匿名なら死ねと言える–中学生がネットいじめをする理由

CNET Japan 2015年6月27日

少し前の調査だが、東京都教育委員会の「平成25年度 いじめの実態及び対応状況把握のための調査結果について」によると、PCや携帯電話によるいじめは、小学校では1.5%(69件)、中学校・中等教育学校では8.9%(303件)、高等学校では28.4%(63件)となった。
割合では高等学校が一番高いが、件数では小学校と高等学校がほぼ同数であり、中学生の件数が飛び抜けて高い。小中学校でいじめが多発しており、ネットいじめは中学生で起きることが多いのだ。子どもが自由に使えるインターネット接続端末の所持率が上がっているため、現在はさらに増えていると考えられる。
なぜ中学生はネットいじめをするのだろうか。今回は、中高生がネットで気軽に相手を傷つける理由について考えていく。

匿名性は攻撃性を高める
心理学者ジンバルドーの実験によると、没個性化され、匿名性が高い状況に置かれると、人は攻撃的かつ暴力的になるという。人が匿名の状況に置かれて攻撃的になった様子は、匿名掲示板などさまざまな場で見ることができる。
中学2年生男子A也は、普段は穏やかで、クラスでもどちらかというと大人しい部類に入る。ところが、A也はネットの匿名掲示板では、日常的にあるタレントに対して「氏ね(死ね)」「つまんねえクズ」などの罵倒を繰り返しているという。「書くとすっきりするし、盛り上がるので楽しい」と言う。
クラス担任はA也の普段の姿とのギャップに驚き、「かつてはネットで悪口を書くのは特殊な攻撃的な人だけだと考えていた。ところが、A也君の話を聞き、誰が書いていてもおかしくないと驚いた」と答えている。
匿名掲示板には罵詈雑言があふれており、他人への攻撃が当たり前という雰囲気になっていることも、A也が過激化した要因の1つだろう。「サインを求められたのに偉そうに断ったらしい。ファンを見下していて性格が悪い」とA也は言う。その話はネット上でコピー&ペースト(コピペ)されて広まっていたが、A也はすっかり信じていた。「タレントが悪いのだから仕方がない。悪口を書くとみんなが応援してくれるし、みんな同じことを思っているはず」。
正義感を振りかざしているが、本当の正義感ゆえの行為とは考えづらい。A也は、受験勉強と成績が伸び悩んでいるストレスを抱えているようであり、タレントを叩くことがストレス発散行為となっているのだ。

直接手は汚さず他人の声を借りて攻撃したい
中高生と話して感じるのは、どんなことでもネットで書くのが当たり前になっている点だ。「LINEで書くと返事を求めることになるから、誰かに聞いてもらいたいことはTwitterで書く」と言う。誰のことか名言せず、「待ち合わせに毎回遅刻してくる奴って信じらんない。こっちのことなめてるんだろうなと思う」などと書くケースは多い。
さらに、LINEであった嫌なことをTwitterにコピペして悪口を言うケースもある。中学3年女子B里は、「みんな共感してくれるし、自分もすっきりするから」という。「Twitterで書いたら、本人に陰口を言っているのがバレるのでは」と言ったところ、「分かったら分かったでいいと思う。みんながムカついていることが伝わるし、本人も反省するんじゃないかな」とも。
彼女たちは、自分が腹を立てていることを直接相手に言うのではなく、間接的にみんなの声として伝えたいようだ。直接言うと反論がきて嫌な思いをすることもあるが、間接的なら言い逃れもでき、「みんなも同じ意見」と言えるためだろう。
PR TIMESの「ソーシャルメディア炎上に関する意識調査」(2011年10月)によると、「匿名登録をしているソーシャルメディア上で次のような内容の投稿はできるか」という問に対して、「人間関係で嫌な思いをした時に、相手の名前を伏せて批判」について、投稿できると回答した割合は40.5%でトップとなっている。この調査は20、30代を対象としたものだが、10代になるとこの傾向がさらに強まるようだ。

言葉の暴力を実感、想像させる機会が重要
かつてのいじめは面と向かって相手を殴ったり、本人に直接悪口を言った。殴ると自分も痛いし、相手の傷ついた様子から、自分がした行為の結果が目に見えた。
ところが、インターネットでのいじめは相手の顔が見えない。他人を傷つけても、傷ついた相手の顔が見えないため実感に乏しい。さらに、暴言を吐かれた方は何度も読み返すことができる上、ネット上の情報はコピー・拡散などが容易なため、相手を深く傷つけることができてしまうのだ。
ネットいじめをした側は、スマホで文章を書き込むだけなので楽な上、サービスによっては匿名性に隠れて好き放題言うことができる。これでは、他人を傷つけることの重みが実感できないし、他人の気持ちが分からないままだ。
米国在住の14歳の少女トリーシャさんは、SNSで受けたいじめを苦に13歳の少女が自殺したというニュースを耳にしてショックを受けた。米国では若者の53%がネットいじめを受けた経験があり、そのうち38%が自殺願望がある。トリーシャさん調べによると、ネット上で侮辱的な書き込みをする12~18歳の若年齢層の子たちは、19歳以上の層に比べて4割も積極的に侮辱的な発言をするという。
トリーシャさんは、ユーザーが誰かを侮辱するような書き込みをしようとした時、「このメッセージは他人を傷つけるかもしれない。このメッセージを本当に投稿しますか?」というメッセージを表示する、「Rethink」という仕組みを取り入れた。

