保育園児の声は騒音?…35%が「同感」 厚労省調査

朝日新聞デジタル 2015年9月26日

保育園児の声を「騒音」と思うことに35%の人が同感である――。厚生労働省の調査で、こんな結果が出た。待機児童解消へ都市部を中心に保育所の整備は急務だが、近隣住民の理解を得ることも一定の壁となりそうだ。近く閣議決定される2015年版の厚生労働白書に盛り込まれる。
調査は人口減少に関する意識を探る目的で、3月にインターネットで実施。3千人から回答を得た。
保育園児の声を騒音のように思い、保育所の立地に反対する住民の立場に同感できるか尋ねたところ、「ある程度」が29・7%、「とても」が5・4%で、計35・1%が同感だった。逆に「全く同感できない」は26・4%、「あまりできない」は38・5%で、同感できない人は64・9%だった。
回答者を地域活動への参加機会から見ると、「参加していない」という人は38・9%が反対の立場に同感だとする一方、「月1日程度以上参加している」人は26・0%と低くなった。(久永隆一)

同性愛など性的少数者の男性調査 10代の44%いじめ経験

神戸新聞NEXT 2015年9月26日

同性愛や両性愛の男性を対象に行ったインターネットアンケートで、10代の4割超が「いじめに遭った」と回答したことが、兵庫県にある宝塚大学看護学部の日高庸晴(やすはる)教授(社会健康医学)の調査で分かった。同性愛などの性的少数者(LGBT)をめぐっては、文部科学省が今春、学校に配慮するよう通知したものの、現場ではまだ理解が広がっていない。(中川 恵)
アンケートは2014年8~12月、厚生労働省の研究事業として実施。男性の同性愛、両性愛者ら約2万人が回答を寄せた。
うち10代は1096人。「いじめられたことがあるか」との問いに44%が「ある」と答えた。さらに「不登校になった」が23%、刃物などによる自傷行為は18%、過食は46%が「経験した」と回答した。
学校で児童生徒が苦しむ背景の一つが、教員や周囲の理解不足。調査では、学校で同性愛のことを「習っていない」と回答したのが41%。「異常なものと習った」「否定的な情報を得た」との回答も計3割あった。
日高教授が11~13年に行った教員対象の調査でも「授業でLGBTに関する内容を扱ったことがある」のは14%だけだった。
民間機関の12年の調査によると、20人に1人がLGBTである可能性があるという。文科省は今年4月、全国の教育委員会に対し、LGBTの児童生徒の悩み相談などを受け入れる体制づくりを呼び掛けた。
「まずは教員向けの研修を早急に導入するべきだ」と日高教授。「誰に安心して話せるのか分からず、SOSを出しづらい。悩みが累積すれば、命に関わる問題」と話す。
中学時代、「気持ち悪い」と言われるなどのいじめを受けた神戸市内の20代男性は「LGBTの子がいることをまず認識して」と訴える。

第2期政権で目指す家庭の「子育て支援」と「消費活性化」 出生率1.8は現実的?

Mocosuku Woman 2015年9月25日

自民党総裁として再選が決まった安倍晋三首相が、24日におこなわれた記者会見において、「出生率の増加を目指す子育て支援策」を目標として掲げたことが報道されています。現在1.4程度の合計特殊出生率を、1.8程度まで上昇させることを目指すもので、首相は、子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化のほかに、「結婚支援」や「不妊治療支援」にも取り組む考えとのことです。この数字が目指す意味について考えてみましょう。

「出生率」と「合計特殊出生率」の違いとは?
「出生率(しゅっしょうりつ)」という言葉ですが、日本で一般に出生率という場合は、おもに「合計特殊出生率」のことを指します。海外では出生率というと「普通出生率」のことを指すケースも多いのですが、この2つにはやや異なる意味合いがあります。
まず、合計特殊出生率ですが、これは出産可能な年齢と規定された「15~49歳まで」の女性の年齢別出生率を合計したものであり、「1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのか」という平均人数を推計したものです。また、この合計特殊出生率には、ある期間(1年間)の出生状況に着目した「期間合計特殊出生率」と、ある世代の出生状況について着目した「コーホート合計特殊出生率」があります。出生率の増減を示すときに通常使われるのは前者の「期間合計特殊出生率」となります。
一方で、普通出生率は「ある期間の出生数の人口に対する割合」を示し、通常は人口1000人あたりに対する年間の出生児の割合を指します。

