夏休み明けの子どもたちの脳を“かしこく”発育させるために効果的な2つのこと

@DIME 2014年9月23日

味の素株式会社は、5月GWが明けた2014年6月初旬に全国の3歳保育園児から小学校3年生までの子どもをもつ母親200名及び全国の3歳保育園児から小学校3年生までを担当する教員200名を対象に、『最近の子どもの生活態度』に関する調査を実施した。調査の結果、5割を超える教員が、以前の園児・児童よりもここ数年の園児・児童に対して、本能に関わると考えられる心身の“発育バランス”(代表的な事象は「キレやすい・グズりやすい」、「噛みつく・叩く」、「顔から転ぶ」など)に関して、十分ではないと感じていることがわかった。
心身の“発育バランス”は脳の発育と相関関係にあり、“適度な刺激”と“十分な栄養摂取”が必要とされる。しかし、母親向けの調査から「食生活を含めた子どもの生活習慣が乱れている」ことに加えて、「子どもに手を掛けすぎている母親像」が明らかになり、子どもの心身“発育バランス”が悪い原因を示唆されることになった。

教員向け調査の結果

5割を超える教員は、ここ数年の園児・児童の心身の発育バランスに不安を感じている
以前の児童との比較において、ここ数年の園児・児童の『心理・精神状態の安定』について約5割の教員が、「安定していると思わない」(52.5%)と回答。『運動能力』については約8割が「十分に発達していない」(79.5%)と回答した。

「キレる」「暴力的に振る舞う」「顔から転ぶ」などの子どもが以前より増えたと感じる教員。子どもの発育バランスの悪さは本能の発達が不十分なことのあらわれ?
子どもの精神面での発育バランスの悪さを推測させる「落ち着きがない」(42.5%)、「必要な時に感情を抑えられない」(40.5%)、「噛みつく・叩くなど、暴力的な振る舞いが多い」(35.0%)のほか、運動面での発育バランスの悪さを推測させる「顔から転ぶことがある」(28.5%)、「予想外の部位に怪我・骨折をする」(30.5%)などについても「以前よりも当てはまる」と回答した教員は高い水準で一定数いた。

母親向け調査の結果

子どもの生活リズムは朝から崩れていた!「睡眠」「起床」「朝食」「通学・通園」に表われる子どもの生活習慣の乱れ。“食生活”ほか、生活習慣の乱れに伴なう“手を掛けすぎる母親”像が浮き彫りに
子どもの『睡眠』に関して、必要とされている睡眠時間は10時間程度であり、95%以上の母親が「平均睡眠時間は8~10時間」以上と回答。しかしながら『就寝時間』に関しては、約5割の母親が「まちまち/決まっていない」(47.0%)と回答し、「寝るように言わないと就寝しない/言っても就寝しない」(65.5%)との回答は約7割にのぼる。
子どもの「起床」に関しては「朝決まった時間に起こさないと起きない/起こしても起きない」(55.0%)、「声を掛けないと支度を始めない/声を掛けても支度を始めない」(42.5%)との回答が寄せられ、朝の始動には時間が掛かる子どもの様子がうかがえる。
「食べるように言わないと、朝食を食べない」に「当てはまる・どちらかといえば当てはまる」(28%)、「起こさないと、布団の中でグズグズして起きない」との設問に「当てはまる・どちらかといえば当てはまる」(28%)、「親と一緒でないと眠れない」には約4割の母親が「当てはまる・どちらかといえば当てはまる」(38.5%)などと回答していることから、最近の母親は就寝・起床、食事など子どものあらゆる生活面に対して手を掛けていることがうかがえる。

“母親の食べさせたい食材”第2位は“魚介類”(77%)。脳の発育に必要な栄養を含む“魚介類”の必要性は認識しているが、実際の栄養摂取が課題と考えられる
『子どもの食事』に関して、「母親が食べさせたい食材」について、子どもが慢性的に嫌いとされる緑黄色野菜が1位(84.0%)、第2位が魚介類(77.0%)となっており、脳の発育に必要なDHAを含む魚介類の必要性は高く認識されていることがわかる。しかし、国内の食用魚介類1人1日あたりの供給量は減少傾向にあり(※参考:厚生労働省「国民栄養調査表」)、実際はどうやってその栄養を取らせるのかが 今後の課題といえそうだ。

