児童虐待、予防拠点作り…市町村へ整備費補助

読売新聞 2016年8月21日

厚生労働省は、子育てに問題がある家庭への「支援拠点」を設置する市町村に対し、施設の整備費や人件費の一部を補助する方針を固めた。
自治体に支援拠点の整備を促すことで、児童虐待の未然防止につなげたい考えだ。2017年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む。
支援拠点では、児童相談所(児相)で一時保護するほどの緊急性はないものの、家庭訪問などで食事や衛生面などに問題があると判断された家庭を対象に支援する。児童福祉や心理学の専門職員などを配置し、継続的に子供の養育状況の聞き取り調査や、カウンセリングを行う。
厚労省では、支援拠点を設けるために既存の施設を改修したり、専用の施設を新設したりする市町村への整備費や人件費の補助を想定している。

成人式の日、私を夜の世界から連れ戻してくれた母へ

朝日新聞デジタル 2016年8月21日

【花のない花屋】
〈依頼人プロフィール〉
28歳 女性
愛知県在住
主婦

大学生の頃、お小遣い欲しさに、親に隠れて夜のお店で働いていた時期があります。街でスカウトされたことがきっかけで、気軽な気持ちで始めました。お客さん相手にお酒をつぐ仕事でしたが、昼間のアルバイトよりずっと稼ぎがよく、気づいたときにはどっぷりハマっていました。多いときには週4日、帰宅は深夜1時を過ぎることもざらでした。
成人式の日も、2次会へ向かうみんなを横目に私はお店へ。そして、深夜仕事が終わって駅へ向かうと、母親が私を待ち伏せしていました。どうやら母はずいぶん前から感付いていたようで、探偵を雇い、私を尾行させていたとのこと。私の行動はすべて筒抜けでした。「成人式の写真なんて見たくもない」と言われ、そこまで悲しい思いをさせていたのかと思い、ショックでした。
私はなんてことをしてしまったのだろうと後悔し、すぐにお店はやめました。それ以来、夜の仕事からは完全に遠ざかっていました。お金がどうしても欲しくなったとき、一瞬「またあそこで働けば……」と頭をよぎることがありましたが、あの日の母のことを思い出すとできませんでした。
必死で夜の世界から連れ戻してくれた母がいなければ、今頃私はまったく別の人生を歩んでいたでしょう。母に心から感謝しています。
今は、4年前に結婚した夫との間に1歳の子供がいます。自分が母親になっても、慣れない子育てなどは母に頼ってばかりです。彼女は今年の6月末で56歳を迎えました。この機会に、誕生日のお祝いと、これまでの感謝の気持ちを込めて東さんの花を贈りたいです。
母は保育士で、趣味は旅行やテニス。青や白、水色などさわやかな感じのアレンジが似合うと思います。どうぞよろしくお願いします。

思いを伝えたい人はいますか? 読者のみなさんから届いたさまざまな「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現しました。東さんからのメッセージと選んだ花の解説は★印のリンクからご覧下さい。皆さんからの「物語」も募集しています。

子どもにさせたい習い事「プログラミング」が急上昇

@DIME 2016年8月20日

e-ラーニングに関するサービスの様々なコンテンツを提供するイー・ラーニング研究所は、世代とともに変化する習い事を調査するため、子どもを持つ親を対象に「子どもの習い事・必要なスキルに関するアンケート」を実施した。
同社は5月より、社会で活躍するための「プレゼンテーション」「ロジカルシンキング」などの基礎能力を身につけることができる「子ども未来キャリア塾」と、6月より小学生向けのプログラミングスクールの2校を本開校した。昨今、英語やプログラミングなど、市場のニーズに沿ったスキルを子どもに身につけて欲しいと思う親が多くなっている。
そこで同社では、20~50代の子どものいる親486人を対象に、子どもの習い事や必要なスキルに関するアンケートを実施。その結果、親世代が思う子どもの頃に学んでおけばよかったスキル、習い事などの実態が見えるものになった。

