養子、里子でなく「施設頼み」日本は変わるか 育ての親を見つけにくい

dot. 2016年5月10日

子どもの権利を初めて明記し、保護を必要とする子に「家庭と同様の環境での養育を」とうたう児童福祉法の改正案が国会に提出された。「施設大国」日本の風景は変わるのか。(朝日新聞記者・後藤絵里)
埼玉県蕨市の石井敦さん(57)、佐智子さん(56)夫婦には9歳から20歳まで4人の息子がいる。毎年、兄弟が並ぶ年賀状を作るのが恒例行事だ。年ごとに整理された年賀状を見ながら、大学3年の長男、寿紀さん(20)が懐かしそうに言う。
「これは僕が中2、すぐ下の弟が小6の時。彼の背が急に伸びて僕を越したんだ」
寿紀さんは1歳半で石井家に迎えられ、3歳で特別養子になった。2学年下の弟は夫婦の実子で親ゆずりの長身だ。三男は特別養子、四男は長期養育の里子。兄弟に血のつながりはないが、サッカーが共通の趣味。試合の日は家族で応援に行く。
「何かあったら、長男の僕が弟たちを守らなくちゃ」
そんな寿紀さんも、石井家に来た当初は「とにかく泣いていた」(敦さん)。やがて佐智子さんが妊娠。夫婦は不妊治療もしたから、「寿紀が弟を連れてきた」と喜んだ。寿紀さんはお腹の大きい佐智子さんのスカートに潜り込み、「僕もお母さんのお腹に入りたい」と甘えた。
小学校卒業前には反抗期もあった。高校では成績がふるわず、親子で学校に呼び出されたこともある。寿紀さんは言う。
「両親には叱られもしたし、ほめられもした。進路に迷った時は背中を押してくれた。僕にとって家族は、僕の全部を受け止めてくれる特別な場所」
特別養子縁組は生みの親が育てられない子どもと血縁関係のない夫婦が、行政や民間の仲介で出会い裁判で法的に親子となる制度だ。海外では家庭に恵まれない子の養護政策として一般的だが、日本では相続などを目的とした大人のための養子縁組のほうが圧倒的に多い。日本に保護を必要とする子は4万人以上いるが、特別養子縁組の成立は年に500件程度。人口が日本の約半分の英国の10分の1だ。

8割以上が施設 海外と対照的
法的な親子にならずに家庭で育てる里親制度もある。生みの親が病気や貧困で一時的に育てられない、6歳未満が対象の特別養子縁組ができないなどの場合、子どもに家庭で育つ機会を与える手段だが、全国の里親委託率は平均15%程度。自治体で取り組みの差は大きく、委託率が5割近い県や市もあれば、数%のところもある。
その結果、日本で生みの親と暮らせない子の8割以上は乳児院や児童養護施設で暮らしている。英国で8割近くが里親に委託されるのとは対照的だ。
幼い時期の「家庭」体験の欠如について、海外のさまざまな研究で負の影響が指摘されてきた。最近ではルーマニアの独裁政権崩壊後、孤児院を解体し、里親制度を整えるのと並行して、養育環境が子どもに及ぼす影響を調べた研究「ブカレスト早期介入計画(BEIP)」がある。施設で育つ集団と里親に移行した集団とで、長期間調べた結果、言語や知能、アタッチメント(愛着)の形成で、里親の元で育った子は施設に残った子より発達の度合いが高かった。特に2歳までに里親に託された子は、それ以降に託された子よりも発達の数値が有意に高く、安定した愛着が築かれていたという。
赤ちゃんは泣くことで不快を訴え、表情や身ぶりでふれあいを求め、相手の語りかけをまねて言葉を覚える。研究によれば、人間の脳には発達の初期に、経験から強い影響を受ける「感受期」がある。養育者との親密なやりとりを通じた経験が、発達に重要な役割を果たすという。
日本の施設は小規模化を進めており、海外の大規模施設と単純比較はできないが、研究から得られる示唆は少なくない。研究メンバーで精神科医のチャールズ・ジーナ博士は指摘する。
「乳幼児が少なくとも1人の養育者を選び、安心や保護を求める性向を愛着と呼ぶ。施設の交代勤務では特定の養育者と一貫した接点を持てず、愛着が形成されにくい。愛着が安定すると、子ども自身が精神的な苦境に直面するリスクも減る」

養子縁組の支援 官民で格差
今回の児童福祉法改正案は、乳幼児期に家庭で育つことの意義を認め、家庭養育優先の原則を盛り込んだ。施行後には特別養子縁組の年齢制限や親権のあり方の議論も始まる見通しだ。
ただ、実際に政策を担うのは自治体であり、児童相談所(児相)だ。彼らの「本気度」が政策の成否を左右する。15年度に厚生労働省の委託で養子縁組に関する調査研究をまとめた日本女子大学の林浩康教授(社会福祉学)は、養子縁組が前提の里親委託は全国の児相で取り組みに大きな差があると指摘する。
「児相の多くは成功体験に乏しく、経験の少なさが活用を阻む一因となっている」
現状では民間団体を通じて養子を迎える人には、児相を通じた際に受けられる経済的支援がないことも問題だという。
「恒久的な家庭の保障には養子縁組の活用が望ましい。官民で共通の支援をすべきだし、互いの強みを生かし合うべきだ」
すでに動き出した自治体もある。三重県や長野県、静岡市など20自治体は4月、13の民間団体と「子どもの家庭養育推進官民協議会」を立ち上げた。官民で里親や養子縁組制度の普及に取り組むという。昨年度に日本財団などが開いた赤ちゃん縁組の講習会には、埼玉県や大阪府など約25の自治体の担当者や児相職員が参加している。

