福祉施設で虐待の疑い 元職員を逮捕

NHKニュース 2015年6月10日

山口県下関市の知的障害者の福祉施設で職員が利用者に虐待を行っていたとされる問題で警察は問題の発覚後、懲戒解雇された35歳の元職員が虐待に関わった疑いが強まったとして暴行の疑いで逮捕しました。警察は10日朝から施設を捜索するなどして裏付け捜査を進めることにしています。

逮捕されたのは下関市長府豊城町の知的障害者の自立を支援する福祉施設「大藤園」の元職員、柳信介容疑者(35)です。警察によりますと、柳元職員は去年2月、「大藤園」の訓練作業室で当時20歳の利用者の男性に暴言を吐きながら胸ぐらをつかんで体を揺さぶったり、額を3回叩いたりしたなどとして暴行の疑いが持たれています。
「大藤園」では施設の内部で撮影された柳元職員が暴力をふるうなどの映像が明らかになり、今月4日、下関市が障害者総合支援法に基づいて立ち入り調査を行ってその後、柳元職員は懲戒解雇されていました。
調べに対し容疑を認め、「利用者が作業をしようとしなかったのでやった」などと供述しているということです。
警察は10日朝から暴行の疑いで施設を捜索していて、今後、押収した資料を分析するなどして裏付け捜査を進めることにしています。

理事長「皆さまに申し訳ない」
元職員が逮捕されたことについて、大藤園の木谷義孝理事長は「警察の判断なのでお話することはないが、このような事件が起きたことについて、大変残念で皆さまに申し訳ない。今後、園の再生に尽くします」と話しました。

内部告発の男性「市の調査 効果なかった」
大藤園の施設内部で、柳元職員が暴力を振るうなどの状況を撮影した男性は、虐待が黙認される実態を見かねておととしから撮影を始めたといいます。
男性は「知的障害者のかたは親や周りに訴えることができない。施設の園長は、『別にいいじゃないか。誰か文句を言っているのか』などと言っていた」と話しています。
また通報を受けて去年、下関市が行った施設に対する任意の調査については、「朝礼の際に施設の園長が『きょうは市が調査に来ます』などと話したので、効果は全然なかった」と話し、虐待の実態把握には結び付かなかったと振り返っています。
虐待は長期間にわたり繰り返されていたということで、男性は「施設内では『何がいけない、何が悪い』というのが基本的になかった」と話しています。

保護者「悲しみと怒りの気持ちでいっぱい」
柳元職員が担当する作業班に息子が所属していたという母親は「逮捕は妥当だと思う。彼の名前を出したら息子がパニックになった。虐待の事実は全然知らなかったし告発してくれてありがたい。今は悲しいのと怒りの気持ちでいっぱいです。ほかに通う場所もなく、施設は情報を速やかに保護者に伝えてほしい」と話していました。

「学校は行かなくてもいい」と、いつまで叫べばいいんだろう?

Yahoo!ニュース田中俊英 2015年6月9日

同じ嘆き
Facebookの僕のタイムラインにこんなブログ記事が流れてきた。
それは「学校は、行かなくてもいい」というタイトルのブログで(学校は、行かなくてもいい。)、どうやら20代なかばの不登校経験をもつ女性が書いているようだった。
僕はその方を直接知らないし、またその方は著名人ではなさそうだから(言い換えると「批評」され慣れしていなさそうだから)、これ以上そのブログについてはふれない。
ただ、これを読んでいて、僕はなんとなく虚しくなった。いや、この方の思いは十分わかるし応援したい。では何に虚しくなったかというと、
いつまで同じ嘆きが反復されるんだろう
という虚しさだ。
というのも、僕はいまの立場である「支援者+法人代表(マネージャー)」になる前のずっと前、20代全般、独立系出版社を友人と立ち上げて編集者+ライター+営業マン+マネジメントのまね事みたいなもの、つまりは出版社業務全般を行なっていた。
その独立系出版社は「さいろ社」といい、一緒に立ち上げた友人が今もがんばって続けているのだが(さいろ社)、当時僕はフリースクール運動を取材・執筆していた。
その取材活動の中でたびたび出てきたのが、今回もタイトルにしている「学校は行かなくてもいい」という言葉だった。フリースクールのスタッフ、あるいはフリースクールのボランティア、そこに自分の子どもを通わせる親、そして、不登校をした(当時は「登校拒否」だったが)中学生自身が、「学校は行かなくてもいい」とたいへんな思いで主張していたのだった。
その熱い思いに僕は感銘を受け、自分はこのまま編集者兼ライターとして、あるいは第三者的立場で教育問題に関わりつづけてもいいのだろうか、と真剣に悩んだ。
その結果、友人には申し訳ないけれどもその独立系出版社を退社し(その出版社がとりあげた医療問題はNHKや朝日新聞の取材対象になったりして、独立もかなり成功していた)、僕は子ども若者支援者になった。

