高校生は友達もデジタル処理–カジュアル化する「ブロック」

CNET Japan 2015年9月5日

皆さんは、SNSでブロック機能を利用したことはあるだろうか。通常の人間関係では段々と親しくなったり、自然消滅したりするものだ。ところがSNSでは、友人関係は友達かそうではないかの二択でしかない。SNSの人間関係は意図的につながったり切ったりするしかないので、切られたり拒絶されたりした時の心のダメージは大きくなる。
R25とファストアスクによる調査(2014年10月)によると、LINEのブロック機能を利用したことがある割合は64.4%だった。ブロック経験がある人たちを性別で見ていくと、男性は55.9%、女性は73%にも上った。
ブロックした相手との間柄については、
1位「身に覚えのない人」41.3%
2位「学生時代の友人」28.0%
3位「合コンなどのイベントで知り合った人」25.9%
4位「元彼氏/元彼女」20.3%
5位「学生時代の先輩」15.4%
となった。つまり、1位以外はすべて直接の知り合いや、少なくとも実際に会ったことがある人たちが並んでいるのだ。
ブロックした理由については、あまり仲良くない人や投稿を見たくない人、メッセージがしつこいなどの「付き合いたくない系」、プライベートにまで仕事を持ち込みたくない「仕事とプライベートは分けたい系」、別れた後も連絡されて迷惑などの「男女関係系」などとなった。
SNSが登場した当初は、ブロックは「もう付き合いたくない」「友達ではない」という意味を持つ重みがある行為だった。ところが、特に10代においては、ブロックがカジュアル化しているようだ。10代のブロック事情とブロックにいたる心理をみていこう。

高校生の間で流行中の「ブロック大会」
「ブロック大会」をご存じだろうか。主にLINEで、「ブロックされたくない人はスタンプよろしく」「LINEが重くなってきたのでブロック大会します」という形で実施されることが多い。実際は、友達数はLINEの重さとは関係がないのだが、主に友達整理の口実として使われている。
「友達が多くなってわけが分からなくなってきたから、時々ブロック大会をしている」と、高校1年女子A羅は言う。A羅はTwitterで絡んだだけの人とも気軽にLINEでつながっている。つながりが軽いからこそ、切る行為も軽く行われる。SNSにおける友達関係が、大人よりもとても軽いのだ。
「ブロック大会をするとみんな私から切られたくないんだなと思うし、たくさんスタンプがもらえて嬉しい」というA羅。しかし同時に、「かまちょ」「人気自慢」と言われたこともあるという。「かまちょ」とは「かまってちょうだい」からきた言葉で、「(SNSで)かまってほしい」「遊んでほしい」意味で使われている。そこから、「かまってちゃん」という意味でも使われることがある。
「LINEは絡みがある人だけにしたい」というが、そもそもブロック大会は「自分と付き合いたい人」をふるいにかける行為だ。あくまで自分は選ぶ側となる上から目線の行為なのだ。自分と付き合いたい人たちが可視化でき、気分がいいからこそ流行したのだろう。

友達が「数」になっている
実は、mixi時代でも同様の行動は見られた。「友達が増えすぎたので整理したいと思います。コメントをくれた人はマイミクを切りません」という旨の投稿だ。ブロックと並んで、友達を切られる行為は相手にダメージを与える。切られたくない人たちはこぞってコメントを書き込んでいた。
自分では友達関係を気軽に切りながら、友達を切られることには非常にナーバスになっている人が多かった。今も昔も、自分をSNSから友達削除した相手を突き止めるツールは人気だ。犯人探しに躍起になり、相手を見つけたらものすごい勢いで糾弾している人を見かけたこともある。
どちらも、自分本位で勝手な行動だ。SNSでの友達関係は軽くなっているが、同時に人間関係で優位に立ちたい、他人から軽く扱われたくないという心理がうかがえる。

