資金と人手が課題 児童養護施設退所後のケア

福祉新聞 2015年9月14日

児童養護施設で暮らす子は原則18歳になると退所を迫られる。小さいころに受けた虐待で負った心の傷を抱えたまま社会に出て、つまずくこともある。頼れる実家がなく、失業をきっかけに路上生活に陥るケースも。社会福祉法人白十字会林間学校「あすなろサポートステーション」(神奈川県藤沢市)は県の委託を受け、昨年7月から退所者のアフターケアを始めた。開所から1年がたちニーズに見合う資金や人手の不足に直面している。

「死ぬ気もないからただ生きていただけ」――。
今年3月に“あすなろ”にやってきた20代の男性は路上生活をそう振り返ったという。将来や自立にも希望を持てなかった。
男性は高校卒業と同時に施設を退所。住み込みの仕事に就いたが、うまくいかず退職した。実家には頼れず、住む場所、仕事、人とのつながりを一気になくした。
数年間日雇いの仕事を転々とし、1年ほど路上生活した末、トラブルをきっかけに退所した施設を頼った。
あすなろスタッフの福本啓介さんによれば、職員に付き添われ、あすなろに来た当初、男性はうつむきがちであまり話さなかったという。福本さんは男性の生活を立て直す支援を開始した。
仕事は男性が介護職に関心を示したため、一緒に介護施設を見学。施設の協力でインターンも経験した。施設の人や男性と対話を重ねて丁寧につないだ結果、男性は8月から非常勤で働くまでになった。
男性は定期的にあすなろに通う。「今の自分には希望がある。仕事を続けたい」と前向きな話をするようになったという。
あすなろの支援対象は原則、県内の政令市などを除く地域の児童養護施設(18カ所)退所者ら。
中には幼いころの虐待による心の傷が癒えないまま社会に出て、仕事でつまずき、男性のように路上生活に陥ったり、生活保護を受給したりするケースもある。
早めに施設にSOSを出せないのか。
福本さんは「退所者は職員が身を粉にして働く様子を見て育つため、気を遣い相談しにくい」と理由の一つを指摘する。児童養護施設でも働く赤尾さゆりさんは「職員はアフターケアの重要性を分かっていても、入所児のケアもあり対応が追いつかない。休日に自費で支援することもある」と現状を明かす。そのため「あすなろには、困ったら気軽に相談してほしい」と福本さん。

支援機関に付き添ってつなぎ、支える
あすなろの活動は退所者支援だけではない。施設で暮らす中高生に、退所後の生活や進学、就職に向けたサポートを行う。退所後に相談しやすい関係をつくる狙いもある。
支援対象の18施設には1人ずつ、パイプ役の職員「あすなろサポーター」がいる。毎月連絡会を開き、連携できる体制を整えている。職員から支援に関する相談を持ち込まれることも多い。一緒にケースに対応していくことで、施設のアフターケア機能を上げることも期待されている。
相談は月約50件に上る。県などの補助金は年約790万円。専任職員は福本さんのみで、あとは他の施設と掛け持ちの非常勤が2人。退所者が困っていれば、情報提供で終われない。支援機関に付き添ってつなぎ、支える。継続的に気に掛ける必要もあり、人手は足りない。
国は今年度、あすなろのような「退所児童等アフターケア事業」を増やす予算を組む。民間も含め、自立支援の充実に向けた動きはある。
それでも手の届かない人はいる。代表の前川礼彦さんは「アフターケアのニーズは多い。自立支援を強化する第一線のこの事業があまりに弱い。需要に見合う制度を整える必要がある」と訴える。
あすなろでは支援会を作り、企業や個人を問わず1口5000円の会員を募集している(TEL0466・54・8917、shonan.asunaro@gmail.com )。

