浮かぶ容疑者の二面性/震撼 3歳児暴行死(上)

宮古毎日新聞 2015年7月31日

少年期は「弱い者いじめ」
父親が3歳の長女を虐待し、死なせた。暴行だけではなく、水を掛けたり、大便を食べさせたりする異常な虐待に島中が震撼した。父親の虐待におびえ続けた小さな命は救えなかったのか。容疑者の人物像や行政の対応を検証する。

発覚
26日午後、平良西里にあるアパートの一室。救急隊員が駆け付けると女児が横たわっていた。意識はなかった。側では父親の伊良部和士容疑者が必死の形相で心肺蘇生を施していたという。
「呼吸が浅い」。救急隊員は「なぜこうなったのか」と母親に問いただしたが返答はなかった。部屋の中にいたはずの女児の手足が汚れていることが気になった。「何かおかしい」。母親が語らない事態をいぶかった。
女児は病院に搬送されたが、翌朝死亡した。死因は頭部打撲による頭蓋内損傷と診断された。
その後の調べで、伊良部容疑者が女児を床に突き倒していた事実が判明した。日常的な虐待も明らかになった。宮古島署は28日、傷害致死容疑で逮捕した。取り調べに対しては、「言うことを聞かなかったため暴力を振るった」と供述した。
容疑者の同級生の一人はこの発言を非難。「そんな理由で娘を……許せない」と吐き捨てた。

問題児
伊良部容疑者は少年のころから問題児扱いされてきた。先輩には腰が低く、同級生には普通に接するが、後輩や女子への暴言はひどかった。
容疑者をよく知る同級生は「クラスの女子はみんなが嫌っていた。後輩たちは怖がっていた」と当時を振り返り、「弱い者をいじめるのはあれの性格だった。権力への憧れもあった」と話す。
中学時代、クラスの女子に対しては「お前ブスだなあ」「死ね」「お前の顔きもいよ」と真顔で蔑視したという。
「後輩にあざができているのを見て、『お前やりすぎだろう』と注意したことが数回ある」と明かす男性もいた。
そんな伊良部容疑者は中学3年時、城辺地区から平良地区の学校へ転校した。このときの様子を同級生が語る。「学校中大騒ぎだった。『やっと和士が消えてくれた』と喜ぶ人が多かった」。
しばらくして同級生に電話が入り、伊良部容疑者はこう言ってはしゃいでいたという。
「俺は強い。もう平良で番長になった」

二面性
「俺さあ、今がすごく幸せなんだ。子供のために頑張るから」
事件発生前、伊良部容疑者が幼なじみに語った言葉だ。「和士の優しい面を感じたし、やっと大人になったんだなあと安心した」と振り返る。
伊良部容疑者が娘を虐待死させる事件は、その矢先に起こった。
「あの言葉は何だったのか。あまりのショックに言葉もなかった。あそこまでひどいやり方は教育でもしつけでも何でもない。絶対に許せない」
幼少のころから伊良部容疑者を知る女性は、容疑者の二面性を垣間見たという。「あんなに優しくて愛きょうのある子が虐待をするなんて信じられなかった。普段、私たちに見せない顔があったとしか思えない」と驚きを隠さなかった。
伊良部容疑者と同じ中学に通った一つ先輩の男性も「やんちゃだったけど愛きょうはあった」と思い返すが、突き放すようにこう言った。「あんなことをするなんて、人間として終わってる」
同級生や知人に見せる表情と、自宅での異常な行為に強烈な二面性を併せ持っていた伊良部容疑者。凶行を止めることはできなかったのか。

後手に回った対応/震撼 3歳児暴行死(中)

