少子化対策 75%が「第2子の壁」 第3子に「1000万円」支援を

産経新聞 2015年6月21日

少子化が加速してきた。厚生労働省によれば、昨年の出生数は100万3532人で過去最少を更新。1人の女性が生涯に出産する子供数の推計値である合計特殊出生率も9年ぶりに低下に転じた。
結婚や出産は個人の選択である。だが、ここまで出生数が減った以上、対象を絞った対策が必要だろう。

着実な第2子対策を
まずは第1子対策に力を入れなければならない。日本では未婚で出産する女性は少なく、結婚支援が効果的といえる。若い世代の雇用を安定させ、出会いの場をつくることだ。さらに、周囲が雰囲気づくりをすることも重要だ。
しかし、第1子が生まれただけでは人口減少は克服できない。将来、その両親が亡くなると1人減となるからだ。子供に恵まれないカップルがいることを考えれば、第3子以降が増えない限り人口が増加に転じることはない。
昨年の出生数の内訳をみると第1子は47万4191人、第2子が36万4763人。第3子以降は16万4578人にすぎない。だが、いきなり第3子とはならないので、第2子対策から着実に進めていかなければならない。
実は、昨年の出生数を分析すると第2子の減少が際立つ。総数では前年比2万6284人減だが、1万4703人を第2子が占めた。減少幅で比べると、2013年の5倍、2012年の12倍だ。

75%が「第2子の壁」
一般財団法人「1more Baby応援団」が公表した夫婦の出産意識調査によれば、8割が「2人以上」を理想の子供数と回答した一方で、75・0%は2人目以降をためらう「第2子の壁」の存在を感じている。
86・5%が「経済的な理由」を挙げているが、就職している母親に限定すると「仕事上の理由」(64・7%)が2位であり、働き方をめぐる事情が深く絡んでいる。
これについては、厚労省の「21世紀成年者縦断調査」が興味深い傾向を示す。夫の休日の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生割合は増えているのだ。2時間未満の場合31・0%だが、6時間以上では76・5%となった。第2子を増やすには長時間労働の是正が求められる。
だが、単に働く時間を短くするだけでは問題は解決しない。基本給が安く、残業代をあてにせざるを得ない人も少なくないからだ。時間ではなく成果によって評価する仕組みの普及が急がれる。
育休の取りづらさの改善も求められる。夫婦共働きが当たり前となり、第1子出産時に取得する人は増えた。しかし、第1子の育休が明けてから時間を空けず、再度申請することへの後ろめたさがあるのだ。たびたび休んだのでは責任ある仕事を任せられなくなり、ポジションを奪われるとの焦りだ。
先の意識調査では、職場の上司が子育てに理解がある場合、2人目以降にためらいを感じない人の割合が10ポイント近く上昇している。職場の心遣いが「2人目を産もう」との気持ちを大きく左右する。

20代に傾斜配分必要
第3子以降となると、さらに経済的な悩みが大きくなる。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の出生動向基本調査によれば、3人目以降の出産を見合わせた夫婦の7割が「お金がかかりすぎる」を理由に挙げた。
そこで小欄は、第3子以降に、子供1人あたり1000万円規模の大胆な支援をするよう提言したい。
2010年の社人研の調査によれば、子供が3人以上いる夫婦は全体の21・6%に過ぎず、2002年調査の34・4%に比べ激減した。
対象となる人数は少ないのだから、第3子以降を断念する大きな理由である大学進学までの教育費について、塾代も含めすべて無料とするぐらいしてもいい。それぐらいの発想が必要ということだ。
2005年度版「国民生活白書」によれば、子供1人にかかる費用は第2子は第1子の8割、第3子は6割程度で済むという。とはいえ、財源には限りがあるので、代わりに第1子、第2子に対する児童手当を廃止か縮小する。
一方、晩婚・晩産では「3人目を産もう」とはなりにくい。昨年の出生数は20代後半が1万4949人減と大きく落ち込んだ。第3子以降に手厚くするのと同時に、20代で出産した人に傾斜配分する必要もある。
日本の少子化は危機的状況にある。過去の常識にとらわれていたのでは出生数増には転じない。