午後3時のおやつは定着している(「ほぼ毎日たべる」人は63.5%)。しかし、「不足している栄養素を補えるものを選ぶ」と回答した人は6.0%、おやつで栄養に気を使う人は少ないことが読み取れる
『子どものおやつ』に関して、「おやつを食べる頻度」は「ほぼ毎日」食べている(63.5%)との回答が全体の3分の2を占めながら、「おやつの与え方」に関しては「好きなものを食べさせる」(22.0%)が約2割、気を遣うとしても「塩分」(26.0%)、「糖分」(20.5%)、「カロリー」(20.5%)であり、栄養素への考慮は6.0%と低く、おやつにおける栄養摂取の可能性がうかがえる。
子どもの脳の発育に詳しい小児科専門医の成田奈緒子先生は、夏休み明けの子どもたちが“かしこく”脳を発育するために「朝風呂」と「DHA摂取」がおすすめだとしている。
『最近は発達のバランスが悪い子どもが増えており、子どもの「脳」(本能)の育ちの課題であると言われています。これを防ぐためには、こころや身体にも密接に関連する「脳の土台」を最初にしっかり育てることがなにより大切です。脳の土台は、「適度の刺激」、そして「必要な栄養素」、特に脳の発達を促すDHAの摂取が重要と考えられています。
夏休みが明けて新学期が始まるこの時期は心機一転、“かしこく”脳を発育するチャンス。日ごろの乱れた生活習慣を整えるため、朝のリズムを作る「朝風呂」で本能を刺激したり、おやつも含めた栄養摂取を考えて、子どもの脳の発達を促し、記憶力、集中力、読解力や睡眠を改善させる働きもあるとされる「DHA」摂取を心掛けましょう』

調査設計(教員向け調査)
・調査対象:日本国内に居住し、3歳以上の園児から小学校3年生までの児童の教員
・調査時期:2014年6月
・調査方法:インターネット調査
・調査内容:園児・児童の生活習慣と食 / 以前の園児・児童との心身発育 比較 など
・有効回答数:200サンプル

調査設計(母親向け調査)
・調査対象:日本国内に居住し、3歳以上の園児から小学校3年生までの子どもをもつ母親
・調査時期:2014年6月
・調査方法:インターネット調査
・調査内容 :子どもの生活習慣と食 / 最近の子どもの生活変化 / 子どもへの接し方 など
・有効回答数:200サンプル

全額自己負担の「先進医療」って何? 高額な療養費を事例で解説

マネーの達人 2014年9月24日

医療保険を紹介していると、先進医療についての質問をよく頂きます。例えば、特約に先進医療特約を付加するかどうか、また三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)を主契約とする特定疾病保障の加入を検討されている時です。
では、どうして先進医療について大勢の方が質問されるのでしょうか?
それは、先進医療にかかる費用は公的医療保険の対象外で、全額自己負担となるからです。先進医療の費用は高額なものもありますので、保険で対応する事も一つの選択肢となりますね。
また時々、先進的な医療技術は全て先進医療と勘違いされている方もいらっしゃいますので、ここで先進医療について確認しておきます。

先進医療とは
先進医療とは、公的医療保険の対象とするかを評価する段階にある治療や手術などをいいます。評価の結果、公的医療保険の対象になったり、対象外になったりするなど先進医療の内容は変化していきます。
治療や手術の時点で厚生労働省が先進医療として認めていない医療技術は、先進医療ではありません。また、厚生労働省へ届け出た病院以外での治療や手術、厚生労働省が定めた症状以外に対する治療や手術も、先進医療と同じ内容であっても先進医療とはなりませんので事前の確認が必要です。
生命保険会社の先進医療特約等においても、原則として上記の先進医療と認められた治療や手術が給付の条件となります。