宮古毎日新聞 2015年8月6日

求められる体制強化
女児への虐待、暴行死は防げなかったのだろうか。児童相談所や宮古島市、行政の対応に焦点を当てて検証する。

後手に回った対応
伊良部和士容疑者は今年6月、妻と4人の子供とともに沖縄市から宮古島市に移住した。「逃げるように帰ってきたと聞いている」と話すのは容疑者をよく知る友人だ。
妻や子への暴行はコザ児童相談所(児相)が4月に確認して一時保護を決めたが、一家の移住で保護には至らなかった。
コザ児相はその後も指導を続け、母親に宮古島市から離れることを促し応じない場合は職権で強制保護する方針だった。
宮古島市には7月23日か24日に出張し、容疑者らが住むアパートを訪問する予定だった。しかし別の虐待事案に対応するため、これを延期した。
この間、コザ児相から報告を受けた市や警察が容疑者のアパートに出向いているがそれぞれ一度きりだ。児相は「被害児童の母親から『立ち寄りはしないでほしい』という申し入れがあった」と警察に報告。警察はこれに従った。
コザ児相は、伊良部容疑者による異常な虐待や妻へのドメスティックバイオレンス(DV)を把握していたが、関係機関との連携が万全だったとは言い難い。むごい虐待の詳細を知っていれば市や警察の対応も変わっていたのではないか。命を救う対応が後手に回った感は否めない。

児童相談所
虐待に遭っている子供を強制的に保護できるのが児童相談所だ。県内ではコザ児相、中央児相のほか、児相八重山分室が石垣市内に開設されており、宮古島市には存在しない。
児童虐待事案の増加に伴い、市は過去に宮古分室の設置を要請してきた経緯がある。2010年には県も分室の必要性を認めているが、職員定数の制約などを理由に開設を見送り続けた。
この件について、県の担当課の子ども生活福祉部青少年・子ども家庭課は「今のところ分室の話はない」と回答。2012年8月に開所させた児童家庭支援センター「はりみず」に「相談機能を持たせている」とした。
ただ、子供の一時保護ができないため、対応にはやはり限界がある。
同課は「児童家庭支援センターが開設し形ができてきていると思っていた最中だった」と事件の発生を悔やむ。分室の必要性については「今後何が望ましいのか、外部委員を含めた検討が進められていく」と話した。
八重山分室は2007年に開設。今は職員7人で対応に当たっている。

求められる体制強化
7月15日午後、一家が住むアパートを市の職員が訪ねると、「何やっているんだ」「何を言っているんだ」と居間にいた容疑者が怒鳴った。
児童虐待に詳しい女性は「虐待があると疑われる家を訪問するのがどれだけ怖いことか」と首を振り、市の対応人員の少なさを指摘する。その上で「児相の分室があれば……」と八重山の例を挙げて必要性を訴えた。
別の行政職員は「私たちでは子供を保護することができない。沖縄本島の児童相談所が来て対応するが、緊急時はどうするのか。時間的ロスがある」と嘆いた。
市教育委員会のスクールソーシャルワーカーに寄せられた相談は6月だけで58件に及ぶ。相談内容は家庭環境や遊び・非行が多いが、虐待、あるいは虐待が疑われる相談も5件あった。担当課長は「いつ、どこでも起こりうる問題だ」と危機感を募らせている。
2010年1月、児相分室の設置要請に関連して当時の市の職員はこう訴えている。
「事件が起きてからでは遅いんだ」

身近な子供に関心を/震撼 3歳児暴行死(下)

宮古毎日新聞 2015年8月6日

地域で見守る環境大事
3歳の娘に暴行を加え死亡させた事件。関係機関の連携不足が指摘されているが今後、専門家による検証委員会が、対応が適切だったかを調査することになる。相談員や元家庭児童支援員は、行政だけの取り組みでは弱いと指摘する。「身近な子供に関心を示す、地域の養育力を社会全体で引き上げることが必要」と話す。

虐待通報は近所が多い
市児童家庭課が対応した2014年度の児童虐待件数は38件で、過去7年間で最多となった。
対応した38件のうち、子供が泣き止まないなど近所からの通報(13件)と、学校からの連絡(9件)が全体の58%を占める。
いかに周囲が目を配り、危機を予測しその防止と回避につなげるかがカギを握っている。
元家庭児童支援員の男性は、地域の人はもとより、祖父母や親戚による子育ての支援が昔と比べて弱くなっていることを指摘する。「事件が起こってから、急に対策を取ろうとしても遅い。普段からのコミュニケーションが重要」と言う。

DV、年々増加傾向に
今回の事件は、妻が容疑者からドメスティック・バイオレンス(DV、夫婦間などの暴力)の被害を日常的に受けていたことも明らかになった。死亡した子供が身体的虐待に加えて、心理的虐待を受けていたことも浮き彫りになった。
元男性教諭は以前から、「宮古では家庭内の問題を表に出すのは恥とする意識の傾向がある」と指摘していた。このため、家庭問題を周囲に知られたくないという気持ちが強く働く可能性も否定できないと言う。
宮古島市における配偶者からの暴力による相談件数(14年度)は延べ379件で、年々増加傾向にある。市は今後、相談件数に応じた相談員の増員を検討する方針だ。
元家庭児童支援員は「行政もあらゆる面でてこ入れしているが、大きな事件が発生している現状を見ると、取り組みは弱いと言わざるを得ない。DVや児童虐待は子供の成長に大きくかかわる重大な問題」と述べ、行政だけでなく普段からの周囲の見守る目が大切だと訴える。