多様な家族の一つにすぎない
一方で、「行政だけで支える時代ではない。チームで育てる意識が行政や社会にもっと醸成されないと」と言うのは、今春まで東京都の江東児童相談所所長を務めた明星大学特任准教授の奥田晃久さんだ。里親と子が閉じられた関係で行き詰まると、元の家庭に戻れない里子は再び施設に入ったり、養育者の間を転々としたりしてしまう。
「大切なのは開かれた養育。里親は悩んだ時、自分を追い詰めず、仲間や相談員に助けを求めてほしい。障がいがあっても、つらい体験をしていても、子どもは温かい家庭を望んでいる」
冒頭の石井家は長男を迎える際、「堂々としていよう」と、友人や親しい近所の人にまず伝えた。向かいのおばあさんは衣装ケースいっぱいのおもちゃを持ってきてくれた。学校や地域の役員も積極的に引き受けた。
「地域に踏み出すと、僕らは多様な家族の一つにすぎない。少しの手助けで救える子がいることが見えてきた」(敦さん)
石井家は、4人の息子の子育てだけでなく、里親として、家庭を必要とする子たちの面倒も見てきた。育児放棄にあった3歳の女の子を迎えた時は、誕生日も祝ってもらったことのない彼女のためにパーティーを開き、七五三の記念写真を撮った。女の子はきれいな着物を見て目を輝かせ、生みの母が「見たことがない」と言う笑顔を写真に残した。佐智子さんは言う。
「家族って血のつながりより、毎日一緒にご飯を食べたり、何かを発見しあったりする中で築かれる関係性だと思う。親は人生のある時期を子どもと伴走し、彼らが生きるのに必要な自分への肯定感や善悪の価値を育てられればミッション完了かな」

ロボットが保育士不足を解決!?園児見守りロボットを九州で初めて導入

ファンファン福岡 2016年5月10日

こんにちは!レクルンです。
イヤイヤ期2歳児に悩むママに先輩ママからアドバイス
「教えて いつもの!」というコーナーで、街頭で出会った主婦の方からレクルンを推薦いただき、取材に至りました。 その際登場した講師の山迫(幼児教育歴13年!)について、下記でもご紹介しておりますので是非ご覧ください。
さて今回は、近年保育園待機児童問題と同時に深刻化している保育士不足を解決できるかもしれない…!?園児見守り ロボット『MEEBO(みーぼ)』についてご紹介します。

九州初上陸!!世界初の園児見守りロボット『MEEBO(みーぼ)』
昨今、AI(人工知能)が発達したことにより、対話が可能になったりSNS等での発言も注目されています。
ロボットが 人の仕事を奪う懸念も拭えない一方で、労働力不足の解消への期待が高まっているのも事実。
レクルンでは、昨年11月から九州で始めて導入し、イベント終了後のママの歓談時間(15 分程度)によく活用しています。というのも、子どもたちが『MEEBO』と遊んでいる間、 ママ同士がスムーズにコミュニケーションをとることができるのです。
子どもたちの反応はというと、ロボット自体初めて見る子どもが多いため、まずは遠目で見ていますが『MEEBO』が挨拶すれば徐々にそれに答えはじめ、慣れてくると友だち感覚で触れ合うようになります。1歳半ぐらいから動物の鳴き声クイズをしたり、2歳以上であれば、踊りの真似も出来ます。
まだこの『MEEBO』1台あたりで何人の子どもの対応ができるのかは未知数ですが、少なくとも上手に活用することにより、時間を捻出できるようにはなります。話題となってい る日本での保育園待機児童問題は、保育士不足が原因のひとつとも言われている中、ロボットによって解決できる日が来るかもしれません。
『MEEBO』の主な機能
1、園児の命を守る 2、園児の様子を記録する 3、園児と一緒に遊ぶ

「育児放棄」増加の傾向 郡山で児童虐待の相談・通告72件

福島民友新聞 2016年5月9日

郡山市のこども家庭相談センターに昨年度寄せられた相談や通告のうち、児童虐待は72件(前年度比2件減)で、ネグレクト(育児放棄)の増加傾向が見られた。同市のこども総合支援センターで開かれた市要保護児童対策地域協議会の本年度初の代表者会議で市が報告し。
同協議会は、虐待などで保護を要する児童の支援のため、市や教育関係、児童福祉団体、警察などで構成。学校や市民からの相談などを事務局の市こども家庭相談センターが受理し、関係機関による「個別ケース検討会議」を開くなどして家族支援を行っている。
同センターに昨年度寄せられた虐待に関する相談など72件の内訳はネグレクトが36件、心理的虐待26件、身体的虐待9件、性的虐待が1件。ネグレクトは昨年度より10件増えた。
会議では、本年度の活動計画を決めた。虐待防止の啓発リーフレットやポスター、チラシの作製と配布、啓発キャンペーンの実施、セミナーや講演会の開催などを盛り込んだ。