保育士を監視するモンスターペアレンツの恐怖。子供のことを考えない危険な行為も…

週刊SPA! 2016年3月29日

「日本死ね!!!」の匿名ブログをきっかけに国会でも議論されている待機児童問題。だが、無事に入園できたとしても、実は保育士不足や保育を都合のいいサービスだと考える親たちの出現を背景に、保育士も親もド底辺化している保育園が増えている。
特に、保育園に子供たちを預ける保護者側の一部に存在してきたモンスターペアレンツも、時代によって進化し、多様なタイプが現れている。
「保育士のプライベートまで監視する親が増えている」と語るのは、神奈川県の認可外保育園で働く牧田健太さん(仮名・28歳)だ。
「『あなたはうちの子の担当なんだから連絡先を教えるのは義務よ』とプライベートな番号からメール、SNSに至るまで教えろと言う親がいました。いつどこで誰といたるとか、いちいち詮索してくるし、SNSの投稿を見ているようで、『保育園と違って楽しそうですね』と会うたびに嫌みを言われます」
もはや保育士は親の支配下に!? 都内の認可保育園で10年以上働く林佳美さん(仮名・37歳)も勝手な親に怒りを覚えた。
「弁当を忘れた園児にパンを与えたところ、『オーガニックじゃない添加物の塊を子供に食わせるな!』と怒鳴り込んできた親もいます。じゃあ、ちゃんと弁当持たせてよって思います。しかも『パン代は保育料に含まれてるはず』と言って踏み倒す。ほかにも、安全対策として小型犬用のリードを子供に付けて通園する親もいたり……。保育士を責める前に、保護者の常識もかなりぶっ飛んでいますよ」

子供のことを考えないバカ親の危険な行為
保育園では何でもやってくれると勘違いしているのか、病気の我が子を自分都合で押し付ける親も多い。都内の認可保育園で園長を務める佐藤朱実さん(仮名・46歳)は、「保育園をなんでも屋と勘違いしている親が多いすぎる」と語る。
「熱が出たので保護者に連絡をしたところ、『仕事が忙しくて抜けられないから、病院に連れていってやってくれ』と言われたり、『先生の家で看病してください』と平然と言ってくる親も多いです」
また、子供がインフルエンザの高熱で苦しんでいても、通園させるために大量の解熱剤で熱を下げて連れてくる親もいるという。
「重篤化してインフルエンザ脳症を引き起こす危険もあるのに、リスクを考えない。二言目には『カネは倍払う』って、そういう問題じゃないんですが……」(佐藤さん)
自己都合を押し付けやりたい放題のモンペたちに、保育士はさらに疲弊していくのだ。

<児童福祉法>改正案を閣議決定

毎日新聞 2016年3月29日

政府は29日、東京23区に新たに児童相談所(児相)を設置できるようにする児童福祉法などの改正案を閣議決定した。今国会に提出する。
児相は都道府県と政令指定都市に設置が義務づけられ、人口20万人以上の中核市が任意で設置できる自治体に位置づけられている。これに東京23区を加える。一方、塩崎恭久厚生労働相は29日の閣議後の記者会見で、虐待を受けて相模原市児相に保護を求めていた男子中学生が自殺を図り、死亡した問題に関連し「児童福祉法の改正に伴い、一時保護をする基準を明確にできないか考える」と話した。

親不同意でも虐待児保護=児童相談所指針見直し―厚労省

時事通信 2016年3月29日

両親から暴力を受け、児童相談所(児相)に保護を求めていた相模原市の男子中学生が2014年11月に自殺を図り、今年2月に死亡した事案を踏まえ、厚生労働省は29日、虐待を受けた子どもを親から引き離す「一時保護」について、親の同意が得られなくても積極的に行う環境を整えるため、児相の運営指針を見直すと発表した。
児相による一時保護は、親の同意を得ることが原則だが、同市のケースでは両親が保護を拒否し、保護を見送っていた。現行の指針は「放置することが子どもの福祉を害すると認められる場合にはこの(原則の)限りではない」としているが、具体的な状況は示していない。

すぐにパワハラ受けたと騒ぐ部下、気づかずパワハラ三昧の上司…違法の境目はこれだ!