子供送迎タクシー増加 学校や塾への乗車を共働き世帯が支持

NEWS ポストセブン 2015年6月21日

学校、塾、習い事への子供の送迎など、タクシーで“子育て”を支援するサービスが拡大している。子供一人でも送迎するサービスから、玄関先までベビーカーや荷物を運ぶサービス、夜間の急な発熱などのトラブルに対応するサービスまで。子育て世帯の移動をタクシーが支えようと、各社、サービス強化に乗り出している。とりわけ共働き世帯や、交通の不便な地方にとって、心強いサービスのようだ。
日本交通の「キッズタクシー」は、専任ドライバーのみが対応する。子育て経験者、保育士、普通救命講習、救急救命法メディック・ファーストエイド(略称MFA)小児MFAプログラムなどの資格者らだ。顔なじみのドライバーとなることで、子供一人乗車の不安感を軽減する。予約制で、学校や塾までの送迎はドアtoドアで行い、運賃は4650円+キッズチャージ620円。1時間を超えると30分ごとに2420円の追加となる。定期検診や里帰りなどにも対応する。
国際自動車は女性ドライバー(ホスピタリティ・アテンダント)による送迎同行サービス「リラクシー」を展開している。料金はメーター制だが、予約料金と送迎料金(各410円)が別途かかる。この送迎同行サービスは、子供のみならず、高齢者の買い物や病院への送迎なども対象にしている。
日本交通の「キッズタクシー」を、小学6年生の娘の塾の送迎に週2回利用しているという都内在住の30代女性はこう語る。
「行きは学校から塾まで、帰りは塾から自宅まで。顔なじみのドライバーさんなので安心です。料金は安くはありませんが、共働きで、近くに親もいませんから、他に方法がないんです。娘はタクシーの中で、人目を気にせず宿題や食事ができるから、効率がいいと言っています」
一般社団法人全国子育てタクシー協会(全国28の都道府県が加入)が認定する「子育てタクシー」は「じわじわと利用が増えている」という。実際にどのような需要が多いかを聞いた。
「都市部では、お子さん連れの外出をサポートする『かんがるーコース』が、地方では、お子さん一人の通園・通学・通塾などを安心・安全に送迎する『ひよこコース』の利用が目立ちます。また、陣痛時の送迎『こうのとりコース』の予約登録は、ここ数年激増していますね」
子育て支援を目的としたタクシーサービスは2011年頃から登場している。ハイヤー・タクシーの収益はここ数年、減少傾向が続いており(「ハイヤー・タクシー年鑑2015」)、とりわけビジネス需要が低迷していることから、新しい需要の開拓が急務となっていた。子供送迎のほか、最近では「観光」「介護」向けのタクシー市場も伸びている。
とはいえボトルネックになるのは料金ではないだろうか。塾などの送迎で日常的に利用するとなると、家計にかかる負担は決して少なくない。実際に「使いたいが、高くて使えない」という声も聞かれた。料金事情について、大手タクシー会社に勤務する都内在中の40代男性はこう話す。
「会社や、ドライバーが仕事をするエリアにもよりますが、歩合制のタクシードライバーにとっては、現状では子供の送迎はそれほどおいしくはないんですよ。特に都市部ですと、普通に走っている方が、正直言って儲かりますからね。あるいは、観光客の多いエリアだと、半日や一日乗ってくれる『観光タクシー』のほうが儲かる。子供さんの送迎って、それほど遠いところには行かないですし、ドライバーの負担も少なくないので。だから料金設定も、それなりの価格にならざるをえないんです。
ただ、需要があることは確かですし、社会的な意義も大きいですよね。乗合タクシーを増やして、一人のお子さんにかかる料金を下げるとか、何か支援策を打ち出してもらうとか、柔軟で視野の広い対応が必要じゃないでしょうかね」
共働き世帯の増加、高齢化、あるいは都市部における乗用車保有率の低下などの環境変化によって、タクシーに求められる役割が拡大・多様化しつつある。

現役保育士が「辞めてやる!」と思う時

@DIME 2015年6月20日

保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開する、株式会社ウェルクスは、保育士を中心とする「保育のお仕事レポート」の読者131人に、独自のアンケートを実施、働いていて思わず「辞めてやる!」と思った経験の有無について聞いた。調査の結果、「辞めてやる!」と思ったことがあると回答したのは、全体の96.9%で、ほとんど全員に近い人が、一度は仕事に大きな不満を抱えた経験があることがわかった。
では、実際にどのような時に仕事を辞めたいと感じるのか。調査によると、その原因として最も多く挙げられているのが、「上司・同僚との人間関係上の問題」で63.9%、次いで「業務量や残業の多さ」が19.8%、「園長・施設長に対する不満」が16.7%。園長や施設長との関係性も含めると、実に80%もの人が、職場内の人間関係が原因となり、不満を持っていることがわかった。

