「まるで動物園」「爪はがされ…」 疑惑の保育施設で証言続々

フジテレビ系(FNN) 2014年10月29日

生後9カ月の女の子が無認可保育施設で死亡した事件で、次々と驚きの証言が出ている。
カメラに向かって満面の笑みを見せる山口 愛美利(えみり)ちゃん(当時生後9カ月)。
これは、2014年7月に撮影された家族旅行の様子。
このときは元気いっぱいだった愛美利ちゃんだが、11日後、突然息を引き取った。
愛美利ちゃんの父は「本当に、殺されたものだと思っている。娘に、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。監獄というか、拷問部屋に、毎日預けに行っていたと」と語った。
愛美利ちゃんは2014年7月26日、栃木・宇都宮市の無認可保育施設「トイズ」で、宿泊保育中に亡くなった。
共働きをしている両親が、出張のため、トイズに愛美利ちゃんを預けたのは、亡くなる3日前。
その際、愛美利ちゃんの健康状態に問題はなかったというが、預けたその日から、1日7回下痢をしたうえ、2日後の午後3時には38度の高熱を出していた。
しかし、愛美利ちゃんの父は9月、「熱があった時に、なぜわたしたちにスタッフが連絡をしてくれなかったのか。なぜ、娘が苦しんでいる時に、病院に連れて行ってくれなかったのか」と語った。
両親は2014年9月、経営者らを保護責任者遺棄致死容疑などで刑事告訴した。
警察も、これまでに3度、家宅捜索を行うなど、捜査を進めてきた。
施設が作成したパンフレットには、「看護師の常駐」や「嘱託医も完備」といううたい文句があり、両親はこれを信用し、愛美利ちゃんを預けたという。
しかし、嘱託医と無断で名前を使われた医師は、「わたしたちは初耳です。嘱託医になってくださいという言葉もいただいたことはない」と語った。
浮かび上がってきた、パンフレットの偽装疑惑。
愛美利ちゃんの父は「ほとんどがうそだったと判明したので、詐欺罪で刑事告訴したいと思っています」と語った。
さらに、愛美利ちゃんが亡くなる2カ月ほど前に、この施設に子どもを預けたという別の母親からは、驚きの証言が聞かれた。
過去にトイズを利用した母親は「(預けた子どもの)左手の人さし指の爪が、まるまるはがされて帰ってきました」と語った。
施設に預けている間に、何者かに爪をはがされた可能性もあることから、両親は虐待の疑いで宇都宮市に報告した。
過去にトイズを利用した母親は「事故かもしれないし、もちろん虐待だって考えているしと、何度も訴えたが、うちでは起こっていないような感じで対応をされた」と語った。
疑惑は、これだけではなかった。
トイズが宇都宮市内に届け出ていた保育士は、ほとんど勤務実態がないことがわかった。
ある女性は施設を訪れた際、信じがたい光景を目にしたという。
トイズに孫を預けた女性は「動物園を見ている感じだった。(乳幼児たちは)みんな柵の中に入れられて、ギャーギャー泣いていて、誰も見てくれない。ここには預けられないなと思いました」と語った。
数々の疑惑について、FNNはこれまで何度も取材を申し込んできたが、施設の実質的な経営者は取材に応じていない。
運営会社は、「ご両親様に対しまして、衷心よりお悔やみ申し上げます。当社といたしましては、適切に保育を行っていたものと考えております」と、9月19日にコメントしただけ。
愛美利ちゃんの父は「こんなことをしている連中が、今も営業しているとは信じられない気持ちで、早く何とかしてほしい。行政と警察にもお願いしたいと思っています」と語った。
両親は、30日にも警察に告訴状を提出することにしている。

一連の取材の中で、別の子どもを預けた保護者の話では、送迎は玄関までで、保育をしている2階・3階のところは見ることができなかったという。.

養子あっせん費用にばらつき 無償から200万円超

朝日新聞デジタル 2014年10月29日

特別養子縁組をあっせんする民間団体が、2012年度にあっせん成立時に養父母から費用として受け取ったお金は平均72万6千円だったことが28日、厚生労働省の調査でわかった。2団体が200万円を超す一方、費用を受け取らない0円の団体もあり、団体ごとのばらつきが大きい。
特別養子縁組は生みの親が育てられない幼い子と、血縁関係がない夫婦が法的に親子関係を結ぶ制度。営利目的のあっせんは児童福祉法で禁じられている。厚労省は養父母から受け取れる金を交通費や人件費などの実費に限っているが、金額など明確な規定はない。
調査は毎年度実施しているが、今回初めて個別の事業者ごとに受け取った費用の平均額を公表。調査対象の15団体・個人であっせんが成立した13のうち、最高は海外の養父母へのあっせんを手がける団体で平均257万3千円。100万円台は一つあり、残りは100万円以下だった。

