「女子学生の3割は援交をやっている」国連特別報告者・ブキッキオ氏が訪日会見

国連児童の性的搾取に関する特別報告者会見 2015年10月26日

日本の児童の性的搾取の現状

司会:それでは時間になりましたので、始めます。
本日の国連の特別ゲストは、児童の性的搾取に関する国連の特別報告者である、ブーア=ブキッキオさんです。
ブーア=ブキッキオさんはオランダ出身で、2002年から10年間、欧州評議会事務次長を務められ、性的虐待から児童を守る条約の採択などで、大きな役割を果たしてこられました。
2014年5月に国連人権理事会から、児童買春、ポルノに関する特別報告者に任命されました。今回の来日では、日本での児童ポルノ製造販売など、児童への性的搾取の現状について視察をされて、この結果を来年3月に国連人権理事会に提出される予定です。
今日は、今回の日本の視察について、お話を伺おうと思っております。それではブーア=ブキッキオさん、よろしくお願いします。

8日間の日本視察の内容
マオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏:みなさま、おはようございます。本日はこのプレスイベントにいらしてくださって、ありがとうございます。
今回、日本を8日間訪問させていただきまして、調査を行ってまいりました。それについての第一印象、まずは結論のさわりということで、本日お話し申し上げたいと思っております。
来日の目的は、日本において子供の身取引ですとか、性的搾取ですとか、児童ポルノの所持、製造物、また児童虐待製造物等も含めて、どういう状況にあるのか評価しに参ったということであります。
そしてこの間、いろいろな方たちにお会いさせていただきました。司法関係、警察の方から、また県関係者の方々、地方自治体の方々、ITカンパニーの方々、NGOの方、もちろん実際に被害に遭っておられる児童の方ですとか、関係者の方にもいろいろお話させていただきました。
東京のみならず、地方にも伺いました。大阪、川西、また那覇にも伺いました。今回は実際に被害に遭われた児童のお世話等をしている施設にも伺って、視察をいたしました。

「着エロ」や「JKビジネス」は性的搾取に繋がりかねない
そこには専門家の人たちが配備されておりまして、子供たちの回復ですとか、社会の再統合を支援するといったようなサービスが提供されているんですけれども。
今回わかったことは、日本においては子供の性的搾取が実にいろいろな形態を取るということなんです。そしてその行為自体が全て犯罪化の対象にはなっていないということであります。
ということで搾取的な行為というのは、別にその犯罪に触れるものではないということで、犯罪の事犯としては捉われないので、法の規制対象にはなっていないものがあるということなんです。
しかしながら、その行為自体、非常にリスクが高い危険なものであり、重篤な事態に繋がりかねないというものが多く含まれております。そして最終的に搾取に繋がりかねないということであります。
例としては援助交際があります。これは女子学生の3割は、現在援交をやっていると言われているわけでございますし、最初は非常に罪のない形で始まるわけです。
「JKお散歩」といったようなものに見られるように。しかしこれは、事態がどんどん発展してしまうと、深刻、かつ危険極まりない行為に繋がりかねないということであります。
また「チャイルド・エロティカ」と呼ばれている、年少の子供たちを対象にした「着エロ」といったようなものもありますし、「ジュニアアイドル」といったようなものもあるわけで、こういった形で広範に搾取に繋がりかねない行為があるんだということが、今回よくわかりました。
以上、申し上げた行為そのものというのは、昨今のICTの発展の流れで助長されているということであります。
今申し上げていましたように、こういったビジネスというのは、明らかにお金の儲かるビジネスになっているわけで、一見したところ社会そのものが容認している。かつ、寛容の精神で見ているように見受けられます。

「児童買春・ポルノ禁止法」の改正について
公式統計の数字も出ております。その中に、児童買春ですとか、また児童虐待製造物の普及ですとか、いろいろ対象項目として入っているんですけれども、確かに児童買春のほうは減っております。
しかしながら、児童虐待製造物の入手可能性というのは着実に増えているんです。特にオンラインで介して提供されるものということ。
また児童虐待製造物、いろいろな店舗でも売られているということでありまして、こういった傾向というのは、昨年、日本で改正されました「児童買春ポルノに関する取締法」の改正に、多分にリンクしている結果と見ております。
法律改正されたことは非常に歓迎しております。一部確かにその後、前向きな展開も出ているんですけれども、まだ抜け穴が残っておりますので、ぜひこれは対処をお願いしたいと思っています。

