子供の「6人に1人が貧困」 40兆円の社会的損失

ZUU online 2016年8月15日

6人に1人の子供が「貧困状態」にあるのをご存知ですか? 途上国の話ではありません。私たちが住む日本で起きていることです。
今回は日本社会が直面する、子供たちの「貧困問題」について考えてみましょう。

貧困には2つの種類がある
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。
「絶対的貧困」は、最低限の生活を維持するための食料や生活必需品を購入する所得水準に「達していない」人たちです。世界銀行では1日の所得が1.25米ドルを貧困ラインとしています。「絶対的貧困」は主に途上国で起きている問題です。
先進国においては「絶対的貧困」はありません。しかし「相対的貧困」が増えています。
「相対的貧困」とは、可処分所得が全人口の「中央値(※平均値ではない)」の半分未満の世帯員のことです。いわゆる所得格差の数字となります。
日本の「相対的貧困率」は1980年代から右肩上がりで増え続けています。2012年のデータでは16.3%で、6人に1人が貧困状態です。16.3%は先進国(OECD加盟国)のなかでも4番目に貧困率が高いことを示しています。
いま「子供の貧困」は深刻な状況にあります。
もし、あなたが、それなりに暮らしているとして、自分の生活とは無関係と思っているとすれば、大きな間違いです。子供の貧困は他人事ではありません。詳しく説明しましょう。

なぜ、日本で貧困が増えているのか?
日本で貧困の家庭が増えている原因とは何でしょうか?
第1の原因は「非正規雇用者による子育て世代の増加」です。非正規雇用の割合は1990年で20.2%でしたが、2015年には37.6%にまで増加しています。正社員の平均年収はおよそ676万円。それに対して非正規社員の平均年収は387万円です。生涯賃金になるとこの「格差」はさらに拡大します。
第2の原因は一人親家庭、主に「母子家庭の増加」です。18歳未満の子供がいる母子家庭は、1988年で約3.4%でした。それが2012年には6.8%と2倍に増加しています。母子家庭の非正規雇用率は57%に達し、平均年収は181万円です。
また、このような子供の貧困問題を助長する要因として、公的な補助が少ない点も指摘されます。日本における公的・私的教育支出、家族向けの支出は「対GDP比で1.4%」で先進国の中でも低い数字なのです。

貧困が貧困を呼ぶ「貧困の連鎖」
貧困世帯は、全世帯と比べて進学率が低い傾向にあります。
中学・高校卒業後は進学せずに就職する子供が多く、せっかく進学した高校を中退する確率が高いことも分かっています。
一方、東大入学者の世帯収入は年平均で1000万円とされています。つまり、一般世帯より300万円以上、母子家庭の非正規雇用者に比べると800万円以上も高い計算となります。
親の経済的格差が、子供の教育格差を生み、就学の格差をもたらし、さらなる「経済的格差」につながっていく。文字通り貧困が貧困を呼ぶ「貧困の連鎖」がそこにはあります。身も蓋もない話ですが、事実です。
貧しい家庭と、そうでない家庭の格差はどんどん拡大します。どこかで、貧困の連鎖を断ち切らなければ、経済的損失が膨らむばかりです。

「子供の貧困」を放置すると約40兆円の社会的損失
これまで述べた通り、日本では教育格差が「経済格差」に大きく影響します。ここで重要なのは、経済格差が大きな「社会的損失」をもたらす可能性が高いことです。
日本財団の『子供の貧困対策に関する大綱』によると、15歳以下の貧しい子供たち全員の「教育を受けられない状態(中退・進学の断念)」を放置すると約40兆円の所得が失われると試算しています。
つまり、貧困の子供たちをそのまま放置すると学習の機会が少なくなり、就職も不利になって低所得の状態が続く可能性が高まります。その子供たちが結婚して、子供を授かった場合、さらに低所得の家庭で学習の機会も失われるという「貧困の連鎖」が繰り返されることにもなりかねません。
その貧困家庭が、生活保護を受ける状態になると、社会保障の負担も当然増えることになります。こうした「貧困の連鎖」は、私たちの社会に莫大な損失をもたらすことになるのです。
一方、貧しい子供たちの進学率を上げる改善シナリオを行えば、社会負担も軽減されます。貧困の子供たちの「教育の機会」が増えると、就職も有利に働き、経済状態も改善されます。そうなると納税額も多くなり、社会全体に好循環をもたらすことになります。
私たちの社会が直面する「子供の貧困問題」は、他人事ではすまされないのです。

