売春防止から女性支援へ 法改正への動きが加速

福祉新聞 2015年02月10日

婦人保護事業の根拠法である売春防止法の改正に向けた動きが加速している。全国婦人保護施設等連絡協議会(全婦連)は昨年末から順次、厚生労働省、法務省、内閣府に同法改正の要望書を提出。人権保障、自立支援の視点での改正が必要だとしている。
この動きを広げようと、東京都社会福祉協議会婦人保護部会(会長=阿部千恵子・救世軍新生寮施設長)は1月24日、都内で集会を開き、約120人が参加した。

人権保障の婦人保護事業に
「婦人保護事業は女性を支援するものだと言えないところがつらい」「若い女性は婦人保護施設を刑務所のようなところだと思い込んでいる」――。集会に参加した都内の婦人相談員らは、現状を報告した。
集会には同事業にかかわる福祉関係者のほか、性産業に従事する女性、民間シェルターの運営者などさまざまな立場の人が参加。シンポジストの戒能民江・お茶の水女子大名誉教授らが法改正の必要性を説明すると、会場から発言が続いた。
支援を必要とする女性の実態と同事業の法令の間に開きがあり、現場で開きを埋めようと努めてはいるが限界がある――。発言を要約すれば、これが大筋で一致した意見だ。
同事業の対象者は厚労省の通知によって「配偶者暴力の被害者」「人身取引被害者」などに拡大してきたが、婦人保護施設、婦人相談所はそれに見合う運営体制になっていない。
婦人保護施設の人員配置基準は、入所定員50人以下の場合、施設長、調理員などすべての職員を含めて9人。知的障害や精神障害のある人、外国人、女性の同伴児などさまざまな入所者に24時間365日かかわるには大幅に不足している。
他の福祉施設は「母子生活支援施設」「児童自立支援施設」などと名称変更されたが、婦人保護施設は従来と同じ。法令上、「収容」「指導」といった用語も残っている。
婦人相談所についても (1)短期間での「自立」が見込める人しか施設に入所させない (2)婦人相談員の約8割が非常勤で経験者が育ちにくい (3)地域間で対応にバラツキがある――といった問題点がかねて指摘されてきた。
集会を主催した同部会の阿部会長は冒頭あいさつで「同法の使い勝手の悪さ、女性に対する二重三重の人権侵害につながる差別的な状況に心を痛め、怒りを感じる」と話した。
シンポジストの一人で弁護士の角田由紀子さんは同法を「女性を処罰する発想が残っていて、売春の原因が追究されていない」と批判。日本弁護士連合会が2013年6月21日付で公表した同法改正の意見書を紹介した。
なお、日本キリスト教婦人矯風会(東京都新宿区)に事務局のある「売買春問題ととりくむ会」が14年末、衆議院議員にアンケートをしたところ、次の議員が「売春防止法改正の発議者になる」と回答した。
▽郡和子(民主)▽照屋寛徳(社民)▽斎藤和子(共産)▽梅村さえこ(同)▽赤嶺政賢(同)▽池内さおり(同)▽高橋千鶴子(同)

婦人保護事業とは
「売春を行うおそれのある女子」を「要保護女子」とし、保護更生を図る事業。同法のうち厚労省の所管する第4章(保護更生)が婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設を規定する。
要保護女子が入所する婦人保護施設は第1種社会福祉事業で全国に49施設(都内は5施設)ある。
定員は1371人で、年間平均の入所者数による定員充足率は29%。都道府県に必置義務はない。施設措置費のうち国の補助金は年間約22億円。
婦人相談所は都道府県に必置で一時保護、婦人保護施設への入所措置を担う。婦人相談員は都道府県と市に約1200人。
厚労省の検討会(座長=戒能民江・お茶の水女子大名誉教授)は13年3月、同事業の課題を整理したが、売春防止法は1956年の制定以来、骨格が一度も改正されていない。
全婦連は同法の第4章を抜き出し、人権尊重、自立支援、福祉の視点を入れた新法を制定するよう求めている。