子供たちの性的搾取行為に対しての対策
例えば結婚できる年齢について、本人の同意を要する年齢について改正するといったようなことですし、年齢を上げるっていうことですね。それから児童の虐待製造物についてのアクセスですとか、それを見るということ、行為自体を犯罪化するといったようなことです。
逆に、子供たちの性的搾取行為に対しての対策について、いいものも出ております。大半は、児童虐待製造物オンライン提供にまつわる取締りの行動です。
例えば警視庁が中心になりまして、オンラインサイバーパトロールというのが進行中であり、これが奏功いたしまして、オンライン上の児童虐待製造物のアベイラビリティが減っているということは、事実として挙げられます。
また、司法手続きの中にも、実際に被害に遭ったお子さんたちに関しまして、より子供たちに敏感になりましょうといったような面からの策が導入されているという動きも認められます。
すなわち、被害に遭った児童が、実際に裁判場内において、法廷内、法廷外において、それからまた裁判所の指令によって、いろいろヒアリング、審議を受けるという期間があるんですが、これをできるだけ減らそうといったような動きにもなっているわけでございますし、実際に法廷で審議が行われる前に、事前にフォレンジック関係のインタビュー、もしくはその面接なども行えるように図るといったような動きが進んでおります。
また官民協力も効果の高い形で進んでおります。特に児童虐待製造物にまつわるオンライン提供が対象になっているということで、いろいろ団体があります。
コンテンツの安全性を確保するような団体。より安全の高いインターネットコンテンツを推進する会。またホットラインセンター等がございますので、こういったところと警察のほうが、鋭意協力し合いまして、何か問題のある製造物がアップされそうになった、もしくはオンラインで出ている場合には、ブロックをかける、取り下げるといったような方面に向けての活動も見受けられます。
もちろん法執行の部門から、対策にいろいろ応じるということについては、重要ではございますけれども、それに加えて被害者自身の状況も支援しなくてはいけないということも重要な点であります。
ちゃんと被害者のお子さんに対して、十分なケアを提供すること。回復支援。また社会に再統合できるように図ってあげるという必要性があるわけです。これも決して見くびってはならないものでございまして、子供たちはもちろん、こういったサービスを受けるということで権利があるわけですから。
もちろんいろいろな関連各所、センター等が支援サポートを提供しているということは、とても重要なことではあるんですが、もう少しセンターですとか施設でも、特化してもいいのではないか。サービスに専門化する余地があるんじゃないかと思ったところであります。

被害に遭った子供の回復プログラム
具体的にサービスの内容を絞って、センターとして特化するというやり方でございまして、県、地方、公共団体レベルのみならず、もう少し下がって、市町村レベルにおいて、こういった子供たちのケアをする施設。24時間、7日体制、365日ずっとオープンにしておくといったような施設も必要ではないかと感じました。
さらに、子供の権利をさらに強化するという面で余地があるのではないかとも感じた次第です。ケアを提供する。また回復を助けるといったような支援が、いろいろ提供されているわけではございますけれども、今後はさらに回復プログラムを設計する段階から、被害者本人が、より関与できるように、相談に預かれるようにすることがいいのではないかと思いました。
ケアの分野では、まだまだ改善の余地があるのではと思った次第です。特に具体的には、ジェンダーに対して考慮をもっと厚くする余地があるのではないかということです。
特にこういった事項の被害者の大半は女児ではあるんですけれども、しかしながらこの頃、搾取対象に男児が入ってくるということも結構、人数が増えているというものも問題化しているので、具体的な対策が必要と感じました。
特に性的マイノリティの人たちであるLGBTの要素も入ってまいりましたので、性的搾取の被害者になった方々の対策は、より広範な視点から行う余地があるのではないかと思っています。
もちろんその問題がいろいろ起こっているということで、対策がさらに必要であるということであります。搾取の被害者にならないようにということで、子供たちにももっと啓蒙するという必要があるわけです。
NGOですとか、そういった支援を提供できますけれども、NGOのみならず、公的当局、特に教育を行っている当局の支援が欠かせないと思っております。
子供たちは教育施設で教育を受けているわけですけれども、教育の内容というのは、正式の授業科目以外のものもあるはずです。
日本において、子供の性的搾取に対しての対策ということで、包括的な戦略が必要と感じております。唯一存在する包括的なテキストというのは、2001年に戻るものしかないということで、このまずバージョンをアップデートする必要があるのではないかと思っています。
具体的に実施措置を盛り込むことと、それなりに資源も配分するということです。まず包括的な戦略を採択するということが必要だと感じておりますし、根源となる原因究明についてのリサーチ、研究も欠かせないと思っております。
プッシュとプル、両側面からということであり、また現に子供の性的搾取については、いろいろな形態があり得るということでありますので、これについても幅広く視点を持って考えるということであります。そして実効性の高い政策立案をすることではないかと思っています。
テーマによっては、公の場でディベート、討論をするということも重要だと思います。特に漫画ですとかアニメという面で。

