した「母子保健に関する世論調査」によると、妊婦が身に付けて周囲に知らせる「マタニティマーク」を男性の6割近くが知らないことが分かった。ダイヤル「#8000」でつながる小児救急電話相談の存在を知っている人も1割にとどまった。少子化解消への取り組みが急務となる中、育児支援策が十分に浸透していない実態が浮き彫りとなった。
同種の調査は今回が初めて。今年7月、全国の成年男女3000人を対象に面接方式で行われた。有効回収率は62.3%。
公共交通機関などで妊婦への配慮を促すために導入されたマタニティマークについて、言葉だけも含め「知っている」と答えたのは、女性63.8%に対し、男性は41.4%。60歳以上は男女でも半数に満たなかった。
小児救急電話相談を「知っている」と答えた人は10.2%で、子育て世代の30代でも26.1%にとどまった。男女別では男性4.6%、女性は14.9%だった。また、自治体が不妊治療費の一部を助成する制度について「知っている」と答えた人は35.0%だった。
虐待やその被害が疑われる児童を発見した場合、児童相談所など行政機関に知らせる義務があることについて、「知っている」と答えた人は61.7%だった。

世界初iPS移植手術 理研などチーム、70代女性に

産経新聞 9月13日

目の難病、安全性の確認目的
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って目の難病治療を目指す理化学研究所などのチームは12日、iPS細胞から作った網膜細胞を患者に移植する手術を先端医療センター病院(神戸市)で実施した。iPS細胞から作った細胞を人体に入れる臨床応用は世界初。再生医療での実用化に向けて大きな一歩となった。
理研などによると、移植手術を受けたのは「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑(おうはん)変性」という目の難病を患う兵庫県の70代の女性。自分の皮膚細胞に遺伝子を導入して作ったiPS細胞を使って、網膜の働きを助ける網膜色素上皮細胞を作り、シート状に加工して病変部に移植した。
手術は多量の出血など重篤で有害なことは起きず、2時間で終了。患者の容体は安定しているという。執刀した同病院の栗本康夫眼科統括部長は会見で「今日やるべき手術は無事に終了した。(移植の成否は)1年後が一つの節目になるだろう」と述べた。
移植は理研の高橋政代プロジェクトリーダーが進める臨床研究として実施。安全性の確認が主な目的で、1年間の経過観察と3年間の追跡調査で腫瘍ができないかなどを調べる。
チームは昨年2月、厚生労働省に臨床研究の実施を申請し、同7月に承認。同省審査委員会は今月8日、細胞の安全性に問題はないとして移植を了承した。
iPS細胞は体のさまざまな細胞に分化できる万能細胞の一種。京都大の山中伸弥教授が平成19年にヒトで作製に成功し、24年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。
別の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)が受精卵を壊して作るため倫理問題を抱えるのに対し、患者自身の皮膚細胞から作製でき、病気やけがで損傷した組織を復元する再生医療への応用が期待されていた。
加齢黄斑変性は、網膜の中心にある黄斑という部分が老化により機能低下を起こし、視力が低下する病気。iPS細胞を使った移植治療でも視力はやや改善する程度だが、チームは根治療法につながる可能性があるとみて研究を続ける。

再生医療普及へ新保険…培養事故など補償

読売新聞 2014年9月14日

iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを利用して失われた組織を回復させる「再生医療」向けの国内初の保険を、損害保険大手が10月から相次いで発売することがわかった。
再生医療の治療や臨床研究で細胞の培養に関する問題が生じた場合に、保険によって金銭面の補償ができるようにする。患者も病院も治療に臨みやすくなり、再生医療の普及に弾みがつくことが期待される。
再生医療は、病気やけがで傷ついた組織に、培養した細胞を移植して機能を回復させる。11月に施行される再生医療安全性確保法により、これまで病院でしかできなかった細胞の培養を、民間の専門会社に委託できるようになる。新保険にはこの専門会社が加入し、保険会社に保険料を払う。専門会社にミスがあり、患者に対して損害賠償責任を負った場合、保険会社がこの会社に保険金を払う仕組みだ。