「子供の貧困」を支援するための様々な活動
そうした中で「子供の貧困問題」を少しでも改善しようとする活動も見られるようになりました。行政の支援は、内閣府のWebサイト『子供の未来応援プロジェクト』で各種の支援・サービスが紹介されています。
また、民間による支援も見られます。いくつか紹介しましょう。

『NPO法人キッズドア』
貧困の連鎖を断ち切るための教育支援事業を展開しています。低所得・ひとり親・児童養護施設などの子供で、学習が困難な小学生から高校生までを対象に無料の学習会、キャリア教育という学習支援を行っています。

『子ども食堂』
「子どもは無料、大人は300円」と格安で食事を提供してくれるのが『子ども食堂』です。全国で30か所以上開設されています。子供の「孤食」を防ぐだけでなく、学習サポート、地域での居場所づくりまで視野に入れた活動も見られます。

『チャンス・フォー・チルドレン』
子供たちに塾や習い事などに利用できる「学校外教育クーポン」を無償で提供しています。クーポンは、教科学習、習い事、スポーツ、文化活動、体験活動などに利用することができます。貧困家庭に、お金で支援すると親が別の目的で使ったりするケースが危惧されます。学習目的でしか使えないクーポンを提供し、目的を明確にした支援は社会的にも意義のあることです。

その他にも、民間で様々な取り組みがなされています。興味のある人は、調べてみてはいかがでしょうか。

成人年齢、18歳引き下げへ 政府 民法改正案、来年通常国会に提出

産経新聞 2016年8月15日

政府は成人年齢を現行の「20歳」から「18歳」に引き下げるための民法改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。複数の政府関係者が14日、明らかにした。明治以来、成人年齢は20歳で定着してきたが、改正公職選挙法で今年6月から引き下げられた選挙権年齢(18歳以上)に合わせる。成立後、公布から施行まで少なくとも3年程度の周知期間を想定しており、早ければ平成32年から導入されることになる。
法相の諮問機関の法制審議会は成人年齢の引き下げをめぐり、21年に「18歳に引き下げるのが適当」と答申しており、与野党を通じて異論は少ない。政府は、民法改正案を来年3月に閣議決定して来年の通常国会に提出する方針で、同国会で成立する見通しだ。
成人年齢が引き下げられた場合、飲酒、喫煙の解禁年齢や、少年法の適用年齢も「20歳」(少年法は20歳未満)から「18歳」(同18歳未満)に変更するかが大きな課題となる。ただ、これらの年齢引き下げには慎重論が根強く、今回は少年法改正案などの国会提出は見送る。
成人年齢見直しの議論は、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が19年5月に成立して始まった。国民投票法は投票年齢を原則18歳以上としたが、成人年齢や選挙権年齢を18歳に引き下げるなど関連制度が見直されるまでは20歳以上としていた。
法制審が成人年齢の引き下げを「適当」と答申してから法改正に向けた具体的な動きはなかったが、昨年6月に選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立。その後、自民党の特命委員会が成人年齢も速やかに18歳に引き下げるよう求める提言をとりまとめるなど、成人年齢の見直し作業が加速していた。

子どもにさせたい習い事「プログラミング」が急上昇

@DIME 2016年8月13日

e-ラーニングに関するサービスの様々なコンテンツを提供するイー・ラーニング研究所は、世代とともに変化する習い事を調査するため、子どもを持つ親を対象に「子どもの習い事・必要なスキルに関するアンケート」を実施した。
同社は5月より、社会で活躍するための「プレゼンテーション」「ロジカルシンキング」などの基礎能力を身につけることができる「子ども未来キャリア塾」と、6月より小学生向けのプログラミングスクールの2校を本開校した。昨今、英語やプログラミングなど、市場のニーズに沿ったスキルを子どもに身につけて欲しいと思う親が多くなっている。
そこで同社では、20~50代の子どものいる親486人を対象に、子どもの習い事や必要なスキルに関するアンケートを実施。その結果、親世代が思う子どもの頃に学んでおけばよかったスキル、習い事などの実態が見えるものになった。