子供の性的搾取が起こる主な原因
子供の性的搾取を撲滅する意味で、日本では真の進展も、もちろん起こっているわけですけれども、さらに真の意味で進展を促進していくために必要なことは、本源的な原因を、まず究明するということであります。
そして主要な原因の1つというのを、沖縄でまさに目の当たりにしたんですけれども、やはり原因は貧困にあるということです。また、ジェンダー平等が足りないというのも原因の1つになっていると思っております。
冒頭で申し上げたように、こういった事態を受け入れてしまうような社会の寛容性があるのではないかということ。
そして、実際にそういった行為を犯してしまった本人に対して、不処罰。罰が加えられないという状態が続いているということも、実態であります。
ですので、この辺で対策を取るということができれば、日本でも、100パーセント児童の性的搾取はなくならないまでも、大きな進展をきたすことができることは明らかです。
子供の権利を守るというコミュニティの中で、日本は確固たる地位をちゃんと持っておられます。2001年に沖縄で、第2回目の世界会議も開催されたわけでありますし、今後2020年の東京オリンピックも、またいい機会になるのではないかと思っております。
何しろ児童、また青少年を対象としたケアをちゃんと提供すること。そして子供たちの搾取が撲滅できるように目指していくということです。これについて弾みも、日本では付いております。
申し上げたように昨年、関連法の改正も行われたわけでありますので、ぜひ、せっかくの機会があるわけですので、ご活用いただいて、努力を継続していただいて、このお部屋にいらっしゃる方々全員が望んでおられる共通目的。世界から子供の搾取をなくすということが、ぜひできれば、ストップをかけることができればと願っております。
以上、ご清聴大変ありがとうございました。

全国に1万人以上の無戸籍者 配偶者のDVで出生届出せぬ例も

ガジェット通信 2015年11月3日

「裁判所の決定には信じられない思いでいっぱいです。私たちの主張をまったく汲み取ってもらえませんでした。このままでは終われません」
神奈川県在住のアキさん(仮名33才)はそう語る。小柄な体にまっすぐな瞳。真摯で丁寧な口調から、過酷な生い立ちに負けない意志の強さを感じさせる。彼女は生まれてから今年6月までの33年間、戸籍がないまま生きてきた。
8月7日、藤沢簡易裁判所は、アキさんの出生届を提出しなかった母親に対し、「戸籍法違反」と認定。過料5万円を科す決定を下した。異議申立ては認められず、母親は横浜地裁に即時抗告した。

「血の通った判断ではない」
アキさんのこの言葉には、国と闘う覚悟と司法の無理解への絶望が同時に滲む。アキさんが生まれたのは1982年2月。母親と交際男性の間に生まれた子だった。アキさんの生まれる前、母親は九州地方で前夫と結婚生活を送っていた。しかし、前夫から日常的に激しい暴力を受けるようになり、1980年、逃げるように家を出て神奈川県に移住。アキさんの父親となる男性と同居を始めた。
アキさんが生まれ、役所に出生届を提出しに行った母親は、窓口でこんな事実を告げられた。

