児童養護施設退所者がスピーチ「僕の夢を応援してください」 18日、横浜でコンテスト

産経新聞 2016年6月17日

「どうか僕の夢を応援してください」-。児童養護施設などを退所した若者たちが夢を語る「カナエール2016 夢スピーチコンテスト横浜」が18日、横浜市神奈川区の神奈川公会堂で開かれる。施設退所者の大学や専門学校への進学を応援する奨学金プログラムの一貫。両親を亡くすなどさまざまな事情を抱えた8人が、夢実現に向けた思いをアピールする。(岩崎雅子)

「僕は全然駄目なんです。話すのも苦手。だから『ここまでやった』と自分に言えるスピーチにしたい」
こう話すのは、「のこっち」とニックネームで呼ばれる高校3年の男性(18)。本番に向けて都内で行われた練習会で、フジテレビのアナウンサーらからスピーチの指導を受けていた。
中学1年の時に激しいいじめに遭い、不登校になった。転校したが再び学校に通えなくなり、何度も死ぬことを考えたという。母親が入院するなどしたため、里親が行き場のない子供たちを預かる「ファミリーホーム」に入った。
「そんな僕を支えてくれたのはゲームでした。好きなゲームは『モンスターハンター』。モンスターを切り倒す、あの爽快感!」
練習では、はつらつとした声を響かせた。アルバイトを2つこなしつつ、高校の成績は全て5をキープする“頑張り屋”。それでも脳裏には「中学の頃の自分」がちらつく。
母親がコンテスト当日、会場に来てくれるかどうかは分からないが、「あの頃とは違う今の自分を伝えたい」と願っている。
「のこっち」は何度も原稿に手を加えながら、「同じ境遇にいる人を救えるゲームを作りたい」と語り、「だからこそ退所後も学校に通いたい」と、かみしめるように言葉を紡いだ。

コンテストを主催するNPO法人ブリッジフォースマイルによると、児童養護施設などに入所する子供たちの高校卒業後の進学率は約20%と低い。生活費や学費を稼ぐために長時間のアルバイトを余儀なくされ、中退率は約3割という。
コンテストの実行委員長を務める植村百合香さん(32)は「施設職員は『少しでも安定した将来を』と就職を勧めざるをえない。『無責任に夢を見せられない』と考えている」と苦しい状況を話す。
そうした中で、同法人は「全ての子供に夢を見る権利はあると伝えたい」と、平成23年にコンテストを開始した。事前選考を経て選ばれた出場者は、入学一時金30万円と卒業までの生活費(月3万円)を奨学金として受けられる。
横浜市は26年度から同コンテストを全国の自治体で初めて支援。市社会福祉基金が奨学金を負担し、同年から横浜でもコンテストが開かれるようになった。植村さんは「昨年のスピーチを聞いて今年出場を決めた子供もいる。彼らの夢を応援する環境があることを伝えていきたい」と話している。
18日午後1~4時半。入場料は5千円。問い合わせはコンテスト事務局(電)03・6842・6766。

性犯罪厳罰化、刑法改正へ=男性被害、親子間も対象―法制審

時事通信 2016年6月16日

性犯罪の厳罰化を検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)刑事法部会は16日、強姦(ごうかん)罪の法定刑引き上げや非親告罪化などを柱とする刑法改正要綱案をまとめた。
法務省は9月の審議会総会を経て、来年の次期通常国会に刑法改正案の提出を目指す。
要綱案は、強姦罪の法定刑の下限を懲役3年から5年に、強姦致死傷罪も下限を懲役5年から6年に引き上げる。また、強姦や強制わいせつなどを被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」とした。
現行法は、強姦罪の被害者を女性だけとしているが、要綱案では男性も被害者として扱う。対象行為についても、通常の「性交」に限定していたものを、性交に類する行為も含む「性交等」とした。
また、親が監護者としての影響力を行使し、子に性犯罪に及んだ場合などの規定も新設。従来は児童福祉法などで軽い罪で済んでいたが厳罰化する。このほか、強盗と強姦を同じ場所で行った場合、どちらが先行したかで法定刑が異なっていたが、どちらが先でも「無期または7年以上の懲役」に統一した。

小学校等の課程を修了していない者の中学校等入学に関する取扱いについて(通知)

