中高生への性教育が中絶率を下げる 10代に性の知識が必要な理由

ウートピ 2015年7月16日

日本の人工妊娠中絶件数は年間、約19万件(平成25年度厚生労働省「衛生行政報告例の概要」)。2014年の出生数は約100万人なので、生まれてくる子どもの約5分の1にあたる数の中絶が行われていることとなる。約19万件のうち、10代の割合は10%程度。また、性経験のある女子高校生の約8人に1人が、クラミジアなど自覚症状のないものも含め性感染症に感染しているという調査もある(平成18年国立保健医療科学院疫学部調査)。
「寝た子を起こすな」に代表されるように、性教育反対派の声もまだ大きいが、実際に医師による性教育講座を実施以降、中絶件数が大幅に減少した県もある。中高生を対象に性教育×キャリア教育プログラム「LILY」を行うNPO法人ピルコンの代表、染矢明日香さんに、10代のうちから自らの体と向き合うことの大切さについて、お話を聞いた。

中高時代の性教育は「あれ、それだけ?」
大学時代にピルコンを起ち上げ、2013年に法人化されています。起ち上げのきっかけを教えてください。
染矢明日香さん(以下、染矢):最初は大学4年のときの授業がきっかけでした。テーマを自分たちで設定して、グループワークでボランティア活動をしてみようという授業です。私は大学3年のときに中絶を経験していて、同じ授業をとった子も、中絶経験はないけれど避妊をしてくれない彼氏と付き合って悩んでいたんですね。それで「避妊」というテーマはどうだろうと思って調べてみたら、当時は中絶件数が年間30万件ぐらいあったんです。
すごく衝撃を受けました。「これちょっとヤバいよね」って。そこから、「中高生の頃に受けた性教育ってあんまり使えなかったよね」という話になって、学内で大学生向けの勉強を主催したり、フリーペーパーをつくったりするようになりました。卒業後、いったんは就職したのですが、やはり世の中に必要なことを広めたり普及させたりすることを仕事にしたいという思いがあって、NPOを起ち上げました。

中高生の頃に受けた性教育が「使えなかった」というのは?
染矢:中学でも高校でも、保健の教科書をちらっと読むぐらいだったんです。私は性教育の授業に興味があったので楽しみにして授業に挑んだのに、「あれ、それだけ?」「そんなにちゃんと教えてくれないんだな」と思いました。学校や先生によっても授業内容は違うと思うのですが、私の場合は、「自分に関係のある具体的な話」としては教えてもらえなかった印象があります。

性感染症の広がりを疑似体験する「水の感染ゲーム」
「LILY」では、どんな風に性教育プログラムを行っているのですか?
染矢:プレゼン形式の講義と、グループでのワークショップの2部構成です。講義では、「性交渉のリスクとはどういうことか」「避妊や性感染症の予防はどうしたら良いか」「心配なときはどうしたら良いか」ということを中心に、妊娠と性感染症についてを主に話します。ワークショップでは、「パートナーがコンドームを嫌がったらなんて言おうか」とか「恋愛でこれから大切にしたいことは何か」というのをグループで話し合ってもらって、その後で発表します。
あとは、性感染症の広がりを、水を使った実験で疑似体験する「水の感染ゲーム」を行うこともあります。薬品を入れた“感染したコップ”が1つだけあるのですが、最初は透明で見えないんです。2人1組になって、複数あるコップの水を半分注いで、戻して……っていうのと何回か繰り返して、どのぐらい広まっているかを見ます。
後から試薬を入れると、“感染したコップ”に入っていた水はピンクに変わるんですが、だいたい半分ぐらいのコップはピンクに変わるんですね。「私のコップは絶対大丈夫だと思う」って言っている子のコップもピンクに変わったりして。「性感染症は感染しているかどうか、検査しないとわからないものもあるよ。感染を防ぐためにはコップの水にラップをするように、人の場合はコンドームをするのが大事だよ」という話をします。

