児童虐待対応1661件 「心理的虐待」最多 2015年度栃木県内の児相・市町

下野新聞 2016年6月20日

県内の児童相談所(児相)と市町が2015年度に児童虐待の相談を受け対応した件数は1661件だったことが、19日までの県保健福祉部のまとめで分かった。前年度比6件減と4年ぶりに減少したが、ほぼ横ばい。県こども政策課は「県民の児童虐待への関心は高く、多くの通報につながっている」と分析している。
相談対応件数の内訳は、児相が959件で前年度比28件増。市町は702件で34件減少した。15年7月に児相につながる全国共通の電話相談ダイヤル「189」が運用開始されたため、相談が児相にシフトしたとみられる。
児相の相談対応をみると、種類別では心理的虐待が407件で最も多く、前年度より24件増加した。怒鳴るなど言葉による暴力に気づいた近隣住民からの通報や、夫婦間などでのドメスティック・バイオレンス(DV)を目撃した子ども関連の警察からの通告事案が増えているという。ネグレクト(育児放棄)が296件、身体的虐待が233件、性的虐待が23件と続いた。

「ありがたい…」世間が評価する公務員TOP10

R25 2016年6月18日

私たちの生活を陰に日向に支えてくれる公務員。保育士に学校の先生、人によっては警察官や消防士などは、お世話になった特定の人の顔が思い浮かぶ人もいるだろう。体を張って仕事にあたる…そんな姿勢には感謝してもしきれない。そこで、「縁の下の力持ちとして、よくやってくれている」と思う公務員はどんな職種なのか、20~~30代の社会人男女200人(※公務員は除く)に聞いてみた。

縁の下の力持ちだと思う公務員TOP10
(3位まで回答。1位は3pt、2位は2pt、3位は1ptで集計。特別職の公務員である国会議員、地方議会議員、裁判官などは調査対象外。R25調べ。協力/アイ・リサーチ)

1位 消防士 288pt
2位 警察官 190pt
3位 自衛官 168pt
4位 清掃作業員 113pt
5位 海上保安官 104pt
6位 保育士 91pt
7位 公立学校の教員 71pt
8位 刑務官 46pt
9位 航空管制官 28pt
10位 皇宮護衛官 19pt
10位 入国警備官/入国審査官 19pt

ダントツ1位は消防士! やはり、いざというときに命を賭して助けてくれる職種に評価が集まっている印象だ。具体的にはどんな理由で支持されているのか。選んだ人のコメントを見ていこう。

【1位 消防士】
「とても身近で危険ととなり合わせの職業だと思うから」(36歳・女性)
「身近な存在という印象が強いので」(30歳・男性)
「世の中の事故で一番危険な場所に行ってそうだから」(31歳・男性)
「命を懸けて命を救ってくれるから、他の職業とレベルが違う」(35歳・女性)
「昼夜なく出動してくれるから」(35歳・男性)
「一番誠実そう。手抜きもないと思う」(36歳・女性)
「身近であり、いつもトレーニングをしたり準備を怠らず、いざとなった時には助けてくれるから」(36歳・男性)
「不正を聞いた事がないから」(39歳・女性)

【2位 警察官】
「事故や事件を未然に防いでいる」(39歳・男性)
「警察官がパトロールしてくれるおかげで防犯につながってると思うし安心」(37歳・女性)
「警察官がいるからこそ犯罪の抑止力になっているから」(34歳・女性)
「やはり、季節を問わず、天気を問わず、駆けつけてくれるから」(38歳・男性)
「危ない職業だし、よくテレビでも密着で取り上げられているのを見るので」(32歳・女性)

【3位 自衛官】
「大震災の時もっとも働いてくれたのは彼らだし、感謝しているから」(28歳・女性)
「国防の要」(38歳・男性)
「一番凄い気がする」(25歳・女性)
「目に見える活動は多くないが、国民を守るために頑張ってくれていると思うから」(24歳・女性)
「国内の自由が保障されているのは、国外からの干渉がないため。それを阻止しているのは軍事力と思うから」(36歳・男性)

【4位 清掃作業員】
「居ないと困るから」(39歳・男性)
「彼らのおかげで清潔な国 日本が保たれているから」(31歳・女性)
「ゴミ捨て場や回収車が絡む不正を聞いたことがないから」(34歳・男性)
「クローズアップされることの少ない仕事だが、社会の人の役に立ってくれていると思うから」(25歳・女性)
「実際に身近で目に見える形で働いてくれてるのが分かるから」(37歳・女性)