数はほしいがうざくなったら「切る」
大学1年女子B葉いわく、「(SNSでの友達が)100人はいないと友達がいないと思われるから、あまり親しくない友達も追加した」ことがあるという。高校2年男子C太は、「もっと(SNSの友達が)ほしい。フォロワーが多いと自慢できるしかっこいいから」と言う。C太は、リツイートが増えることでフォロワーが増えることを期待してパクツイをしたこともあるし、相互フォローを募集したこともある。
ところが、友達を積極的に増やしておきながら、同時に積極的に「切る」。「LINEとかTwitterの友達はうざくなったら切る」とB葉は言う。「SNSでくらい快適でいたいから、元彼とかうざい先輩とかはブロックしてる」。
ソーシャルメディアで積極的に交流しているC太は、Twitterなどで言い合いになったりすると、相手を切ってしまう。「どうせネットで知り合った人だから」というのが理由だ。「切っても友達はまたすぐに増えるから」と言われ、反応に困ってしまった。
友達づきあいには濃淡があるものだが、彼らの場合、親しい人もあまり親しくない人も同じ「1」になっている。SNSでのつながりは誰とつながっているかよりも、数の多寡が注目される傾向にある。同時に、SNSにおける「いいね!」やスタンプは、誰からもらったかよりももらった数の方がクローズアップされがちだ。そのため、とにかく数がほしいし、つながる相手は誰でもよく、つながるのも切るのも安易にとらえてしまうのだ。

人間関係はデジタル処理できない
SNSでは、自分が主体となって人間関係を増やしたり整理したりすることが容易にできる。しかし、実際の人間関係はそのように処理することはできない。SNSでは数が重要かもしれないが、実際の人間関係は誰とどのような人間関係を築けるかが重要となる。
人間関係を築くことは難しい。SNSで数だけ増やしたり、コントロールしたりしようとしても本当の関係は生まれない。人間関係は、その後の人生を豊かにする大切な財産だ。自分が中心となってコントロールしようとせず、長く続く良い人間関係を築けるよう、子どもにもアドバイスしていきたい。

消費税10%化で低所得者に給付金 財務省が検討

朝日新聞デジタル 2015年9月5日

2017年4月に消費税率を10%に引き上げるのに伴い、財務省が負担が増す低所得者を対象に給付金を配る案を検討していることがわかった。税率を一律で10%に引き上げたうえで、一部の飲食料品の税の増収分を還元する案だ。この案だと与党・公明党が求める軽減税率の導入を事実上見送ったことになり、与党内から異論が出ることも予想される。
来週にも再開される軽減税率に関する与党協議に財務省案として示す。
一律に10%に引き上げる案が浮上したのは、軽減税率を導入すると税率が複数になり、事業者の事務負担が増えると心配されているためだ。財務省案は、精米をはじめとする主食や野菜など飲食料品の一部にかかる消費税率を8%に軽減したと仮定し、実際の税の増収分との差額分を給付金の財源にあてる方向だ。財務省幹部は「対象品目を広くとれば、減収幅を埋めるために将来、消費税率を10%以上に上げざるを得ず、のめない」と指摘する。

合同訓練:児相と県警、児童虐待対応で 「臨検」など /栃木

毎日新聞 2015年9月4日

子どもが虐待される事件が後を絶たないなか、家庭への立ち入り調査の際に児童相談所(児相)職員と警察官がスムーズに連携できる態勢を作ろうと、宇都宮市の県警察学校で児相と県警の児童虐待対応合同訓練があった。
訓練は今年で2回目。面談を拒む家族を説得して立ち入り調査するケースや、虐待が疑われる場合に裁判所の許可状を得て緊急の強制立ち入り調査「臨検」を実施するケースを想定した。臨検の訓練では、再三の説得に応じない養父役の妨害を警察官が制止しながら児相職員がドアチェーンを切るなど、緊迫した訓練が行われた。
参加した県中央児童相談所の虐待対応チーム、萩原一弘さん(40)は「県内ではまだ臨検は行われたことがない。そのため、県警といかに連携が取れるかが大切だと訓練で認識できた」と話した。
県内では先月、0歳の長男を強く揺すって脳にけがをさせ2014年に死亡させたとして益子町の父親(34)が傷害致死の疑いで逮捕された。6月にも足利市で2歳の長男を暴行し5月に死亡させたとして住所不定の父親(46)が傷害致死容疑で逮捕、起訴された。足利市のケースは男児の死亡当日、近隣から「けんかをしている」と通報があり警察官が自宅を訪問していたことや、転居前の群馬県館林市で養育相談を受けていたが転居で連絡がつかなくなり、県内の児相などに情報が引き継がれていなかったことが指摘された。【野田樹】