学校側からオファーを受けて行くのですか?
染矢:そうですね。公立の場合も私立の場合もあります。高校では全日制と通信制・定時制が半々ぐらいです。それぞれニーズが少し違っていて、全日制の場合、「生徒の将来のために、性の話を身近な若者の目線からしてほしい」と依頼をいただくことが多いのですが、通信・定時制では「今まさに妊娠している子がいる」「性感染症になっている子がいる」という相談があることもあります。でも、LILYを行う前に性知識に関するテストをして(※3)正答率を見てみると、全日制でも通信・定時制でも42~43%。それほど差はありません。
※3 「膣外射精で避妊はできない」「性感染症には自覚症状のないものがある」など、性知識に関する15項目に「Yes」「No」で回答するもの。

性教育講座実施後、秋田県では10代の中絶率が3分の1に

プログラムを受けてみて、生徒たちはどんな反応ですか?
染矢:「普段はなかなか聞きづらいこともわかりやすく解説してくれてためになった」という声を多く聞きます。ただ、気になるケースもあって、「コンドームを嫌がる相手にどうする?」って話をすると、ふざけ半分かもしれないけれど「殴る」っていう子もいますね。それもやっぱり自分の気持ちを表現するのに慣れていないからなのかなと。そういうときは、「暴力はいけないよね。言葉で伝えるにはどうしたらいいかな」って言います。
プログラム後のアンケートでは、「関係のないことだと思っていたけれど、将来関係あるかもしれないから気を付けようと思った」とか、「ちゃんと自分の意見をパートナーに伝えることが大事なんだっていうのがわかった」といった声がありますね。性知識の正答率は70~80%ぐらいまで上がります。

やはり知識を持っておくことは大事だと思いますが、「性教育」というとまだ反対派も多いですね。
染矢:そうですね。日本での先進的な事例として挙げられるのが秋田県のモデルケースです。秋田県では2000年代初めの頃、10代の人工妊娠中絶率が全国平均をかなり上回っていたんです。でも、2004年に医師による性教育講座が県内の高校・中学でスタートし、その後2011年には中絶率が3分の1にまで減少し、全国平均を下回るようになりました(※4)。LILYでは、この性教育講座の内容も参考にしながらプログラムを作っています。
反対派の声も徐々に少なくはなっているとは思いますが、それでもやはり「余計、性行動を促進するのではないか」「興味を持ってしまうだろう」という声はありますね。
※4 2001年度の秋田県における10代の人工妊娠中絶率は18.2%(15~19歳の女子人口1000人対)。全国平均13.0%より5ポイント以上上回っていた。2004年の性教育講座のスタート後、2011年には中絶率が5.3%にまで減少。全国平均(7.1%)を下回った。

リスクを伝えるばかりが性教育じゃないー少子化・中絶をなくすために、子どもたちにできること

ウートピ 2015年7月17日

「妊娠=中出し」ではない

思春期の子どもには、性知識を与えるリスクより、与えないリスクの方が大きいと思うのですが……
染矢明日香さん(以下、染矢):そうなんです。正しい知識を教えないと、子ども同士の噂や不確かなネットの情報など曖昧な知識を信じてしまうことになります。コンドームの付け方にしても、最後(射精する直前)だけつければいいと思っていたり、「安全日だからコンドームなしでも大丈夫」だと思っていたり。中絶した人の4分の1がコンドームを使っていて、もう4分の1が膣外射精というデータもあります。海外ではコンドームは避妊具というより、性感染症予防のためのもので、避妊はより確実な低用量ピルが一般的という国も多いです。妊娠について正しい知識を知らなかったり、知っていても「自分は大丈夫」と思っているのではないでしょうか。

有名人のできちゃった結婚が報じられるたびに、ネット上では「中出し婚」と書き込まれたりしますが、あれを見るたびに変だなと思います。膣外射精でもコンドームをつけていても妊娠することはあるのに、正しい知識のない子どもが見たら「妊娠=中出し」なんだと思ってしまうかも、と。
染矢:講義の際には、わかりやすさを求めるあまり「ピルを飲んでおけば大丈夫」「コンドームをつければ大丈夫」という言い方をしないように気を付けますね。絶対安全ということはないけれど、きちんとした知識を持ってその子自身が行動を選択できることが大事だと思っています。