トリーシャさんの考えたネットいじめを止めさせる「Rethink」という仕組み
1500件を対象にこの実験が行われたところ、93%が投稿をやめた。ネットいじめにつながる発言を71.1%から4.7%に減らすことができたのだ。現在は、Chrome拡張ブラウザとモバイル用アドオンを用意しているとのこと。彼女のTEDでのプレゼンはこちらで見ることができる。
自分の行為の与える影響が分からなければ、過激化してしまうのも無理はない。「Rethink」によって投稿を思いとどまる子が多かったのは、アラートによって自分の行為を客観視する機会が持てたからだ。多くの子どもは、自分の言動がどれだけ他人を傷つけるかなど考えもしない。子どもにはそうしたことを想像させたり、実感する機会を持たせるべきではないだろうか。

なぜ?ネットに誤情報拡散 人身事故の原因は「歩きスマホ」

産経新聞 2015年6月27日

専門家「共感情報、思い込み入りがち」
インターネット上で誤った情報の拡散が問題視される中、25日に起きた人身事故を「歩きスマホ」が原因とする誤情報が広がった。なぜ誤情報の拡散は繰り返されるのか。専門家は「共感できる情報には思い込みが入りがちになる」と指摘している。
事故は25日午前6時35分ごろ、東急田園都市線たまプラーザ駅(横浜市青葉区)で起きた。中学3年の女子生徒が急行電車にはねられ死亡。ホームから小走りで女子生徒が飛び込んだとする目撃情報があり、神奈川県警青葉署は自殺の可能性が高いとみている。
ネット上では「歩きスマホしてた女子高生が線路に転落」したことが人身事故の原因だとする情報が拡散された。「(ホームの)ギリギリを歩くのは危ない」「気をつけろ」とする意見も飛び交った。
これらの情報は、女子中学生を女子高生と間違えている。また、東急電鉄は歩きスマホ情報を否定。同社は車内で歩きスマホの危険性を訴えており、担当者は「警鐘と事故が混同され、誤情報となった恐れもある」。青葉署も「歩きスマホの情報はない」と断じている。
ネット上の誤情報をめぐっては、川崎市の中1男子殺害事件で、無関係の女子中学生が犯人視され、名前が拡散される問題も発生。
最近も飲食チェーン店の全店閉鎖の誤情報が広まり、会社側が否定に追われる事態があった。
新潟青陵大学の碓井真史教授(社会心理学)は「自分が怖いとか、有益だと感じているものには思い込みも入りやすく、『ほらね』と飛びつき、何かを言いたくもなる」と指摘。
「立ち話のようなネット利用ではなく、少し慎重に情報を扱わないと、今後も重大な人権侵害やパニックを引き起こす恐れがある」と話している。

札幌の父親殺害事件 逮捕の長男、別居を相談 警察・児相、介入はできず

北海道新聞 2015年6月27日

警察に「父親と一緒に住みたくない」と相談
札幌市厚別区の市営住宅で父親(51)を殺した容疑で逮捕された高校3年の長男(18)が5月中旬、「父親と一緒に住みたくない」と札幌厚別署に相談していたことが26日、道警への取材で分かった。長男と父親は事件前、たびたびトラブルを起こし、少なくとも5回は同署や札幌市児童相談所が相談を受けていた。しかし虐待の明確な痕跡がなかったこと、長男が法律上の保護対象年齢を超えていたことなどから、強制的な措置はとられなかった。
「父親に暴言を吐かれ、もう一緒に住みたくない」。道警によると、長男は5月中旬、札幌厚別署を1人で訪れて相談した。同署は民間の自立援助ホームを紹介したものの、長男は「そんなところなら自宅の方がいい」と断ったという。
それ以前にも、父親が3月上旬と4月下旬の2回、「息子がバットを振り回している」などと110番通報。駆けつけた札幌厚別署員に、長男は「父親から『死んでしまえ』などと暴言を受けた」と説明した。同署は札幌市児相に計2回、心理的虐待などの恐れがあるとして通告したが、長男や父親にあざなどの痕跡がなかったため、「暴行や傷害事件として、強制的に親子を離すことはできなかった」(道警幹部)という。

