児童虐待を防げ。リスク高い妊婦の特徴を知ればあなたにも救えるかも

CIRCL(サークル)2016年7月8日

妊婦健診を受けなかったり、妊娠や出産に関する知識が不足したまま出産を迎えたりした場合、産後に児童虐待をしてしまう可能性が高いという。妊婦に対して適切なケアを頻繁に行っていくことで。児童虐待の数を減らすことができる可能生がある。

妊婦を取り巻くさまざまな要因 児童虐待につながる場合も

2009年に児童福祉法が改正され、児童虐待を予防するためには、出産前の段階から妊婦を支援していくことの必要性が示された。また、支援が特に必要な妊婦を「特定妊婦」とし、例えばある自治体では、選定基準を次のように定めている。

・若年妊婦
・予期しない妊娠(望まない妊娠も含む)をした妊婦
・精神疾患を合併している妊婦
・アルコールや薬物等の依存症を合併または既往歴がある妊婦
・知的障害等の障害を合併している妊婦
・妊娠届の提出が著しく遅れている妊婦
・母子健康手帳の未交付の妊婦
・初回の妊婦健診が妊娠中期以降等の妊婦
・その他の療育環境の問題がある妊婦
・医療機関からの情報提供、支援要請のあった妊婦

これらを見ても分かるように、妊婦個人の健康や周囲の環境など、妊婦を取り巻くさまざまな要因が児童虐待につながると考えられている。

児童虐待の可能性が高い妊婦の特徴とは? 保健師の立場から

ある自治体と大学との共同研究により、保健師の現場経験から、児童虐待の可能性が高いと考えられる妊婦の特徴が以下のように示された。

・妊婦健診を受けていない、または受診が不定期の妊婦
・妊娠や出産に関する知識が不足している妊婦、
・入院先の確保ができていない妊婦
・慢性疾患が悪化する可能性がある妊婦
・医療機関への受診支援が必要な妊婦

児童虐待とリンク 経済的困難や飛び込み出産

先行研究では、妊婦健診未受診であった妊婦の約4割で経済的困難があり、2割以上が出産直後から子供を乳児院に預ける選択をした。また、7割以上が飛び込み出産であった。

児童虐待を防ぐために私たちができることは?

児童虐待の背景には妊婦を取り巻くさまざまな問題があることは明確だ。私たちにとっても決して他人ごとではない。

虐待の可能性が高いと考えられる妊婦の特徴を知り、このような妊婦に対しては、保健師や身近な人などが定期的に妊婦健診の受診状況や結果を確認するとともに、出産準備の状況についてもきめ細かく把握し、サポートしていくことが必要だろう。

社説[保育所の民営化]子ども優先に議論せよ

沖縄タイムス 2016年7月8日

保育所民営化の波は、県内でも広がっている。沖縄タイムスが県内全41市町村を対象にしたアンケートで、13市町村が計48カ所の公立保育所を民営化したことが分かった。これまでに最も多い那覇市で9カ所、名護市が7カ所、南城市が6カ所、八重瀬町が5カ所を民営化。渡嘉敷村は具体的な計画はないとしつつ、島内唯一の公立保育所の民営化を「検討したい」とした。
保育所の民営化の背景には、国・地方財政の三位一体改革に伴う自治体の財政難がある。待機児童の解消や夜間・休日保育などの新たな保育ニーズに対応する意図もある。実際に、特色ある保育内容で評価を得ている認可保育園もみられる。
だからといって、公立保育所をゼロにして構わないと考えている自治体は多くない。アンケートでも、那覇市、石垣市、糸満市、宮古島市、今帰仁村などが公立を1カ所以上を残すと回答した。沖縄市は5カ所残す意向だ。
なぜ、公立保育所が必要なのか。専門家は、民間では受け入れが難しい障がい児らを預かるなど、公立保育所は「最後の砦(とりで)」だと指摘する。那覇市なども、公立保育所を地方自治体が担うべき保育の拠点として位置づけている。
民営化が進む中、逆に公立保育所は、地域全体の保育の質向上を図るけん引役として、より重要な役割を帯びる。
その中で公立保育所を残さない方向で動いている南城、八重瀬の両市町。
南城市はそもそも最後の1カ所については公立として残す方針だった。それが昨年、民営化にかじを切った。
8月にも事業者の公募を予定し、今月19日からは市民との意見交換会を4地区で開き、市の方針を説明する。ただ、「障がい児らが安心して通えるセーフティーネットとして残してほしい」とする市民団体の主張とは平行線をたどったままだ。
一方の八重瀬町。町内に一つだけ残る公立保育所の民営化を話し合う委員会をスタートさせた。過去の委員会では認可保育園の代表をメンバーに入れたのに対し、今回は「立場が違う」として委員にすることを見送った。認可園側が公立保育所の存続を求めたためだとみられる。
保育問題に熱心に向き合ってきた市民団体や、地域の保育の現場を詳しく知る関係者の声に背を向けるような行政の姿勢には疑問が残る。
厚生労働省の「保育所保育指針」は、保育所の役割として「子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場」と位置づける。
子どもの最善の利益を考えれば、果たして公立保育所を自治体からなくしていいのか。さまざまな面で支援が必要な家庭に行政としての責任を果たせるのか。ゼロに踏み切る前に議論を深める必要がある。