女性が知らない男性の性の悩み
染矢:性知識の話に戻ると、男の子の場合、マスターベーションについてネガティブに思っている子って結構たくさんいるんですよ。「マスターベーションをし過ぎると死んじゃう」というのを信じてしまっていたり、行為自体に罪悪感を持っていたり。EDの原因となるような刺激の強いマスターベーションを行ってしまっていることもあります。
また、ポルノでは暴力的な表現のものも多いですね。それを「性行為はこういうものか」「拒否していてもポーズだから、無理やりしてしまえばいい」と思って真似してしまうと、女の子が嫌な目に遭ってしまいますね。ポルノの表現はフィクションであって、必ずしも現実の女性に当てはまるわけではないと教えないといけないですね。

男子と女子で、お互いについて知らないことも多いでしょうね。
染矢:男子の場合でよくあるのが、極端な話だと生理が1日で終わるものだと思っているとか。ピルをどういうときに飲むものかわからなかったり、「女の子が妊娠についてどのぐらい不安に思っているかを知らなかった」という声も多いですね。実際に中絶した人や10代で妊娠・出産した人のエピソードを紹介すると「そこまで考えが及んでいなかった」と。
女子からは、「男の子ってそんなに性器やマスターベーションについて悩むんだ」という声がありますね。男子は性について悩んでいてもなかなか相談できない子も多くて、「こういう場合は普通」「こういう場合は病院へ行こう」と説明すると少し安心するようです。女子はそれほど男子が悩んでいることに気付いていないことも多いかもしれません。

自分の体を知るように、異性の体や悩みを知ることも大切ですね。
染矢:相互理解は基本だと思います。恋愛をして関係が近くなると特にそうですが、恋愛をする相手ではないとしても、相手の体や気持ちを理解することや、また自分の気持ちを伝えることは人間関係の基本です。性教育はリスクばかり教えると脅しっぽくなってしまって、そうすると反発されたり、極端に消極的になってしまったりします。そうならないように恋愛や人間関係の良い側面も一緒に伝えて行くのが大事だと思っています。

学校では知識を、家庭では子どもの居場所づくりを

19万件という日本の中絶件数は国際的にみて多いのですか?
染矢:染矢:国際的にはそこまで多い数とは言えないと思います。10代の中絶件数は過去20年ほどほぼ横ばいですが、日本国内全体での傾向としては減ってきています。ただ、出生数が少なくなっている中で、出生数の5分の1の中絶件数があるというのは問題かなと思います。また、早期の性行動によるトラブルや、性知識がなかったり、性的なことをネガティブに思ってしまうことで妊娠につながらなかったり……など、問題は多角化しているのではないかと思います。

少子化の問題の1つでもあるということでしょうか?
染矢:日本の夫婦は40%以上がセックスレスと言われているそうですが、中には、性についてオープンに話し合えなかったり、性行為自体をポジティブに考えられないことに原因がある場合もあると思います。

性教育を、親から子どもにするべきという声と、学校で授業として行うべきだという声とがあると思います。
染矢:基本的に両方が必要だと思います。ただ知識についてはすべての親が今から勉強して全部を踏まえて子どもに伝えるっていうのはやはりハードルが高いなと思っています。基本的には学校で知識を伝えていきながら、親としては子どもの居場所づくりをするということが大事ではないでしょうか。
性のことに限らず子どもからの悩みや相談があったら真摯に受け止めるとか、子どもに起こっている現状を知るとか、子どもが思春期になったら性について、おかしな介入の仕方はしないとか。たとえば、思春期の子どもがエッチな本や情報に興味を持ってしまうのを、強く禁止したり拒否反応を示すより、現実とメディアで発信される情報は違うことや、そういう情報でお金儲けをしている大人の存在があると伝え、子どもの判断力を育むことにつなげてはと思います。
また、学校での性教育でも、生徒と年齢が離れていたりするとやりづらかったり、先生の負担になる部分もあるのかもしれません。そういうときに、私たちのような年齢の若いNPO団体が役に立つのかなと思います。