28初初企第7号 平成28年6月14日

標記のことについて,文部科学省では,従前より「中学校は,小学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする」との学校教育法(昭和22年法律第26号)第45条の規定にのっとり,小学校等の課程を修了した者が中学校等に進学することを予定しているとの考え方に基づき対応してきているところです。
このことに関し,小学校等の課程を修了していない者(以下「小学校未修了者」という。)が中学校等へ入学を希望する事案には近年様々な状況変化が見られます。例えば,保護者による虐待や無戸籍といった複雑な家庭の事情等により,居所不明となったり,未就学期間が生じたりするケースが明らかになってきており,この中には小学校等を未修了のまま中学校等への進学を希望する者も含まれているものと考えられます。また,海外から帰国した子供について,重国籍や日本語能力の欠如等により保護者の就学義務が猶予又は免除されて,外国人学校の小学部等に通った後に中学校等への進学を希望する事案や,外国籍の子供が外国人学校の小学部等に通った後,経済的な事情や居住地変更等の事情により,中学校等への入学を希望する事案等も生じてきています。
このような状況に照らし,小学校未修了者の中学校等への入学について,下記のような取扱いとすることが適切と考えられますので通知します。
各都道府県知事及び都道府県教育委員会教育長におかれては域内の市町村教育委員会,学校,学校法人に対して,各指定都市教育委員会教育長におかれては域内の学校,学校法人に対して,各国立大学法人の長におかれては附属学校に対して,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては域内の株式会社立学校及びそれを設置する学校設置会社に対して,本通知の趣旨,内容について周知するとともに,適切に指導,助言,援助を行っていただくようお願いします。

1.小学校未修了者の中学校等への入学については,当該小学校未修了者が中学校相当年齢に達しており,次のような特別の事情を有する場合には,認めることが適当と考えられること。
(1) 保護者による虐待や無戸籍といった複雑な家庭の事情や犯罪被害等により,学齢であるにもかかわらず居所不明となったり,未就学期間が生じたりした子供が,小学校未修了のまま中学校相当年齢に達してから中学校等への入学を希望する場合
(2) 不登校等により長期間学校を欠席する間に,やむを得ない事情により小学校未修了のまま小学校相当年齢を超過した後,通学が可能となり,中学校等への入学を希望する場合
(3) 病弱や発育不完全等の理由により,小学校相当年齢の間は就学義務の猶予又は免除の対象となっていた子供が,中学校相当年齢になってから就学が可能な状態となり,小学校未修了のまま中学校等への入学を希望する場合
(4) 海外から帰国した子供が,重国籍や日本語能力の欠如といった理由により,就学義務の猶予又は免除の対象となって外国人学校の小学部等に通った場合で,その子供が中学校段階から中学校等への進学を希望する場合
(5) 日本国籍を有しない子供がいったん外国人学校の小学部等に通った後,経済的な事情や居住地の変更等といった事情により,中学校段階から中学校等への転学を希望する場合
(6) 戦後の混乱や複雑な家庭の事情などから義務教育未修了のまま学齢を超過した者の就学機会の確保に重要な役割を果たしている中学校夜間学級等に,小学校未修了者が入学を希望する場合

なお,上記のような場合は,学校教育法施行令第20条に規定する「保護者に正当な事由がないと認められるとき」や同第21条に規定する「就学義務を怠っていると認められるとき」には該当しないものであること。

2.小学校未修了者の中学校等への入学を認めるに当たっては,当該未修了者が,未就学期間があったことにより,学習内容にまとまった欠落があるなど,日々の教職員による指導において補充的に対応するだけでは十分な支援ができない場合も考えられる。このため,市町村教育委員会と学校とが協力し,必要に応じて地域の学校支援組織やNPO等の民間団体とも連携しつつ,生徒の状況を踏まえた個別の支援計画や教材を準備し,放課後や長期休業日の活用も含め,修業年限全体を通じた組織的・計画的な学習支援や進路指導を行うことも検討すること。
また,当該生徒が児童養護施設へ入所している場合や,貧困,虐待,ネグレクトなど特別な生活上の課題を抱えている場合には,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーといった専門職員や児童相談所等の関係機関と緊密に連携しつつ,生徒の立場に立ったきめ細かな支援を充実させること。
各都道府県教育委員会においては,市町村教育委員会の意見を聴いた上で,当該生徒の在籍校における学習指導上・生徒指導上の課題の状況を総合的に判断して必要と認められる場合は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置に係る補助や国・都道府県の教職員定数の加配など各種の人的支援措置の活用も考慮しつつ,当該在籍校の指導体制の充実に努めること。