<福祉専門家>「学校に必要な職員」中教審、中間まとめ案

毎日新聞 2015年6月24日

いじめや不登校など複雑・多様化する学校の課題への支援体制を検討している中央教育審議会の部会は24日、福祉の専門家のスクールソーシャルワーカー(SSW)を「学校に必要な職員」と法令で位置づけることなどを盛り込んだ中間まとめ案を示した。文部科学省は来年の通常国会で学校教育法など関連法の改正を目指す。配置されるSSWの拡充やこれに伴って教員の多忙解消につながることも期待されている。
川崎市の中学1年、上村遼太さんが殺害された事件では、学校側がSSWを活用しなかったことが問題視された。SSWの法的な立場がはっきりせず、学校現場で認知度が低かったことが原因とも言われている。
SSWは社会福祉士などの資格を持つ福祉の専門家。いじめや不登校の背景に、家庭環境や発達障害などの課題が指摘されることが少なくなく、専門家の支援が不可欠になっている。文科省は2008年度にSSW配置の補助事業を始め、13年度は1008人が配置された。
しかし、SSWへの理解不足などから、学校で適切に活用されていないケースも少なくない。川崎市の事件では、被害者が不登校になって以降、担任教諭が電話や家庭訪問で接触を試みていたのに、SSWに支援を要請しなかった。
中間まとめ案は「教員が持つ専門性だけでは対応に苦慮している」として、SSWを法令上「学校に必要な職員」として位置づける必要があると判断した。どの学校でも日常的に相談できるように、一層の拡充を検討することも求めた。
また、教員に加え部活動支援員、SSWや心理の専門家であるスクールカウンセラー(SC)など学校に関わる幅広い人たちが、いわば「チーム学校」となって諸問題に対応する必要性も指摘。SCについてもSSW同様に法令上「学校に必要な職員」に位置づけることを求めた。【三木陽介】

【ことば】スクールソーシャルワーカー
福祉の観点から、いじめや不登校、児童虐待などの課題に対し、学校、児童相談所、警察などと連携しながら解決策を探る専門家。国の補助金の実施要領は「原則として社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つこと」としている。独自予算で配置している自治体もある。普段は教育委員会にいて学校からの要請に応じて活動する「派遣型」や、複数の学校を巡回する「巡回型」などの運用がされている。

「妊娠は悪いことなの?」職場で「マタハラ」受けた女性たちが深刻な実態を告白

弁護士ドットコム 2015年6月24日

男女雇用機会均等月間の6月、厚生労働省や労働団体など「STOP!マタハラ」というキャッチフレーズをかかげ、妊娠・出産をきっかけにした職場での不当な取り扱い(マタ二ティ・ハラスメント)をなくすための啓蒙キャンペーンを展開している。その一貫として、マタハラ被害にあった女性らで作る任意団体「マタハラNet」が6月24日、東京・霞ヶ関の厚生労働省で記者会見を開き、妊婦をめぐる深刻な実態を告白した。
会見には、妊娠・出産を理由にした解雇や退職勧奨などを受けた女性5人が出席。「あなたの家庭環境なんて知らないし、自分で何とかしろと言われた」「妊娠を告げたら、突然社長から解雇予告通知書を渡されて頭が真っ白になった」といった生々しいマタハラ被害の実態を語った。
マタハラNetをサポートしている新村響子弁護士は「裁判で戦っている仲間5人が、みんなで声を上げて『マタハラ・ストップ』を訴えたいと会見に踏み切った」と話し、「『こんな被害を受けて戦っている人もいるのだから、マタハラをやめてほしい』とアピールしたい」と会見の意図を語った。