「保活」とは?~減らない待機児童、激化する保育所探し 企業の保活支援がスムーズな復職の鍵に~

日本の人事部 2015年2月9日

「保活」とは、子どもを保育所(おもに認可保育所)に入れるために保護者が行う活動のことです。保育需要が保育所の定員数を上回り、都市部を中心に待機児童問題が深刻化するなか、最近では、入所選考で有利になるように自らの就労条件を変更したり、待機児童の少ない地域にわざわざ引っ越したりするなどの手を尽くす保護者も少なくありません。こうした行動を含め、情報収集や施設見学、入所申請など、保育所を探して入所させるまでの一連のプロセスを、就職先を探す「就活」や結婚相手を探す「婚活」になぞらえて、保活と呼びます。育児休業中の社員が予定通り職場復帰できるよう、厳しくなる一方の保活をサポートする企業も増えてきました。
減らない待機児童、激化する保育所探し 企業の保活支援がスムーズな復職の鍵に
主に働く女性が育休などからの職場復帰に備えて、子どもの預け先を探す「保活」が厳しさを増しています。預け先となる保育所は、児童福祉法にもとづく認可を受けて設置された認可保育所(認可園)と、そうでない認可外保育所に二分されますが、公費が投入されている認可園は認可外に比べ保育料が安いうえ、国の厳しい設置基準を満たしているので設備・体制面とも充実。保護者にしてみれば、「何とか認可園に入れたい」と考えるのが当然でしょう。
育休制度の普及などを背景に出産後も働く女性が増加し、保育所の需要は高まり続けています。しかし一方で、認可園の施設や定員数は増えているものの、まだまだ追いついていないのが現状です。厚生労働省の調べによると、認可園に入りたくても入れない、いわゆる「待機児童」の数は 2014年時点で全国に2万1371人。6年連続で2万人台を突破し、待機児童解消は依然として進んでいません。
認可園に入所を希望する場合は、市区町村への申請が必要で、申込数が定員を上回った場合の選考の方法や基準も自治体によってそれぞれ決められています。最近の選考方法は「点数制」が主流。多くの自治体が、家庭での保育がより困難な児童を受け入れるため、保護者の就労状況や出産、疾病、介護など保育を要する理由を優先度に応じて点数化し、得点の高い順に入所させる手法を採っています。そのため、育休からの職場復帰を目指す人たちの保活もエスカレートせざるをえません。長時間労働に変更して点数を稼いだり、入所の難易度が比較的低い4月入所にあわせて育休を早めに切り上げたり、狭き門を突破するための親の負担は重くなる一方です。
こうした保活の厳しい実態を踏まえ、育休中の社員が予定通り復職できるよう、企業が社員の保育所探しをサポートする取り組みも始まっています。三井住友銀行では、女性が育休に入る前から研修や社内サイトなどで保活への取り組み方を指南。施設見学は出産前から始めるよう促すなど、どのタイミングで何をすればいいのかを積極的に啓発し、それでも預け先が決まらない場合は、子どもが2歳になるまで育休を延長できる制度を設けています。ダイキン工業では、保育サービス事業のマザーネットと提携し、保活を全面的にサポートする「保活コンシェルジュ」を13年12月から導入しました。入所できるまでフォローするという保活コンシェルジュのサービス利用は住友電気工業やエスビー食品、関西アーバン銀行、三井住友海上火災保険などにも拡大しています。

ノート盗まれ子どもの個人情報流出 和歌山県の児童相談所

紀伊民報 2015年2月10日

和歌山県子ども・女性・障害者相談センター(児童相談所)は10日、職員が子どもに関係する相談内容や子どもの名前を書いたノートが盗難に遭い、個人情報が流出したと発表した。
女性職員が8日午後6時半から7時20分の間、私用で有田川町の外出先の駐車場に自家用車を止め、施錠して車を離れていた隙に窓ガラスが割られ、車内に置いていたノートを入れたかばんがなくなっていたという。ノートには、相談を受けた8件について、2~8日に職員が面接や電話で聞き取りした内容と子どもの名前を書いていた。住所や電話番号などは記していない。このほか、かばんに職員のスケジュール帳、センター職員の名前、電話番号、電子メールアドレスが書かれた緊急連絡網が入っていた。
センターは最寄りの警察署に届け、ノートに書いていた子どもの保護者らに電話と訪問で謝罪した。再び訪問し、経緯などを説明する予定。二次被害はいまのところ報告されていないという。

ドコへ相談に行けばいい?「養親」と「里親」の違いと引き取る方法

マイナビニュース 2015年2月9日

【女性からのご相談】
40代の主婦です。不妊治療を行いましたが、残念ながら子どもが授かりません。主人と話をした結果、養親や里親も考えていこうということになりました。養親と里親はどう違いますか? また、養子が欲しい、里親になりたい場合、最初にどこに相談に行けばよいですか?

A. 里親と養親の大きな違いは、養子縁組をして、あなたが法律上の親になるかどうか。まずは、住まいの地域を担当する児童相談所にご相談を。
ご相談ありがとうございます。ママライターの馬場じむこです。
今回、里親と養親の違い、そして最初の相談窓口について、親族養育・ステップファミリー・里親などを支援する活動をされているA-Step代表の町田彰秀さんにお話を伺いました。