子ども虐待の通告増…県内児童相談所、人員追い付かず 対応遅れ懸念

埼玉新聞 2015年9月5日

子どもの虐待に関し、県内の児童相談所に寄せられる通告が年々増加している。件数は4年間で約2倍に増えた。一方、現場で虐待が疑われる事案に対応する児相職員の数は思うように増えていない。関係者からは「このままでは児童への対応が遅れてしまう」と懸念する声も聞こえる。
「近所で大人の怒鳴り声と子どもの泣き声が聞こえる」。ある日の午前10時半すぎ、県越谷児童相談所(越谷市)の電話が鳴った。
「お子さんの様子はどうですか。名前や年齢は分かりますか」。穏やかな口調で冷静に。越谷児相の児童福祉司豊田諭美さん(28)は具体的な状況を聞き出していく。その後、保健所や学校など関係機関と連絡を取り、自宅の場所を確認。上司と家庭への対応を相談して緊急性が高いと判断し、もともと予定していた児童養護施設への訪問をキャンセル。車で1時間ほどの虐待が疑われる自宅へすぐさま向かった。「今じゃないと二度と連絡がつかない家庭もある。手遅れにはできない」。豊田さんは力を込める。

現場の負担重く
昨年度、越谷児相にあった児童虐待に関する通告は1188件。その数は年ごとに増え、ここ2年間で300件以上増加。県全体でも2010年度の約2倍に当たる7028件に上った。
一方で、実際に自宅を訪問調査したり、助言指導をしたりする児童福祉司はそれほど増えていない。越谷児相では2年間で2人増えたものの、19人で現場を回している。県全体の定数は13年から139人のまま。増える一方の通告件数に児童福祉司の人数が追い付いていないのが現状だ。
越谷児相では朝8時半から電話が鳴りだし、多い時は1人で10件以上対応する。その間に所内での面談や施設訪問を行い、緊急事態が発生すれば現場に急行。児相に戻ると、机には留守中の電話に関する大量のメモが残されていることも。平日夜間や休日は当番があるなど、児童福祉司の負担は重い。

一刻を争う事態も
児童相談所は緊急でない場合を除き、通告を受けてから原則48時間以内に児童と対面し、安否を確認しなければならない「48時間ルール」がある。99年に県が初めて導入し、その後全国に広がった。親の拒否に遭うなど、48時間以内に対面確認ができなかった結果、児童が命を落とすこともあった。それだけに一刻を争う対応が求められる。
15年以上県内の児相に携わってきた県社会福祉士会の青木孝志会長は「通告件数の増加により、職員間で対応を協議する時間は圧倒的に増えた」と指摘。その上で、こう警鐘を鳴らす。「このままでは職員は優先順位を考えて対応せざるを得ず、後回しになってしまう案件も増える。相談が必要な際にベテラン職員がいないと困る時もあり、量を増やすのと同時に質を向上させることも大事だ」

なぜ熱中症は増加したのか? 「9月もぶり返す暑さに注意!」

Mocosuku Woman 2015年9月5日

総務省消防庁の調べによると、今年のお盆の期間(8/10~16)に熱中症で救急搬送された人数は3989人で、これは去年のおなじ時期の約2倍にあたる数字とのことです。また、5月19日~8月9日までの期間を見ても、熱中症による救急搬送は4万5793人(暫定値)と、昨年のおなじ時期の救急搬送が3万1181人だったのに対して、1万人以上増加しています。お盆を過ぎて、一旦落ち着いたかにみえる暑さですが、9月もまだ暑い日が予想されています。熱中症での救急搬送が急増する背景には、いったいどのような原因があるのでしょうか?みてみましょう。

熱中症は「急増」している?
環境省の熱中症予防情報サイトによると、熱中症による救急搬送は、猛暑を記録した2010年を境に増加傾向にあり、それに伴い熱中症による死亡事故が増えていることも問題となっています。また、厚生労働省の資料によれば、熱中症による死亡数における65歳以上の高齢者の割合も、1995年の時点では54%だったのに対して、2010年では79%と急増しているとのことです。