「妊婦として扱うつもりもない。一生懸命やらなければやめてもらう」
会見に出席した西原ゆかりさん(34)は、介護施設で、1年更新の契約職員として働いてきた。利用者をベッドから車いすに移動させたり、車いすを抱えて階段の昇り降りをする送迎介助、入浴介助のような身体的に負担が大きい業務の担当だった。
そして勤務5年目となる2013年初夏、結婚8年目にして念願の妊娠がかなった。妊娠4ヶ月となった8月、女性の営業所所長に報告し「勤務時間を8時間にしてほしい」などと就労改善を申し出たが、応じられなかった。「つわりもありましたが、入浴介助中に何度も熱気で吐きそうになったり、送迎介助中にお腹も頻繁に張りました」
身体の負担が大きい仕事内容は変わらなかったため、今後の働き方について所長に相談した。しかし「特別扱いするつもりはないし、妊婦として扱うつもりもない。一生懸命やらなければやめてもらう。更新はない」と告げられたそうだ。所長は西原さんを無視するようになり、同僚たちとの関係もギクシャクし始めた。
12月には切迫早産の診断が下されたが、所長には「でまかせだ」と信じてもらえなかった。「やっと授かることができた命なのに、妊娠は悪いことなの?」と、精神的に不安定になった。産休に入った翌年1月「うつ状態」との診断を受ける。翌2月、第1子を無事出産したが、3月にメンタルクリニックを受診したところ、うつ病との診断を受けた。
「妊娠した人は辞めていく職場だったので、妊娠しても介護の仕事ができることを見せたかった」と悔しそうに語った。西原さんは、記憶の喪失や摂食障害などのうつ症状に悩まされながら、会社と所長を相手どって、昨年8月、マタハラに対する慰謝料を求める裁判をおこした。

「マタハラ研修」の実施が必要
新村弁護士は「何がマタハラにあたるのか、分かっていない人が多い。それがマタハラの原因です」と語り、企業などでのマタハラ研修の必要性を強く訴えた。
「セクハラは、どんなことがセクハラにあたるのか、ということが理解されて、社会の共通認識になりつつあります。マタハラも、厚労省がマタハラの具体例を発表したり、企業のマタハラ研修が必須になるような周知啓発や、妊娠・出産をした労働者が働きやすい環境を整える制度を作る義務を、法律で定めるべきではないでしょうか」

住みよさランキング「安心度1位」の都市は?