「離婚が成立していないので、生まれた子供は前夫の戸籍に入ることになります」
背景にあるのは民法772条。

《婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する》
法律の壁に立ちすくむ母親に、役所はさらに恐ろしい事実をつきつける。
「出生届を提出すると、私の存在と居所が母の前夫に知られることになると言われたそうです。
酒乱で酒を飲んでは母に暴力をふるい、時には包丁を持って追いかけたり、斧を投げつけることもあったと聞きました。母が家を飛び出した時も、あらゆる所に電話をかけ、しつこく探したといいます。そのため母は息を潜めて暮らしてきました。
もし居場所が見つかってしまったら自分だけでなく娘の私まで命の危険にさらされる。やっとの思いで手に入れた平穏が、私の出生届によって壊れてしまう可能性があったんです」(アキさん)
前夫に知られず出生届を出す方法はないか。アキさんの両親は家庭裁判所に足を運んで相談したが、「前夫への連絡は避けられない」と突き放された。母親は出生届の提出を断念せざるを得なかった。こうしてアキさんは無戸籍になった。
法務省の調べでは、現在、無戸籍の人は全国に少なくとも665人いる。アキさんの代理人を務める南裕史弁護士によれば、この数字は氷山の一角だという。
「665人というのは、あくまで行政に相談に来た件数です。アキさんの母親のように、夫のDVのために隠れて暮らすしかない人々は、相談にも行けない。そうしたケースは人数にカウントされません」(南弁護士)
支援団体「民法772条による無戸籍児家族の会」(井戸正枝代表)によれば、全国に1万人以上の無戸籍者がいると推定している。過去にNHKが全国の県庁所在地など主要自治体118か所から回答を得たアンケートでは、9割を超える自治体に無戸籍者が存在した。法務省で確認された665人のうちおよそ7%は、アキさんの母親と同じように、配偶者のDVにより出生届が出せなかったケースだという。
2014年度のDV認知件数は過去最高の5万9072件(警察庁調べ)。配偶者の暴力等を原因とする離婚は増加の一途を辿っており、それに伴い、社会の目が届かない無戸籍の子供も増えていることが懸念されている。
昨年、義務教育年齢にもかかわらず学校に通っていない居所不明児童、いわゆる「消えた子供」が全国で3000人に上ることが発覚し、社会問題となった。だが、無戸籍者は消えたのではなく、“最初からいない”ところに問題の根深さがある。南弁護士が語る。
「彼らは一切の身分証明がないんです。自動車の運転免許も取れないし、銀行口座を作ることも、携帯電話の契約をすることもできません。パスポートも作れず、選挙権もない」
アパートやマンションの賃貸契約は結べず、前述のように、健康保険に加入しないと病気になったら高額の医療費を全額自己負担しなければならない。今話題のマイナンバーも無戸籍者には届かない。

社説:虐待9万件 児童相談所の充実急げ

毎日新聞 2015年11月4日

2014年度に全国の児相が対応した児童虐待の件数は8万8931件に上った。前年度から20.5%増え、過去最多を更新した。
13年8月に被害児童のきょうだいも心理的虐待を受けたとして対応を始めたことが影響している。
親が子供の前で配偶者に暴力を振るったりする「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」について警察からの通報が増えたことや、地域社会の関心が高くなったことも要因という。
今年7月からは虐待の通報、相談を24時間受け付ける児相の全国共通ダイヤル「189」の運用も始まった。今後、対応件数はさらに増えるだろう。
一方で、児相の要員不足は長年指摘されてきた。
厚生労働省の専門委員会が9月に公表した報告書によると、13年度の対応件数は1999年度の約6.3倍に増えたが、虐待対応を中心的に担う児童福祉司は約2.3倍の増加にとどまる。児相の負担は重くなるばかりだ。
専門委員会によると、13年度に虐待で死亡した36人(無理心中を除く)を担当した児相職員は、年平均で1人当たり109件もの相談事案を受け持っていた。きめ細かい対応を望める状況とはとても言えない。
神奈川県厚木市で昨年、当時5歳とみられる男児が父親に放置されて死後7年たって発見された事件でもそうだった。児相が一時保護しながら他のケースの対応に追われて家庭訪問を怠り、救えなかった。
被害児童を親から引き離して保護した後、再び家庭へ戻すことも児相の仕事だ。その負担はさらに大きくなるだろう。
児相や関係機関の連携は一定程度進んだ。自治体、医療機関、警察などとつくる「要保護児童対策地域協議会」で情報を共有しながら対応するところが多い。
しかし、協議会が扱う事案が増えて対応が困難になっている。情報共有自体が不十分なケースも少なくないという。
死亡事例の多くは0歳児だ。妊娠期からの母親への支援を強化するためにも、保健師や産科病院との連携はいっそう重要である。協議会の立て直しも急がなければならない。
一人親家庭の増加や貧困、不安定な就労など虐待を生みやすい社会状況は深刻である。児相の態勢充実は待ったなしだ。
安倍政権は出生率の向上を目指している。この世に生を受けたのに、虐待にさらされている子供たちを救うことにも力を注いでほしい。