横浜市と川崎市が待機児童対策でタッグ 認可保育所の共同整備など

産経新聞 2014年10月28日

「子育てしやすい街よこはま・かわさき」を目指し、横浜市と川崎市が“タッグ”-。両市は27日、待機児童対策に関する連携協定を結び、市境を越えた取り組みを加速させることで合意した。認可保育所を共同整備するほか、両市が独自の基準で定めた「横浜保育室」と「川崎認定保育園」を相互利用する場合の保育料を軽減。保育士確保対策も共同で行う。隣接する政令市が待機児童対策で連携するのは全国初で、保育現場も新たな試みに期待感を示す。(古川有希)

「待機児童ゼロに真剣に取り組んでいる都市同士だからこそできた。連携協定で大きな効果が期待できる」
同日、横浜市役所で行われた協定締結式で、横浜市の林文子市長は晴れやかな表情でこう語った。
川崎市の福田紀彦市長は、今回の連携は同市側からのアプローチであることを明かし、「身近に『川崎では保育園に預けたくても預けられない』と横浜市に引っ越された方がいた。待機児童ゼロを目指す中で(横浜と川崎の)市境の『見えざる壁』を感じ、取り払いたかった」と、提携の狙いを強調した。
横浜市は平成21年の林市長就任以来、待機児童対策に注力し、25年4月1日時点で待機児童ゼロを達成した。今年4月1日時点では保育所申し込み者数が急増して20人に増えたが、今年度も認可保育所や小規模保育所の整備などで受け入れ枠の拡大を進めている。
一方の川崎市も、昨年11月に就任した福田市長が待機児童対策を最重要課題とし、川崎認定保育園の保育料補助を引き上げるなどした結果、今年4月1日時点での待機児童数は前年比376人減の62人となった。
今回の連携では、平成28年4月に向けて横浜市鶴見区・港北区と隣接する川崎市幸区内に認可保育所を共同で整備し、両市の児童を受け入れる。今後も需要に併せて両市の市境にある市有地などを活用し、同様の整備を進めていく方針。
また、横浜市の児童が川崎認定保育園に入所したり、逆に川崎市の児童が横浜保育室に入所する場合、これまでは横浜市・月額最大5万円(所得制限あり)、川崎市・同最大2万円(3歳児未満)の保育料補助が受けられなかったが、27年4月以降は受給できるようになる。具体的な補助額は今後詰めるという。
保育士確保については、12月13日に川崎市内で保育士養成施設校の学生向け就職セミナーを両市で合同開催する。保育士確保は両市とも深刻な課題となっているが、林市長は「保育士の奪い合いではなく、むしろ協力体制でやっていきたい。他都市と協力することが効率的」と述べた。
今回の連携について、川崎市認定保育園協議会の本間哲也会長(58)は、「ライバル同士の自治体が利用者側の立場に立ち、手を取り合ったことは画期的なこと」と評価する。
横浜市内で認可保育所を運営する事業者の担当者は「異なる自治体の児童を受け入れることで運営費の請求方法や入園の審査基準の違いなど、ルールの違いをどのようにしていくのかが気になる」と話している。

失業給付金3億円が回収不能…督促怠り、時効に

読売新聞 2014年10月30日

全国約20都道府県の労働局が、失業者に支払われる給付金の不正受給者に対する督促や差し押さえを怠り、未回収分の債権約38億円のうち約3億円について時効が成立して回収不能となっていることが、会計検査院の調べでわかった。
検査院は近く、厚生労働省に適切な回収手続きを徹底するよう求める方針。
失業給付金は、失業者に再就職の支援などを目的に一時的に支払われるもので、2012年度の総支給額は約1兆6000億円だった。一方で、実際は働いているのに失業中と偽ったり、求職活動を行っているように装ったりして請求するケースも後を絶たない。
不正受給が発覚した場合、各労働局はまず相手方に電話や面談によって返還を求める。応じなければ、債権の消滅時効(2年)の成立を防ぐため、労働保険徴収法に基づき相手方に督促状を送付。さらに、預金や不動産があるかどうかを調査して、差し押さえなどの手続きを取ることもある。

市役所に聞いた 政令指定都市になるとあなたの暮らしは何が変わる?

SUUMOジャーナル 2014年10月28日

全国に20ある政令指定都市。規模が大きくて区に分かれていて…という漠然としたイメージはあっても、暮らす上で具体的な政令指定都市のメリットはなかなか分かりにくい。そこで、政令指定都市の一つである新潟市の担当者に話を伺った。