先進医療の費用はどのくらい?
次に先進医療を利用した場合における医療費について見てみましょう。

事例:
60歳で一般所得の人が、1か月の治療費が350万円、そのうち先進医療にて250万円(公的医療保険対象外)の費用がかかったとします。

公的医療保険の対象は、350万円-250万円=100万円です。
患者の自己負担は3割なので、100万円×0.3=30万円となります。

高額療養費における自己負担限度額は、
8万100円+(100万円-26万7,000円)×1%=8万7,430円

つまり、高額療養費として、
30万円-8万7,430円=21万2,570円が支給されるので、
患者の最終負担額は
250万円+8万7,430円=258万7,430円となります。
このように公的医療保険の対象外である先進医療の費用は、患者にとって大きな負担になります。
その為、先進医療を受けるときは治療内容や費用等について説明を受け、納得した上で同意書に署名をして治療を受ける事になっています。
「備えあれば患いなし」は保険加入の要因の一つですが、家系の病歴や家族構成、預貯金の状況等も勘案して先進医療に対する備えを検討したいものです。
松山 靖明

【社説】医療観察制度 偏見や理解不足解消を

カナロコ 2014年9月23日

「触法精神障害者」と聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。「凶悪な事件を起こす危険な人」「怖い人」と思っているなら、誤った認識だと強調したい。早期に適切な支援があれば、事件を起こさなかっただろう人たちである。
善悪が判断できない状態で殺人や強盗など重大な他害行為を行った精神障害者は、その障害ゆえ刑事責任は問われない。代わりに入通院で必要な専門的治療が提供され、司法と医療、福祉が連携して再発防止と社会復帰につなげる。それが「医療観察制度」だ。大阪府の小学校で児童8人の命が奪われた事件を機に、2005年に制度化された。
だが丸9年が経過したにもかかわらず、社会復帰がスムーズに進んでいない。適切な治療を受け、病気との向き合い方を身に付けても、地域の受け皿となる医療機関と障害福祉サービス事業所に「また事件を起こされる」といった偏見や理解不足がある。グループホームへの入居を断られたり、就労訓練を受ける施設への通所に難色を示されたりするケースは少なくない。
県内の支援関係者有志でつくる「県モデル活動研究会」がことし2月に医療機関と福祉事業所を対象に行ったアンケートでは、「支援の実態を知らない」「他の利用者や近隣の理解を得るのが難しい」といった回答が寄せられた。精神障害者と日々関わっている専門職であっても、触法精神障害者への理解は浸透していないのが実情だ。
同研究会は7月からホームページを開設し、情報発信を続けている。支援態勢をコーディネートする保護観察所の社会復帰調整官や医療機関へのインタビューを掲載しており、今後は事例紹介や当事者家族の声も紹介していくという。
ただ、偏見の解消は国の責務であり、障害の支援は自治体の役割だ。民間任せにせず、より積極的に情報発信や啓発を行ってほしい。
検察庁にも注文したい。心神喪失などを理由に不起訴処分とし、制度の適用を裁判所に申し立てても、その事実を明らかにしないケースがある。それでは「精神障害者は罪に問われない」という情報だけが独り歩きしかねない。事件を起こしてしまった当事者が医療と福祉につながっていることが分かれば、市民の安心感につながる。積極的に公表すべきではないか。
【神奈川新聞】