【5位 海上保安官】
「海のスペシャリスト」(39歳・女性)
「身近ではないが、中国からの侵略などから、海の安全を守ってくれている」(34歳・女性)
「隣国による領海侵犯への対応など、危険な任務に従事しているので」(37歳・男性)
「最近はよく報道されているが、任務が増えるなかでよく対応していると思うから」(36歳・男性)
「命懸けで海を守っているので」(30歳・男性)

【6位 保育士】
「色んな子をよくまとめていると思う」(28歳・男性)
「大変な仕事で子供が好きでないと続かないと思うから」(39歳・女性)

【7位 公立学校の教員】
「口うるさい保護者が多いなか本当に大変だと思う」(33歳・男性)
「最近の子どもや親は扱いづらい人が増えているうえに、体罰だなんだとがんじがらめにされていてストレスの大きさは尋常でないと感じるから」(38歳・男性)

【8位 刑務官】
「更生の心身的負担が大きそうなので」(25歳・女性)
「人がやりたくない事を率先してやってるイメージ」(29歳・男性)

【9位 航空管制官】
「忙しく事故を防いでいるから」(33歳・女性)

【10位 皇宮護衛官】
「いいと思ったから」(26歳・女性)

【10位 入国警備官/入国審査官】
「あまり目立たないから」(22歳・男性)

彼らの仕事は国民の税金から成り立っているだけに、批判の対象になりやすいほか、安定ゆえのやっかみも聞こえてきがち。とはいえ、彼らの仕事なしには市民の生活が成り立たないのも事実だ。そう考えると、ちょっと見方が変わるかも?
(吉々是良)(R25編集部)

【関西の議論】親の老後見るのはどの「子育てタイプ」? 高所得・高学歴、幸福度…全ジャンルでトップ「支援型」とは…

産経新聞 2016年6月17日

北海道で小学2年の男児が行方不明になり、6日ぶりに発見された騒動は、父親が男児を林道に置き去りにした理由を「しつけ」と説明したことで子育てをめぐる議論を巻き起こした。
「厳しいしつけ」が虐待につながる例もある一方、甘やかしても将来が心配と、子育てに悩む親は多い。子供の教育方法は、江戸時代にすでに多くの育児書が出版されるほどだが、何が正しいのか、いまだに明確な答えは定まっていない。そんな中、神戸大の西村和雄特命教授(経済学)と同志社大の八木匡教授(同)は、「子供が将来、高い所得を得るようになり、幸福感も高くなる」という子育て方法の調査結果を発表した。果たして、ほめて育てるのか、厳しく指導して育てるのか。その方法とは、親が子供に対し?関心を持ちながら見守る?「支援型」の子育てだという。

TIGER MOTHER

2011年、米国で1冊の本が出版された。中国系アメリカ人でエール大の女性教授、エイミー・チュア氏の「TIGER MOTHER」だ。
チュア氏は2人の娘に対し、テレビを見たりゲームをしたりすることや、友達と集まって遊ぶことを禁止。体育と演劇以外のすべての教科で一番になることを求め、態度が悪いと「ごみ」と呼んだ。
娘に対する厳しい指導は「厳格型(タイガー)」と呼ばれ、行き過ぎとも思われる子育て方法が物議を醸したが、娘はエール大に合格するなど立派に成長したという。
「厳格な子育ては子供の成功に役立つ」というチェア氏の問題提起に対し、米国では13年、444件の家庭を調査することで、さまざまな子育て方法と子供の成長に関する研究がなされた。
この動きを受け、西村氏は「日本人ではこれまで子育てと子供の成長にかかわる大規模な調査が行われていなかった」として、研究に着手。今年1~2月、調査会社を通じ、全国の20~60代の日本人の男女計1万人にインターネットでアンケートを実施した。

平均所得が最も高いのは…
この調査をもとに、西村氏らは、子育てを特徴づける6つの因子として、親の子供に対する「関心度」▽親が子供に持っている「信頼度」▽親子の「共有した時間」▽子供が親に「しかられた経験」▽親が子供にルールを設定する「規範」▽親の関わり度合いなどを示す「自立」-を設定し、数値化。この数値を基に、親から受けた子育てのタイプを、以下のように6分類した。
(1)信頼や関心をもって自立を促す「支援型」
(2)関心は高いが厳しく指導し、失敗するとしかる「厳格型」
(3)信頼はあるが子供を甘やかす「迎合型」
(4)関心が低く、共有時間も少ない「放任型」
(5)関心は低いが厳しい「虐待型」
(6)すべてが普通の「平均型」
この6分類のいずれかに明確に当てはまった2400人について結果を分析。すると、仕事をしている人の平均所得は、支援型が約400万円と一番高く、厳格型約390万円▽平均型約380万円▽迎合型約360万円▽放任型約320万円-と続き、虐待型が約260万円で最も低くなった。