LGBTへの理解も

最近はLGBTへの理解も広がっています。LGBTの割合は20人に1人と言われますが、中学校や高校でLILYプログラムを行うときに、気を付けていることはありますか?
染矢:LILYではLGBTについて詳しく教えるわけではないのですが、最初に「今日はオープンに避妊の話や主に男女間の恋愛についての話をしますが、この中には同性を好きになる子や、人を好きになったりしないっていう子もいるかもしれません。それは別におかしくないことです」とか、「性感染症は同性間でもうつることがあります」という話はします。生徒さんからざわめきや笑いが起こることもありますが、「え? 別におかしいことじゃないよ?」と、あえて平然と続けます。
この活動を始めてから、性に関することってグラデーションであり、1人1人のセクシュアリティは本当に多様で、自分も自分らしくあっていいと思えるようになりました。(同性愛にしろ異性愛にしろ、性自認にしろ)誰もがいろいろな要素を少しずつ持っているのではないかと思います。だから「普通」っていうのは何か、わからないですよね。

今後、重点的に行っていきたい活動を教えてください。
染矢:LILYプログラムや講演活動について、教えられる人を増やしていきたいと思っています。自分たちが講演を受けやすい地域は関東圏が多いのですが、それをのれん分けするというか、ゆくゆくは全国展開していきたいですね。届ける場所を増やすためにプログラムをある程度マニュアル化して、児童養護施設で暮らす子どもたちなど、リスクが高くなりがちな状況にいる子どもへ向けてのサポートも行っていきたいと思っています。

中3で初めて「性器の洗い方」を知る子どもーー障害者の「性教育」はどうあるべきか?

弁護士ドットコム 2015年7月18日

障害のある人の「性」はタブー視されがちだ。障害をもつ人の性にどう向き合っていくべきか。その具体的な支援策や教育は不十分ではないか。そんな問題意識から、障害者の性や恋愛、結婚、セックスについて真正面から考えるシンポジウム「生と性のバリアフリーフォーラム2015」(主催・一般社団法人ホワイトハンズ)が7月11日、東京都内で開催された。
シンポジウムに登壇した日本福祉大学教授の木全和巳さんは、障害を持つ子どもへの性教育の問題点を指摘。「これはダメ、あれもダメ」と上から禁止するような指導方法や、そもそも性教育を行わない教育の現状について、「性について知りたい欲求があるのに『学び』から遠ざけるのは、人権侵害だ」と訴えた。

「男女が話すときはバドミントンをする距離で」
木全さんは、児童養護施設や知的障害児施設などでの勤務経験があり、障害がある人とその家族の支援のあり方を研究している。木全さんのもとには「障害者の性」に関する相談が数多く寄せられるが、先日、ある特別支援学校の養護教諭から届いたメールにショックを受けたそうだ。
「設立8年目となるその学校では、今まで、生徒たちの性教育について、職員研修をしたことが一度もないとのこと。他の子どもに抱きついたりしても、個別指導しかしていない。『小・中・高等部それぞれの段階で、どんな性教育を行えばいいのか』。メールにはそんな質問が書いてありました。それは今さら聞くことなのか、とショックでしたね」
障害者の性教育をめぐる難しさは、障害のある子どもと一口に言っても、1人1人の性別や年齢、身体の成熟度合いや、障害のタイプ、育った家庭環境などが千差万別であることだ。それぞれが抱える性の課題は大きく異なるため、個別的な指導が中心となる。そのため、学校や施設で系統的な指導が行われていないことが問題だと、木全さんは指摘する。
また、性教育の内容が「禁止型」になりがちなのも、悪い傾向だという。
「性教育を行っているところでも、これをしちゃダメ、と押さえつけるような指導をしがちです。『男女が話すときはバドミントンをする距離で』とか、先生が定規を持ってきて『40センチ離れなさい』と指導するところもあります」