視覚障害者 外出で「危険」や「恐怖」7割 4割はトラブルに発展も

MSN産経ニュース 2014年9月23日

視覚障害者に対する暴力事件などを受けて、県視覚障害者福祉協会(熊谷市箱田)が実施したアンケートで、視覚障害者の約7割が外出時に危険や恐怖を感じた経験があると回答したことが22日、分かった。約4割では実際のトラブルに発展したといい、同協会では障害への理解を呼びかけている。(佐藤祐介)
アンケートは、JR川越駅(川越市)で8日、視覚障害がある児童生徒らが通う県立特別支援学校「塙保己一学園」(同)の全盲の女子生徒が、蹴られて負傷した事件などをきっかけに同協会が実施。県内外の視覚障害者ら計約300人にメールで協力を求め、10代から80歳以上までの男女ら112人から回答を得た。
「外出時に危険や恐怖にさらされたことはあるか」との質問に対しては、75人(約67%)が「ある」と回答。「厳しい言葉をかけられるなどの対人トラブル」を経験した人は47人(約42%)にのぼった。
主な対人トラブルでは、視覚障害者の人が手に持つ白杖を折られたり、通行人の足に当たって「そんなに振って歩いたら危ない」と注意されたりするケースがあった。
さらに、スマートフォンや携帯電話を使用する「ながら歩き」の人にぶつかる事例のほか、人通りの少ない場所で胸を触られ、ブラウスを引きちぎられるわいせつ行為に遭ったとする回答も含まれていた。
一方、人とぶつかるなどのトラブル以外でも、電車とホームの間に転落する事例や、点字ブロックの上に駐車されたトラックのミラーに顔をぶつけるなど、日常に潜む危険にさらされる実情も浮き彫りになった。
こうした危険を避けようと、普段から焦らず慎重に行動するほか、外出時に白杖を大きく振らないように注意し、人とぶつかったら率先して謝るなどの「心掛け」を重視している人が多かった。
同協会は22日、県障害者福祉推進課にアンケート結果を提出し、理解と協力を求めた。自身も全盲の岸邦久会長(65)は調査結果について「忙しさなどから、当事者同士に余裕がないのではないか。障害者に対してだけではなく、社会全体がお互いを思いやれるようになれば」と話した。
結果を受け取った同課の加藤誠課長は「調査結果をできる限り生かし、障害者や介助犬に対する理解が深まるよう、地道な働きかけを進めたい」と強調した。

長生きが喜べない 長寿大国日本の高齢者虐待の現状

エコノミックニュース 2014年9月23日

2014年9月8~14日までの7日間で、全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間が法務省を主体に行われた。厚生労働省が13年に発表した高齢者虐待防止に関するデータでは、養介護施設従事者による虐待の相談・通報件数と虐待件数は増加している一方、養護者による相談・通報件数と虐待件数は減少。しかし虐待されている高齢者15,627人の内、86.5%の方が虐待者と同居しており、虐待が家庭内という密室の中で起きている実態がある。
虐待の種類は主に、身体的虐待、介護等放棄、心理的虐待、経済的虐待の4種類あり、発生割合と要介護度に相関関係が見られる。つまり要介護度が低いと身体的虐待や心理的虐待の割合が多いが、要介護度が高くなると介護等放棄の割合が一気に高くなるのだ。また、要介護度と虐待の深刻度との関係にも相関関係が現れており、要介護が重い場合、虐待の深刻度も増す傾向がある。
さらに注目すべきデータがある。それは虐待者の性別である。被虐待者との続柄で見た場合、息子からが41.6%、夫からが18.3%で、男性からの虐待の割合が合わせて6割近くとなっている。また介護従事者のデータでも虐待者の41%が男性であり、介護従事者の男性割合が21.4%ということを踏まえると男性の虐待者が多い傾向があるといえる。
一方で厚生労働省の12年度の調査によると児童虐待の件数は66,701件で、1999年の児童虐待防止法施行前の5.7倍となっている。しかし、この件数は近隣・知人の通告と警察からの通告が急増した結果でもある。社会問題となった児童虐待に社会が敏感になったため、これまで密室で起きていた虐待が顕在化してきているとも言えるだろう。
それではどうすれば高齢者虐待は防げるのだろうか。その道筋となるのが、介護の社会化である。現在、日本では介護を社会で支えるという介護の社会化を実現するため介護サービスの充実化を進めている。介護人材を増やし、これまで家族が行っていた介護を社会で負担しようという狙いがある。そのため家族、介護従事者の2者で連携を取りあうことで介護の負担を分担すると共に、監視の目を増やすこともでき虐待を未然に防ぐことができるだろう。事実、虐待の相談・通報者26,562人の内、32.0%が介護支援専門者で家族・親族の3,158人の約3倍近い数字となっている。ちなみに同調査では警察が10.6%の2,812人となっており、介護支援専門者と警察の相談・通報が約4割を占める結果となった。
総務省が14日発表した調査結果によると、14年の65歳以上の高齢者人口は3,296万人。ほぼ4人に1人が高齢者となり、人数・割合ともに過去最高を記録した。安心して長生きできる国の実現が求められている。(編集担当:久保田雄城)

「手当がもらえるなら・・・」 残業代を求める若者は「社会をなめている」のか?