巣立ちへの支援

あらたにす 明治大学 西村 ほのか 2015年9月13日

「本当に、私は一人なんだ…。」ぽつりと語るAさんの目を忘れることができません。私はあるフォーラムに参加しました。社会的擁護の質を向上させていくために何が必要か考えるものです。里親や児童養護施設の下で育った青年たちが登壇していました。
奨学金を利用し四年制大学に進学をする決断をしたAさん。「生活するための基本的な知識がない」、「相談相手がいない」、「家がない」、「お金がない」。わからないことばかりです。漠然と押し寄せる将来の不安。身近に頼れる大人はいません。改めて、一人であることを痛感した瞬間を語ってくれました。
施設で暮らす子ども達は日本で約30,000人。虐待、経済的な理由、親の病気などさまざまな事情で家族と離れて暮らしています。原則、18歳までに自立して児童養護施設を退所し、自活しなければなりません。毎年1000人以上が退所します。そのうち大学に進学するのは約2割。もちろん、大学に進学することがすべてではありません。しかし、全国の大学進学率と比べると圧倒的に低いです。身近に頼れる大人がいないため、大学進学できる学力があっても経済的理由で断念する子どもも多いのです。
社会に巣立っていく子ども達のために何ができるのでしょうか。一体、どんな支援をしたらいいのだろうか。ここ数年、施設退所者向けの支援の動きは広がりつつあります。奨学金を援助するNPO法人があります。そこで主催する勉強会で当事者に質問することができました。
どんな支援があったら嬉しいですか。
「運転免許ですね」
「18歳以上、高校卒業以上、普通免許取得」。これはハローワークの最低求人条件です。就職して自立するために免許が必要でも費用が捻出できず、取得が難しいのです。
佐賀県では、児童養護施設の入所者に対する支援を自動車学校と連携しています。自己負担なしで運転免許が取得できるように取り組んでいるのです。このように国も施設退所者の支援強化策として、運転免許などの取得についての金銭的助成があってもいいのではないでしょうか。当事者目線で考えると、有効な支援がみえてきます。

コメント 竹中 勝美
児童養護施設ではなく、小さいころから養子縁組家庭や養育里親家庭で育てば、「生活するための基本的な知識がない」ということはありません。児童養護施設で子ども時代のすべてを育つことが、最大の社会的ネグレクトです。佐賀県は、一時期里親委託率が0の年もありました。子どもの権利条約第20条の家庭で暮らす権利、国連代替養育に関するガイドライン程度は学んだうえで、記事を書いてほしいです。児童養護施設での長期養育が、問題の根源です。家庭を知らない子どもは、それこそが問題であると気づけません。当事者目線というが、知らないことは問題にしようがないです。
子どもの家庭で暮らす権利がない状況を放置したまま、施設を出た子どもを支援する活動は、活動の方向が間違っています。施設の子どもを減らし、家庭で暮らす権利を保障する方向の活動でなければ、子どもの幸せにつながる活動とは言えません。施設の子どもは、活動する人の満足・感動のために存在するのではありません。

少年A 根底は自分を世界に知らしめるという思いのみと専門家

NEWSポストセブン 2015年9月14日

神戸連続児童殺傷事件の犯人、「酒鬼薔薇聖斗」こと「元少年A」。手記『絶歌』(太田出版)の出版騒動に続き、HPを開設した。女性セブンに対して開設等を伝える手紙を送ってきたが、手紙には元々手記執筆をオファーした幻冬舎・見城徹氏への恨みがましい言葉も綴られていた。このホームページ作成の意図とはなにか。社会心理学者の碓井真史氏(新潟青陵大学教授)の分析を聞いた。

“酒鬼薔薇聖斗”はまだ続いていると感じます。
事件当時、Aは自分の名前が間違えて報じられたことに怒り、神戸新聞社に犯行声明を送っています。この精神構造がまるで変わっていない。
手紙の中でAが見城氏に嘘をつかれたと感じているのは、たとえば『その後は一切Aとは連絡を取っていない』という部分です。非常に些細なことですが、本人はそのことについて《内臓を捩じ切られる》ほど怒りを感じてしまう。そしてその怒りをA4で20ページの文章にする。
Aには独自の思考大系があり、ある部分においては他の人よりもずっと冷静でいられる。『絶歌』の中で、動物を虐待した時のことも、犯罪についての回想も、淡々と、具体的に書ける。ホームページのプロフィール文も、『冷酷非情なモンスター』という言葉に『』をつけるあたり、世間からはそう見られている私ですが…という冷静な観察がある。
ところが名前を間違えられたり、自分の思う事実と齟齬のある発言をされると、途端にその冷静さを失い、狂気がもたげてくる。
ホームページ内の写真についても、18年前の彼の人間性を彷彿とさせます。
そこに表れているのは、自己顕示欲や自己承認欲求という言葉では到底表現できないほどの、病的なまでの「自分を知らしめたい」という欲求です。小さな男の子を殺害し、首を校門に置く。手記を書いて事件を告白し、ホームページを作って自分の全裸を晒す。当時も今も、彼の根底にあるのは自分を世界に知らしめるという一点に集約される。
その一方で、他者を理解するという感情や共感能力は極めて希薄です。ホームページを立ち上げたら遺族はどう思うか、ナメクジの写真を掲載したら見る人がどんな気持ちになるか、そういうことを想像する力が欠落しています。
これは事件を起こした当時から変わっていない。
18年前の事件と犯行声明文、6月の手記の出版、そして今回の手紙とホームページ。全てがつながっている。事件はまだ終わっていないということを強く感じます。