里親について
里親は養子縁組を目的とせず、家庭で一定の期間、子どもを自治体より委託され養育する制度です。社会的養護の理念にのっとり公的責任で社会的養育すること、権利ではなく義務を負うことと言われています。
養親との大きな違いは、委託中は自治体より里親手当といった生活諸費が支給される場合があります(自治体によって手当が支給されるかは異なります)。
そして、子どもは養育する家庭の健康保険に加入できません。そのため、病院で治療を受ける際は、児童相談所から発行された保険証や受診券で受けることになります。
そして、里親の場合は養育する子どもと苗字は違うままであり、住民票の続柄は『縁故者』となります。
養親について
養親は、養育する子どもの法律上の親になることです。親になるということで、里親と違って養育手当は出ません。
そして、養育する家庭の健康保険には扶養として入ることができますし、養子縁組した後では、あなたと同じ苗字を名乗ることができます。住民票の続柄は『子』となります。
養親・里親について考えたとき、まずは管轄児童相談所を調べて電話を
養親・里親について考えたときは、あなたが住んでいる地域を管轄する児童相談所に電話してみましょう。
ネットで『居住地 児童相談所』を検索、もしくは、自治体のwebサイトで検索するとすぐわかります。いきなり児童相談所を訪問しても、担当者が不在もしくは別の用事で手が離せない場合は無駄になってしまいます。
また、東京にお住まいの方は、東京都福祉保健局内の『ほっとファミリー』のサイトで、里親や養子縁組が前提の里親についての流れや制度について詳しく知ることができます。
いきなり児童養護施設に行くのはNG
ドラマなどでは、養子が欲しい大人がいきなり児童養護施設に行って気に入った子どもを引き取るという描写がされていますが、児童養護施設で暮らしている子どもをあなたが選び、そして引き取ることは不可能です。
児童養護施設を知っているからといって、いきなり訪問して、養子や里子を求めることは絶対にしないでください。施設で暮らしている子どもたちに迷惑がかかり、施設本来の業務の邪魔になります。
里親と養親、何となく法律上の親になるかどうかの違いがあるとはわかっていても、保険証や里親手当というような生活に大きく関わる違いがあることを初めて知りました。この内容が相談者さんのお役にたてれば幸いです。

息子が父に灯油→父怒り金づち 殺人未遂容疑で2人とも逮捕

ちばとぴ by 千葉日報 2015年2月10日

千葉西署は9日までに、父に灯油を浴びせて火を付け殺害しようとしたとして殺人未遂と現住建造物等放火未遂の疑いで千葉市美浜区、無職の長男(32)を、長男を金づちで殴り殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで同居する自称調理師の父(64)を逮捕した。
長男の逮捕容疑は8日午後1時10分ごろ、自宅で石油ストーブの灯油を父に浴びせて部屋にもまき、火を付け殺害しようとした疑い。父の逮捕容疑は長男の後頭部を金づちで複数回殴り殺害しようとした疑い。長男は全治約1週間の軽傷。父にけがはない。
同署によると、親子げんかが高じて長男が灯油をまき、激高した父が制止するため殴った。2人はいずれも容疑を認め、それぞれ「殺そうと思った」などと供述している。帰省していた長女(27)が110番通報した。

6人に1人が危ない!自覚症状がない「糖尿病」の恐怖

nikkanCare.ism 2015年2月10日

生活習慣病は、心筋梗塞のような危険な病気の原因となるものです。
しかし、自覚症状がそれほどないため、危険な状態になるまで気づかない人も多いのです。あなたも「自分はまだまだ大丈夫」と思っていませんか?
実は、成人男性のうちの6人に1人が糖尿病のおそれがある、と言われているのです。
平成25年に出された厚生労働省のデータからみていきましょう。

成人のうち糖尿病の疑いがあるのは8人に1人
20歳以上の人で、「糖尿病が強く疑われる人」の割合というのは、男性の場合は16.2%、女性の場合は9.2%だという統計結果がでています。
成人男性が6人いれば1人が糖尿病になっている可能性が高く、女性の場合でも10人に1人の割合です。
過去の調査と比較すると糖尿病を疑われる人の割合は横ばいですが、それでも16%というのは無視できない数字ではないでしょうか。

4割程度が何もしていない
ただ、糖尿病が疑われている場合でも、それに対し、きちんと治療を行っているのであれば、大きな問題にはなりにくいということは言えます。
血糖値を下げる薬や、食事の管理、あるいは運動などを組み合わせることによって、血糖値を低下させていくことができますし、大きな病気を起こすリスクも減らすことができます。
問題なのは、上記であげた「糖尿病を疑われる人」のうち、約4割の人が、「特に治療などを受けていない」と答えていることです。

糖尿病には自覚症状がほとんどない
健康診断などで、「血糖値が異常である」とされても、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
これは高血圧や脂質異常症(高コレステロール)にも言えることですが、生活習慣病において、めまいや頭痛といった症状が出てくるのは、ある程度症状が進んでからです。そのため、「今は忙しいから」と、ついつい先延ばしにしてしまう人も……。
しかしこれは、非常に危険なことです。気が付いたときには病院のベッドの上だった、ということもありえない話ではないのです。

糖尿病は、「自分の知らない誰か」がかかるものではなく、「自分の身にも降りかかること」だと認識して生活を少し見直すだけで、リスクは大きく下がります。
直近の健康診断表を、今一度見直してみてはいかがでしょうか。