弁護士ドットコム 2014年9月23日

残業はいとわないが、それに見合った処遇を――。こうした考えの若者が増加していることを指摘した調査結果が、ネット上で議論を呼んでいる。
話題となったのは、日本生産性本部・日本経済青年協議会が、2014年度の新社会人約2200人を対象に実施した「働くことの意識」調査。「残業についてどう思うか」という質問に対して「手当がもらえるからやってもよい」と答えた若者が69.4%と過去最高だった。一方、「手当にかかわらず仕事だからやる」は下降線をたどっており、今回23.7%にとどまった。調査報告書は、「残業はいとわないが、それに見合った処遇を求めている傾向がうかがえる」とまとめている。
この調査結果に対して、ネットの掲示板サイトでは、「金貰う為に働いてるのに貰えない分まで仕事する意味がわからん」といった意見がある一方で、「残業代が欲しいなら、残業代が払えるほど利益を会社に与えろ」「まだロクに仕事も覚えてないのに…」「社会なめすぎ」といった意見もあった。
新社会人が残業代を請求することは、本当に「社会をなめている」のだろうか。たとえば、会社側は、新入社員から残業代を請求されたとき、「まだ一人前の仕事ができてないから払いません」と言えるのだろうか。労働問題にくわしい波多野進弁護士に聞いた。

「残業代の支払いを逃れる口実」になっている
「会社は社員に対して、『まだ一人前の仕事ができてないから、残業代は払わない』と言うことはできません」
波多野弁護士はキッパリと述べる。
「労働基準法では、週40時間・1日8時間の『法定労働時間』が定められています(32条)。
使用者がこれを超えて業務をさせた場合、時間外割増賃金(残業代)が発生します。
これは新人社員であろうが、熟練社員であろうが、同じです」
しっかりルールが定められているわけだ。では、なぜキチンと残業代を払わない会社が横行しているのだろうか。
「『半人前には残業代を払いません』というのは、単に残業代の支払いを逃れる口実にすぎません。
法定労働時間では到底こなしきれない業務を指示しておきながら、『時間内にできないのは能力不足だ』と指摘して、残業代を払わないというやり方は、いわゆる『ブラック企業』で横行しています。
社会に出たばかりの新人社員は、右も左もよく分からない状況です。会社からしてみれば、手玉に取りやすい相手といえるでしょう」

残業代を支払わない会社は「労働基準法をなめている」
「『社員が働いた分の賃金をきっちり支払う』というルールは、労働契約で最も基本的なルールです。むしろ問題なのは、それを守らない会社のほうでしょう。刑事罰も存在する労働基準法が軽んじられていると思います」
だが、そうなると、社員が「好き勝手に残業」するようになり、会社側が損をするのでは?
「会社は適正な業務量を設定したり、業務指示によって『残業をさせない』ことができます。
そもそも、『業務上の必要もないのにする残業』や『会社の指示に反する残業』についてまでは、残業代は発生しません」
働かせた分はしっかり払うのが、社会のルールということか。
「そうですね。法定の労働時間を超えて働かせておきながら、残業代を支払わないのは、企業が『労働基準法をなめている』ということになるでしょう」
波多野弁護士はこのように述べていた。

社内でパワハラ・セクハラはないですか?

経営者online 2014年9月24日

2014年7月、男女雇用機会均等法施行規則が改正され、今後セクハラには「同性に対するものも含まれうる」ことが明示されることとなりました。また、セクハラについてはその発生後だけではなく、「発生のおそれがある場合や該当するかどうか微妙な場合」でも広く相談に応じることが必要とされています。
現在の日本では、2014年6月の東京都議会のヤジ問題など報道されるパワハラやセクハラの多くは、議会や官僚組織などが大半です。そしてそのような報道に対して、多くの方は「民間企業では考えられない」といった感想を持つようです。しかし、実際に本当にそうなのでしょうか?民間企業でのパワハラやセクハラは減っており、公共機関だけが古い体質なのでしょうか?

