子ども対策で意見聴取=1億総活躍国民会議

時事通信 2015年11月5日

安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」実現への具体策を検討する国民会議の民間議員が5日、子どもの貧困対策や保育に携わる事業者らを内閣府に招き、初の意見交換会を開いた。
来年春にも策定する「日本1億総活躍プラン」に反映させる。
冒頭、加藤勝信担当相は「現場で経験を積んでいる人の意見を取り入れ、議論を深めていきたい」とあいさつ。子どもの学習・進学支援に取り組むNPO法人「キッズドア」の渡辺由美子理事長は、子どもの貧困率が上昇していることについて「若年層の非正規雇用が増え、年収が上がらないことが原因」と指摘した。
また、社会福祉法人「どろんこ会」の安永愛香理事長は、短大などの保育学科の卒業生のうち3割程度しか保育の現場に就職しない現状を説明し、「少なくとも5割に引き上げる努力をすべきだ」と訴えた。民間議員からは「保育士の社会的地位を上げることが重要だ」との意見が出た。

療養費詐取「ずさん審査が元凶」 バイト感覚…芸人ら数百人加担

産経新聞 2015年11月7日

暴力団関係者らによる診療報酬や療養費の架空請求事件では、暴力団組員やお笑い芸人ら数百人が保険証を提供しており、少額の報酬目当てに「アルバイト感覚」で詐欺に加担していた格好だ。全国で絶えない診療報酬の架空請求。捜査幹部は「ずさんな審査が不正請求の元凶だ」と分析している。

報酬は数千円
「なんのことだか、分かりません」
10月中旬、架空請求に名前を使われていたお笑い芸人の男は産経新聞の取材に悪びれる様子もなく答え、お笑いのライブ会場を後にした。
警視庁組織犯罪対策4課が入手した保険証を提供したとみられる名義人には、数百人の名前がずらりと並ぶ。その中には、暴力団組員、お笑い芸人の名前もあった。捜査幹部は「保険証提供者の報酬はせいぜい数千円。アルバイト感覚でやっていたとしか思えない」と指摘する。
提供を受けた保険証を悪用して診療報酬や療養費を架空請求していたのは病院や接骨院、歯科医院。テレビ番組に出演して豪遊体験を話していた女医が勤務するクリニックも含まれていた。
医療機関側からは、三戸慶太郎容疑者側に詐取金の一部が上納されていた。三戸容疑者らは経営の苦しい医療機関に目を付けては犯行グループへ勧誘していたとみられる。

不正額146億円
診療報酬や療養費は、医療機関側が国民健康保険団体連合会などを通じて自治体や健康保険組合に請求して受け取る仕組みだ。
厚生労働省によると、昨年度の国民の医療費は概算で約40兆円。財政赤字に苦しむ政府にとって医療費抑制は主要課題の一つだ。
だが、厚労省によると、不正が発覚して保険医療機関の指定を取り消されたりした医院などは平成25年度だけで59機関、不正請求額は計146億円に上る。
申請の審査を担当する国民健康保険中央会によると、各都道府県で審査する請求は毎月数十万~数百万件。関係者は「傷病名に対する治療内容が合っていれば、不正に気付けない」と打ち明ける。厚労省医療指導監査室も「患者側が結託すると発覚は難しい」とさじを投げる。
ただ、捜査関係者は「摘発だけでは歯止めをかけられない。審査自体に問題がある」と指摘。「同じような治療を短期間に繰り返すなど、全体を見れば不審な動きは見つかる。不正な入出金を自動的に監視している銀行のようなシステムの導入が必要だ」と主張している。

子育てにシニアパワー

読売新聞京都 2015年11月6日

府が「達人」育成・認定
高齢者が持つ経験や知識を育児に生かしてもらおうと、府は来年1月から「子育ての達人」育成事業を始める。核家族化が進み、祖父母が孫と触れ合う機会が減る一方、若い親は育児の悩みを相談できず孤立する事例も少なくない。子育て世代の不安を和らげ、高齢者の社会参加にもつなげようと、同様の取り組みは各地で広がっている。(升田祥太朗)
事業では、府内各地で順次、受講者に5日間計16時間の研修を実施。子どもの年齢に応じた接し方などについて専門家から講義を受けるほか、コマ回しやお手玉、折り紙など昔の遊びを通じたコミュニケーションの取り方を学ぶ。保育施設で実習も行う。
全ての研修を終えた受講者は、府が「子育ての達人」として認定。居住地域の自治体や保育所、児童館などに紹介し、要請に応じて活動する。受講料は無料で、年齢や資格は問わない。府は2019年度までに700人の認定を目指す。

こうした動きは各地で見られる。兵庫県では08年度から、自宅などで地域の子どもたちに書道や将棋を教えたり、農業体験をさせたりする個人・グループを「まちの寺子屋」として登録。初年度の登録は約30団体だったが、現在は114団体まで増え、高齢者の生きがいづくりにもつながっているという。
福岡県では12年度から、一定の講習を受けた60歳以上を「子育てマイスター」に認定。保育所や託児所、家庭に派遣し、子どもに昔の遊びや礼儀作法を教えるなどしている。認定者は1000人近くに上り、今年度内には活動内容を紹介する冊子を作成し、保育施設などに制度の活用を促す。

背景には核家族化の進行がある。厚生労働省の統計では、全国で18歳未満の子がいる世帯のうち、3世代同居の割合は1986年の27・0%から2013年は16・3%に減少。府内でも3世代同居は00年の約8万世帯から10年で約5万7000世帯に減った。祖父母が育児の一端を担う環境は薄れ、子育て世帯にかかる負担は増していると考えられる。
府子育て政策課の担当者は「地域全体で子育てを支援するという機運を高め、高齢者から子どもまで3世代ともに良い影響が生まれることを期待している」と話している。

死の直前に見る夢は 米研究

ITmedia ニュース 2015年11月06日

人生を終える直前に見る夢は、既に他界した親類や友人のものが多い──米大学がこうした研究を発表した。他界した知人の夢は、人生を終えようとしている人にとって「特に強い安らぎをもたらす」という。こうした知見が終末期医療に役立つ可能性があるとしている。
米カニシアス大学の研究チームは、ホスピスなどで終末期医療を受けている66人の患者から夢について聞き取り調査をした。死ぬ直前に見る夢についてはさまざまに記録されてきたが、科学的に調査されたことはなかったという。
患者は見た夢をリアルなものだととらえる傾向にあった。既に亡くなった友人や親類が登場する夢は、生きている友人らが登場する夢よりも強い安らぎを感じ、患者が死に近づくにつれこうした夢が多く見られていたという。
治療に伴う幻覚ではという指摘もあるが、研究チームは「幻覚は非現実的で無意味なものだが、こうした夢は安らぎがあり、リアルで、意味のあるものだ」として異なるものだと結論。死の直前にある人のクオリティーオブライフの改善につなげられるかもしれないとしている。