保育士、実習受ければ実技試験免除 厚労省

日本経済新聞 2015年9月10日

厚生労働省はより多くの保育士を確保するため保育士の資格を取りやすくする。ピアノや絵描きなどの実技試験の代わりに計27時間の実習を選べるようにし、4~5日間実習を受ければ、実技試験を免除する。年内に都道府県に通知し、2016年度試験から導入する。
受けやすくするのは「地域限定保育士」の試験。資格を取った都道府県で3年間働けば、4年目からは通常の保育士資格と同じように全国で働ける。保育士試験の回数を増やすために、15年度から神奈川、大阪、沖縄の3府県と千葉県成田市で始める。

自民党、たばこ&酒の18歳解禁検討 宇宙ロケット1基分の税収増?若者の「離れ」加速

Business Journal 2015年9月14日

飲酒、喫煙の18歳解禁に自民党内で反対意見続々
6月17日、公職選挙法改正案が可決され18歳から選挙権が得られるようになったのに続き、9月1日、自民党が民法上の「成人」年齢を18歳に引き下げたり、喫煙、飲酒、公営ギャンブルの年齢制限を20歳以上から18歳以上に引き下げる検討に入ったというニュースが流れた。
2日には自民党内で「成年年齢に関する特命委員会」が開かれた。提言案は「16歳から飲酒、喫煙できる国もある」「一律に大人扱いすべきだ」と引き下げを認める内容だったが、出席者から青少年の健康への悪影響を懸念する反対意見が多く出て、政府への提言はまとまらず先送りになった。特命委員会は10日にも開かれ、民法上の成人年齢を20歳から18歳に引き下げる政府への提言案は了承したが、飲酒、喫煙、公営ギャンブルの禁止年齢引き下げは結論を見送り、賛否両論を併記した。
たばこの健康への悪影響、酒のイッキ飲みによる急性アルコール中毒、飲酒運転や非行の増加などを懸念する反対世論は根強いが、国や地方自治体の財政にとっては「酒、たばこは20歳になってから」が「18歳になってから」に変われば、酒税、たばこ税からの収入の増加が見込まれる。では、果たしてそれはどの程度なのか。

飲酒習慣者28.4万人、喫煙人口29.4万人が新たに加わる計算
文部科学省は大学進学率を計算するために、中学を卒業する15歳の人口をもとに18歳人口を算出している。それによると今年の18歳の人口は120万人、前年の18歳、つまり現在の19歳人口は118万人で、合わせて238万人。18歳人口は直近ピークの1992年は205万人だったから、少子化で約4割も減っている。
18歳からお酒もたばこも許されたら、そのうち何万人がお酒を飲み、何万人がたばこを吸うのだろうか。
その比率を推測できるのが、年齢層が接している20歳代の飲酒率や喫煙率だろう。厚生労働省の「平成23年(2011年)国民健康・栄養調査結果の概要」によると、清酒換算で1日1合(ビール中瓶1本)以上を1週間に3日以上飲む「飲酒習慣者」の割合は、成人全体では20.2%で、その人口は2121万人。20~29歳は男性15.7%、女性8.3%だった。18~19歳の238万人が男女半々だとすると、飲酒習慣者の人口は男性18.6万人、女性9.8万人で、合計28.4万人になると推測される。
喫煙率はJT(日本たばこ産業)が毎年調査している。14年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人全体の喫煙率は男女合計19.7%で、喫煙人口は2059万人。そのうち20歳代は男性15.5%、女性9.4%で、男女合計で12.4%。18~19歳の238万人が男女半々だとすると、喫煙人口は男性18.4万人、女性11.2万人で、合計29.6万人になると推測される。
解禁後の18~19歳の飲酒習慣者予測値は28.4万人で、飲酒習慣者全体の1.3%。18~19歳の喫煙人口予測値は29.4万人で、喫煙人口全体の1.4%になる。