模型を使って「性器の洗い方」を教える
そこで木全さんは、学校や家庭で教えきれない部分をサポートすることを目的に、年に数回、地域の子どもたちを対象にした「性教育の講座」を開催している。
たとえば、思春期まっただ中の障害のある子どもたちを対象にした講座では、自分の気持ちを他者に伝えるワークショップなどを行い、他者との関係の築き方を教える。木全さんのゼミに所属する学生と2人でお昼を食べに行く「模擬デート」を行うこともある。
そのうえで、思春期の身体の変化や、赤ちゃんが生まれる過程を模型や映像で伝え、身体と心の変化を肯定的に受け止めさせる狙いだ。「男女に分かれて、模型を使って『性器の洗い方』も教えます」。その講座を受けた中学3年生の男子生徒は、母親に「お風呂でこうやって洗うんだよ」と誇らしげに話したという。
「お母さんは『とっても嬉しかった』と言っていました。でも、それはつまり、中3になるまで誰も教えてなかったのか、ということなんです」と、木全さんは語る。
「その子自身が、人生や生活の主人公として、他者と尊敬しあいながら生きて行くうえで、生と性の学びは欠かせない。たとえどんな障害があろうと、自分の身体に起こること、異性の身体に起こることを『知りたい』という欲求がある。それなのに、学びから遠ざけるのは人権侵害。『学習する権利』を奪ってはいけないと思います」

携帯依存、親が気づかぬ危険 女子高生が借金、水商売も

朝日新聞デジタル 2015年7月18日

携帯電話に依存している子ほど日常生活に満足していない傾向があり、「見知らぬ人と会ってみたい」と思う割合も高い――。
そんな実態が警視庁の調査で明らかになった。
「うちの子は大丈夫」と保護者は思っていても、身近なところに被害の危険が潜んでいる。
東京・歌舞伎町。30代後半とみられる男性が、よろず相談に応じている「日本駆け込み寺」の事務所に女の子を連れてきた。
「17歳っていうから」
自称19歳の女の子とホテルで関係を持った後、本当の年齢を聞いたという。
18歳未満だと、児童福祉法などに抵触する恐れがある。
男性はすぐ立ち去った。
女の子は、黒髪のボブで、化粧は口紅ぐらい。ピアスもネイルもしていない「地味な子」に見えた。
「私、こんなところにいちゃダメなの。 お金を返さないと、彼にも家にも迷惑がかかる」
東北地方に住む女の子は、友達とディズニーランドで遊んだ後、歌舞伎町に初めて足を延ばした。
ホストから声をかけられ、3千円で店に入った。
旅行後、ホストからメールが届いた。
「俺は何もしないから安心だけど、悪い男が多いから気をつけて。 また気楽に連絡してね」。
刺激がなく、高校がつまらない時期。
彼氏に浮気され、成績も低下。
親からも口うるさく言われていた。
メールでホストに相談すると、「少しでも力になりたい」と毎回、返信をくれた。
時には「もう大人なんだから」と叱ってくれた。
やりとりを重ねるうち、信頼を寄せるようになった。
半年もせず、また歌舞伎町へ。
ホストクラブの料金は1万、3万、5万円と上がっていく。
「売り上げが少ない」とこぼすホストを助けたい気持ちもあった。
昼のバイト代だけでは足りず、紹介されたキャバクラで働くように。
「親に心配かけちゃダメだよ」と言われ、定期的に親に連絡し、女友達と一緒だと、安心させるうそをついた。
「すぐ返せるから」と、ホストの知人から借金を重ね、額は2カ月で300万円に。
気づいたら自分では引き返せなくなっていた。

「日本駆け込み寺」の代表・玄秀盛(げんひでもり)さん(59)が、親に電話した。
親は、娘と連絡が取れていたので事態に気づかなかったという。
玄さんによると、最近目につくのが、携帯を使ってネット上で知り合い、やりとりを重ねて仲良くなった後、実際に会って被害にあうケースだという。
「子どもを守るのは大人の責任。 親はもっと携帯の弊害を学び、子どもの世界を知ってほしい」と話している。

家庭・学校・友達 満足度低いと高依存
警視庁少年育成課は昨年、都内の小中高生計3311人(有効回答率97・4%)にアンケートを実施。
「携帯が手元にないと不安」など依存性がみられた「高依存群」と、そうではない「低依存群」に分けて集計した。
その結果、「高依存群」のほうが「家庭生活」「学校生活」「友達関係」の満足度がいずれも10?前後低かった。
ネット上で見知らぬ人とのやりとりを経て、実際に相手と会った中高生は「低依存群」の3・5%に対し、「高依存群」は15・5%。
いたずらメールや不正請求などの被害経験については「高依存群」は約40%で、「低依存群」より25?も上回った。
保護者が子どもの携帯の利用状況をどれぐらい知っているかについては、「低依存群」の約7割が「知っている」と答えたのに対し、「高依存群」は約4割にとどまった。
(貞国聖子)