重い副作用は1112人=子宮頸がんワクチン接種-民間研究チーム

時事ドットコム 2014年9月13日

子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に全身の痛みなどの訴えが相次ぎ、接種勧奨が中止されている問題で、難病治療研究振興財団(理事長・坂口力元厚生労働相)の研究チームは13日、重い症状が見られる患者は3月末までに1112人に上ったとの集計結果を発表した。研究チーム代表の西岡久寿樹東京医大医学総合研究所所長が長野市内で記者会見した。
研究チームは、医師や製薬企業が厚生労働省に報告した患者約2500人の情報を分析し直し、1112人に重い症状が見られると判断した。高次脳機能障害やけいれん、意識低下などの中枢神経症状が最も多かった。
接種勧奨の再開を議論している厚労省専門部会は広範な痛みか運動障害がある176人を主な検証対象としており、他の症状を十分に議論していないという。
西岡所長は「厚労省は実態を調査し、原因を究明する必要がある」と述べた。
3月末までに推計338万人がワクチンを接種した。(

宇宙天気の変動に注意、大型の「太陽フレア」が発生、GPSや短波通信に影響

INTERNET Watch 2014年9月12日

大規模な「太陽フレア」現象の発生を確認したとして、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が12日夜、宇宙天気の変動に注意するよう呼び掛けた。
日本時間の11日1時44分、太陽面の中央に位置する黒点群において、最大X線強度が通常の100倍以上に及ぶ大型の太陽フレアが発生。これに伴って地球方向に噴出されたコロナガスが12日遅く~13日にかけて地球に到来することが予測されるとしており、その影響により、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が数日間にわたって大きく乱れる可能性があるという。通信衛星・放送衛星などの人工衛星の障害、GPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害、急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあるとしている。
この黒点群は現在、ほぼ太陽面中央にあるため、今後1週間程度、同規模の太陽フレアの発生などに注意が必要だとしている。

 

毎朝、通園前に泣く我が子 「泣きたいときはたっぷり泣かせて」と専門家

ベネッセ教育情報サイト 2014年9月11日

大切な我が子の泣き顔を見るのは辛いものだ。毎朝のように子どもが「ママと離れたくない」と泣いてしまう……と、悩む保護者に教育評論家の親野智可等氏がアドバイスをする。

日中は園で楽しく遊べるのに、朝が大変なのはどうして?
【質問】
保育園に行くとき、毎朝「ママと離れたくない。一緒にいたい」と言って泣きます。保育士さんに聞くと日中はけっこう友達と仲良く遊んで楽しそうにやっているとのことですが、とにかく朝が大変です。育て方が間違っていたのでしょうか?(年中男子の保護者)

母親と離れたがらないのは、素直な気持ちのあらわれ
【親野智可等氏からのアドバイス】
そもそもこの年代では、親と離れるのが寂しくて不安だという気持ちを持っている子はたくさんいます。お子さんの場合、その自分の気持ちを素直に表現できているということです。これはむしろ望ましいことかもしれません。
逆に、すごく寂しくて不安なのに、それを表現できないで無理に押さえ込んでいる子もいます。または、押さえ込まされている子もいます。その場合、そのストレスが別の形で出ることもあり、たとえば友達やきょうだいにそのストレスをぶつけることもあります。つまり、理由もなく乱暴な振る舞いをしたり、ちょっとしたことでけんかになったりということです。物に対する扱い方が乱暴になり、おもちゃを投げたり机をたたいたりすることや、あるいは、必要以上にわがままな振る舞いをして周りを困らせることもあります。

泣きたい時には存分に泣かせて共感してあげよう
泣きたいときにはたっぷり泣かせてあげてください。そして、その気持ちに共感してあげてください。「誰も泣いてないよ。泣いてるのは○○ちゃんだけだよ。恥ずかしいね」「そんなことじゃ小学校には入れないよ」などととがめたり、否定的な言い方で叱ったりするのは逆効果になるだけです。