約7割が子育てに不安!理由はなに?

R25 2015年12月18日

子育ては素晴らしい経験のひとつといわれることもありますが、なかには子育てがつらくなるケースもあります。いったいどのくらいの親が、子育てに関して負担や不安を抱いているのでしょうか? 厚生労働省が10月27日に発表した『人口減少社会に関する意識調査』のなかに、子育てに関する項目が含まれているので見てみましょう。

多くの親が悩む子育ての負担・不安とは
0~15歳の子どもを1人以上持つ人(626人)に対して、子育てをしていて負担・不安に思うことがあるかを質問したところ、「どちらかといえばある」(43.6%)がもっとも多く、次点は「とてもある」(28.8%)、「どちらかといえばない」(13.8%)、「ない」(7.8%)、「わからない」(5.9%)となった。「どちらかといえばある」「とてもある」を合わせると、約7割の人が子育てに対して、何かしらの負担・不安を抱いているようです。
では、具体的にどんなことに悩んでいるのでしょうか? 複数の項目を用意し、あてはまる項目をすべて選択してもらったところ、もっとも多かったのは「子育ての出費がかさむ」(46.2%)となり、次点は「将来予想される子どもにかかる経済的負担」(40.8%)という結果になりました。出産から大学卒業までにかかる総額が1000万円や3000万円と言われることもあるので、子育て費用は大きな悩みのひとつかもしれません。
他には、「子どもが病気のとき」(33.3%)、「自分の自由な時間が持てない」(30.1%)、「子育てによる精神的疲れが大きい」(27.8%)を選択する人が多い結果となっています。例えば、共働き夫婦の場合は、子どもが病気になってしまうと、どちらかの仕事に支障をきたす可能性もあるでしょう。また、子育てをしていると自由の時間がなくなり、精神的にも肉体的にも疲れが溜まることも考えられます。夫婦で協力したり、たまには自分やパートナーの親に子どもを預かってもらったり、何かしらの方法で息抜きができるような環境づくりをしておくとよさそうです。
前述の項目よりは少ないですが「子どもを通じての親同士の付き合いや人間関係がわずらわしい」(15.2%)と思っている人も。最近では、ママ友同士のトラブルやストーカー、迷惑行為が話題になることがあり、実際に人間関係で悩んでいる人も少なくないのかもしれません。
子育ての負担・不安は、場合によっては育児ノイローゼなどにもなりかねません。「つらいな」と感じたら、1人では抱え込まずに周りに相談するといいでしょう。
(文・奈古善晴/考務店)

ソーシャルワーカーの魅力とは 女子大生が同世代にアピール

福祉新聞 2015年12月18日

大学生が若者にソーシャルワーカー(SW)の魅力をPRしようと、昭和女子大学福祉社会学科(東京都世田谷区)の学生が、SWへのインタビューや福祉に関するアンケート調査をパネルにまとめ、11月14・15日の文化祭(第23回秋桜祭)で発表した。
インタビューでは3年生の八つのゼミが、それぞれ地域包括支援センター、児童家庭支援センター、障害者施設などを訪ね、職員に仕事内容、やりがい、SWの専門性などを質問。その中から感じたSWの魅力として「制度にとらわれず新たな仕組みを作れる」「利用者が本当の自分に出会える再スタートの瞬間に立ち会える」などが挙げられた。
大学生に感想を聞くと、「仕事の幅がすごく広い」「虐待などの事情を聞くとつらかった」と現場を知る機会になった一方で、「せっかく良い取り組みがあるのに十分に知られていないのでは」との指摘も。
またアンケート調査は、同学科以外の学生598人から回答を得た(中間報告)。結果から、精神保健福祉士の認知度が特に低いこと、他の対人援助職に比べSWは地域で働く人のイメージが強いことなどが分かった。
指導する北本佳子・同学科長は「福祉の仕事は大変というステレオタイプな伝わり方を打破したい」と話し、学生に対して「卒業後どの分野に進むにしてもソーシャルワークの意識を持ってほしい」とエールを送る。
大学生はPR用にキャラクター「そーさる君&ふくさん」を作成。また文化祭では現場で働く人から話を聞くリレートークも開かれ、SWの理解を深めていった。そして、来年2月に開かれる学内学会でSWのPR戦略を発表する。

