鎌倉市教委、図書館ツイート削除を検討 理由は「不登校を助長する」からではなかった

J-CASTニュース 8月28日

「学校が死ぬほどつらい子は図書館へ」と神奈川県の鎌倉市立図書館がツイートしたことに対し、市教委が一時削除を検討していたことが分かった。市教委内部からは、ある言葉に引っかかるという意見が出ていたというのだ。
中央図書館の女性司書による2015年8月26日のツイートは、10万件近くもリツイートされる大反響になっている。多くは、感動したといった好意的な声だ。

「死ぬ」の言葉が自殺を誘発すると議論に
一方で、「学校を休んで図書館へいらっしゃい」という表現は、鎌倉市教委の内部で問題になったと一部で報じられた。不登校を助長することにもなって不適切だとの声が出て、ツイートの削除も一時検討されたというものだった。
ところが、市教委の組織内にある図書館の館長にJ-CASTニュースが取材すると、不登校助長というのは誤解で、まったく別の理由から不適切との意見が出たというのだ。
それは、ツイートの中に、「死ぬほどつらい」「死んじゃおうと思ったら」という言葉があることだ。
26日のうちに、市教委の各部署から10人ほどが集まってツイートのことを話し合うと、「これらの言葉は、死を連想させる」としてツイートを削除すべきとの意見が数人から出た。つまり、ツイートを読んだ子供たちの自殺を誘発してしまうのではないか、という懸念だ。それは、新聞社などが特集を組むと自殺を誘発しないかと扱いに慎重になるのと同じことだという。
その後の話し合いの経緯について、館長はこう明かす。
「私も、2学期を迎えるまで子供たちの精神状態は不安定ですので、死を連想させてよいものなのかと疑問に感じ、削除すべきではと一時思っていました。しかし、ツイートの内容としては、『自殺しないでほしい』『図書館は居場所の1つですよ』という意味もありますので、話し合った結果、削除しないでいこうということになったのです」

不登校を助長するとの批判もあるが…
ツイートは不登校を助長するのではないかという意見については、鎌倉市教委内部の話し合いでは出なかったと、図書館長は言う。
ただ、図書館に寄せられている数十件の意見には、「図書館に来た子へのフォローは考えているのか」という批判も寄せられた。つまり、子供をほったらかしにすれば、不登校助長につながるという指摘だ。
公益社団法人「日本図書館協会」による「図書館の自由に関する宣言」(1979年改訂)では、第3条に「図書館は利用者の秘密を守る」とうたわれている。鎌倉市図書館でも、この精神を尊んでおり、小中学生が平日昼間に図書館にいても、声を掛けたり、学校に通報したりはしないという。
司書のツイートで、「一日いても誰も何も言わないよ」とあるのはそのためだ。
とはいえ、不登校助長につながるという批判もあることで、館長は、こう悩みを打ち明ける。
「利用者の秘密を守るのは大原則です。私どもは、専門的な機関でもありませんので、子供たちのフォローは十分にできません。しかし、子供たちを気にしていないわけではなく、見守ってはいるのです。これから先は、どうしたらよいのか、対応を考えないといけないかもしれないですね」
もっとも、自殺を選ぶぐらいなら学校に行くべきではないし、子供たちにとっては、学校だけがすべてでもない。本の世界に浸ることで何かに目覚め、そこから新しい人生が開ける可能性だってある。これを機会に、図書館のあり方などが議論になることもありそうだ。

男子生徒に下半身隠さず着替えさせる 中学教諭を処分

朝日新聞デジタル 2015年8月28日

山口県教委は28日、生徒に対するセクハラ行為があったとして同県防府市の公立中学校の50代の男性教諭を同日付で停職1カ月の処分にしたと発表した。
県教委によると、教諭は2013年7~8月に計約20回、運動部の練習後に水泳をさせた際と、同年7月の部の遠征時に川遊びをさせた際、約30人の男子生徒に下半身を隠さずに水着に着替えるよう指示した。14年3月には、合宿での入浴の際、体調を崩した生徒を全裸のまま脱衣所の椅子に座らせていたという。
同月、校内の相談箱に「不快な思いをしている」との投書があった。教諭が翌4月上旬から体調を崩して休職したため、回復を待って処分したという。
古西克己・教職員課長は記者会見で、「多感な中学生に羞恥(しゅうち)心や嫌悪感を抱かせた。生徒の心に傷を負わせ、教育公務員としての職の信用を著しく失墜させた」と述べ、謝罪した。(寺尾佳恵)