下記は自由記述回答。
・職場の上司からの度重なる言葉の暴力で、体調不良になり、体を壊してその職場をやめた。(20代女性)
・先輩からは指導ではなく、嫌味、批判ばかり。誰かしらが誰かの悪口を言っている。(20代女性)
・休みがない。仕事量も多く、いつも仕事に追われている。(20代女性)
・園長に言われた通りに仕事をして、次の日そんなこと言ってないと言われた。なにか問題が起きた時、あたし責任取らないから!と逃げた。(20代女性)
・残業手当がつかないのがキツい。(30代女性)
・給与が上がらない。(50代女性)
・保護者からの理不尽なクレームがあった時。責任をすべて押し付けられると辞めたくなる。(30代女性)

今回のアンケートでは「辞めてやる!」と大きな不満を抱えた後、どのような行動をとったかについて聞くと、最も多かったのが「我慢しつつ働き続けている」というもので32.1%、また「実際に仕事を辞めた」「現在転職を検討している」という回答もそれぞれ22.1%に及んだ。

アンケート調査概要
・実施期間:2015年6月1日~6月15日
・実施対象:保育士(80.2%)・幼稚園教諭(10.7%)・その他保育関連職(5.3%)・その他(3.9%)
・回答者数:131人(平均年齢:32.6歳)
・男女割合:女性/97.7%・男性/2.3%
・回収方法:facebookおよびLINE@で告知

うつ病自殺、一転して労災認定「休憩中も叱責」

読売新聞 2015年6月21日

2012年7月に自殺した自動車販売会社「スズキ自販北陸」(本社・金沢市)の社員男性(当時24歳)について、厚生労働省の労働保険審査会は、「長時間労働などによるうつ病が原因」として、労災と認めなかった福井労働基準監督署の決定を取り消し、労災認定した。
審査会は、男性が休憩時間中にも上司から指導・叱責されていた可能性があるとして、時間外労働時間を長く算定し直した。
審査会の決定は17日付。男性の父親と代理人弁護士が20日、福井市内で記者会見を開き、明らかにした。労基署の決定が覆るのは異例。
裁決書によると、男性は大学卒業後の10年4月に入社し、福井支店で自動車や部品などの販売を担当。12年4月にうつ病を発病し、7月に自殺した。
審査会は、発病前の3か月間、男性は午後10時頃までの残業が常態化していたと判断。さらに、上司から日常的に指導・叱責を受けており、朝のミーティング後の休憩時間(10分間)も休憩していたとみることはできない――などとし、発病までの1か月間の時間外労働は128時間、その前の2か月も月100時間を超えていたとした。
父親(56)は会見で「同じような悲劇が起こらないよう願っている」と話した。スズキ自販北陸は「担当者が不在でコメントできない」としている。

4歳でiPad中毒も–乳幼児のスマホ・タブレット利用の危険性とは

CNET Japan 2015年6月21日

ベネッセ教育総合研究所の「乳幼児の親子のメディア活用調査 報告書」(2013年3月)によると、母親がスマートフォンを使用している2歳児のスマートフォンとの接触は、「ほとんど毎日」が 22.1%、「週に3~4日」が10.9%。子どもにスマートフォンを使わせる場面は、「外出先での待ち時間」が2歳児では53.3%と最多。続いて、「親が家事などで手をはなせないとき」が14.3%となっていた。さらに、0〜6歳の約1%前後が「家で食事をしている間」利用していることが分かっている。
デジタルネイティブ世代がデジタル機器を使いこなす能力は恐ろしく高い。寝かしつけ目的でiPadを使っていたところ、我が家でも当時0歳だった子どもが、iPadやiPhoneでお気に入りのアプリで遊ぶようになっていた。0歳児でも、スリープ解除、アプリ起動、YouTube動画を履歴から閲覧などができてしまうのだ。いま育児をしている方の中には同じ経験をしている人も多いことだろう。iPadやiPhoneに慣れた幼児は、PCの画面を見ても画面上で指でページをめくる動作をし、「(ページめくりが)できない」と言うようになる。
スマートフォンやタブレットの利用が低年齢化しており、0〜6歳の乳幼児の多くが毎日のように利用している。乳幼児からスマホやタブレットを日常的に利用することで、問題は起きないのだろうか。