ウケればいい!? 児童虐待の様子をSNSにあげる“SNSヤンキー”な親たち

All About 2015年12月17日

「ウケてんだからいいじゃん」
若い親が幼児にタバコを吸わせ、その様子を写真・映像に収めてSNSにあげるという事件が立て続けに起こった。
1歳男児にたばこ、フェイスブックに投稿 千葉の男女書類送検「悪ふざけだった」
(http://www.sankei.com/affairs/news/151208/afr1512080029-n1.html)
また幼児の喫煙写真、SNSにアップされる 「虐待だろ」「逮捕されるべきだ」と批判高まる
(http://news.livedoor.com/article/detail/10847501/)
本人たちはこれを虐待として認識しておらず、あくまでも悪ふざけのつもりで、このような写真・映像をSNSにあげたらどういうことが起こるか想定できずに事に及んでいるらしい。「ウケればいい」という発想で子どもにたばこを吸わせ、せき込み嫌がって泣く様子を撮影して「面白いw」とか「カワイイw」とコメントし合う、その心理が相当病んでいると思うのだが、そういうSNSユーザーの振る舞いを知る人々にとっては、決して驚くことでもないようなのだ。
というのも、SNSやYouTubeなどでも動物虐待の様子をSNSにアップする人もけっこういるらしい。その発想は「面白ネタ」の延長であり、「ノリ」であり、「ウケてんだからいいじゃん」なのだそうだ。

SNSヤンキー、2つの側面
「誰にも迷惑かけてねえじゃん」。
いやいや、子ども泣いてるでしょ? 迷惑がかかってるんだよ。

「ウチの子どもなんだから、親が何しようが関係ねえじゃん」。
いやいや、法律犯してるんだよ。その結果としての書類送検だよ……。

「SNSヤンキー」には、本当のヤンキーであるかどうかも、年収も学歴も家族構成もファッションも関係ない。あくまでも内輪で、SNS上に本当の等身大よりもだいぶ大きな「仮想のイケてる俺/アタシ」がおり、人に見せて「いいね!」を稼ぐことを前提としたウケ狙いの文章・画像・映像をノリでポストする、つまりはSNSで「ウェーイ」な人々のことである。その特徴は、SNSでウケるネタ生活を送ることに血道をあげる“本末転倒”さだ。
実のある日常生活からたまたま切り取った実のある一瞬を投稿して、それがひとに感動や共感を呼んで「いいね!」をもらうのではない。ウケて「いいね!」を浴びること自体に目的があるので、平凡で退屈な日常に「ネタ」を自作自演するのだ。
そしてもう一つの側面は、SNSで自分が投稿している内容が全世界に向けておおらかに発信されていることを全く意識していないということだ。

メールもFacebookもやっている、でも「インターネットは使ってねぇよ」?
とある大手電化製品量販店でパソコンのサポートをしているという青年が苦笑する。
「ウイルスにかかったパソコンをサポートに持ち込む方に、『インターネットを使ってないのにウイルスにかかった』と主張されるお客さんがとても多いんです」
メールは使っていますか、と尋ねると「使ってるよ」。SNSは使っていますか、と尋ねると「SNSって何だよ、FacebookとLINEくらいしかやってねえよ」。ああ、ではネットもお使いですよね、と言うと「だからインターネットやってねえって!」と気色ばむのだという。「つまり、IEとかChromeとかSafari?とかFireFoxとか、わかりやすいインターネットブラウザアプリケーションは使っていないぞという意味なんですよね」。
コミュニケーションツールとしてのSNSの裾野が広がり、SNSを利用する上での心理的なハードルが下がっている。あくまでも自分の側から見えているのは知り合いや内輪だけという、個室感覚で量産される投稿の数々。「なんでみんなが知ってんだよ!」「誰にも迷惑かけてないだろ!」……。自分がいまいる個室は実はガラス張りで、あなたが投稿した情報は技術的には世界中の人々が覗きに来れることを知っておかないといけない。