酒類メーカーやJTの業績には、ほとんど寄与しない
日本国内には、国税庁から免許を受けた「酒類等製造免許場」が3089カ所ある(13年)。お酒が18歳から飲めるようになり飲酒習慣者が1.3%増えたとしても、飲むお酒の種類もブランドも分散されてしまうので、メーカーの業績への寄与度はきわめて薄くなる。
一方、たばこは専売制の時代が長く続いたのでJTは国内の販売シェアの約60%を握っている。それなら、たばこが18歳から吸えるようになれば、喫煙人口が1.4%増える効果をたっぷり享受できるのだろうか。
JTの15年12月期の国内自社たばこ製品売上収益の見通しは6380億円で、対前年増減率は1.8%減である。1.4%上積みされたとしても89億円増の6469億円で、対前年比のマイナスはカバーできず、たばこ販売の長期低落傾向に歯止めはかけられない。国内たばこ事業の営業利益見通しは2500億円で、1.4%上積みされても35億円増の2535億円。事業を多角化して海外でも大きな収益をあげているJT全体の15年12月期見通しと比べると、売上収益2兆3500億円にとって89億円は0.38%、営業利益6680億円にとって35億円は0.52%にすぎない。18歳からたばこが吸えるようになっても、JTの業績への影響度はほとんど「誤差の範囲内」。少子化で238万人しかいない「新市場」では、業績への寄与はとても期待できない。

「税金の塊」たばことお酒の税収増は、しめて年間463億円
JTの業績への寄与が期待できない理由は、18~19歳の「新市場」の小ささだけではない。たばこはそもそも「税金の塊」で、店頭での売上額の約65%を税金として持っていかれるからでもある。缶ビールの酒税率約35%もけっこう重いが、たばこの税金にはとてもかなわない。その税率64.4%の内訳は、国のたばこ税24.7%、地方たばこ税28.5%、たばこ特別税(国税)3.8%、消費税7.4%である(JT「たばこワールド」より)。
お酒のほうは、財務省が酒税収入について15年度予算で1兆3080億円を見込んでいる。もしそれが、飲酒年齢の18歳への引き下げによる飲酒習慣者増に比例して1.3%増になるとすると、税収増の金額は170億円になる。一方、たばこのほうは財務省が、消費税は別として国、地方のたばこ税、たばこ特別税の合計で平成27年度予算で2兆940億円の税収を見込んでいる。もしそれが、喫煙年齢の18歳への引き下げによる喫煙人口増に比例して1.4%増になるとすると、税収増の金額は293億円になる。18歳への引き下げで、たばこはお酒の1.7倍の税収増が期待できる。
試算したお酒とたばこの税収増の金額を合計すると、年間で463億円になる。これは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が11年に「H2A」を開発、製造し、種子島宇宙センターから打ち上げるまでに費やした総額と同じである。18歳から飲酒、喫煙ができるようにするだけで、宇宙ロケット1本つくって打ち上げられる分の予算が転がり込んでくると、皮算用できるわけだ。