習い事の文化は当たり前!?8割以上が子どもに習い事をさせている
「習い事をさせていますか?(させていましたか)」(SA)という問いでは、「Yes」が85%、「No」が15%という結果になった。習い事は学習塾やピアノ、水泳などのほか、最近では英会話スクールやプログラミング教室など市場のニーズに合わせたものも増えてきている。種類は様々だが、習い事をしている子どもたちが当たり前になっており、習い事市場も拡大傾向にあると考えられる。

させている習い事第1位は「スポーツ系」、させたかった習い事にはプログラミング教室が急浮上
「何の習い事をさせていますか?(させていましたか)」という問いでは、第1位が「スポーツ系」(219)、第2位が「学習塾」(201)、第3位が「音楽系」(172)という結果になった。また、「何の習い事をさせたいですか?(させたかったですか)」という問いでは、第1位が「英会話スクール」(192)、第2位が「プログラミング教室」(109)、第3位が「そろばん教室」(103)という結果になった。
させている(させていた)習い事ではプログラミング教室が最下位だったにもかかわらず、させたい(させたかった)習い事では第2位まで上昇した結果となった。2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化される動きから、プログラミングスクールの母数自体も増加しており、今後さらに需要が出る習い事と考えられる。

習い事をさせている理由は「本人の希望」よりも「将来の為」
「なぜその何の習い事をさせていますか?(させていましたか)」という問いでは、第1位が「将来の為」(246)、第2位が「本人の希望」(201)、第3位が「受験の為」(73)という結果になった。子どもの「将来の為」に習い事をさせている親が、「本人の希望」よりも多いことがわかった。将来必要となるスキルを身につけさせたいという思いが、習い事をする動機付けになっていることがうかがえる。

子どもに必要な能力は「コミュニケーション能力」が第1位
「子どもに必要だと思う能力は何だと思いますか?」という問いでは、第1位が「コミュニケーション力」(313)、第2位が「社会人性」(286)、第3位が「表現力」(276)という結果になった。トップ3の「コミュニケーション力」「社会人性」「表現力」は学校だけではなく、社会人になっても共通して必要なスキルとなることから上位に選ばれたと考えられる。
また、現代はSNSが普及しており、これまで以上に「コミュニケーション力」に長けることが必要とされる時代となっている。そのような時代背景からも、自分を表現する力や相手との距離感をきちんと把握する「コミュニケーション力」が必要と考えている親が多いのかもしれない。

好きな教科も嫌いな教科も「数学(算数)」がトップ
「好きな教科は何ですか?(何でしたか)」という問いでは、第1位が「数学(算数)」(171)、第2位が「国語」(155)、第3位が「英語」(123)という結果になった。また、「嫌いな教科は何ですか?(何でしたか)」という問いでは、第1位が「数学(算数)」(151)、第2位が「英語」(96)、第3位が「国語」(85)という結果になった。
好きな教科も嫌いな教科も「数学(算数)」がトップ。答えが1つに決まる数学の面白さに魅了される反面、段々と数式などについていけなくなり避けるようになってしまう人が同数程度いる結果となった。また、好きな教科と嫌いな教科の上位である国語と英語についても、暗記だけではなく考えることが必要になってくることが、明確に好き嫌いが分かれてしまう要因かもしれない。

将来の夢が叶っている大人はわずか22%、人気の職業は「教師」が第1位
「子どもの頃なりたかった将来の夢はありましたか?」という問いでは、「Yes」が73%、「No」が27%という結果になった。また「その夢は現在叶っていますか?」という問いでは、「Yes」が22%、「No」が78%という結果になった。子どもの頃なりたかった将来の夢の職種としては、「教師」「保育士」「タレント・歌手・モデル」がトップ3となった。
一番子どもの頃に身近に接することが多い職業が上位にランクインしたほか、「スポーツ選手」や「CA(キャビンアテンダント)」、「医師・看護師」や 「美容師」などの資格を有する職業が上位にランクインした。子どもの頃とは視点も考え方も異なるため、大人になって夢が叶っている人は2割程度に留まる結果となった。