保育室の壁面装飾は必要? 保育士100人のホンネ

オーヴォ 2015年8月28日

何でも外側からでは推し測れないことがあるから、軽々しく物事の良しあしは口にできない。例えば、季節のテーマに沿って作られた保育園の壁面装飾にも、現場では賛否両論がある。
保育士は残業や持ち帰り業務が多く、壁面装飾の作成も業務負担を大きくする要因。一方でいわゆる「気になる子ども」と呼ばれる、保育になんらかの課題を持った子どもたちにとって、壁面装飾が必ずしも良い影響を与えるものでないとも言われているという。そこで、保育士や幼稚園教諭など現場の100人に、壁面装飾の必要性についてアンケート調査したところ(ウェルクス・東京)、「必要」と回答したのは半分以下の48%。「不要」が32%、「どちらとも言えない」が20%だった。
「子どもたちにとって季節感を感じられる空間づくりが必要だから」、「保育室が明るくなるから」「さまざまな形や色で子どもたちの刺激になるから」が、必要と考える人の理由。一方で不要と回答した人は、「壁面制作の時間と労力を、他の保育の取り組みに充てた方が良いと思うから」「子どもの成長に直結しているように思えないから」「発達障害など集中しづらい子どもの妨げになるから」という理由もあった。
ADHD(注意欠陥多動性障害)における、集中力が続かないという特徴は、刺激の少ない環境づくりをすることで、改善も可能だといい、回答の中には、保育室の入り口だけにするなど、場所やスペースを決めれば発達障害の子どもの負担は減ると思う、といったアイデアもあった。

時給200円も、障害者に「経済的虐待」

読売新聞 2015年8月28日

厚生労働省は27日、昨年度1年間に職場で虐待を受けた障害者が501件483人だったと発表した。
低い賃金で働かせるなどの「経済的虐待」が約8割の419件と最多だった。
調査は障害者虐待防止法に基づき毎年実施。2014年度、家族や自治体から通報されたのは、985事業所で前年度と比べ27・1%増えた。これまで808事業所に関する調査を終えたが、各地の労働局が虐待と認定したのは299事業所の501件で、国が定めた最低賃金を下回る給与しか支払わないなどの経済的虐待が最も多く、約8割が知的障害者だった。時給わずか約200円で働かされていた人もいるという。
このほか、差別的言動などの心理的虐待が39件、暴行や身体拘束を含む身体的虐待は23件だった。
身体障害者が「障害を言い訳に仕事をさぼっている」と言われたり、精神障害者がセクハラを受けたりしたケースがあり、労働局が各事業所を指導したという。

「職場で虐待」障害者483人

産経新聞 2015年8月28日

職場で雇い主や上司から虐待を受けたことが平成26年度中に判明した障害者が483人に上り、前年度(393人)と比べ約23%増加したことが27日、厚生労働省のまとめで分かった。虐待があった事業所数も299(同253)と増加。集計結果の公表は障害者虐待防止法に基づき、今回で3回目(1回目は24年10月~25年3月の半年間)だが、同省では「研修などで労働局職員の障害者虐待に対する理解が深まり、職員が事業所を訪問して発見することが多くなった」と分析している。
虐待を受けた483人の内訳は知的障害が362人、身体障害が67人、精神障害が52人、発達障害が11人(一部は障害が重複)。
虐待の種別では賃金未払いや、最低賃金を下回る金額しか支払わないといった経済的虐待が419人で最多。暴言や差別的発言などの心理的虐待が39人、身体的虐待が23人、性的虐待が8人だった。