減らないパワハラ・セクハラ
自分の会社ではそこまでひどいパワハラやセクハラはない、と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。この時代にパワハラやセクハラを平気でできるような組織は、古い体質で資金繰りにも苦労することなく、競争とも無縁の国や地方の組織だけだと考えるのも無理はありません。実際、そのような傾向は確かにあると思われます。しかし厚生労働省の調査では、企業の労働者の4人に1人が「パワハラを受けたことがある」と答えており、その半数近くは「パワハラを受けても何もしない」と回答しています。また、各都道府県に寄せられる男女雇用機会均等法に関する相談の約半数が「セクハラ」です。その数は毎年1万件程度で、ここ数年間でさほど変化はありません。実は企業でもパワハラやセクハラが劇的に減っているとは言えないのが実情なのです。

パワハラ・セクハラの定義
ではパワハラやセクハラの定義とはどのようなものでしょうか?
パワハラは以下のように定義されています。「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」。そしてこの中には上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間などの様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとされています。
また、セクハラは以下のように定義されています。
「職場におけるセクシュアルハラスメントは、職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されること」そしてこの中には先ほど触れたように、同性に対するものも含まれています。これらの定義は非常に曖昧であり、ぱっと見るだけでは自分がそのようなことをしていると感じる人は少ないはずです。しかし、パワハラやセクハラの落とし穴はそこにあるのです。

意識のないことが悪である
ここで改めてパワハラやセクハラとなる対象行為を考えてみましょう。パワハラやセクハラに該当する行為は、例えば経営者の方が部下の発言を聞いたり行動を見て、それはパワハラだ、あるいはセクハラではない、と決められるものではありません。パワハラやセクハラは、あくまでも発言や行為を受けた側の「受け取り方」にかかっているのです。経営者の方がそれは冗談の範囲だから問題がないと考えても、発言や行為を受けた従業員が苦痛を強いられているとしたら、それはパワハラであり、セクハラなのです。そして大半のパワハラやセクハラは、行為者にとっては「冗談」や「相手への気遣い」などとも取れるものなのです。まさか自分の行為はパワハラやセクハラには該当しないだろうと思う「意識のなさ」が最大の「悪」なのです。

しかも潜在化する
そしてパワハラやセクハラは、そのほとんどは明るみになることはないと言われています。「言えば周囲の反感を買い、さらに職場にいづらくなる」というのがその理由です。パワハラやセクハラは、行為者が自分を評価する上司であることも多いため、同僚などに相談しても結局報復を恐れて行動に移すことができず、うやむやなままに終わっているのが実情なのです。このようにしてパワハラやセクハラは負のスパイラルとして潜在化していくのです。

パワハラ・セクハラは「対岸の火事」ではありません
では経営者としてこのような問題をどのように考えればよいでしょうか。マスコミなどで報道される発言は、誰が聞いても不快に思うものであり、けしからんと考えることでしょう。しかしそれは「別世界で起きている特別なこと」ではないのです。センセーショナルに報道されていないというだけで、我々の身の回りには同じような問題が常に横たわっていると考えるべきです。もちろん、あまりに過剰な反応は人間関係そのものの構築に支障をきたすことになります。よって経営者として必要なことは、まずは「社員の人間性の理解」を常に心がけることです。そしてパワハラやセクハラの概念を今一度社員に徹底させ、いつでも誰でも加害者になる可能性があることを認識させることです。
潜在化している問題ほど、それが表面化した時の会社のダメージは大きくなるものです。社会から「時代遅れの会社」というレッテルを貼られることがないよう、職場環境の整備にも力を入れていきましょう。