疑似体験アプリも
情報セキュリティー会社「デジタルアーツ株式会社」(東京)は、被害の例や保護者がとるべき対策をまとめた「スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ」を無料で提供している。
高校生や大学生から聞き取るなどし、出会い系被害や個人情報の漏洩(ろうえい)、高額請求など11の被害例を紹介。
同社は「親が知らないと子どもも相談しにくく、対策がとりにくい」と話す。

「携帯2年縛り」解消に疑問符 料金規制撤廃で実効性乏しく

SankeiBiz 2015年7月17日

総務省の有識者会議は16日、携帯電話の契約ルールの見直しを求める報告書を「提言」としてまとめた。2年単位の契約を条件に料金を割り引く「2年縛り」について、途中で解約すると高い違約金がかかる仕組みを改善するよう要請した。しかし、携帯電話の料金規制は既に撤廃されているため、法的には強制できない。消費者や有識者の声を背景に、業界に自主的な対応を促す「申し立て」ともいえる苦肉の策だ。
報告書では、初回の2年が過ぎた後は、いつでも無料で解約できる料金プランを設けるよう提案した。2年縛り以外のプランを選びにくい実態を改め、携帯電話事業者間の乗り換えを妨げないようにするのが狙いだ。携帯電話料金は1995年に認可制から届け出制に規制が緩和され、2004年には届け出義務も撤廃された。そのため、報告書は業界に自主的な改善を促す位置付けでしかない。しかし、「改善が期待できない場合はガイドラインの策定を検討すべきだ」として、一定の拘束力を持たせるよう総務省に求めている。
利用者の約9割が選択する「2年縛り」と呼ばれるプランは、毎月の基本的な料金を安くする代わりに契約期間を2年に固定し、申し出がなければ自動更新される仕組み。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社とも無料で解約できるのは契約期間に達した直後の1カ月間に限られ、それ以外の時期だと9500円(税別)の違約金がかかる。「3日遅れただけで違約金を取られた」(50代男性)などと、利用者から不満の声が出ていた。
3社とも2年縛りのないプランも用意しているが、有識者会議は、料金が高い上に店頭での説明も不十分だとして「利用者の選択は実質的に機能していない」と指摘。3社は今春、無料解約期間を2カ月に延ばす方針を示したものの、より踏み込んだ対応が必要だと判断した。無料解約プランの設け方については、従来料金の抜本的な変更と追加の両論を示した。業界側は「前向きに検討していく」(NTTドコモ)としながらも、中間的な料金設定の実効性を疑問視する指摘もある。
寡占化による料金プランの横並びが利用者の選択肢を狭めている現状を改善するため、格安スマホで勢いづくMVNO(仮想移動体通信事業者)への需要シフトを促したい総務省だが、今回の提言で利用者の利便性が高まるかは不透明な面も残る。

心臓の弁を自己心膜で置き換え、条件付き適-先進医療技術審査部会

医療介護CBニュース 2015年7月17日

心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」がうまく閉じず、血液が逆流してしまう疾患に対し、患者自身の心臓を包んでいる膜を使って作る弁で置き換える手術を、厚生労働省の先進医療技術審査部会は17日、条件付きで先進医療Bとして了承した。従来の牛の心膜を使った生体弁は、耐久性などの面で課題があるが、体になじみやすい自己心膜弁を使うことで、長期的に逆流しにくく、より有効な治療となることが期待される。【丸山紀一朗】
この技術の名前は「自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術」で、申請者は日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院(東京都府中市)。同技術の了承の条件は、▽実施責任医師を非常勤ではなく常勤の医師に変更する▽軽度の逆流が起こる可能性などを含め、インフォームド・コンセントを徹底する▽複数の第三者でつくる委員会が1例ごとに安全性などを評価し、継続の可否を判断する-など。
有識者として同技術を事前評価した坂本徹・東京医科歯科大名誉教授は、専門である心臓血管外科の観点から、自己心膜弁の可動範囲が制限されるといった問題を指摘し、実施後に血液が逆流するリスクなども考慮する必要があるとした。しかし、メーンで評価を担当した一色高明委員(上尾中央総合病院心臓血管センター特任副院長)は、「(同技術は)かなり慎重に実験から臨床にまで練り上げられてきている」などと評価し、「条件付き適」と判断した。

Windows 10登場でパソコンが投げ売り?

