<子供の貧困問題>放置すれば経済損失2.9兆円 日本財団

毎日新聞 2015年12月3日

子どもの貧困を放置すれば、経済損失は約2.9兆円に及び、国の財政負担は約1.1兆円増える--。現在15歳の子どもを対象にした研究で日本財団がこんな試算を出した。15歳に限らなければ損失額は何十倍にも膨れ上がるという。日本財団は子どもの貧困対策を「慈善事業でなく経済対策として捉え、官民で取り組むべきだ」と指摘する。
研究は今年7~11月、日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都)が実施した。15歳の子ども約120万人のうち、ひとり親家庭の15.5万人、生活保護家庭の2.2万人、児童養護施設の0.2万人の計約18万人を対象とした。子どもの時の経済格差が、学力や進学率の教育格差を生み、将来の所得に影響すると推定し、現状のままの場合と教育格差を改善した場合を試算した。
大学や専門学校などへの進学率は80%に達しているが、貧困世帯の子どもは32%にとどまる。18万人の就業状況を推定すると、正社員は8.1万人、非正規社員3.6万人、無職4.8万人などとなり、現状では64歳までに得る所得の合計は約22.6兆円だった。
一方、何らかの対策が行われ、高校の進学率、中退率が一般家庭の子どもと同じになり、大学などへの進学率が54%まで上昇したと仮定すると、正社員は9万人に増加し、非正規社員は3.3万人、無職は4.4万人に減少して、合計所得は約25.5兆円に増えた。
所得が増加すれば、国に納める税金なども増える。税と社会保険料の個人負担額から、医療費や生活保護費などの給付額を差し引いた「純負担額」は、現状では約5.7兆円だが、改善すれば約6.8兆円になった。
厚生労働省によると、17歳以下の子どもの貧困率は16.3%(2012年)で過去最悪を更新し、6人に1人が貧困状態にあるとされる。日本財団は「子どもの貧困を経済的観点から見た調査はこれまでなかった。国民全体の問題と捉え、官民の対策の後押しになれば」としている。【黒田阿紗子】

子どもの行動が変わる!理解したい子どもの気持ちポイント4つ

ラーニングパーク 2015年12月3日

子どもが思うように言うことを聞かずに困る……。そんな悩みを持つ保護者は多いはず。ベネッセ教育情報サイトでは、保育士で《こどもコンサルタント》の原坂一郎氏に、幼児期を中心にした子どもの気持ちを知り、育児をもっと楽しくするコツについて伺った。

大人の人間関係では「相手の事情」が理解できると、相手の行動も受け入れやすくなって関係が円滑になるもの。育児でも同じことがいえます。子どもの行動には、子どもなりの事情があります。そこを理解し気持ちを知ることができれば、育児は大きく変わっていきます。では、子どもの事情とは? いくつか例をご紹介しましょう。

子どもは知識や経験が少ない
生まれてから数年しか人生経験のない子どもは、たとえば「ガラスのコップを落としたら割れた」という経験をまだ何度もしていません。何回もやってみないと覚えられないこともたくさんあり、同じ過ちを繰り返します。

子どもは体力がない
発育途上の子どもは、大人より体力がありません。大人と同じ歩調で歩けないのは当たり前。すぐにスプーンを落とすのも、握力が弱いことが原因かもしれません。

子どもは理解力が低い
知能が発達していない分、子どもの理解力は低くなります。注意をされても、その言葉の中に一つでもわからない単語があると、内容がまったく伝わらない場合も。だから、何度も注意されるのです。

子どもは「冒険心」「好奇心」「探求心」で動く
子どもは、「冒険心・好奇心・探求心」という3つの欲求を抑えられず、後先考えずに動きます。

子どもの事情が理解できたら、それを考慮して接してみてください。「何かを伝える時は、ゆっくりと、わかりやすく、何度でも説明する」「体力や技術力を必要とする行為は、保護者が手伝うか最後まで根気強く付き合う」など、子どもの気持ちを受け入れて接するだけで、子どもの行動が変わり育児も楽しくなるはずです。

最低賃金1000円に引き上げ、その効果は?

THE PAGE 2015年12月3日

安倍首相は11月24日に開催された経済財政諮問会議において、最低賃金を引き上げ、全国平均で1000円を目指すと表明しました。最低賃金の引き上げで消費を拡大させようという目論見ですが、果たして効果はあるのでしょうか。
現在、日本の最低賃金は全国平均で798円となっています。金額には地域差があり、もっとも高い東京は907円、もっとも安い沖縄や高知などでは693円です。日本の最低賃金が国際的に見て極めて安いという事実はよく知られています。フランスは9.6ユーロ(約1249円)、英国は6.7ポンド(約1242円)、米国は州によって異なりますが各州を平均するとだいたい8ドル(約983円)位になります。米国でも都市部ではシアトルのように15ドルへの引き上げを決定したところもあります。
安倍首相は、現在798円となっている最低賃金を毎年3%ずつ引き上げ、最終的には1000円を目指すとしています。日本は円安によって輸入物価が上昇しており、労働者の実質賃金は下がる一方です。現在の最低賃金では生活を維持するのがやっとですから、これを引き上げることができれば、国民の所得向上に一定の役割を果たすことになるでしょう。
ただ、今回の最低賃金引き上げは、3%という数字からも分かるように、安倍政権が掲げた名目GDP(国内総生産)600兆円という目標を達成するための施策のひとつです。安倍政権は、経済界との間で開催している官民対話において財界に対して3年連続の賃上げを強く要請しており、経済財政諮問会議では3%の賃上げが必要との見解が出ています。2020年度に名目600兆円のGDPを達成するためには、計算上、年3%ずつGDPが増える必要があることを考えると、賃上げや最低賃金の引き上げ水準は、これを意識して作られたものと見て間違いないでしょう。つまり、600兆円ありきの政策目標というわけです。
現在、日本経済は非常に供給がタイトとなっており、このタイミングで強制的に賃上げを実施すると、物価上昇に弾みがつく可能性があります。人件費の高騰が、生産性向上のための改革につながってくれば、経済はよいメカニズムで回り始めます。一方、企業が現状の利益維持だけを考えてしまうと、人件費の高騰が値上げを加速させる形となり、労働者の実質賃金は増えません。
最低賃金引き上げを、実質経済の持続的な回復につなげていくためには、女性の社会進出の活性化や労働市場の整備など、制度的な側面支援が不可欠です。

高齢者世帯の受給増加で生活保護世帯が過去最多

エコノミックニュース 2015年12月3日

生活保護世帯が9月に162万9598世帯と過去最多になった。8月に比べ874世帯増えた。前年同月比では1万7645世帯も増えていた。厚生労働省が2日発表した。
また生活保護を受けた人は216万3584人で、8月に比べ228人増えた。一方で前年同月比では1325人減少した。
生活保護を受けた世帯の内訳では高齢者世帯が80万301世帯と全体の49.4%を占めた。前月に比べ1198世帯の増になった。前年同月比では4万1187世帯の増になっていた。
高齢者世帯の増加に比べ、母子世帯は10万4723世帯と前月比で107世帯の増にとどまり、前年同月比では3784世帯の減となった。傷病者や障がい者世帯は44万3138世帯(うち傷病者世帯は25万3386世帯)で前月より13世帯減少。前年同月比では1万2166世帯減少していた。
このほかの世帯では27万2564世帯と前月より511世帯減り、前年同月比では7823世帯の減少となっていた。
高齢者世帯の受給増加は年金収入だけで生活できない世帯が増えていることを浮き彫りにしており、今後も増え続けるとみられる。(編集担当:森高龍二)