Business Journal 2016年3月30日

近年、「セクハラ」「モラハラ」「マタハラ」など、さまざまなハラスメントの問題が世間を騒がせている。その中でも、最も身近で誰もが受ける可能性が高いハラスメントが「パワハラ」である。
「給料泥棒!」「能無し!」などと上司から何度もしつこく罵倒されて、精神的に追い詰められ、最悪の場合は自殺にまで追い込まれてしまう人さえいる。一方で、上司からのちょっとした注意などでも、最近の若者はパワハラと感じてしまうケースが増加しているという。パワハラの定義が曖昧なゆえに、混乱が起きているようだ。
そもそも、パワハラとはどのような行為を指すのだろうか。労働関係の問題に詳しい浅野英之弁護士は次のように説明する。
「パワハラという用語は法律用語でもなく、法律上に定義があるわけでもありません。近年、パワハラが社会問題化したことを受けて、厚生労働省の『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ』の作成した報告書では、『職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう』と定義づけられています」
しかし、パワハラという言葉が世間に広く知られるようになったことで、業務上の必要な注意でも、指示された側が「パワハラで訴える」と主張して事を大きくする場合もあるという。そこで、この定義づけに則って、この報告書では違法なパワハラを6つの類型に分けて具体的な行為を挙げている。
暴行・傷害などの「身体的な攻撃」や、脅迫・暴言などの「精神的な攻撃」は当然のことながら、隔離・仲間外し・無視などの「人間関係からの切り離し」に加え、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制するといった「過大な要求」と、業務上の合理性がないにもかかわらず能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じるといった「過小な要求」もこれに含まれている。また、プライベートな事柄に過度に介入してくるといった「個の侵害」も類型の内のひとつとされている。

パワハラと感じても、裁判で認定されるとは限らない
しかし、これらの分類はあくまでも類型化の便宜のために作成されたものであって、違法なパワハラがこれに限られるということではなく、あくまでもケースバイケースの判断にならざるを得ない。
そして、違法なパワハラとなると、民法上の不法行為に該当する可能性がある。民法上の不法行為に該当すると、被害者は加害者や会社に対して損害賠償請求をすることが可能となる。また、同時に労働契約上の安全配慮義務違反を理由として、被害者は会社に対して債務不履行による損害賠償請求も可能となる。
「ただし、感じ方、受け止め方は人それぞれで個人差がありますから、従業員が不快に感じた行為がすべて違法なパワハラとなるとは限りません。また、業務上必要な範囲の適切な注意指導、教育、指示にあたる場合には、それが業務上適正な範囲である限りパワハラとは評価されません。結局のところ、問題となっている行為が、業務上適正な範囲であるかどうか、行為の態様、回数、程度、その人の人権を不当に侵害しているかどうかという点から、総合的に判断することになります」(浅野弁護士)
本人が違法なパワハラを受けたと感じても、裁判所では総合的な判断の結果として、その行為が損害賠償の対象となるような民法上違法なパワハラとまでは判断されない場合があるという。そうなると、本人の価値観と裁判所の判断が異なる可能性もあり、闇雲に訴えることが妥当ではないだろう。それでは、違法なパワハラを受けたと感じた場合には、どのように対処すればいいのであろうか。
「たとえ違法なパワハラだとしても、その程度が軽度であれば損害賠償請求ではなく、会社内で話し合い、再発防止策を構築、当事者の異動・配置転換といった方法によって解決したほうがよい場合もあります。ですから、闇雲に裁判をするのではなく、まずは話し合いでの解決を目指すべきでしょう」(同)
違法なパワハラは絶対に許されるものではない。会社は雇用する立場なのであるから、従業員が働きやすい環境を提供する努力をすべきだ。一方で従業員側も、少し注意されたからといって、何から何までパワハラと決めつけて事を荒立てるのは、いかがなものかと思われる。
会社が働きやすい環境をつくり、従業員は気持ちよく会社のために一生懸命働く。パワハラという言葉が死語になるような社会が築かれることを望むばかりだ。
(文=Legal Edition)