「順法意識」やはり放任型が最下位
大学卒業以上の「高学歴者比率」も調べた。
勉強すればするほど高学歴につながりそうで、その意味では厳しく指導する「厳格型」がトップになってもおかしくないのかもしれないが、44%で4番目に沈んだ。
最も高かったのは「平均所得」と同じく支援型で60%。ほかは、迎合型49%▽平均型46%▽虐待型33%▽放任型27%だった。
支援型はあらゆる分類で「1位」となり、「前向き思考」は突出して高く、「不安感」では逆に最低。両方を合わせて弾き出した「幸福度」も当然、トップとなった。
このほか、法律を守る意識を示す「順法意識」は厳格型が2番目で、放任型が圧倒的に低かったといい、将来、親の面倒をみるかどうかの「扶養意識」は迎合型が2番目に高かった。
西村氏は「あらゆる面で『支援型』の子育てが望ましいことが分かった。子育てを行う場合には“関心を持って見守る”ことが大切だ」と話す。

「厳格」に育てると途中で退学?
一方、厳しく指導する厳格型について「リスクがある」とする。その理由を「厳格型で育てられた人は“親が言うからやらなくてはいけない”という思いが強い。それだけに、できなかった場合を考えて不安になったりストレスが大きくなったりする」と分析。そうしたことを要因として、高校や大学を途中で退学してしまうことなども多いと、西村氏は語る。
子供にリスクが生じる恐れだけではない。親の側にも危険性がある。
「厳格型の子育ては、下手をすれば虐待型になってしまう恐れもある」というのだ。
こうした中、「しつけ」と称して子供が虐待される事件は後を絶たない。今年4月に奈良県生駒市でプラスチックの収納ケースに閉じ込められ2歳児が窒息死した事件や、平成23年3月に大阪市城東区でごみ袋に密閉されて窒息死した3歳児の事件では、「しつけ」という名目で、幼い命が奪われる最悪の結果となった。
児童虐待に詳しい関西学院大人間福祉学部の才村純教授(児童福祉学)は「親が行き過ぎたしつけをしてしまう背景には、都市化や核家族化が進み、孤独な子育てに悩む親が多い背景もある」と指摘する。

新たな動き「こども食堂」
「現代はインターネットなどで育児についてすぐに調べられるが、子育ては一筋縄ではいかない。親自身が社会性を身につけていないことも多く、情報に振り回され、子供とどう付き合っていいか分からなくなっている」と才村氏。「親を孤立させないよう、近所に信頼関係を築ける人がいることが大切」と、地域のコミュニティーづくりの重要性を訴える。
実際、子供の成長をめぐり、地域の力を生かそうという動きも活発化している。ひとり親や共働き家庭の子供たちが無料や低料金で食事ができる「こども食堂」が全国で続々オープンしているのだ。
兵庫県尼崎市で3月にオープンした「そのっこ夕やけ食堂」。はじめは、ネグレクト(育児放棄)の状態で、食事が十分に与えられていない児童を支援しようと開設されたが、現在では宿題を持って集まる子供や、仕事帰りの親と待ち合わせる子供、一人暮らしの高齢者など地域の人たちの憩いの場になっている。
同食堂は毎週金曜の午後4~7時にオープン。中学生以下は配膳(はいぜん)や後片付けなどを手伝えば無料、大人も300円で一緒に食事を取ることができる。
同食堂を運営する同市社会福祉協議会園田支部の今井久雄さん(46)は「家庭に事情がある子供たちを支援するだけでなく、地域の人たちが“いつでも集まれる場所”をつくることが大切」と話す。食堂に来ることで親同士が友達になったり、地域のボランティアの人たちに育児に対する相談もできたりするという。
才村氏は「子供の変化などに早めに周囲が気付けることが大切。こういった地域住民の関わりは、虐待などの早期支援につながる貴重なきっかけになる」と述べ、子育てにおける「地域力」の重要性を強調している。