一時保護の対象は「18歳未満」で
児相は警察から通告を受けた場合、原則48時間以内に安全確認し、子どもの安全が確保できないと判断した場合は一時保護できる。ただ対象は「18歳未満」。札幌市児相は3月下旬の通告では家庭訪問したものの、5月上旬はすでに長男が18歳になっており、高校への連絡にとどまっていた。
高校も長男や父親と面談していたが、長男が自宅に帰ることを望み2人を引き離せなかった。高校の校長は「本人の気持ちを尊重したが、ここまで発展するとは思わなかった」と話す。

<第4回>「わっ!腫れた!」 虫に刺された どうしよう

福祉新聞 2015年6月24日


蚊虫に刺されて、足全体が腫れた園児がいました。乳幼児は症状が悪化することがよくあり、痛みを強く訴える子どもも多いです。受診の目安や経過について、役立つ知識を教えてください。


乳幼児の皮膚は大人に比べると大変弱いので、虫に刺されただけでも真っ赤に腫れ上がることがあります。
対応は刺した虫の種類で異なります。スズメバチに刺された時は①顔色が急に悪くなる②息が苦しくなる③声が出にくい④意識障害⑤血圧低下によるショックー症状に陥ることがあります。この場合は救急車で医療機関を早急に受診する必要があります。園の付近や子どもたちが散歩する道、公園などに巣がないか、日ごろから注意しておき、必要であれば駆除してもらいましょう。
ミツバチに刺された時は、針が残っていればとげ抜きで取り、刺された部分をつまんで毒を絞り出すようにします。その後、抗ヒスタミン軟こう、または、ステロイド入り軟こうを塗ります。市販薬にもこれらの成分が含まれたものがありますので、常備しておくと良いでしょう。
蚊に刺された時もかきむしらずに、すぐに同様の軟こうを塗ると、かゆみがあまり感じられず腫れも少なくなります。毛虫やガに触れた時は、その部分をこすらずによく洗い流し、抗ヒスタミン軟こうを塗ってかかないようにします。
刺されてすぐに軟こうを塗るなどの処置を行うと、効果は一層高まります。また、汚れた手でかくと「とびひ」になることがあるので、清潔なガーゼなどで軽く覆っておくと良いでしょう。
かゆみがひどい場合は冷やすと症状が軽くなることがあります。一般的には、多少赤く腫れていても徐々に治まりますが、子どもの体質によっては著しく腫れることもまれにあります。このような経過に気付いたら、皮膚科や小児科を受診する可能性も考えます。初めての場合は判断がつかないことが多いので、以前に虫に刺された時の腫れ具合などの情報を家族から得ておくことが大切です。
【田中哲郎・医学博士】

<第3回>5歳児の言葉の遅れ 保育園での対応は

福祉新聞 2015年6月17日

Q
5歳児についてです。生活習慣の定着や職員の声掛けに対する理解など、発達年齢より多少の遅れを感じます。声を出したり、しぐさや表情の訴えはあるものの、言葉の表出には至りません。職員はその子の気持ちをくみ取り、言葉で返すようにしていますが、ほかにどのような対応がありますか。

A
言葉が遅れているのではないかと感じた時は、年齢と言葉の発達の関係について評価することから始めるのが良いでしょう。1歳になっても「ぶーぶー」「ばーばー」などの喃語が出ない場合、1歳半になっても意味のある言葉が出ない場合、2歳になっても二語文が全く話せない場合には言葉の遅れがあると思われます。
言葉が遅いと思われる時は、まず音の聞こえに問題がないかを確認することです。テレビを見ているから聞こえていると考えるのは必ずしも正しくなく、視覚により反応していることがあります。
次に、言葉が出ないだけなのか、理解することにも問題がないかの判断です。1歳半から2歳くらいまでに、自分の手や足を尋ねられた時にそこを指すことができたり、好きな食べ物を絵本などで指さすことができれば理解とコミュニケーションには問題ないと判断できます。
一方で、それができなければ、発語があるのか、発語のレベルが年齢より低いと思われる場合は軽度の知的障害が疑われます。視線が合わないなどがみられる場合はコミュニケーション障害が疑われ、また「おうむ返し」などの独特な反応がみられれば広汎性発達障害が考えられます。これらの疑いがある場合は、クラス担任だけで判断せずに、園長、主任などと話し合うことが必要です。その結果疑いが残る場合は、保護者に専門医の診断を勧めると良いでしょう。保護者への説明の際には断定的な言い方にならないように心掛けます。
これらの子どもへの日常の対応は、現在話しているレベルに応じた段階の話し方を根気よく繰り返すこと、子どもが理解できる長さの文章で話しかけることが大切です。
【田中哲郎・医学博士】