「ピンハネ構造」に手をつけない「実習生受け入れ法案」 【歪んだ外国人就労(1)】

ニュースソクラ 2015年8月28日

ゆがんだ外国人就労(上)
外国人労働者の受け入れ問題は、将来の国のかたちを左右する大きなテーマだ。重要度では、現在話題の「安保法制」にも匹敵する。だが、議論は全く深まらない。新聞やテレビが「報道機関」としての役割を果たしていないからである。
今国会で外国人実習生の受け入れ拡充を含む法案が可決する。実習生の数は現在、約17万人に上るが「実習」など名ばかりであることは衆知のとおりだ。実習制度は法律が禁じる外国人の単純労働者受け入れの「裏口」に過ぎない。その意味で実習生は、政府のビジョンの欠如を象徴する存在だと言える。
では、今回の法案でビジョンは示されたのか。答えは「否」だ。制度の基本は全く変わらず、肝心の人手不足解消にも効果は期待できない。その裏で、新たな利権を手にした集団がある。今回の法案を作成した厚生労働省と法務省だ。
新聞やテレビでは最近、実習生に対する「人権侵害」を取り上げた報道が目立つ。実習生を受け入れた企業などで、「未払い残業」や「パスポートの取り上げ」などが起きているというのだ。
一部の受け入れ企業に問題があることは事実だ。しかし、問題は実習制度が始まった1990年代からずっと続いていて、決して新しい「ニュース」ではない。にもかかわらず、新聞などは「人権侵害」を犯した企業を「今」、声高に批判する。理由は簡単だ。マスコミが官僚の操り人形になっているからである。
厚労省は最近、「実習生の受け入れ企業の8割で法令違反がある」といったデータを発表した。一方で法務省は「職場から失踪する実習生が増えている」という情報を流す。両省の発表だけ見れば、まるで悪質な企業で実習生が人権を侵害され、職場から逃げ出しているような印象を受ける。マスコミにとっても、「ブラック企業の餌食になる外国人」という話は、読者や視聴者に訴えやすい。
だが、「法令違反」には安全・衛生関係の問題を始め「人権侵害」とは無関係のものが、かなりの割合で含まれる。実習生の受け入れ先は中小企業や零細な農家などが大半だ。法律を厳密に適用すれば、日本人だけを雇用している職場でも「8割」に近い割合で法令違反は見つかる。つまり、何も実習生の受け入れ企業が特別に悪質なわけではないのだ。
そんなことに厚労省は触れず、新聞やテレビも報じない。「人権侵害」の被害者となった少数の実習生の話だけが大きく報道され、「受け入れ企業はとんでもない」というイメージが世の中に広まる。その結果、今回の法案で何が起きるのか。
法案には、実習生への「人権侵害」を取り締まる「外国人技能実習機構」の設立が盛り込まれる。同機構は厚労省と法務省の天下り先となる。百歩譲ってこの組織が「人権侵害」取り締まりに有効ならまだしも、それも望めない。すでに同様の目的のため公益財団法人「国際研修協力機構」(JITCO)があるが、全く役割を果たせていないのだ。JITCOもまた厚労省や法務省などの天下り先だが、逆に「人権侵害」の片棒を担いでしまっている。
法務省の言うように、職場から失踪し、不法就労に走る実習生は急増中だ。不法就労した方が稼げるからである。
実習生の賃金は「日本人と同等以上」が建前だが、実際には月10万円程度にしかならない。受け入れ企業は日本人を雇用するのと大差ない費用を負担している。だが、仲介業者が「手数料」を月々ピンハネするため、実習生の手取りが安くなる。このピンハネ構造のせいで、不法就労が増えてしまう。その制度をつくり、しかも実習生の仲介業者や受け入れ企業から会費を吸い上げ、自らもピンハネの一部を担っているのが官僚機関なのである。新たに天下り機関がつくられれば、さらにピンハネも増えることになる。
そうした実習制度が抱える根本的な問題に対し、新聞やテレビは全く切り込もうとしない。報道機関は自らで調査し、報じることが役割のはずだ。しかし実際には官僚のタレ流す情報を真に受け、的外れな報道で彼らの利権拡大に手を貸している。
ピンハネがなくなれば、実習生の受け取る賃金も増える。失踪も減り、日本での就労希望者も増えるだろう。だが、現実は逆の方向に進もうとしている。新聞・テレビの罪は大きい。