支援施設の周知必要
児童家庭支援センター「はりみず」は開設3年を迎えた。
相談員2人と心理療法対応職員1人を配置し、子供に関するさまざまな相談を受けている。開所当時は、年間延べ1000件を超える相談があり、口コミなどを通して子育て支援の窓口として認知されるようになった。
女性相談員は「家庭の中に入っていくのは難しいが、相談を受け訪問回数を重ねるうちに心を開いて話をする人もいる」と話す。「ただ、そういった人も相談や助言指導などを実施する窓口を知って行動する人。中にはどこに、誰に相談して良いのか分からない人もいる」と述べ、施設などの所在地や役割などを周知する必要性を強調した。
子育ては、周囲の協力があってこそ成り立つもの。女性相談員は「昔は地域の中で子供を見守る環境ができていた。現代はそれが希薄になっている。もっと身近な子供へ関心を持つことが必要」と話した。

<不登校>震災後に増す深刻さ

河北新報 2015年08月07日

◎県子ども総合センター 本間博彰所長
県内では中学生の不登校割合が全国に比べ高く、東日本大震災後はさらに深刻さを増している。被災地で子どもが学校に行かなくなる要因や講じるべき対策について、県子ども総合センターの本間博彰所長に聞いた。(聞き手は報道部・相沢みづき)
-震災は子どもたちにどう影響しているのか。
「復興の遅れから先を見通せない現状がある。大人の不安や喪失感は子どもに伝わるものだ。中学生になると将来について考える機会が増え、それだけ不安も強く表れるようになる」
「もう一つは心の傷。子どもたちの周囲は震災を思い出させ、心の傷を刺激する風景や人間関係であふれている。自分を守るために刺激を避けようとし、学校に行かなくなってしまう」
-中1から不登校になる生徒が半数を占めるという県教委のデータがある。不登校の理由に「無気力」を挙げる生徒が多い。
「中1より中2、中3で学校に行かなくなる生徒が多い地域もある。環境の大きな変化による『中1ギャップ』は当たり前で、そればかりが不登校の要因とは言えない。思春期はエネルギーをたくさん使う。無気力はエネルギー不足ということ。周りの支えがあってエネルギーはたまる」
-県内では震災前から不登校が多い。教育現場や行政に求められる対策は。
「宮城で不登校が多い理由ははっきりしないが、その割合は学校が役割を果たしているかどうかのバロメーターとも言える。被災が甚大で、一時的に教師が多く配置されたような学校では不登校の子どもはあまり見られない」
「教師は子どもたちの心の傷に寄り添い、一人一人が抱える問題に個々に向き合っていくしかない。行政は、教師や学校の取り組みを後押しすべきだ」

家族介護「先の見通し立たず」4人に1人-第一生命経済研究所が調査

医療介護CBニュース 2015年8月6日

家族を介護した人の一番の悩みは、「終わり」が見えないこと―。家族を介護した経験のある人は、4人に1人が「先の見通しが立たないこと」に苦しんでいることが、第一生命経済研究所の調査で分かった。【ただ正芳】
第一生命経済研究所では、今年1月、全国の18歳から69歳の男女に対し、介護や健康、就労、家族、消費など、生活全般に関わるテーマについて、インターネット調査を実施。7256人から得られた有効回答の内容を分析し、その結果を、「ライフデザイン白書 2015」として発表した。
このうち、全回答者の21.5%を占める「家族を介護したことがある人」に対し、介護の際に困ったことを複数回答で尋ねた質問では、「先の見通しが立たなかった(立たない)」と答えた人が最も多く、26.1%に達した。次いで多かったのは「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった(いない)」(17.1%)や「本人が望む介護の方法がわからなかった(わからない)」(17.3%)で、終わりの見えない介護に、一人で向き合わざるを得ない介護者が少なくない現状が垣間見える。
また、「働き方(勤務時間・形態、仕事の内容など)を変えざるを得なかった」(14.7%)や「収入が減った」(12.8%)、「仕事を辞めざるを得なかった」(9.3%)など、介護が仕事に影響を及ぼしたという回答も一定数に達した。
調査結果について、第一生命経済研究所の水野映子上席主任研究員は、「働き盛りの世代を中心とする人々の現在や将来の生活が、介護負担によって大きく揺らがざるを得ないことが改めて浮き彫りになった」と指摘。特に、厚生労働省が「育児・介護休業法」の改正に向けて議論を進めている点について、「家族に介護が必要になっても、自身の仕事や家庭などの生活基盤を維持できる制度になることを期待したい」としている。