出生率と人口減少の関係
厚生労働省が今年6月に発表した人口動態統計によると、2014年の出生率は1.42で、前年を0.01ポイント下回っていました。日本における出生率は、1975年に出生率が2.0を下回って以来減少傾向が続いており、1989年には統計をとり始めて以来最低の数値である1.57を記録すると同時に、日本の総人口も初めて減少に転じました。さらに、その後も出生率は2005年に過去最低を更新する1.26まで落ち込んでいます。
ここで改めて、「出生率を1.8に増加させる」という目標について考えてみると、これはあくまで少子化の進行を食い止め、ゆるやかに増加に転じさせるためのものであり、半世紀先の国の人口を考えた長期ビジョンから、「結婚や出産に関する国民の希望が実現すると、出生率は1.8程度に改善する」という試算です。

「国民の希望」は子ども何人?
国立社会保障・人口問題研究所の資料によれば、第一次ベビーブームといわれた1947年の出生率は4.54であり、この頃はいわゆる「子だくさん」といわれる家庭がめずらしくない時代だったことがわかります。また、夫婦の最終的な出生子ども数とされている「完結出生児数」も、第1回目の調査がおこなわれた1940年では4.27人、第2回目の1952年では3.50人となっています。完結出生児数は、1972年(第6回)~2002年(第12回)までは2.2人前後で安定していましたが、2005年の調査では2.09人となり、2010年はさらに1.96人まで減少しているとのことです。
では、国民が望む子供の数は何人なのでしょうか。
平成25年度版の厚生労働白書に記載されている2010年の調査をみてみると、「理想子ども数」が出ています。ここで2人と答えた夫婦は49.9%と半数近くを占めており、3人と答えた夫婦も38.5%と多い割合となっています。

豊かさを求めた時代に
第一次ベビーブームが起きたのは終戦直後であり、当時は今よりはるかに貧しく、ほとんどの人が経済的な安定とは無縁の状況でしたが、戦争という大きな不安は解消された時代です。
そうした時代背景から考えると、現代は、経済的な不安定さと不安が人々の間に漂っています。「自分が育ってきたのと同じように(子どもにはお金をかけて豊かに)育てたい」という思い、「なんとかなるさ」という気持ちにはなれない…等の要因により『子どもをつくらない』という選択肢をとる人が増えたのでしょう。
前掲調査によると、「理想の子ども数を持たない理由」の第1位が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(合計60.4%、30歳未満では実に83.3%)と圧倒的に多いことも判明しています。
アベノミクスと言われても、これまでは、個々の家庭で実感するまでには至らなかったのが実情。第2期政権では、子育て支援などを充実させて家計の消費活性化に踏み込む、とのこと。経済的不安が徐々に解消されれば、現実味を帯びてくるのが、1.8という数字なのでしょう。

<国連>貧困飢餓の撲滅、格差解消など新目標採択

毎日新聞 2015年9月26日

来年から15年間の国際社会の新たな開発目標を討議する国連総会特別首脳会合(サミット)が25日午前(日本時間26日未明)、開幕した。国連加盟193カ国中、130カ国以上からトップが参加。貧困や飢餓の撲滅、格差の解消を含む17分野で169項目の目標を盛り込んだ「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択した。
今年末まで15年間の「国連ミレニアム開発目標」は途上国が対象で、貧困など社会的課題を中心に8分野で21目標を設定。1日1・25ドル未満で生活する極貧状態にある人口は1990年の47%から14%まで減少し、一定の成果を上げた。
一方、依然として8億人以上が極貧状態にあり、国内や国家間での格差拡大や、環境破壊も深刻化。2030アジェンダは先進国も対象にしており、「持続可能な開発」を目指して、環境や経済にまたがる幅広い分野の課題にも取り組む。
具体的には▽気候変動対策▽再生可能エネルギー利用の大幅拡大▽復元力のある都市づくり▽環境保護--に関する目標が掲げられた。また、国内の所得格差の是正や、女性に対する差別の撤廃、児童虐待・搾取の撲滅なども目標としており、「誰も置き去りにしない」社会を目指す。
2030アジェンダは加盟国が2年間、政府間交渉を続け、今年8月に合意。法的拘束力はないが、加盟国は目標達成の道義的な責任を負う。数値化しにくい目標達成の評価の仕方や、必要とされる巨額な資金の調達などの課題も抱える。