Yahoo!ニュース 2015年7月17日

いよいよ7月29日にWindows 10が登場する。Windows 7搭載以降のパソコンなら原則無料でアップグレードできるのだから太っ腹だ。それだけ、OSの競争も激化しているということだろう。ちなみに、AppleのMacOSは、ずいぶん前からアップグレードは無料だったし、アンドロイドやiOSも無料だ。
すでにPreview版のWindows 10をテストしているが、スタートメニューが復活するなどWindows 7が好きだったユーザーに取っては、Windows 8よりも使いやすいだろう。とてもよいOSだと思う。
今までのアップデートとの違いは、店頭に並ぶパソコンの状況だ。これまでは、新OSの登場と同時に新しいパソコンが登場してきた。ところが、今回は、7月29日の時点では、Windows 10を搭載したパソコンは登場しないか、したとしてもごく少数だと予想される。
普通の感覚だと、店頭に並ぶパソコンが古いモデルだと感じてしまうだろう。しかも、人気が高いとは言えなかったWindows 8を搭載した製品をこれから買おうとする人がどれだけいるだろうか? マイクロソフトによると、店頭でWindows 10へのアップグレードをサポートするサービスが実施されるようだが、時間は相当に掛かるだろうし、対応機種が限られるかもしれない。
普通の感覚だと、Windows 10の発売を待って買いたくなるはずだ。そこを見越して、もしかすると、店頭在庫のパソコンが一気に値下がりするかもしれない。Windows 8が登場したときには、いつまでも人気のあった「Windows 7パソコン」が良く売れていた。だが今度は、人気のない「Windows 8パソコン」が売れ続けるとは、普通に考えてあり得ないからだ。
あえてWindows 8パソコンを買う手も
あくまでも店頭の価格次第だが、安くなっているようなら、あえてWindows 8パソコンを買うのも悪くないだろう。店頭でアップグレードしてもらうか、自分でアップグレードするのだ。ただし、この時には、Windows 10対応機種であることを確認したほうが安心だ。
特に気をつけたいのが、Windowsタブレットだ。拡張性が低く、ストレージの容量も限られるために、ちょっと使い込んだだけで容量不足でアップデートできない可能性がある。Windows 10のインストール時には、ストレージの空き容量が16GB必要なのだ。
また、この買い方で注意すべきは、工場出荷状態へ戻す作業をしたときだ。しばらく利用して調子が悪くなって、買った状態に戻したくなることがある。いわゆるリカバリや、工場出荷状態に戻す作業だ。この作業をすると、Windows 8に戻ってしまう。その上で、再び、Windows 10をインストールしなければならないだろう。
まだ、実際に製品を手に入れたわけではないので、一部は予想で書いているが、これまでのアップグレードを考慮するとこんな点がポイントになる。
A4ノートやデスクトップを買うなら、8月のお盆前に店頭をよくチェックしよう。消費の夏枯れもあって、Windows 8パソコンがたたき売りになっているなら絶好の買い時だ。あまり下がっていないなら、Windows 10モデルの登場を素直に待とう。

美容師「男性カットだけ」OK=現実と乖離、37年前の通知廃止―厚労省

時事通信 2015年7月17日

「美容師は男性にカットのみのサービスを行ってはならない」。
厚生労働省は17日、客の性別によって美容師の施術内容を一部規制した1978年の通知を廃止し、男性客にカットだけを行うことを認める新たな通知を都道府県などに出した。
廃止したのは、旧厚生省が78年に局長名で出した通知。美容師による男性客に対するカットのみのサービスや、理容師が女性にパーマを行うことを禁じていた。
しかし、美容師にカットだけを頼む男性客は多く、厚労省は「通知は現実と乖離(かいり)している」と判断。性別による規制をなくす新たな通知を17日付で出した。
厚労省の担当者は「ひげそりを理容師だけに認めることを除けば、美容師と理容師で客が受けられるサービスに差はなくなった」と話している。