なぜ日本の紙おむつは、世界のママに絶賛されるのか【ムーニー工場見学レポート】

女子SPA! 2015年8月5日

子どもが産まれたその瞬間から、最低でも2~3年は生活を共にすることとなる“紙おむつ”。2歳の息子を持つ筆者も、当然のごとく毎日お世話になっております。
「赤ちゃんの肌にやさしい」「モレない」「履かせやすい」などなど、世の母親たちはおむつにさまざまな条件を求めるもの。でも、そのためにメーカーがどのように開発・製造に取り組んでいるかはあまり知らないですよね。

ママブロガーさんたちと四国の工場へ!
そこでこのたび、「ムーニー探検隊」として、ユニ・チャームのおむつ「ムーニー」の工場見学を行う4名の現役ママブロガーさんたちに同行!
日本の紙おむつの優秀さは世界で有名ですが、その技術をとことん探ってきました。
ちなみに『ムーニー エアフィット』と『ムーニーマン エアフィット』は、“世界初の立体形状”を実現。昨年、子育て中のママ1万4000人の投票で最多得票を獲得し、“第6回マザーズセレクション大賞”を授賞しました。
※http://www.unicharm.co.jp/moony/index.html
かくいう私も、やわらかく履かせやすい点が気に入って、もっぱら『ムーニーマン エアフィット』を愛用中。どのようなこだわりが隠されているのか、期待が高まります。

アジアでシェアNo.1
向かった先は四国の香川県観音寺市。ムーニーを製造販売するユニ・チャームでは、ベビー用紙おむつのほか生理用品や大人用おむつなども手掛けていますが、この地の気候や地形が良質の紙製品づくりに適しているのだとか。
ママブロガーさんたちは創業者・高原慶一朗氏の銅像の前で記念撮影。まるで遠足のように楽しそうです。
広い敷地内には開発センターと工場が隣接しており、まずは開発センター内を見学。
エントランスを入ると自社商品がズラリと展示されていて、奥には海外向けに製造販売されている商品の展示も。実はユニ・チャームのおむつは世界80カ国以上で販売されていて、なかでもアジア市場においてはシェアナンバー1なのです。
インドネシアやインドなどではおむつは高級品のため、1つずつ袋に入ったバラ売り商品が人気だそう。パッケージがどれもかわいいです。
案内・説明をしてくれたのは開発センターの阿部さん。
開発センター内は企業秘密だらけで写真には収められませんでしたが、何体ものドールを使い試作品の機能を測定する実験や、赤ちゃんに実際に試作品を装着してもらいおむつ内の環境などをチェックする観察ヒアリングなどが行われていました。
この観察ヒアリングは、保育士の資格を持った開発者が立ち会い、毎日数組の親子に来てもらって行われているそう。こうした積み重ねが高品質や安全性に繋がるのだなと、ママ目線でとても頼もしく感じました。

