川崎市里親制度 求められる継続的支援 「質」の向上が鍵

タウンニュース川﨑 2016年5月20日

様々な事情で保護者と生活できない子どものための「里親制度」について、川崎市の「里親」への委託率は21%(2016年1月1日現在)であることが、本紙の調べでわかった。全国平均を上回る数字だが、市と里親支援のNPO法人によると、里親の「質」の向上に向けて、継続的な里親支援が不可欠だという。

委託率は21%
里親委託率は、養護が必要な子どものうち、里親やファミリーホームの下で暮らす子どもの割合を示す。
川崎市の12歳以下の人口はおよそ16万人で、施設や里親の下で養護を受ける児童数は計375人(16年1月1日現在)。そのうち里親委託児童が65人で、ファミリーホーム(小規模住宅型児童養育事業)へ委託されている児童が13人。里親委託率は21%となっている。全国平均の16・48%(15年3月末現在)と比べると高い数値を示している。
川崎市は里親委託率の現況に対し、「委託率向上を目指して今後も取り組んでいく必要がある」として、15年3月に、児童の社会的養護を推進するための基本方針を策定。今後15年で、社会的養護が必要な子どもの3分の1(約33%)を里親・ファミリーホームで支援する方針を示している。
だが、里親に登録しても養育に結びつかない現状もある。その原因として、里親の高齢化や、虐待を受けた過去や障害を持つ子どもとのマッチングがうまくいかない――などが挙げられる。市は「子どもが安心できる家庭環境で過ごせるように、里親とは継続的に面談してマッチングを図っている」という。
また、川崎市内で里親支援を行っているNPO法人「キーアセット」の担当者は、「数字だけでなく質の向上も大切」と話す。里親は、子どもが持つ実の親への思いや生い立ちを受け止めていく必要があるという。同法人は里親同士で悩みを共有するサロンの開催、定期的な家庭訪問などを実施し、サポート体制を整えている。「どの子どもも家庭で育つことが求められている。里親には入口から出口まで一貫した支援を行っていきたい」と話している。

生徒指導、家庭教育支援及び児童健全育成に係る取組の相互連携の推進について(依頼)

文部科学省 2016年5月20日

標記については、「生徒指導、家庭教育支援及び児童健全育成に係る取組の積極的な相互連携について(依頼)」(平成22年9月16日付け22生参学第5号、22初児生第26号、22雇児育発第0916第1号)を踏まえ、相互連携の充実に努めていただいているところですが、家庭を取り巻く社会経済状況の変化や、いじめ、不登校、自殺等の問題行動等や児童虐待問題の深刻化など、子供や家庭を巡る問題の複雑化・多様化に伴い、生徒指導、家庭教育支援及び児童健全育成に係る取組の相互連携を一層推進することが必要となっています。
こうした中、教育分野では、本年1月に文部科学省が策定した「次世代の学校・地域」創生プランにおいて、学校と地域が相互にかかわり合い、学校を核として地域社会が活性化していくことが不可欠であるとの考えの下、「地域とともにある学校」への転換や、学校を核としたまちづくり、地域で家庭を支援し子育てできる環境づくりなどの方向を目指して取組を進めることとしたところです。また、福祉分野では、児童委員、主任児童委員を中心とした家庭支援や、児童館・児童センター(以下「児童館等」という。)を中心に、児童の健康を増進し、情操を豊かにする取組等も行っていただいています。
今後、教育分野と福祉分野がそれぞれの特長を生かしながら、学校・地域が一体となって子供や家庭を巡る状況把握を行い、子供や家庭に対する支援体制の一層の充実を図ることが重要です。
ついては、以下の留意点並びに各学校や地域の実情を踏まえつつ、生徒指導や家庭教育支援、児童の健全育成に係る取組の相互連携が一層図られるよう、貴職におかれては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会生徒指導担当部局、家庭教育支援担当部局、児童福祉部局、関係団体等に周知いただくとともに、連携の強化による取組の一層の充実に御協力をお願いします。
なお、この通知の発出に伴い、「生徒指導、家庭教育支援及び児童健全育成に係る取組の積極的な相互連携について(依頼)」(平成22年9月16日付け22生参学第5号、22初児生第26号、22雇児育発第0916第1号)は廃止します。

1.生徒指導の推進に当たり、問題行動等の未然防止や早期発見のためには、学校内のみならず、家庭や地域における児童生徒の実態把握が欠かせないことから、学校は、日頃から家庭との協力関係を築くとともに、地域において家庭教育支援を担う子育てや教職の経験者、NPO等の関係者や、児童委員、主任児童委員、スクールソーシャルワーカー、放課後子ども総合プラン関係者、児童館等の関係者などと円滑な連携を図れる体制を構築し、情報共有に努めるとともに、必要に応じて、校内の支援体制への活用を図るよう努めること。

2.家庭教育支援の推進に当たっては、子育てや教職の経験者をはじめとした地域の様々な人材からなる家庭教育支援チーム(別添参照)の組織化等により、保護者への相談対応や地域とのつながりづくりの充実に努めること。問題の未然防止や早期対応のためには、学校等における児童生徒の状況の把握や、専門的人材、児童健全育成関係者等との連携が重要であり、学校等の教職員との情報共有や、家庭教育支援チームの構成員としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、民生委員・児童委員、主任児童委員などの地域の人材の活用に努めること。あわせて、「地域学校協働本部」の活用や、放課後子ども総合プラン関係者、児童館等関係者、子育て支援団体・NPO等との一層の連携が図られるよう努めること。