畏れと憤り
日本社会では、僕が支援者になってからも、新たな子ども若者の問題が出現し続けた。ひきこもり、ニート、発達障がい、あるいはPTSD、ボーダーライン人格障害、リストカット、あるいは貧困問題、児童虐待等々。
最近の僕は児童虐待とそれに伴う「第四の発達障がい」やPTSDの問題に関心が集中しているが(「殺される(虐待される)側」には、論理も言葉もない、ほか参照)、すべての原点は「登校拒否/不登校」だと思っている。
そして今回のタイトルにある、「学校は行かなくてもいい」だと。
僕としては、90年代に、自分が所属する出版社で『子どもが決める時代』という本を出して、不登校問題とその背景にある「自己決定」の問題にはひとつの区切りをつけたつもりだった。その後、社会人大学院生として、自己決定の問題を哲学的に極めていくことになるのではあるが、とりあえず書籍出版で落とし前をつけたつもりだった。
けれども、だ。
90年代前半とまったく同じ主張と嘆きと悲しみが、「当事者の思い」として今も繰り返されている。ここにある戸惑いと苦闘は、80年代後半から90年代前半に僕が編集者兼ライターとしていくつかのフリースクールを取材して子どもたちから出てきた言葉とまったく同じなのだ。
それらは、以下のような言葉に集約される。
「学校の空気が嫌だった、が、
当時の感覚をあらわすのに一番近いかもしれないなぁ。
暗黙の了解も、、、居心地が悪かった。
それが教室の空気を緊張させていて、
苦しかった。
『自分で考えちゃいけない』
そう言われているみたい」
ああ、引用はしないと言いながら、思わずしてしまった。
この戸惑いと怒りとくやしさ、この、よくわからない学校という「大きなもの」に対する畏れと憤り、これはまったく25年前に多くの不登校当事者が抱いていた思いと同じなのだ。

日本社会そのもの
だから我が社会は何も変わってはいない。
と、シンプルな脱力感を僕は抱いてはいる。
が、当時の僕自身と違っているのは、このブログ執筆者の方が言うようには、「外の世界」にも、つまりは学校文化以降の、日本社会全般にも僕は諦めていることだ。
ここで言われる、
空気
同調主義
個人の自由な議論の圧迫
無言の圧力
は、我々の社会のあらゆる局面に存在する。今の僕は、「日本人になる」ということは、こうした無言のルールを受け入れることだと理解している。
だから僕はさらに諦め脱力している。学校文化は、その表れ方のエゲツナサはさておき、日本社会の雛形そのものなのでは、と今では理解している。
みなさんはどう?