飲酒、喫煙は「ダサイこと」?
だが、もし18歳から飲酒、喫煙が解禁されて合法化されたとしても、その年齢に達した男女の多くがおおっぴらにお酒とたばこを始めて、最近の20歳代のデータから推測したように習慣的飲酒率は11.9%、喫煙率は12.4%にいきなりはね上がるものなのだろうか。
実は、それに対して否定的なデータがある。
日本大学医学部の大井田隆教授(公衆衛生学)を代表とするグループが厚生労働省の研究費補助金を受け、全国の中学生、高校生を対象に「未成年の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」(10年)を実施した。これによると、飲酒は月1回以上が高校男子で17.9%、高校女子で17.6%、週1回以上が高校男子で5.3%、高校女子で3.5%、喫煙は月1回以上が高校男子で7.1%、高校女子で3.5%、週1回以上が高校男子で3.5%、高校女子で1.4%だった。現状は非合法であることを割り引いても、「週1回以上」のデータは推測した解禁後の習慣的飲酒率、喫煙率にはほど遠い。特に喫煙率は低く出ている。
これらの数値も調査のたびに大きく減ってきており、月1回以上の飲酒率は00年からの10年間で高校男女とも約6割減少し、月1回以上の喫煙率は2000年からの10年間で高校男子は8割近く減り、高校女子は7割以上減少している。
この調査データは、お酒もたばこも一度は経験したことがあるとしても、高校生の日常生活のなかではマイナーな存在で、「たとえ18歳から解禁されたって、自分は毎日お酒を飲んだりたばこを吸ったりするつもりはないよ」という高校生が、かなり多数を占めていることを暗に示している。
約30年前の80年代、歌手の故・尾崎豊さんがティーンエイジャーのカリスマにまつりあげられていた時代には、飲酒や喫煙は非行や校内暴力、「三ない運動」で禁じられたバイクに乗ることと同様に、「自分たちを抑えつける親や教師や校則や社会への反抗のシンボル」のようなものだった。しかし今どきの高校生にとっては「盗んだバイクで走り出す? そんな自己主張、ダサイよ」ということなのだろうか。
今はスポーツや音楽、ファッション、アニメ、ゲーム、SNSなどでも、自己主張の選択肢は30年前に比べて、ずっと豊富になっている。「マイルドヤンキー」という言葉があるように「ツッパリ高校生」もマイルド化し、健康を考えて禁煙したりする。
だとすると、ひそかに税収増を期待している当局は、当てが外れるかもしれない。

「Windows 10」、予約しなくても約6GBのファイルを自動ダウンロード(回避方法あり)

ITmedia ニュース 2015年9月12日

Windows 7/8.1搭載PCで、「Windows 10の予約」をしていない場合でも、インストールファイルのダウンロードだけは自動的に行われる。Microsoftが複数のメディアに対して認めた。ダウンロードもしたくない場合の回避方法を紹介する(Microsoft非公認)。

米Microsoftが7月29日にリリースした「Windows 10」は、スペック的に対応するPCのツールバーに表示される「Windows 10を入手する」を有効にしておくとインストールを予約したことになり、順次インストールに必要なファイルがダウンロードされ、完了すると以下のような通知が表示される。
予約をしなければこのような通知は表示されないが、実はインストールファイルのダウンロードまでは自動的にされることが分かった。
本稿筆者は仕事メインのPC(Windows 7)ではインストールの予約をしていないが、HDDに2つのインストール関連フォルダがダウンロードされていた。
この件について英THE INQUIRERがMicrosoftに問い合わせたところ、「Windows Updateで自動アップデートの設定にしている個人ユーザーには、アップグレードを思い立った段階で準備が完了しているように、あらかじめファイルをダウンロードしている」と答えたという。
「このPCはWindows 10にアップグレードするつもりはない」という場合でも、自動アップデートの設定にしている(セキュリティ上推奨されている)かぎり、ファイルを削除してもまたダウンロードされてしまう。ダウンロードはユーザーがPCを使っていない時間帯に実施されるが、それでも6Gバイトものファイルをダウンロードするにはそれなりにネットの帯域幅を消費する。
自動ダウンロードを中止する方法は本稿執筆現在、Microsoftからはまだ発表されていないが、米LifeHacker他、複数のメディアが手順を紹介している(以下はプログラム名以外はWindows 7の場合)。
まず、既にフォルダ(OSのドライブにある「$WINDOWS.~BT」と「$Windows.~WS」)がダウンロードされている場合は、これらを削除する。

次に、関連する以下のプログラムをコントロールパネルの「プログラムと機能」→「インストールされた更新プログラムを表示」で探し、以下のプログラムをアンインストールする。
?Windows 7:KB3035583、KB2952664、KB3021917
?Windows 8:KB3035583、KB2976978

各プログラムをアンインストールしたら、一旦PCを再起動し、再度ダウンロードされないようにするための作業をする。
「Windows Update」→「更新プログラムの確認」を開くと、「重要な更新プログラム」のリストにアンインストールしたプログラムが表示されるはずなので、上記のプログラムを1つずつ右クリックして「更新プログラムの非表示」に設定する。
気が変わってPCをWindows 10にアップグレードしたくなったら、非表示にしたプログラムを表示に戻せばいい。