大人になって学んでおけば良かったと思う能力トップは「お金の稼ぎ方」
「子どもの頃に学んでおけばよかったことをすべてお選びください」という問いに対して、回答の上位3項目は「お金の稼ぎ方」(402)、「コミュニケーション力」(312)、「プレゼン能力」(299)となった。特に「お金の稼ぎ方」については9割以上の人が回答しており、子どもの頃一番学んでこなかった「お金の稼ぎ方」を大人になって痛感している様子がうかがえる。ま
た、「コミュニケーション力」「プレゼン能力」と社会人になってから多くの場面で必要とされるスキルが上位に挙がっていることから、実体験からの回答となっていると考えられる。
昔と違い、子どもの習い事は当たり前になり、習わせるものも時代とともに変化している。何を習わせるにしても、親は子どもに対し、大人になっても役立つことを習わせたいもの。何か習い事をさせさいときは、どういう大人になってほしいか、といったことをまず明確にしなければならないのかもしれない。

【調査概要】
調査方法:紙回答
調査地域:全国
調査期間:2016年5月21日(土)
調査対象:20代~50代の子どものいる親 男女 計486人

<厚労省>改称でも「児相」表記 自治体に要請へ

毎日新聞 2016年8月14日

全国の児童相談所(児相)の名称を「こども家庭センター」などと改称している自治体があり、利用者の混乱を招きかねないとして、厚生労働省は、自治体に対し、「児相」の表記を求める方針を決めた。
児相は、児童福祉法に基づく名称だが、厚労相に報告すれば改称できる。近年、児相は児童虐待や不登校、家庭内暴力への対応など子どもや女性の権利を守るための多様な取り組みをしている。児相を設置する全都道府県・政令市と2中核市の計69自治体の3割に当たる22自治体で「こども家庭センター」(川崎市や兵庫県)、「子ども女性相談センター」(香川県)などと名付けている。
一方、東京都の市区には児相とは別に、子育て支援に関する総合相談窓口「子ども家庭支援センター」があるなど紛らわしかった。
厚労省は近く、児相以外の名称を使う場合には、ホームページなどで広報する際、後ろに「(児相)」と付け加えるよう各自治体に伝える。【熊谷豪】

当事者たちの「私たちは『買われた』展」で激論

R25 2016年8月14日

虐待や貧困などから「売春」をした中高生たちが、当時の事情や心情を包み隠さず表現した「私たちは『買われた』展」が東京・神楽坂で8月11日から21日まで開催中だ。ネットでは、この展示の意義や目的をめぐり、物議を醸している。
企画展は、少女たちの自立支援を行う一般社団法人「Colabo」などが主催したもの。これまで表に出ることがなかった「買われた側」の声を世の中に伝えることで、児童買春の現実と世の中の持つ「売春」のイメージを変えることを目的に企画された。
展示では、少女たちが「買われた」現実や日常を表す写真や絵、アート作品、日記などが並んでいる。なお、公式HPでは、「買った大人への怒りとかいうよりも、買われる前の背景があることを知ってほしい。家族や学校、施設で虐待されたり、ひどいことを言われたりしたことが繋がっている」という当事者の女性のコメントも紹介している。

Twitterでは、
「想像していたより壮絶だったけどその現実がそこここに『普通』にあることを知ってほしいしその『異常』に気づいてほしい」
「一つ一つのパネルを読んで、大人として心苦しいと思いました。セーフティネット(生活保護、児童相談所等)が機能せず、子どもたちの人権(生きる権利、守られる権利、育つ権利)が踏みにじられている」
「『自分の意思でやってるから自己責任』『何かあっても自業自得』という『神話』を崩すためにも」
と企画展の意義や、少女たちを守るべき大人としての責任を感じる感想が数多く見られた。ただ一方で、“正当化するような企画展は売春の撲滅につながらないのでは?”といった趣旨の意見など、反発も多かった。なお、
「『買われた』より『(強制的に)売らされた』の方が意味が伝わりやすいと思うの
捻くれた人は「“(自ら)売った”ではないか」と言いだすから」
と、企画展にタイトルに絡めて、言葉の使い方で売春・買春の印象が変わることを指摘するユーザーも。
多くの議論が紛糾した「私たちは『買われた』展」。肯定派と否定派の議論が白熱した様子から、ユーザーに大きなインパクトをもたらし、売春・買春について考えるきっかけになったのは確かだ。
(山中一生)