保育士や幼稚園教諭の4割が「仕事と育児の両立はできない」

@DIME 2015年6月9日

保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開する、株式会社ウェルクスは、保育に関するお役立ち情報を提供する「保育のお仕事レポート」にて、読者を対象に行ったアンケート調査を実施。子育てをしながら、保育士や幼稚園教諭として働き続けることができるか、について意識調査を行なった。保育士や幼稚園教諭として働く100名の読者を対象に、「現在働いている環境で、子育てと仕事の両立ができると思うか」を聞いたところ、「仕事と育児の両立ができると思う」と回答したのは全体の43%。一方「両立ができると思わない」と答えた人は38%となり、4割ほどの人が、子育てをしながら働き続けることに不安を持っていることがわかった。「子育てと仕事の両立ができると思う」と回答した人に、その理由を聞いたところ、産休・育休や職員の交代など、制度面で整っているという理由の他に、身内などに支援者がいるためという回答が多く寄せられた。
一方、「両立ができないと思う」と回答した人にも、その理由を伺ってみたところ、圧倒的に多かった回答が「育児と両立できる業務量ではないから」というもの。持ち帰り業務や残業の多さが、大きな懸念点となっていることが伺える。仕事と子育てを両立するうえで、大切と考えるポイントを3番目まで聞いたところ、まずは産休・育休といった制度面の充実、そして配偶者など家族の理解、次いで子どもの状況に応じて臨機応変に対応できる勤務体系、周囲の職員の理解などが、多くの人に求められていることがわかった。自由記述で頂いたコメントからは、現在の保育業界全体が抱える「子育てとの両立の難しさ」も伺える。

・フリーの職員の有無が大きなポイント。余裕を持っての職員配置になっていないので、休むとクラスがまわらなくなる。(30代)
・業務が多すぎて、サービス残業につながったり、持ち帰りになったり…何より業務量が多いことによるストレスが大きい。(30代)
・保育士の子どもを預ける先を優先しないと保育士の確保はできないと思う。(30代)
・生活するのがやっとの収入。昇給の見込みもなく家庭など持てるわけがない。(20代)

行政は待機児童問題解消を目指し、保育施設を増やす取り組みを行っているが、それと同時に「働き続けられる」労働環境の整備がなければ、人材不足や離職率の高さは変わらず、現場により大きな負担がかかることも考えられるのではないだろうか。とはいえ、そういった労働環境も十分な人材がいてこそ整備できるもの。処遇改善を中心とした、人材獲得へのさらなる取り組みが期待される。

【調査概要】
・実施期間:2015年5月14日~5月28日
・実施対象:保育士(77.0%)・幼稚園教諭(14.0%)・その他保育関連職(1.0%)・主婦・その他(8.0%)
・回答者数:100人(平均年齢:33.1歳)
・男女割合:女性/100%・男性/0%

シェア時代の家族――「子育てには核家族よりシェアハウス」

オルタナ 2015年6月10日

JR「大崎」駅から徒歩10分ほどに、Miraie(ミライエ)というシェアを楽しむ家がある。雰囲気のある木造建築で、地下1階と地上2階建て、屋上にはテラスとお風呂もある。その家には、4歳の子どもを持つ夫婦と、シェアメイトの20代社会人が2人、そして、日替わりで世界各国から旅人が泊まりに訪れる。その家の主は、「子育てには、核家族になるよりシェアハウスが合っている」と話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

「子どもには、色々な人と話して、自分で夢中になれることを見つけてほしい」。こう話すのは、ミライエオーナーの佐別当隆志さん(38)。佐別当さんがミライエを建てたのは、2013年9月末。台湾人の奥さんリーさんと、子育てをしながら住めるシェアハウスを探したが見つからず、自分たちでつくることにしたのだ。
ミライエの地下には、シャワールームとベッドルームが3部屋。そのうち2部屋は年間契約で貸し出し、20代の社会人が使用している。残り1部屋はAirBnBを使い、短期宿泊利用者に貸し出している。その部屋には、3泊から1カ月の期間で泊まることができる。
宿泊費は1泊7000円から。基本的には素泊まりとなるが、リーさんは、ホスピタリティに溢れる性格の持ち主で、喜んでゲスト分の食事を作り、家族、宿泊者全員で食卓を囲むことがよくある。

この制度で、2013年9月からこれまでに80人ほどが泊まりにきた。利用者は外国人が多く、職業では、アーティストにデザイナー、建築家などクリエイターが多いという。
ミライエの歴史は、1Fの共有スペースに凝縮されている。1Fには、広いキッチンと大型テレビ、ソファが置かれているが、四方を取り囲む壁棚には、絵や雑貨、食料が隙間なく飾られている。それらは日本で見るものは少なく、どれも、外国のものばかり。つまり、宿泊したゲストがお礼に置いていったのだ。
佐別当さんは、ミライエでの暮らしを、「毎週、刺激をもらえている」と話す。そう言う理由は、毎週異なる宿泊ゲストらと出会えることに加えて、自身が主宰する定期イベントで知見を得るからだ。

