保育士試験、年2回に=追加規制緩和策―戦略特区諮問会議

時事通信 2014年10月10日

政府は10日、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開き、保育士資格の取得機会の拡充など特区内での追加規制緩和策を決定した。
今臨時国会に国家戦略特区改正法案を提出し、来春からの施行を目指す。既に特区に決まった「東京圏」や「関西圏」など6地域のほか、今後新たに指定する地域にも適用する方針。
会議で安倍首相は「岩盤規制にさらなる突破口を開き、新たな産業や雇用を創出する」と強調した。
保育士資格取得の機会拡充は、保育士不足を解消し、女性の就労を支援するための措置。現在の保育士試験は年1回だが、特区内で働ける「地域限定保育士」(仮称)を新たに追加し、試験回数を年2回に増やす。また、家事を支援する外国人の受け入れも解禁する。

<特区規制緩和>家事代行業務や起業、外国人受け入れ拡大へ

毎日新聞 2014年10月10日

政府の国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)は10日、特区内で展開する新たな規制緩和策をまとめた。家事代行業務や起業での外国人受け入れの拡大が柱。成長戦略の一環で、少子高齢化が進む日本国内で外国人人材の活用を加速させる狙いだ。政府は一連の規制緩和策を国家戦略特区法改正案に盛り込み、今臨時国会に提出する。
国家戦略特区は、地域限定で従来の規制を緩和し、先進的な取り組みを進める制度。昨年末に成立した特区法に基づき、政府は今年3月に▽東京圏(東京都内9区、神奈川県、千葉県成田市)▽関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)▽沖縄県▽福岡市▽新潟市▽兵庫県養父(やぶ)市--の6カ所を指定した。今回の規制緩和策は、特区法に盛り込まれた第1弾の規制緩和に追加する。
家事代行の外国人労働者の入国・在留は現在、日本に駐在する各国の外交官など、一部の外国人に雇われるケースのみが認められている。今回の規制緩和で、国内の家事代行業者が外国人を雇用することも可能となる。臨時国会に向けて首相が掲げた「女性の活躍」に向け、働く日本人女性の仕事と育児を両立しやすくする狙いもある。
外国人起業家の在留資格は、入国時に「2人以上の常勤職員の雇用」「500万円以上の投資額」のいずれかを満たしていれば、入国管理局が認める仕組み。自治体による事業計画の審査を受ければ、入国から半年後まで在留資格審査を猶予する方向で調整する。グローバル企業などの起業手続きを簡素化するため、定款認証などの申請窓口を集約した「ワンストップセンター」も設置する。
また、特区内限定で約3年間働ける「地域限定保育士」(仮称)制度を創設する。特区がある各都府県が従来の保育士試験とは別に年1回試験を行い、地域の保育士不足の解消につなげる。神奈川県が先行導入する見通しだ。
このほか病院の経営強化を目指し、医師資格のない企業経営者でも医療法人の理事長に就きやすい仕組みとする。また▽教育委員会の関与を前提に、公立学校の運営を予備校など民間事業者に開放▽シルバー人材センターが高齢者に提供する仕事について、就業時間の上限を週20時間から週40時間程度へ拡大--なども挙げた。【田中裕之】

<国家戦略特区法改正案で追加する規制緩和>
・外国人労働者を家事代行業務で受け入れ拡大
・外国人起業家の在留資格審査を緩和
・起業手続きの窓口を1カ所に集約
・「地域限定保育士」(仮称)を創設
・医師でなくても医療法人理事長に就任可能に
・公立学校の運営を民間に開放
・シルバー人材センターが提供する仕事の

就業時間の上限を週40時間に拡大

子育て支援連携で一致 県と3政令市

カナロコ by 神奈川新聞 2014年10月11日

県と横浜、川崎、相模原の3政令市は10日、資格を持ちながら保育現場で働いていない「潜在保育士」の復職支援など、子育て支援策に連携して取り組むことで一致した。知事と3市長が意見交換する「四首長懇談会」で確認した。
政府の国家戦略特区諮問会議が打ち出した「地域限定保育士」について、黒岩祐治知事は「県内全域が特区に認められた強みを生かすチャンスだ」と述べ、新制度の活用に意欲を示した。
資格試験を2回に増やして保育士確保を目指す考えは、県も独自試験の実施検討方針を9日に表明。特区での実施が決まった制度とは資格取得後の就労条件が異なるが、いずれも独自問題作成の必要性やコスト増などの課題が多く、実現へのハードルは高そうだ。
首長懇談会ではこのほか、県内の保育士登録者数約7万1千人(2013年3月末時点)に対し、実際の就業者数は約2万5千人(国推計)にとどまっている現状を共有。今後、県と政令、中核市で共同運営している「かながわ保育士・保育所支援センター」(横浜市)で潜在保育士の復職を促す共同メッセージを作成するほか、来年4月に導入される放課後児童支援員らの研修を4県市共通プログラムで実施する検討を進めることなどを確認した。