やっぱり気になるのはお金の変化。増える?減る?使い道は?
新潟市は政令指定都市を目指して15の市町村が合併し、2007年に政令指定都市となった。現在8つの区に約80万人が暮らしている。
「税金に関して安くなることは特にありません。しかし県から財源の一部が移譲され、市で使途を決められる税収が増えるので、より住民の皆さんの暮らしに寄り添った使い方ができるようになりました」(新潟市地域・魅力創造部政策調整課 坂井さん)
政令指定都市の大きなメリットの一つが権限・財源の移譲。県の権限・財源の一部が移されるので、道路整備、都市計画、教育などで、より地域の実情に合わせたサービス提供やまちづくりをすることができる。さらに、政令指定都市は宝くじを発行することが可能となる。こちらも収益の大きな柱の一つとして、市民生活の向上に活用されている。
権限移譲の中には小・中学校の教職員の任免を市が行える、などもある。県で行っていた教職員の採用や人事異動を市が行うことができるようになり、市の教育委員会で長期的な視野に立った教師のスキルアップや研修計画の実施が可能になり、地域との密接な関係性の構築にも繋がっている。
実際に市が持つ具体的な権限の範囲は、法律に則って基本的なガイドラインをベースに、各自治体の実態に合わせて都道府県と協議しながら決められるとのことだ。

より「その地域ならでは」を伸ばすことができる制度に
法律上、政令指定都市移行の条件として「人口50万人以上」という項目があるが、実際には人口80万以上で将来的に人口100万程度が期待できるような都市が移行してきている。政令指定都市に移行することを目指して合併する市町村もある。面積・人口を増やし、その中で一貫性のある施策を実施するなどスケールメリットを発揮できる環境となるのも大きな特徴だ。
「政令指定都市になると、県を通さずに国と直接話ができます。施策決定のスピードが早くなり、内容もより市の実情に合ったものになりますね。また新潟市は政令市移行と同時に8つの区役所を設置し、区役所を中心としたまちづくりを進めてきました。『特色ある区づくり予算』を設置し、各区の特色がより反映される街づくりに計画的に取り組んでいます」(同 坂井さん)
新潟市の場合、例えば東区は工業に強く、西蒲区は農業が盛んだ。そこで市が「今年は工業を推していこう」と旗を振れば西蒲区はカラーを打ち出しづらくなる。しかし区長・区役所の権限を高め、「特色ある区づくり予算」を創設したことにより、西蒲区では農業の強みを活かし、地元食材を使った自慢料理コンテストを開催するなど、独自の魅力に基づいた企画が実際に実現されていっている。

普段の暮らしで感じられる、政令指定都市ならではの利便性
実際に生活をする上で実感できるサービスの変化は、どのようなものがあるのだろうか。
「新潟市の場合、合併のメリットともいえますが、利用できる行政手続きの窓口が増えたことがまず挙げられます。仕事で旧新潟市外から市内に通う人も多く、以前は住んでいる市町村で証明書の発行や申請手続きをするために休みを取る場面もありました。
今では市内全域のどの区役所でも手続きができ、窓口となる連絡所や出張所も増えたので、仕事の合間や出かけたついでに手続きしやすくなっています」(新潟市地域・魅力創造部政策調整課 堀越さん)
住むエリアと職場エリアが同一市内になったことで、一人が複数の区役所を利用することも多く、各区がサービス面において切磋琢磨する相乗効果も生まれているという。「政令指定都市になる」という目標があったからこそ、15の市町村が合併できた経緯があり、その結果住民が利便性の高いサービスを受けられるようになったと言える。
また子どもを取り巻く環境にも変化が。政令指定都市になると、児童相談所の設置が義務付けられるのだ。従来保育園・小中学校は市の管理、児童相談所は県が設置、管理するもののみであった。
それを市でも児童相談所を設置し、保育園・小中学校と一括して管理することで、万が一児童の身に問題が起きた場合も、情報共有やケアといった一連の流れがスムーズになるメリットが生まれている。

降雪、消防、震災…非常時に発揮される政令指定都市の持つ力
日常生活においてはもちろん、非常事態の際にも政令指定都市ならではのメリットが生きてくる。
大規模災害や事故に対応する「特別高度救助隊」は、政令指定都市と東京都に配備が義務づけられている消防の専門部隊。住民の安心・安全な暮らしへの貢献はもちろん、非常時にはエリアに関わらず出動するので、周辺地域にも同様の役割を果たす。
また、合併でそれまで細かく分かれていた市町村の境がなくなったことにより、「救急車や消防車の到着が早くなっています」(新潟市地域・魅力創造部政策調整課 山田さん)。それまで近くても行政区画が異なるために連絡が届かなかった署が、迅速に対応できるようになるからだ。
また規模が小さく消防署ではなく組合で対応していた地域にも、消防署からの消防車が対応できるようになる。
国道・県道・市道という道路の管理も、協議の上で市が一元的に管理できる。新潟市の場合、管轄の違いでこれまで住民の目線では「角を曲がると除雪に差がある」ということもあったが、現在では市の基準でまとめて除雪できるようになった。
移行した日に何か劇的な変化がある訳ではない。しかし、実情に即して日常の暮らしやすさや危機管理体制が整えられている政令指定都市という形は、長い目で住まい探しを考えたときに選択のひとつ大きなポイントとなるかもしれない。

取材協力
新潟市地域・魅力創造部政策調整課
HP:http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/soshiki/soshikiinfo/chiiki-miryoku/kikakuka_toppage.html