もっとも指摘されている増加の原因とは?
熱中症が近年増加している理由としてまずあげられるのが、コンクリートの建築物、アスファルトで舗装された道路の増加や、エアコンや車の排気が原因となって都市部の気温が上昇する「ヒートアイランド現象」です。
また、少子高齢化社会の進行に伴い、抵抗力や体力が低下していて熱中症になりやすく、かつ症状が重篤化しやすい高齢者が増加していることも理由のひとつといえます。
その一方で、熱中症患者が急増した理由として、近年「熱中症」という言葉が世間に認識されたことによる影響を指摘する声もあります。「熱中症」の症状を訴えて救急搬送される人が増えているのは事実ですが、上記のような影響を差し引いた実際の増加率については、正確な判断がしづらいのも実情といえるでしょう。

高齢者だけの問題ではない
熱中症の原因となる「体力や抵抗力の低下」については、なにも高齢者だけに限った話ではなく、子どもや若者、働き盛りの中年世代においても、運動不足や食生活の乱れ、睡眠不足などの不摂生によって体力・抵抗力が低下しているケースはよく見られます。そのような状況に加えて、部活動や運動会、屋外での作業などが「これまでの慣習どおり」暑さの厳しい環境でおこなわれているケースがあり、熱中症を防ぐためには、こうした屋外での活動について時期や時間帯をずらしたり、暑さの激しい日は中止をするなどの対策も求められているといえるでしょう。

9月も引き続き警戒を!
また、前述の環境省の資料では、屋内における「高齢者の熱中症」が近年増加していることも指摘されており、2013年の調査では、65歳以上の高齢者の場合、男女ともに半数以上が「家にいるときに」熱中症になっていることが判明しています。
熱中症のおもな外的要因は「気温」「湿度」「日射し」の3つといわれていますが、暑さに対する抵抗力の弱い幼児や高齢者の場合は、外出時だけでなく、家にいるときでも「暑さ環境」や水分補給への注意は重要といえるでしょう。
近年では、「残暑の厳しさ」も指摘されています。全国的に朝晩は過ごしやすくなってきたとはいえ、熱中症リスクの高い時期はもう少し続きそうです。こうした時期は、食生活や睡眠などの生活習慣を見直し、体力や抵抗力をつけて乗り切ることも大切といえそうですね。

離婚訴訟で増えつつある「冤罪DV」 証拠なく認定されるケースも…

産経新聞 2015年9月5日

「冤罪(えんざい)DV」という言葉がある。子供を連れて別居した妻が、離婚の理由として裁判で「夫からDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けた」と虚偽の主張をすることを指すが、最近の家事法廷でDVを認めないケースもみられる。“冤罪”を晴らした夫は「かつての痴漢冤罪と同じで、女性の言い分がそのまま認められがちだ」と指摘。専門家からは「裁判や行政手続きを有利に運ぶための虚偽の主張もある」と慎重な判断を求める声もあがっている。

DVの証拠写真を捏造?
関東地方の40代男性は「暴力をふるわれた」として40代の妻から離婚や慰謝料などを請求されたが、家庭裁判所は平成23年10月、妻の訴えを棄却した。妻は男性が「夕食を準備した食卓をひっくり返した」「馬乗りになって髪の毛を引っ張った」「就寝中に起こし頭を殴った」と主張していたという。
男性は否認し、家裁も判決で「DVを裏付ける証拠はない」と判断。妻が提出したあざの写真について、妻が撮影日や撮影場所を後になって訂正したり、「(夫の)暴行によるものではない」とあいまいな発言をしたことなどを重視したとみられる。

「ローリスク、ハイリターン」のDV主張
一方、妻と同居する長女の監護権をめぐる審判では、家裁は今年5月、妻が男性の暴言や暴力を恐れながら生活をしていると保健師に相談していた経緯を認めた上で、妻を長女の監護者として認めている。
男性は控訴し、「私はDVはしていない。妻はあざの写真を自宅で撮影したといっているが、背景が自宅ではない。女性が『DVにあっている』というと、行政は調査もせずに認めてしまいがち。緊急保護の必要性は分かるが、かつての痴漢冤罪のようだ」と話す。
「裁判で離婚するには理由が必要なので、DVを主張することがある。子供の親権や慰謝料の獲得にもつながる。特に、精神的なDVは主観的な部分もあり認められやすい。嘘がばれても罰せられることはほとんどなく、まさにローリスク、ハイリターンだ」と話すのは、離婚裁判で代理人を務めたことがある東京都内の弁護士。「中には夫に暴言を吐いたり暴力をふるったり挑発して夫の抵抗を誘発し、録音したり診断書を取る“計画的犯行”としか思えないケースもある」と内情を明かす。