高まる保育ニーズ 入園「優先度」公開の動き

@S[アットエス] by 静岡新聞 2014年10月10日

保育所や認定こども園などへの入所申し込みに対して、市町が就労状況や家庭事情を数値化して優先度の比較に用いる「利用調整基準」について、静岡県内の一部市町で点数換算の形で公開しようという動きが起きている。国の新制度に伴う認定こども園整備などで待機児童の受け皿が拡大する兆しを見せる中、保護者の要望に応えるための検討が始まっている。
静岡市は10月末まで新制度に伴う新基準についてパブリックコメントを募集中だ。市の最終決定を経て、ホームページへの掲載などを検討する。基準はこれまで来庁した希望者には公開していた。しかし、非公開と思っている保護者は多く、新制度の説明会に出席した母親からは、「自分の点数を知りたい」「理由が分からないまま待機児童になり、釈然としない」という声が相次いでいた。
来庁者に基準を見せている浜松市は、2015年度入所の集中受け付けで保護者に基準表を渡すことを計画している。ゆくゆくはインターネットでの公開も検討する。
入所は基準を点数化して、同じ園の希望者で順位付けして決まる。保護者にとって点数は、待機児童になるかならないかの明暗を分ける“鍵”。これまでほとんどの市町は非公開か、問い合わせがあれば公開する対応にとどまっていた。
たとえ点数を知ったとしても、同じ園の希望者の中での順位までは分からない。そのため、「この点数なら入園できる、と誤解を生む可能性がある」(焼津市)、「園への問い合わせが増える可能性があり、現場が混乱しそう」(清水町)と公開に慎重な市町もある。
新制度に伴い、来年度は幼稚園が認定こども園になって保育児童の受け入れを新たに始めるケースや、16年度以降に認定こども園になる施設も出てくる。受け皿の広がりで待機児童の解消が期待される。
一方、新制度で保育受け入れの要件となる保護者の最低就労時間を、月120時間から半分ほどに緩和する自治体では、新たな保育ニーズが見込まれる。実際の申し込み数はどの程度になるかは予測がつかず、「保育士不足の中、待機児童がゼロから発生に転じる可能性もある」(御前崎市)との警戒感もある、という。
来年2月ごろ入所の可否が決まり、待機児童になった保護者からの問い合わせが予想される。これまで公開の必要を感じていなかった市町も、待機児童の発生で新たな対応を迫られそうだ。

子育て支援事業「ファミサポ」 増える利用者、続く事故

産経新聞 2014年10月10日

藤井さつきちゃんら家族が利用した子育て支援事業は「ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)事業」の名称で各自治体が実施。行政の紹介で子供を地域の子育て経験者らに預ける仕組みで、民間のベビーシッターなどに比べて安価ということもあって利用希望者は増え続け、昨年度の希望者は過去最多の46万6287人に上った。
厚生労働省によると、民間のベビーシッターなどは日中1時間あたり2千円近くかかるが、ファミサポ事業は数百円程度。市区町村が預け先を紹介するため「安心感があるという利用者は多い」(同省)という。
ただ、ファミサポ事業をめぐっては事故も相次いでいる。平成18年4月~23年6月の5年間に子供が重篤なけがをした事故などが計15件発生している。
22年11月に起きたさつきちゃんのケースでは、母親が病院に行くために大阪府八尾市のファミサポ事業を通じて預けた先で心肺停止状態に陥り、3年後に低酸素性脳症の後遺症で死亡した。両親は昨年11月、約8千万円の損害賠償を求め、市などを提訴。市側は当時、窒息などの危険性が指摘されているうつぶせ寝の状態だったことは認めているが、死亡との因果関係を否定している。

「医療費2025年問題」がやってくる!

nippon.com 2014年10月10日

2025年に日本の国民皆保険(公的医療保険)制度は大きな転換点を迎える。この年には、日本の人口動態中の最大集団である団塊の世代(1947~49年生まれ)の全員が75歳以上、つまり「後期高齢者」となる。国民皆保険の持続可能性の観点からみた「2025年問題」である。この問題にどう対応すべきか。厚生労働省の医療費に関する研究会のメンバーでもある、松木淳一・国際公共政策研究センター主任研究員が、このほどnippon.comで、2025年問題への警鐘と、とるべき対策について解説した。
「医療費2025年問題」への警鐘と対策・全グラフ付きの記事はこちら

後期高齢者の年間医療費は平均の3倍
それによると、「公的医療保険では、75歳に後期高齢者医療制度に加入する。後期高齢者の1人当たり年間医療費は約92万円で、国民平均(約30万円)の約3倍である。75~79歳の一人当たり年間医療費だけ見ても約78万円と国民平均の2・6倍である。また、公的介護保険では、要介護認定率が75歳頃から上がり始める。その結果、医療費や介護費用は急増する。厚生労働省の推計によると、医療給付費は2012年度(予算ベース)の35・1兆円から2025年には1・5倍の54・0兆円に、介護給付費は2012年度の8・1兆円から2025年度には2・4倍の19・8兆円にまで増加する」という。
しかも「国民皆保険の財政面に焦点を絞ると、このような医療費増加に対する即効性のある対策としては、国民負担(税・保険料)の増加、給付の引き下げ(自己負担割合の引き上げ、保険対象範囲の縮小)、あるいは、両方の組み合わせが考えられる。しかし、これらはすべて国民の負担につながるものであり、限度がある」という。つまり、これ以上の医療費膨張と国民皆保険を前提とした保険財政の維持のためには、これまでの負担増政策ではもはや追いつかない段階に来ている。
そこで、「国は発症・重症化予防やムダな医療費の削減等を通じた医療費抑制に力点を移そうとしている」と指摘している。つまり、皆保険という枠組みを壊さないという制約のなかで、支出という聖域に大きくメスを入れる方に、国は、歴史的な方向転換を図ろうとしているのである。
そのため、今後、政策として具体的な医療費抑制策がテーマになってくる。俎上に挙がっているのは、生活習慣病の予防、がんの早期発見・治療であり、しかもそのために事前の検査・検診体制の構築と医療データの活用に焦点が当たると指摘している。