子どもの貧困支援、給付型奨学金を提言 沖縄県の検討会

沖縄タイムス 2015年11月3日

福祉や教育団体の代表、学識経験者らでつくる県子どもの貧困対策に関する検討会の山入端津由会長(沖縄国際大学教授)らが2日、沖縄県庁を訪れ、翁長雄志知事に提言書を手渡した。県が本年度に取りまとめる推進5カ年計画に、子どもの貧困を自己責任論ではなく、社会全体で取り組む課題であるとの視点を入れることを提起。返済義務のない給付型奨学金制度の創設など教育や生活、就労、経済の各分野から幅広い支援策を盛り込んだ。
県内の子どもの貧困率は、ひとり親世帯の多さや生活保護や進路未決定、非正規就業の率の高さなどから全国平均16・3%を大幅に上回ることが予想される。提言はこうした課題に対応する形で、教育や生活を支援する人材確保など具体的な改善策が盛り込まれた。
山入端会長は「貧困の連鎖」から抜け出るため就学支援の必要性を挙げると同時に、子どもの自己肯定感や社会への信頼感を育む施策が必要だと指摘した。
翁長知事は「推進計画や調査をしっかりやって実のあるものにしたい」と述べ、内容を尊重して計画を作る考えを示した。
検討会は7月から10月まで4回の会議を開き、児童養護施設を経験した当事者や若者の居場所づくりを支援するNPO代表らを含む幅広い現場の意見を取りまとめた。県は今後、子どもの貧困に関する初の県調査も踏まえ、年内に計画素案をまとめる予定で、年明けにパブリック・コメント(意見公募)を実施する。

12月から施行されるストレスチェック制度について記者解説です。

フジテレビ系(FNN) 2015年11月3日

12月から雇用する側にストレスのない職場づくりが求められます。
フジテレビ厚生労働省担当の中川 真理子記者が取材・解説します。

東京・千代田区のCDG東京本社。
その会議室には、マッサージチェアが置かれていて、同僚が仕事中にもかかわらず、マッサージを受ける社員。
マッサージを受けていた社員は「会社としても使ってくれと言われているので。昼休みとか、空いているタイミングで、スケジュールを入れて使っている」と語った。
ほかの社員からも、「会議中に、僕は1回、使用させてもらいました」、「仕事と休憩でメリハリがついた」などといった声が聞かれ、評判も上々。
このマッサージチェアには、脈拍を測定する機能もついていて、ストレスの度合いもわかる仕組みになっている。
一方、東京・渋谷にあるIT関連企業「CIN GROUP」のオフィスでは、スピーカーからジャズが流れる。
社員は、「自分の仕事に集中するのは、すごくしやすい」、「結構、癒やされますし、雰囲気がいいです。音楽がかかっていた方が」などと語った。
しかし、ジャズが流れるのはここだけ。
すぐ隣にある休憩スペースには、リラックスできるようにとヒーリング系の音楽が流れていた。
これらの音楽は、飲食店などにBGMを配信している、USENが新たに始めたサービス。
オフィス環境を快適にするため、専門家が監修の下、4つのテーマの音楽を配信している。
2年前から開始したという。
USENの山下一成統括部長は「昨年(2014年)から5,000社以上の企業から、資料請求いただいておりまして。お客さま企業からの問い合わせは、急速に増えています」と語った。
職場を快適にする音楽が、最近、注目されているという。
仕事のストレスを少しでも軽くしようと始まった、音楽やマッサージ機の導入。
こうした取り組みの背景には、12月から施行される法律があった。

(こうした職場作りが進む背景は?)
12月1日から、労働安全衛生法という法律が変わりまして、ストレスチェック制度というものが始まるからです。

(ストレスチェック制度は、労働者がどれぐらいのストレス状態にあるのかを調べるアンケート。会社側が行うものですが、労働者のためにあるものなんですね?)
このアンケートに回答しますと、医師が回答を分析します。
どのぐらいのストレスの状態にあるかというのを、産業医などの医師が評価しまして、その社員の人が、高ストレス状態にあると判断された場合には、医師が従業員に面接指導したり、医師が会社側に職場環境の改善ということをアドバイスしたり。

(なぜこの制度が始まった?)
日本は、自殺者が非常に多い国といわれています。
依然として、2014年も2万5,000人を超える人が自殺して、亡くなってしまっています。
このうち、企業などに勤める会社員などは、3割近くいるということで、非常に自殺者が多いということで対策が急務となっています。

(課題は?)
認知度がまだまだ低いということです。
企業でも対策はとっているんですけど、多くの企業は職場環境の改善をどのようにしたらいいのか、まだ何をしていいかわからないというのを、悩みとして抱えているということです。.