“赤ちゃん想い”のこだわりがスゴイ
続いては工場を見学。
案内・説明をしてくれたのはユニ・チャーム プロダクツの宇田さん。
工場内は白衣と帽子を着用。肌に触れる物をつくっているだけに、衛生管理は徹底しています。
こちらも写真はNGでしたが、一連の製造工程を見学させてもらいました。すべてが機械頼みではなく、人の手を使っての検品もしっかり行われていて、抜け目のない品質管理に感心しきりでありました。
工場内見学のあとは、開発者の方々からお話を聞くセミナー。
レクチャーしてくれたのは開発本部の坂口さんと三宅さん。『ムーニー エアフィット』の開発に携わったそうです。
話によると、実はおむつの“モレ”の原因は約8割が“すきまモレ”。『ムーニー エアフィット』は、このすきまモレを効果的に防ぐ構造になっているのです。
一般にテープタイプのおむつに多いのは背中からのモレで、なぜならテープタイプを使う月齢の低い赤ちゃんのまーるいカラダにおむつをフィットさせるのは難しいから。そこで開発者たちは下着メーカーにリサーチを重ね、下着のような世界初の立体形状のおむつを完成させたのです。
吸収体をカットしたことで、赤ちゃんの骨格にあった立体形状が実現したそうです。
さらに、“肌をしめつけずにモレを防ぐ”ために、伸縮してフィットするので苦しくない「のびーるFitギャザー」をウエスト部分に採用。これ、「モレないようにテープをキツめに留めたいけど、お腹が苦しそう……」という、多くの母親が陥るジレンマを見事に解消してくれています。ありがたや……。
足まわり部分のギャザーには、ゴムではなく、不織布自体が伸縮してしめつけを軽減する「ソフトレッチ」を採用。この「ムーニー エアフィット」のギャザーと従来品のギャザーを45分間腕につけた実験結果を見せてもらったのですが、下の画像のとおり。
他社製品のギャザーは30hPa前後の圧力がかかっているものが多いそうですが、ムーニーはわずか12hPa程度。アパレル設計の現場では圧力が30hPaを越えると「きつい」「動きにくい」などの違和感が発生することが常識となっているそうなので、ムーニーがいかに赤ちゃんに負担をかけないつくりになっているかがわかります。
また、パンツタイプのおむつは足まわりからのモレが多いのですが、この問題はフィットを徹底的に科学した、どんな姿勢をとってもやさしくフィットする「ふんわりぴたりギャザー」の開発によって解消。
パンツタイプの『ムーニーマン エアフィット』は我が家でもいま使っていますが、確かに座っても走ってもひどい寝相で寝ても、息子の場合はモレたことはありません。
そのほか、赤ちゃんの脳の血流を調べておむつの素材の快適さを調査するなど、ここには書ききれない様々な研究がなされていて、日本企業の底力を見た思いでした。
めったに聞けない開発秘話に、ママブロガーさんたちは興味しんしん。母親とは常に子どもの安心・安全を守りたいと考えている生き物ですから、当然ですよね。
「普段は見る機会がない場所を見て、信頼できる製品だとを実感できました」
「これまではプーさんの絵柄でムーニーを選んでましたけど、品質重視でもやっぱりムーニーですね!」
「赤ちゃんの快適さを追求する熱意に感動しました」
「おむつは使い捨てのモノですけど、これからはもっと大事に使いたいです」
セミナー終了後、本当に感銘を受けた様子でこのように語ってくれたママブロガーさんたち。私も同感です。
我が家はあと1年くらいはおむつとの付き合いが続きそうなので、数々の開発秘話を思い出しながらせっせとおむつ替えに勤しみたいと思います!

自分で自分の食い扶持を稼ぐロボット「MEEBO」

MONOist 2015年8月6日

ユニファが提供を開始した園児見守りロボット「MEEBO」(みーぼ)は、保育園あるいは幼稚園などで、日中の様子を記録する写真撮影機能、園児の検温や地震速報の通知、絵本の読み聞かせなどを行うサービスロボットだ。
同社では2018年末までに1万台の販売(月額9800円のリース販売)を目指すが、その自信の源は“自分で自分のコストをまかなう”仕掛けだ。
同社は保育園や幼稚園、習い事教室で撮影された写真をネット経由で確認、注文できるサービス「るくみー」を提供しており、このるくみーの撮影端末としての機能をMEEBOに持たせるのが“仕掛け”のキモ。MEEBOの利用料金は月額9800円だが、MEEBOの撮影した写真を保護者に販売し、その収益の一部を設置する保育園/幼稚園へ還元する仕組みを用意する。
園児数や設定単価にもよるが、仮に100人の園児が在席する保育園にMEEBOを設置、写真単価を1枚100円として保護者が1カ月に10枚買えばユニファの売り上げは10万円となり、2割のマージンを設置保育園に払う契約であれば、保育園には2万円が売り上げとして計上され、MEEBOのレンタル料(月額9800円)をペイできる。
保育園などの運営側からすれば、MEEBOの導入は保育士が行っていた園内の撮影、印刷、選別、保護者への販売という業務を自動化することになり、作業負荷の軽減につながる。また、MEEBOにはサーモグラフィを用いた検温機能やニュース(地震速報や不審者情報)配信機能、絵本の読み聞かせなどの機能が追加される予定となっており、「保育士不足の一助になれば」とユニファ代表取締役社長の土岐泰之氏は期待を寄せる。
MEEBOはヴイストンのコミュニケーションロボット「Sota」をベースとしており、小さな子どもが多くいる環境で使われることに配慮し、低トルクモータの採用やトルクリミッタの搭載、誤飲可能性の排除などが行われている他、リース提供とすることで不意の故障などについても交換によって対応する予定だ。
同社では初回ロット分について3カ月の無料レンタルを実施する他(2015年9月末まで)、保育園/幼稚園などを対象としたデモ(体験会)も実施、園における労働力不足の解消と、写真を軸にした家庭内コミュニケーションの充実を図りたいとしてる。