3.児童の健全育成に当たっては、地域での多彩な活動の実績を有し、学校関係者とは異なる視点で子供や家庭の悩みや問題の解決にかかわることのできる特性を生かして、民生委員・児童委員、主任児童委員、民生委員児童委員協議会、放課後子ども総合プラン関係者等が継続的に学校関係者と情報の共有を行い、連携・協力が図られるよう努めるとともに、例えば、民生委員・児童委員、主任児童委員が地域の家庭教育支援チームに参画するなど、家庭教育支援関係者との一層の連携が図られるよう努めること。
また、児童館等では、健全な遊びを通して、児童の自主性、社会性、創造性を高めるよう指導を行っているところであり、児童の健全育成の観点を踏まえ、児童の社会活動参加への理解、協力等の支援について、学校等との更なる連携を図るよう努めること。

4.家庭教育支援や児童の健全育成を担う地域の人材等が、情報を適切に共有しながら、学校と連携して活動を行えるよう、個人情報の取扱いや適切な情報管理に当たっては各地方公共団体の個人情報保護条例等にのっとりつつ、例えば、家庭教育支援チームの仕組みを活用するなど、より効果的な連携の体制の構築に努めること。

5.生徒指導、家庭教育支援及び児童の健全育成に係る取組の連携を推進するため、各都道府県、指定都市及び市区町村において、生徒指導担当部局、家庭教育支援担当部局及び児童福祉部局が連携・協力し、支援体制の強化に努めること。

犯罪被害者の支援窓口、市区町村の96.7%が設置

日本経済新聞 2016年5月20日

犯罪被害者を支援する自治体の総合窓口について、全国の市区町村(政令指定都市除く)のうち、今年4月1日時点で96.7%が設置していることが20日、分かった。前年より6.7ポイント増加した。政府が同日、閣議決定した「犯罪被害者白書」の中で明らかにした。
政府は犯罪被害者等基本法に基づき、犯罪被害者や家族向けに、経済的支援や精神的ケアなどの相談に応じる総合窓口の設置を自治体に呼びかけている。白書によると、政令市以外では1664市区町村が窓口を設けていた。
一方、今年の白書は今後5カ年の「第3次犯罪被害者等基本計画」を特集した。第1次(06~10年度)、第2次(11~15年度)基本計画までの取り組みについて、犯罪被害にかかわる給付制度の拡充や被害者参加制度の創設などに言及し、「施策は着実に進展してきた」と評価した。
第3次基本計画の検討にあたっては、性犯罪や児童虐待など潜在化しやすい犯罪被害への支援や被害者を家族に持つ子供のケアが課題となったことを報告した。

激震、子供の心に深い傷 益城・避難所ルポ

毎日新聞 2016年5月21日

乱暴に「おい、クソジジイ」/赤ちゃん返りも
「おい、クソジジイ」。熊本県益城(ましき)町の避難所の小学生の口から、次々ときつい言葉が飛び出す。園児は赤ちゃん返りし、いつまでたっても泣きやまない。震度7の激震を2度経験した子供たち。避難所で約5時間一緒に過ごし、深い心の傷を見つめた。【福岡賢正】
避難所には約20人の子供がいた。中3女子生徒に背負われた小4女児が、私(記者)に延々と攻撃的な言葉をぶつける。「おい、クソジジイ。お前、えらそうだな。えらそうに、このオッサン」。小3男児も体が触れただけなのに「おい、足蹴るなよな。コラ」と突っかかる。
児童虐待の取材をした際に接した被虐待児が里親などに示す「試し行動」とそっくりだ。心に深い傷を負って不安や恐怖を抱え込んだ子が、大人がどこまで許容するのかを試す無意識の行動だ。
「ごめんごめん、痛かったやろ」と言いつつ、あまり相手にせず、女子生徒に知人について書かれた新聞記事を見せていると、「ジイサン、ジイサン、オジサン、オジイサン。コラ、俺にも見せろ」と小3男児がわめく。
近くに座る高1女子生徒の膝の上に幼稚園年中の男児がいた。和やかだったが、年中男児は何かを要求し、女子生徒に断られると、地面に突っ伏して泣き出した。10分たっても泣きやまない。典型的な赤ちゃん返りだ。
年中男児が怒ってぶちまけた遊び道具を私が片付けようとすると、中1の男子生徒が「いいよ。自分で片付けさせる」と止める。
この男子生徒に「この1カ月、どうだった」と尋ねる。「まっ、いろいろ大変ですよね。でも俺は大人だから。友達と電話で『お前、生きとる?』みたいな。余裕余裕。楽勝楽勝」。懸命に背伸びしているように見える。
攻撃的な言動の2人の小学生について、それぞれの母親に話を聞くと、「みんなと一緒だと偉そうにしてるけど、夜になると怖がって。絶対1人になれないし、トイレも1人じゃ行けない」と口をそろえる。地震で変わってしまったようだ。
2人の母親のうち1人は、自宅が片付き、避難所を出られるのだが、ここで過ごす。子供が自宅を怖がるからだ。もう1人は最近家に帰ったが、昼間は避難所にいる。「夜はあの子、毛布かぶって縮こまって寝てます」
2人の夫は一方が単身赴任中、もう一方が4月16日の本震の翌日から休みなしだ。2人は「生活するのに稼いでもらわんといかんから」と笑った。