医薬品扱う専門会議は「利益相反」がゾロゾロ

東洋経済オンライン 2015年6月27日

医薬品や医療機器などの承認を行う国の専門家会議で、委員による不適切な“申告漏れ”が明るみに出た。
厚生労働省は6月5日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会の委員のうち8人が、薬事に関する企業の顧問などに就き、定期的に報酬を得ていたことを公表。薬事分科会規程に反するため、8人とも辞任届を提出することになった。
発端は今年3月に、一人の委員から企業の顧問などへの就任について報告があったこと。これを受けて厚労省が約300人の全委員に、企業との契約内容を再確認し、実態が判明した。委員の多くが新薬候補や製品に関するアドバイザー契約を結んでおり、中には企業の代表取締役を務める事例もあった。

寄付金・契約金の”過少申告”
調査の結果、契約関係にあった企業に関連する審議で、「有利になるような委員の発言はなかった」(医薬食品局)としているが、委員の認識不足と、当局の確認の甘さが露呈した格好だ。
また、薬事分科会の委員のうち24人が、審議品目の関連企業からの寄付金・契約金などの受領金額を過少申告していたことも判明。これは、4月下旬の朝日新聞の報道を受け、2014年度の審議会における委員の申告内容を、厚労省が企業に確認したことで明らかになった。
薬事分科会では、会議で審議される品目の製造販売業者と、競合品を作る最大3企業それぞれについて、委員が寄付金・契約金などの受領金額を4段階で申告する仕組みを設けている。その金額の多寡に応じて、審議や議決への参加が認められている。
過少申告が判明した24人中8人は、議決に加われない「50万円超500万円以下」の受領だったが、「受領なし」または「50万円以下」と申告し、議決に参加していた。ほかの16人は「50万円以下」とすべきものを「受領なし」と申告していた。これに対する罰則はない。
実は、厚労省では2014年4月にも、子宮頸がんワクチンの副反応検討部会で、企業からの金銭受領に関して、委員の申告内容に数多くの誤りが見つかっている。にもかかわらず、こうした問題が再度起きただけに、委員の自己申告に頼った運用が、信頼性を欠くことは明らかだ。

厚生労働相が今後の対策を言明
6月9日の厚生労働委員会で、塩崎恭久厚労相は、「委員の申告内容を企業に確認する“裏取り”を導入する」と今後の対策を説明。年度の誤りを防止する観点から、申告様式を改訂し、規程の重要事項は、会議開催の都度、注意を喚起する方針も示した。
だが、寄付金などの申告内容そのものを見直すべき、との指摘も根強い。審議の議決に加われない「50万円超500万円以下」という現行規程だと、3年前に60万円受領していても、3年連続で500万円受け取っていても、扱いは同じとなる。薬害オンブズパースン会議の水口真寿美・事務局長は、「(審議会の)透明性や信頼性を高めるためにも、どの企業から、いつ、いくらもらったかを具体的に公開すべきだ」と唱える。
命にかかわる製品を扱うだけに、利益相反のずさんな管理は許されない。厚労省は自己申告の鵜呑みを改めるだけでなく、規程そのものの見直しも検討すべきだ。

匿名通報、最多の9401件 昨年度 ウェブ経由目立つ

朝日新聞デジタル 2015年6月27日

暴力団が関与する犯罪や児童虐待の情報を匿名で募る警察庁の窓口「匿名通報ダイヤル」に、昨年度9401件の通報があった。前年度より576件多く、制度開始の2007年度以降最多だった。このうち1件は子どもの保護、44件は事件の摘発につながった。警察庁が25日に発表した。
匿名通報ダイヤルは、電話とウェブサイトで情報を募っている。捜査に役立てば5千~10万円の情報料が支払われる。13年度にスマートフォン向けのサイトができてから、ウェブを使った通報が増え、昨年度は前年度に比べ688件増え、8694件だった。
全体の内訳は、薬物・銃器犯罪1715件▽少年福祉犯罪825件▽児童虐待380件▽管理売春などの人身取引犯罪268件▽偽装結婚などの犯罪インフラ196件▽暴力団が関与する犯罪123件など。児童虐待の疑いがあると判断した70件については、児童相談所に書面で通告した。
警察庁は今年度から、特殊詐欺の犯行グループのメンバーと拠点に関係する情報も対象にした。4~5月に38件の通報があった。担当幹部は「通報者は特定しない。安心して情報を寄せてもらいたい」と話す。
通報は専用サイト(http://www.tokumei24.jp別ウインドウで開きます)か電話窓口(0120・924・839、平日の午前9時半~午後6時15分)へ。(八木拓郎)