「同じ釜の飯」が人を集める
筆者が訪れた5月31日、ミライエは子ども向けの音楽ワークショップを開いた。同ワークショップには、近所の親子連れ20組弱が集まった。ファシリテーターに、NHK教育テレビにレギュラー出演していた「あいのてさん」を迎え、子どもたちはペットボトルや風船、ストローなど身の回りのモノで音を出して遊んだ。
ワークショップの中盤では、子どもたちが自由に画用紙に絵を描き、それをまとめて1冊の絵本にして物語をつくった。あいのてさんを呼んだ音楽ワークショップは今回で3回目。リーさんは、音楽が好きで、このワークショップを月に1回の頻度で企画している。「楽器がなくても、音楽を楽しめることに気付いてほしい」と話す。
ワークショップが終わったあとには、懇親会。出された料理は、すべてリーさんの手作りだ。同じ年の子どもを持つ親たちは、リーさんを中心に、子育てなどの話題で盛り上がっていた。
ミライエに人が集まる要因の一つに、この食がある。まさに、同じ釜の飯を食った者どうし、自然と仲間意識が芽生えているように見えた。

「共助」つくり、虐待も災害も改善
ワークショップに、りんたろうくん(3)を連れて参加した對馬真弓さんは、「普段、なかなか近所の人と出会う機会はないので、このような集まりは貴重」と言う。近年、震災時など有事の際に、近所で助け合う「共助」の重要性が叫ばれている。阪神淡路大震災のとき、「共助」によって人命救助された人の割合は半数以上の65%に及ぶ。
東京23区内にある住居の46%が集合住宅であるが、同じ建物に住むマンション居住者でさえも、交流を持たない人が多くいる。地域行事がなくなり、核家族が増えていくと、地縁が薄れ、独居老人が増え、最悪の場合、孤独死につながることもある。
近所でのつながりは、子育てにも影響する。厚生労働省によると2013年度の虐待件数は7万3765件で、過去最多を記録した。親が子どもを虐待する原因として、「母親の孤立」がある。ミライエのようなコミュニティスペースで縁が生まれることで、周囲に子育てに関して相談する人ができ、改善にもなるはずだ。
ミライエができて2年が経とうとしている。多くのイベントを行い、地域にも名が知れだし、町内会とのつながりもできた。今後は、地域に根付いたイベントも行う考えだ。
佐別当さんと奥さんのリーさんは、恵比寿のシェアハウスに住んでいて、そこで出会った。2人は核家族として暮らすよりも、常にさまざまな人と交わえるシェアハウスの環境が、子育てに適していると体感していた。
SNSが発達したシェア時代の暮らしを実践するこの家から、どんな未来が生まれるのか楽しみだ。

抗不安薬や睡眠薬で急性薬物中毒、4割は医師の過剰処方

読売新聞(ヨミドクター) 2015年6月10日

抗不安薬や睡眠薬を過剰服用して意識障害などが表れる急性薬物中毒を起こした患者の約4割が、添付文書で定められた規定量を超える処方をされていたとする調査結果を、医療経済研究機構(東京)がまとめた。
同機構の研究グループは「処方のあり方を見直す必要がある」としている。
研究グループは、健康保険組合の加入者172万人分の診療報酬明細書のデータを分析。2012年10月~13年11月の間に、自殺などを目的に多量の抗不安薬や睡眠薬を服用し、急性薬物中毒を起こした210人について、その3か月前までさかのぼって薬の処方状況を調べた。対象者は、うつ病や統合失調症など、精神疾患の患者が多数を占めた。
添付文書で定められた規定量を超えて処方されていたのは82人で、39%に上った。処方した医師は、精神科医が89%を占めた。
研究グループのメンバーで国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部の松本俊彦部長は「患者の求めに応じて医師が安易に処方してしまう傾向がみられる。治療薬が多く患者の手元にあると、乱用につながる恐れがあり命にかかわる。こうしたリスクを考慮し、処方日数や量、種類は慎重に決めるべきだ」と指摘している。