「真っ暗な野に放たれたよう」 施設保護年齢引き上げ 18歳で退所の男性、法改正議論を歓迎

産経新聞 2015年11月19日

「進路や就職が決まらないまま施設を出るときは、真っ暗な野に放たれたような感覚。親に捨てられたのが1度目とすれば、『自分は2度、捨てられた』という気持ちになる」
約7年間を児童養護施設で過ごした久波(くば)孝典さん(22)はこう話し、18歳で原則、施設退所が求められる児童福祉法の改正議論を歓迎する。
小学2年のときに父親が自殺。その後、母親が久波さんに暴力をふるうようになり、痕が残るほどビニールひもで首を絞められたこともある。家出を繰り返しては警察に保護され、小学5年で児童養護施設に入所した。
高校3年になると、友人の間で進路の話題が増えた。久波さんは漠然と進学を希望したが、将来への実感が持てなかった。学費や住居をどうするのかという不安とともに「問題に立ち向かうエネルギーがなかったこと」が一番の理由という。行動を起こす前に卒業を迎えた。「施設の指導員は相談に乗ってくれるが、親の後ろ盾がなく育った施設入居者は、じっくり考えて意思表示する、人に手伝ってもらってでも何かを成し遂げる、といった発想を持ちにくい」と振り返る。
久波さんは施設を出た後、親と暮らせない未成年者が共同生活する「自立援助ホーム」に入居し、大学の夜間学部に合格。現在はインターンで、子供の貧困問題に取り組む公益社団法人で働きながら大学に通う。インターン先は、施設出身者を支援するNPO法人や企業の紹介で知った。社会の仕組みを知り、人脈も得るようになった。
一方、施設出身者には安定した仕事がないまま結婚・離婚するなど、生活状況が思わしくない人も多い。久波さんは「20歳まで施設にいられれば金銭的にも時間的にも余裕が生まれ、精神面で追い詰められることも減ると思う。将来のイメージを持ちやすくなり、自立へのハードルも下がるのではないか」と話した。

「梅毒」患者数、20代前半女性で急増 厚労省が注意呼びかけ

フジテレビ系(FNN) 2015年11月19日

性感染症の「梅毒」の患者の数が、20代前半の女性で、2014年の3倍近くに急増していることがわかり、厚生労働省などが注意を呼びかけるなどの対策に乗り出した。
国立感染症研究所などによると、11月8日までに報告された「梅毒」の感染者数は、2,155例と、2014年の同じ時期と比べて、およそ1.5倍に増加しているという。
このうち、20~24歳の女性だけをみると、2014年に比べ、2.7倍に急増しているが、くわしい原因についてはわかっていない。
山の手クリニック池袋院の山口真澄医院長は「月に1例だったのが、2例になっていますので、実際に増えている。今は、(性に関する)教育と予防が、少しおろそかになっているということだと思う」と話した。
梅毒の流行を受けて、厚労省は、啓発活動や、全国の自治体や医療機関に対する注意の呼びかけなどを行う方針。.

<ブラックバイト>苦痛抱え込まないで

河北新報 2015年11月19日

仙台市の男子大学生による労働審判申し立ては、学業に支障を来すほど重責を担わせ、低賃金で働かせる「ブラックバイト」が仙台でも横行している現実を問題提起した。ブラックバイト被害に悩む学生は多いが、法的措置をためらっているのが現状とされ、男子大学生は「同じ苦痛を抱え込まないでほしい」と訴えている。
宮城県内の学生でつくる労働組合「仙台学生バイトユニオン」(青葉区)には4月以降、賃金未払いなど約30件の相談が寄せられた。メンバーの森進生さん(26)は「まじめで責任感の強い学生が『社会に出るための経験』と頑張ってしまう」と指摘する。
男子大学生の代理人を務める太田伸二弁護士は「暴力や暴言で従わざるを得ない心理状態に追い込まれる」と説明。店舗運営の中軸を担わされ、次第に生活がアルバイト一色となり、退職に踏み切れないケースもあるという。
厚生労働省は今月、学生の約6割が賃金不払いなどのトラブルを経験したとする調査結果を初めて公表した。森さんは「泣き寝入りする学生が多く、今回の申し立ては声を上げる重要性を示した」と評価する。