【関西の議論】異常な土下座要求にNO! 「モンスターペアレント」の?とんでもクレーム? 弁護士の大ヒット対処マニュアルは万能か

産経新聞 2015年12月17日

いじめをした生徒をしかったら、保護者に「うちの子の心を傷つけた!」と土下座を強要された-。
いわゆる「モンスターペアレント」の存在は依然として、学校現場の脅威であり続けている。教師たちの悲鳴を受け、近畿弁護士会連合会が10月、実際のクレーム事例と具体的対処法を記したマニュアル本をまとめた。88の実例を読めば「この親に育てられた子供は、どうなってしまうのか…」と思わず背筋が寒くなるだろう。日本の未来のために、先生たち、ひるむなかれ。

「運動会をやり直せ」
ケース1《雨上がりのグラウンドで行われた小学校の運動会。複数のレースが行われたため地面にでこぼこができ、トップを走っていた児童Aが足を取られて転倒。納得いかないAの母親は「1位になれなかったのは整地を怠った学校の責任。運動会をやり直せ」と校長に要求した》
だれが考えても不合理な要求だが、怒り心頭で抗議する母親に対し、校長は2時間も3時間も謝り続けたという。
仮に児童が転んでけがをしたとすれば、理論的には国家賠償が命じられる可能性はある。ただ本件では児童Aにけがはなく、運動会をやり直す義務もない。本では校長の謝罪について「学校の過失を認めるような対応をするのは望ましくない」とした。

児童の胸ぐらつかむ親
ケース2《児童Aにけがをさせられた児童Bの父親が来校し、Aや教員の胸ぐらをつかんで「Aと違うクラスにしろ」と要求した。学校が拒否すると「学校に行かせられない」と言って、Bは不登校になった》
マニュアル本によると、この事例でのポイントは大きく2つある。
(1)学校がクラス替えに応じる義務があるか
(2)Bの不登校にどう対処するか
そもそもクラス編成の権限は学校にあり、その裁量は相当広く認められているといわれる。どの児童をどのクラスに配置するかということは高度に教育的な判断であり、保護者が口を出す余地はほとんどないのだという。
今回のケースで、AはBに故意にけがをさせたわけではなく、悪意のないやり取りの中で起こったものだった。だから、AとBを別々のクラスにする法的義務はない。
Bの不登校に対しては「虐待」の観点から対処する必要がある。子供を登校させない行為は児童虐待防止法上のネグレクト(育児放棄)に該当する可能性があるのだ。Bの両親を説得しても聞き入れられないときは、児童相談所への通報も検討すべきだとマニュアル本は説く。
一方で、Bの父親がAの胸ぐらをつかんだ行為をめぐっては、学校にもう一段の注意を求めた。学校がAの安全に配慮する義務があることは言うまでもなく、父親の言動を踏まえれば、Aに会わせないようにすべきだった。

無理やり「辞めます」念書
《女子生徒を泣かせた男子生徒を反省させるため、教員が男子生徒を運動具倉庫に入れた。この対応が不適切だったとして教員は訓告処分を受けたが、収まりのつかない男子生徒の保護者が校長室で教員と対面し一方的に罵倒。「指導力がないので教員を辞めます」と無理やり念書を書かせ、それをコピーしてほかの保護者に配布しようとした》
本では、教員の意思に反する形で念書を書かせた行為は「強要罪」に、コピーしたものを配布すれば「名誉毀損(きそん)罪」にあたる可能性があると指摘。校長が取るべきだった対処法として(1)保護者の行為が犯罪になる可能性があること、念書は法的に無効であることを説明して制止する(2)従わない場合は校長室から退出してもらうか、警察への通報も検討する-を挙げた。