東洋経済新報社 2015年6月25日

印西市(千葉)が4年連続で総合トップとなった「住みよさランキング2015」では、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5つの観点で指標を選び、総合順位を算出している。今回はその5部門の中から「安心度」「利便度」のランキングについて、詳細をご紹介しよう。
「安心度」は西高東低、トップ10に熊本から4市
まず福祉の充実度などを示す「安心度」では、倉吉市(鳥取)が昨年に引き続き1位となった。
倉吉市は「高齢者人口当たりの介護施設定員数」が全国1位、「人口当たり病院・一般診療所病床数」も46位と、いずれもトップクラスにある。昨年より算出指標に追加した保育所関連のデータ(待機児童数調整済み「0~4歳人口当たり保育所定員数」)が、昨年44位から今回は72位と順位を下げたが、それでも高水準にあり大きな影響はなし。一昨年の56位から昨年は168位まで後退した「15~49歳女性人口当たり出生数」も、今回は69位へ再び浮上し、地位を固めた格好となった。
2位には、一昨年の2位から昨年9位へと後退した由布市(大分)がカムバック。保育所定員数では324位・偏差値50.9と全国平均水準だが、介護施設定員数で全国11位、大分大学付属病院が立地することもあり病院・診療所の病床数でも同26位と、ともに全国トップ30位内という高水準にある。
昨年の順位後退の要因となった出生数(一昨年78位→昨年177位)だが、今回は再び72位へ回復し2位カムバックに寄与した格好だ。
3位以下は、多少の順位の変動は見られるものの、顔ぶれは昨年とほとんど変わっていない。ここで目立つのは10位内に九州の都市が5市ランクインしていて、このうち4市が熊本県の都市だということ(6位天草市、7位阿蘇市、8位人吉市、9位水俣市)。これら4都市は病床数の水準が非常に高く、いずれも全国トップ10内にある。
算出のベース資料である厚生労働省「医療施設調査」では、人口10万人当たりの病床数は全国平均1238.7床に対し、熊本県は1964.1床と高知県、鹿児島県に次いで全国3位と高水準だ。
11位の嘉麻市(福岡)は昨年53位から大きく順位を上げた。介護施設定員数で全国39位、病院・診療所の病床数でも同101位と上位に位置していることに加え、保育所定員数が昨年263位から今年は131位と順位が大幅に上がったこと、全国平均レベルを下回り(偏差値49)、昨年392位だった出生数が今回は106位(偏差値60)へと劇的にアップしたことが大きな要因だ。
以下、上位30位までをみてみると、近畿以西の都市が24都市と大半を占め(うち15都市は九州・沖縄)、圧倒的な西高東低の構図となっている。前述のとおり、西日本地域では人口当たりの病床数が多いこと、そして、とくに九州・沖縄地方で出生率が全国平均を上回っていることなどが背景にある。
西日本以外では、3位の野々市市、5位の七尾市、18位の加賀市、30位の能美市と石川県の都市が4市も入っており、関東地方からは病床数、介護施設定員数の両方で全国トップクラスの青梅市(東京)が29位にランクインした。
続いて、「利便度」の詳細なランキングを紹介しよう。
「利便度」は野々市市(石川)が4年連続トップ
野々市市(石川)が1位となり、2位の新宮市(和歌山)とともに、4年連続でその座を守った。また3位の名取市(宮城)から7位の下松市(山口)まで昨年と順位の変動はなく、さらに昨年10位の直方市(福岡)が8位となる一方、昨年8位の習志野市(千葉)が10位と順位が入れ替わっただけで、トップ10の顔ぶれは昨年とまったく変わらなかった。
改めて1位の野々市市は、金沢市の南部に隣接し金沢市中心部から一体となった市街地が市域全体に形成されている典型的なベッドタウン。また金沢工業大学などが立地する学園都市としての性格も持っており、若い世代が多いのも特徴だ。
自動車による交通アクセスがよく、国道8号線などの幹線道路沿いには「イオン御経塚ショッピングセンター」をはじめ、大型の家電量販店、ホームセンターなどが建ち並んでおり、市内のみならず周辺からも多くの集客がある。そのため「小売業年間販売額」と「人口当たりの大型小売店店舗面積」の両指標ともに全国1位と他都市を圧倒している。
2位の新宮市(和歌山)は、紀伊半島の南部に位置し、和歌山市のほか隣接する三重県・奈良県の中心部からも大きく離れている。周辺市町村に大きな商業施設が少ないこともあって、紀伊半島先端地域や三重県南部を含む熊野地方の中心都市としての性格を持つ。
そのため、周辺地域も含め人口規模はそれほど大きくないにもかかわらず、大型小売店店舗面積では全国1位、小売業販売額も34位と全国トップクラスにある。
上位で大きな順位変動があったのは20位の天童市(山形)で、昨年の108位から大きく順位を上げた。2014年3月14日に「イオンモール天童」が開業したことで、大型小売店店舗面積の順位が昨年の155位から24位へと押し上げられたことが要因だ。ちなみに今年3月には、この「イオンモール天童」に隣接するJR奥羽本線に、新駅として「天童南駅」が開業している。このように、このカテゴリーは指標の性格上、大型商業施設の開業(撤退も)により順位が変動しやすいという特徴がある。

最も不健康なのは運動不足や喫煙ではなく……「1人ぼっち」!?

ITmedia ビジネスオンライン 2015年06月19日

健康的に長生きする方法、それは禁煙だったり、食生活だったり、運動だったり、たくさんあります。でも、もっと大切な健康法があるって知っていましたか?
2015年3月、米ブリガムヤング大学の研究グループは、ある論文を報告しました。それによれば、最も長生きを妨げるものそれは「孤独」だというのです。
彼らは公表されているあらゆる研究論文を調査し、「寂しさを感じている人」、「社会的に孤立している人」、「1人で生活している人」と死亡率に関するデータを集めたのです。調査した人数は300万人に上るそうです。
結果として、「社会的な孤立」は29%、「寂しさを感じている人」は26%、「一人で生活している人」は32%と、それぞれ死亡率が高くなっていたそうです。
周りに人がいても「寂しいと感じている人」と、自分から選んで「一人暮らしている人」は、孤独の理由が全く違うように思えるのですが、これらの人たちの間で死亡率にあまり違いがないことが驚きです。
そして孤独による死亡率は、肥満や喫煙による死亡率上昇より高いとも言われているのです。

仲間を大切に、社会的なつながりも大切
なぜ、孤独が死亡率を上げてしまうのか、その理由はまだ明らかではありませんが、原因の1つとして、1人で過ごしている人は運動をしなかったり禁煙が続かないなど、不健康な生活になりやすい傾向が明らかになっているようです。
人間にとって、友達や家族など周囲の人が健康への大きな支えになるということを示しているのかもしれません。「友達なんて面倒くさい、私は1人で生きていける」なんて、寂しいこと言わないで、友達や家族を大切にしましょうね。