客観的な証拠なく認定
客観的な証拠がないにもかかわらず、夫による妻へのDVが認められた判決もある。関東地方の40代男性は40代の妻が当時2歳の娘を実家に連れ去ったとして、身柄の引渡しなどを求めて家裁に提訴したが、24年2月に男性の請求を退ける判決が下された。
判決では、妻が物証なしに主張した(1)男性が妻にはさみを突きつけた(2)妻に性行為を強要した(3)荷物をまとめて出て行けなどと怒鳴った-などを認定。逆に、男性が物証を示して主張した(1)妻が親しく付き合っていた男性の写真を部屋に置いて家出した(2)娘の利益を最大限尊重した養育計画を策定していた-などの事実認定をしなかったという。
DVは家庭という“密室”の中で行われるため証言に頼らざるを得ない部分もあるが、男性はこの判決をめぐり、「子供の利益を最優先する」と定める改正民法766条について「裁判官は立法者の意思を無視し、民法改正の趣旨を曲解して判決を下した」として名誉毀損(きそん)による国賠訴訟を起こしている。

妻と娘へ「二重DV」の疑惑も
さらに、妻へのDVと娘へのDV(性的虐待)の“二重の疑惑”をかけられたケースもある。
東海地方の男性によると、妻が長女を連れて家出。男性が長女の引渡しなどを家裁に申し立てたところ、妻は当初、「突き飛ばされた」「足蹴りされ青あざができた」と男性による身体的DVを主張。しかし、主張を裏付ける証拠は一切提出されず家裁は身体的DVを認めなかった。妻は離婚裁判で「新婚旅行の場所を決めるときからすでに罵られていた」などと言って、「言葉による精神的なDV、モラルハラスメントを受けた」との主張もしている。

「妻は計画的に怒らせようとしていたのでは…」
男性は「DVのときに通常求める慰謝料の請求もない。計画的にでっちあげたからだ」と指摘。また、「今にして思えば、妻は計画的に自分を怒らせようとしていたのではないか」と疑念を募らせる。
妻は家出の半年ほど前から、朝食は前日に炊いた米だけ出して二度寝するようになった。風呂から出ると、きれいなバスタオルがあるのにぼろ雑巾のようなタオルが出されていたことも…。自宅のパソコンで「今日は日曜日だけど、おっさん(男性のこと)は仕事だ。ざまあみろ」と書かれた妻のメールを見つけ、愕然としたという。
家裁は男性と長女の面会交流を認めたが、その直後、妻は「(妻への)DVを長女が目撃して恐怖を感じている」と医師に告げて長女を精神科に通院させ、「長女の通院・精神的不安定」を理由に面会をさせないようになった。さらに、「長女が性的虐待を受けた疑いがある」との通報があったとして、長女は児童相談所に一時保護された。しかし、児相は「性的虐待の有無は分からなかった」として長女を妻のもとに返還。その後、高裁では男性と長女の面会交流の必要性を認める決定が出されている。

男性からの相談も増加中
問題を抱える夫婦をサポートするNPO法人「結婚生活カウンセリング協会」(横浜市)のコンサルタント、大塚ガクさんは「DVは男性がするものというイメージが強く、女性が離婚したいと思ったときに“でっちあげDV”を使いやすい状況にある。外傷が残らなくても首の筋を違えたとか、けんか以外でできたあざを撮影して『夫からやられた』といってみたり、裁判の証拠となる材料が集めやすい。訴えられた男性からの相談も増えている」と話す。
厚生労働省によると、昨年の離婚者数は約22万人。司法統計では昨年の妻側の離婚の理由として「精神的に虐待する」が3番目、「暴力を振るう」が4番目に多かった。警察庁によると、配偶者からのDVの認知件数は昨年中に5万9072件で、11年連続で増加した。DV被害は拡大しており、被害者の救済は急務だ。
早稲田大法学学術院の棚村政行教授(家族法)は「最近はDV被害を訴える女性の支援機関が積極的な保護を打ち出していることもあり、当事者同士での話し合いが難しく、他方で自らが『冤罪DV』の被害者だと訴える男性も少なくない。DVの被害や内容に応じた対応が大切ではないか」と話し、夫婦双方が安心して相談できる相談機関の設置を提案している。