保護者が子供を人質に!?
マニュアル本は近弁連が主体となって実施した、全国の小中高校教員へのヒアリング調査に基づいて作成された。教員が保護者からのクレーム対応に苦慮し、時間的にも精神的にも、日常業務がままならない状態に陥っている、という現状が背景にある。
悩める学校側にとっては「のどから手が出るほどほしい」本だったのだろう。出版後1カ月で増刷するほど好評だ。
ただ、保護者との関係をすべて法律で割り切ってしまうことに、違和感を覚える教師もいるだろう。マニュアル本を現場でどう活用すればいいのか。
編集に携わった森谷長功(ながのり)弁護士(大阪弁護士会)は「教師はすべてを抱え込み過ぎている」と話す。学校や教師個人として必ず負わなければならない「法的義務」と、義務ではないが職務上やった方がいいという「任意」の部分。その線引きを、マニュアル本を読んでクリアにしてほしいと願っている。「『断ろうと思えば断れるが、任意で応じている』と思えば気持ちが楽になるし、不当な要求に対しては強い対応に出ることができる」
実際の現場では、教師が保護者の要求に屈して子供の目の前で土下座をするという異常事態も、決してレアケースではないという。だが、そうした教師の姿が子供の目にどう映り、どんな悪影響を及ぼすかは明白だ。マニュアル本の目的のひとつは、不当要求には毅然とNOを突きつけ、教育現場を守ること。それは子供の学習権を守ることに直結する。
ヒアリング調査の中では「子供が保護者に人質に取られている」と訴える教師が少なからずいた。自分の要求が通るまで子供を学校に行かせないというケース2のような事例が、近年増えているという。森谷弁護士は「子供もある意味、犠牲者だ」と嘆き、「現在の日本を築いたもの、そして国の未来を支えるのは教育。教育現場の救済が必要だ」と力を込めた。

もろ刃の剣
?とんでもクレーム?に頭を抱える教師たちにとっては光明といえる今回のマニュアル本。だが、法律の知識を教育現場を守る「盾」としてでなく、保護者を攻撃する「武器」として使ってしまうと逆にトラブルが増大すると危惧(きぐ)する声もある。
こんな例が分かりやすい。
《子供が同級生と教室内でトラブルになった。その際の担任の対応に不満があり、直接学校に行って担任や教頭に説明を求めた。現在午後8時過ぎ。話し合いが始まって2時間がたとうとしている》
学校側としてはどんな対応が考えられるだろうか。
対応(1)「お母さんのおっしゃってることや、お気持ちは分かりました。でも、もう遅いですし、また明日か明後日に時間をとりますので、今日のところはお引き取り願えますか」
対応(2)「これ以上応じる法的義務はありません。お引き取りください」
自分は子供のために納得のいく説明を聞きたかっただけだ。「法的義務はない」という出方をされればどう思うだろう。
学校と保護者とのトラブルを研究している大阪大大学院の小野田正利教授(教育制度学)は「大切なのは言い方だ」と強調する。
小野田教授は「モンスターペアレント」という言葉には反対の立場。「教師が保護者を『モンスター』と決めつけて対応すれば、それは必ず相手に伝わる」と警告する。
ただ、子供の問題に向き合うことを使命と考え、「度を超えた要求」の見極めが付かない教師が多いのも事実。小野田教授は「法的義務を知識として知るのはいいが、最前線の教師がそれを応用するのは危険。マニュアル本は教育委員会の法規担当や学校長などが読んで備えておくべきものだろう」とした。

マニュアル本は「事例解説 教育対象暴力~教育現場でのクレーム対応~」(ぎょうせい)。価格は3200円(税抜き)。