米研究結果、同性愛家庭で育てられた子供に精神的悪影響

早川 俊行 2016年7月8日

成人期のうつ症状2.6倍

米国で発表された最新の研究結果で、同性愛者のカップルに育てられた人は一般の男女の親に育てられた人に比べ、大人になってうつ症状が見られる割合が2・6倍も高いことが分かった。昨年6月の連邦最高裁判決で同性婚が全50州で合法化された米国では、米心理学会など有力学術組織が同性愛家庭と一般家庭の子供に「差異は無い」と結論付けているが、実際には同性愛家庭は子供に精神的悪影響を及ぼす可能性が高いことを研究結果は示している。(ワシントン・早川俊行)
アメリカ・カトリック大学のポール・サリンズ教授は、ノースカロライナ大学が統括する「全米青年期・成人期の健康に関する経年調査」のデータを利用し、同性愛家庭と一般家庭の子供の比較研究を試みた。青年期(平均年齢15歳)にうつ症状のある割合は、同性愛家庭の子供が18・3%で一般家庭の子供の21・8%より低かった。ところが、成人期(平均年齢28歳)にうつ症状のある同性愛家庭の子供は51・0%へと急激に上昇し、19・7%に減少した一般家庭の子供と比べ2・6倍も高かった。
また、同性愛家庭の子供は一般家庭の子供に比べ、自分は死ななければならないと感じる「希死念慮」を抱く割合が青年期で3・2倍、成人期で4・2倍、両親または一方の親と距離を感じる割合は青年期で2・6倍、成人期で1・7倍それぞれ高かった。
肥満の人はうつ病になる可能性が高いという研究結果があるが、同性愛家庭の子供は肥満傾向が強い。一般家庭の子供の場合、肥満の割合は青年期で13・8%、成人期で37・2%であるのに対し、同性愛家庭の子供は青年期で30・8%、成人期で71・9%と圧倒的に高かった。
児童虐待を受けた経験も、同性愛家庭の子供の方が大幅に多い。平均年齢22歳の時期に行われた調査データに基づく比較では、自分が愛されていないと感じる傷つく言葉や身体的暴力、性的虐待など何らかの児童虐待を受けた経験がある同性愛家庭の子供は、一般家庭の子供の1・6倍だった。
サリンズ教授は本紙の取材に「この研究結果は、同性愛者の親に育てられた子供が抱える幾つかの問題は大人になるまで現れないことを示している。15歳の時点では同じように見えても、28歳までにうつ症状が出て、肥満になり、親から孤立する可能性が大幅に高い」と指摘した。
米心理学会、米社会学会など有力学術組織は同性愛家庭と一般家庭の子供に「差異は無い」と結論付け、同性婚の合法化を積極的に支持してきた。だが、今回の研究結果は、米学会・メディアの間で主流となっている「差異は無い」という主張に対する新たな反証の一つといえる。
サリンズ教授は、児童虐待の影響がある程度年を取るまで完全には現れないように、同性愛家庭の影響についても、子供の時点だけを見て「差異は無い」と断定するのは不十分であり、「大人になって影響がどう現れるかも見る必要がある」と主張。「同性カップルが温かく、思いやりのある、愛情深い人間であり、個人としては良い親であっても、その家庭にはいない父親または母親がもたらす感情的、心理的利益を子供に提供することはできない」と、同性愛家庭が抱える根本的問題点を指摘した。
サリンズ教授はこれまでも、同性カップルに育てられる子供は男女の親に育てられる子供に比べ、情緒障害を抱える割合が2倍以上、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害、知的障害など発達障害を抱える割合も2倍近いことを示す研究結果を発表している。