今、大ブーム! 劣等感を力に変える「アドラー心理学」に学べ

SBクリエイティブOnline 2014年9月17日

劣等感に注目したアドラー
アドラー心理学の生みの親であるアルフレッド・アドラーに対する注目が高まっています。
アドラーは1870年、和暦で言えば明治3年にオーストリア=ハンガリー帝国で生まれました。のちにアメリカへ移住し、1937(昭和12)年に心臓発作で急逝します。

アドラー心理学の特徴は「劣等感」に大いに着目した点です。
そもそも人類は徒党を組みますが、これは他の動物に比較して体力的に劣るため、自分の生命を守るためにそのようにしたのだとアドラーは考えました。
つまり肉体的劣等性に起因する劣等感が、人類に徒党を組ませる、言い換えると共同体を形成させる原動力になった、とアドラーは言うわけです。

また、他人と仲間になるにはコミュニケーションが欠かせません。加えて、共同体を維持するのにもコミュニケーションが不可欠です。
こうして人類はコミュニケーション・ツールとしての言語を開発しました。ですから、言語も人間の劣等性に起因する、言い換えると劣等感を補償するために作られたものと言えるわけです。

それから、いつかは死ぬことを悟った人類は、「永遠」に対立する「死」から派生する劣等感を補償するために、宗教や哲学を生みます。音楽や芸術といった美を追求する活動も、不完全な人間存在に対する補償活動と考えることもできるでしょう。

さらに、人間の共同生活によって成立する共同体は、やがてその規模が大きくなります。現代の我々はこの共同体のことを社会と呼んでいます。
よって、この社会自体も人間の劣等感が作り出した産物(!)ということになります。

劣等感パワーの向かう方向
このようにアドラーは、人間のあらゆる営みの背景に劣等感が横たわっていると考えました。実際アドラーは「人間であることは劣等感を持つことである」と述べたほどです。
だからアドラー心理学は「劣等感の心理学」とも呼ばれるわけです。

ただ、人間活動の原動力とも言えるこの劣等感が持つ強力なパワーを、我々は正の方向ではなく負の方向に向ける場合がよくあります。
たとえば、腕力に自信がない人が集団を組んで暴力行為を働くのは、劣等感が負の方向に働いた典型です。あるいは他人から重要人物と見られたい人は、大きな借金をしてでも高級な自動車に乗るかもしれません。これも劣等感が負の方向に働いた典型です。

では、劣等感のパワーを注入すべき正の方向とは──?
答えはとても簡単です。社会の貢献に資すること、これが正の方向にほかなりません。一方、負の方向の活動は、一例に挙げた暴力行為やロビーの闊歩のように、自分の利益には貢献するかもしれませんが、世の中には何も貢献しません。

そもそも我々が何かしらの報酬を得ようとしたとき、相手のためになることが先決になります。人のためになること、これは社会に貢献することにほかなりません。
こうしたシンプルな事実を忘れて、しばし我々は自分の利益ばかり考えた行動をとるものです。これだと社会との間に摩擦が生じるのは必至です。

アドラー心理学が採用する一般手順
アドラーは、人が持つ人生の目標やそれを達成するための態度をひっくるめてライフスタイルと呼びました。このライフスタイルが負の方向に向かっていると、何かしら社会との摩擦が起こるでしょう。

アドラー心理学では、そのような人とまずは良好な関係を取り持ち、その人が持つライフスタイルについてじっくり考えます。そしてその人がもつ目標や態度が適切でないことを理解するよう促し、その上で適切なライフスタイル構築への方向づけをする──。
これがアドラー心理学に適用される基本的な手法になります。箇条書きで書くとこんな感じです。

(1)関係……相手と「よい関係」を構築する
(2)目標……相手が持つ間違った目標や態度を見つける
(3)洞察……間違った目標や態度を相手が理解するよう促す
(4)再方向づけ……適切な目標を見つけられるよう手伝う

このように、困っている人(相手)とともに適切な道筋を一緒に見つけ出し、その方向に一歩踏み出せるよう背中を押してあげる。これがアドラー心理学の本質です。
そのためアドラー心理学は「劣等感の心理学」のみならず「勇気づけの心理学」さらには「勇気の心理学」とも言われる由縁です。