育ての親か?生殖上の親か? 夫婦以外の第三者が関わる「生殖医療」で起こっている家族問題とは

Mocosuku Woman 2015年8月6日

今月5日、自民党が卵子提供など「第三者がかかわる不妊治療」で生まれた子どもの親子関係を規定する民法の特例法案をまとめました。この法案は「卵子提供や代理出産では産んだ女性を母親」、「精子提供では提供に同意した夫を父親」と定めるもの。現在の民法には、こうした不妊治療によって生まれた子供については親子関係の規定がないことから、自民党では今国会への法案の提出を目指しているとのことです。

不妊治療を想定していない民法
現時点では、上記の法案が今国会で成立するかどうかはまだ不透明な状況ですが、卵子提供や代理出産といった不妊治療によって生まれた子供の親子関係については、以前から法整備を求める声があがっていました。その大きな理由に、親子関係を規定する際の基準とされている現行の民法が100年以上前の明治時代につくられたものであり、不妊治療を想定していないという点があげられます。
しかし現在は、第三者の精子提供による人工授精で、すでに国内で1万人以上の子供が生まれているという状況であり、こうした現実と民法とのギャップが問題となっているのです。

届かなかった向井亜紀さんの願い
2004年、タレントの向井亜紀さんが、代理出産によって誕生した双子を「実子」とした出生届が不受理という処分になったことから、東京家裁に処分取り消しを求める訴えを起こしました。
向井さんのケースは、向井さん自身の卵子と、夫である高田延彦さんの精子で体外受精をおこない、それを海外で代理母の胎内に移植して出産するというものでしたが、裁判は最高裁にまで持ち越された結果、向井さん側の敗訴が確定しています。
この「産んだ女性が母親」という民法の考え方は、1962年の最高裁の判例や、2003年の法務省の法制審議会による試案にも見ることができますが、この判断基準は今回の法案にも引き継がれる形となっています。

国内での代理出産をめぐる複雑な状況
また、上記のような不妊治療に伴う法整備が求められている背景には、代理出産をめぐる国内の複雑な状況があります。現在、日本には日本産科婦人科学会による「代理出産を認めない」という指針があり、2003年には厚生労働省の審議会も代理出産を「禁止すべき」という報告をしています。
しかし、現在も代理出産を規制する法律については未整備であることから、国内では代理出産はあくまで「自主規制」されているという状態です。そのため、向井さんの例のように、代理出産が認められている海外で不妊治療をおこなうケースも少なくありません。
代理出産など第三者が関わる不妊治療については、妊娠・出産にまつわるトラブルやリスクのほか、家族関係の複雑化にともなう「子供の福祉」などの問題が指摘されている状況もあります。
こうした不妊治療で生まれた子供の親子関係については、感情面にも関わる問題のためケースは多種多様であり、いまのところは当事者の気持ちに寄り添った判例が出ることを願うしかないのかもしれません。
しかし、法律が整わない状況下で不妊治療を受け、決断していかねばならない人々が多数存在する現在において、当事者たちを守るガイドラインの制定は急務といえるでしょう。
井澤佑治(いざわ・ゆうじ) 舞踏家/ダンサー。通販メーカーのコピーライターとして、健康食品などの広告を数多く手がけたのちに、ダンサーとして独立。国内外で公演やワークショップ活動を展開しつつ、身体操作や食事療法などさまざまな心身の健康法を探究する。現在はダンスを切り口に、高齢者への体操指導、障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などにも携わっている。