4歳で重篤なタブレット中毒も
お恥ずかしい話だが、私も過去に失敗したことがある。かつて子どもが2歳だった頃、電車で騒がれるので、当時人気があったなめこを刈り取るスマホアプリを遊ばせたことがある。子どもはすっかりはまってしまい、電車に乗っている間中、何度も画面を確認しては、「新しいきのこが出た!」と大喜びしていた。
車内ではよかったが、子どもは帰宅後も私のスマホを奪っては「きのこ」と言い、アプリを利用しようとする。その動作があまりに頻繁に繰り返されるのを見て、2歳児が早くも依存状態になっていることに気がついた。渡さないとイライラして怒り出すのだ。恐ろしさにぞっとして、なめこアプリは即座に削除し、以後は触らせていない。
スマホゲームは心理学に則った作りとなっており、大人でもはまるようにできている。まして耐性のない幼児には、そのような中毒性が高いと分かっているものを安易に利用させてはいけないのだ。この時は、親の端末だからこそ依存状態であることがわかり、即座に利用を制限できた。これがもし子どもが自由になる端末なら、保護者が気付くのに時間がかかるし、制限も難しくなってしまう。
英国では4歳の少女がiPad中毒となった例が報告されている。少女はiPadのゲームにはまり、取り上げると過度に落ち込むようになってしまった。心配した保護者が医師に相談したところ、依存状態であることが分かったというわけだ。少女は3歳から両親のiPadを利用し始めており、症状が悪化した時には何と1日4時間も利用していた。この年頃における中毒状態は、完全に保護者の責任だ。

スマホ・タブレットは悪か?
では、そもそも乳幼児期におけるスマホやタブレットの使用には、どのような影響があるのだろうか。
スマホやタブレットの利用でさまざまな悪影響があると言われている。たとえば、うつになりやすい、視力低下、体力低下、肥満、睡眠障害、依存になりやすいなどだ。新しいメディアはとかく悪者扱いされやすい。テレビが誕生した時にも同じようなことが言われたことを考えると、過敏になりすぎる必要はないだろう。しかし、利用時間が長すぎたり、それによって他人とのコミュニケーションや運動などの時間が減少すれば、前述のような問題につながってしまうことは否定できない。
逆に、スマホやタブレットを利用することによる良い影響もある。2010〜11年にかけて、米Houghton Mifflin HarcourtがAppleと協力し、カリフォルニア州の中学校で調査した。それによると、iPad教科書を用いたグループと用いないグループを比較すると、理解度がAdvanced(上級)またはProficient(熟練)と評価された生徒の割合は、iPad教科書利用者が78%なのに対し、紙の教科書利用者は59%と、約20%多かったのだ。
ほかにも、小学5年生に対し、iPadを利用した学習ゲームを1日20分間・5日間利用させたところ、テストの点数が平均で15%アップするなど、スマホやタブレットを使った教育効果を示す調査結果は多数ある。スマホやタブレットは学習において万能なわけではないが、たとえば記憶する目的などにおいて学習効果が高いと言われている。
スマホやタブレットを利用した良質な学習アプリは多数生まれている。通信教育でもタブレットを取り入れることがトレンドとなっている。スマホやタブレットなどの機器は一概に否定するのではなく、上手に取り入れることが肝要なのは言うまでもない。

保護者と幼児のスマホ利用時間は比例する
2014年12月のe-Lunch調査によると、スマホを週2日以上利用する子どもは、1歳児18.2%、2歳児47.4%。2歳児以降では「ほぼ毎日」の割合が増加し、半数以上でスマホ利用が習慣化していた。
保護者のスマホの利用時間が1日あたり0分である場合、子どものうち30分以上スマホを利用する割合は7.7%だった。一方、保護者の利用時間が1時間の場合は子どもの27.7%が、保護者が2時間利用する場合は子どもの30.5%が30分以上利用していた。つまり、親の利用時間が長くなるほど子どもの利用時間も増える傾向にあるというわけだ。
子どもにはスマホやゲームの利用制限をしながら、自分はスマホやゲームをいじっている保護者をよく見かける。しかし、子どもは大人の行動をよく見て真似をするものであり、保護者の前ではやらなくても、隠れて利用するようになる可能性が高い。食事中や子どもと話している時などは、保護者もスマホを置くようにすべきだ。最近は子どもと話していると、「ママがスマホをいじっていて話を聞いてくれない」という相談が増えている。まず、保護者自身が利用をコントロールするべきだろう。
スマホやタブレットが悪なのではない。ただし、乳幼児は自分で良いアプリを選んだり、利用時間を制限したりすることは難しいため、保護者が見守る必要がある。特に乳幼児の時は、利用するアプリは保護者が選ぶこと。静かにしておいてほしいというだけで、中毒性の高いアプリを安易に利用させすぎないこと。子ども1人で使わせるのではなく保護者も一緒に利用し、「お話しするときはやめようね」など、正しい利用について教えていくべきだろう。