習い事の文化は当たり前!?8割以上が子どもに習い事をさせている
「習い事をさせていますか?(させていましたか)」(SA)という問いでは、「Yes」が85%、「No」が15%という結果になった。習い事は学習塾やピアノ、水泳などのほか、最近では英会話スクールやプログラミング教室など市場のニーズに合わせたものも増えてきている。種類は様々だが、習い事をしている子どもたちが当たり前になっており、習い事市場も拡大傾向にあると考えられる。

させている習い事第1位は「スポーツ系」、させたかった習い事にはプログラミング教室が急浮上
「何の習い事をさせていますか?(させていましたか)」という問いでは、第1位が「スポーツ系」(219)、第2位が「学習塾」(201)、第3位が「音楽系」(172)という結果になった。また、「何の習い事をさせたいですか?(させたかったですか)」という問いでは、第1位が「英会話スクール」(192)、第2位が「プログラミング教室」(109)、第3位が「そろばん教室」(103)という結果になった。
させている(させていた)習い事ではプログラミング教室が最下位だったにもかかわらず、させたい(させたかった)習い事では第2位まで上昇した結果となった。2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化される動きから、プログラミングスクールの母数自体も増加しており、今後さらに需要が出る習い事と考えられる。

習い事をさせている理由は「本人の希望」よりも「将来の為」
「なぜその何の習い事をさせていますか?(させていましたか)」という問いでは、第1位が「将来の為」(246)、第2位が「本人の希望」(201)、第3位が「受験の為」(73)という結果になった。子どもの「将来の為」に習い事をさせている親が、「本人の希望」よりも多いことがわかった。将来必要となるスキルを身につけさせたいという思いが、習い事をする動機付けになっていることがうかがえる。

子どもに必要な能力は「コミュニケーション能力」が第1位
「子どもに必要だと思う能力は何だと思いますか?」という問いでは、第1位が「コミュニケーション力」(313)、第2位が「社会人性」(286)、第3位が「表現力」(276)という結果になった。トップ3の「コミュニケーション力」「社会人性」「表現力」は学校だけではなく、社会人になっても共通して必要なスキルとなることから上位に選ばれたと考えられる。
また、現代はSNSが普及しており、これまで以上に「コミュニケーション力」に長けることが必要とされる時代となっている。そのような時代背景からも、自分を表現する力や相手との距離感をきちんと把握する「コミュニケーション力」が必要と考えている親が多いのかもしれない。

好きな教科も嫌いな教科も「数学(算数)」がトップ
「好きな教科は何ですか?(何でしたか)」という問いでは、第1位が「数学(算数)」(171)、第2位が「国語」(155)、第3位が「英語」(123)という結果になった。また、「嫌いな教科は何ですか?(何でしたか)」という問いでは、第1位が「数学(算数)」(151)、第2位が「英語」(96)、第3位が「国語」(85)という結果になった。
好きな教科も嫌いな教科も「数学(算数)」がトップ。答えが1つに決まる数学の面白さに魅了される反面、段々と数式などについていけなくなり避けるようになってしまう人が同数程度いる結果となった。また、好きな教科と嫌いな教科の上位である国語と英語についても、暗記だけではなく考えることが必要になってくることが、明確に好き嫌いが分かれてしまう要因かもしれない。

将来の夢が叶っている大人はわずか22%、人気の職業は「教師」が第1位
「子どもの頃なりたかった将来の夢はありましたか?」という問いでは、「Yes」が73%、「No」が27%という結果になった。また「その夢は現在叶っていますか?」という問いでは、「Yes」が22%、「No」が78%という結果になった。子どもの頃なりたかった将来の夢の職種としては、「教師」「保育士」「タレント・歌手・モデル」がトップ3となった。
一番子どもの頃に身近に接することが多い職業が上位にランクインしたほか、「スポーツ選手」や「CA(キャビンアテンダント)」、「医師・看護師」や 「美容師」などの資格を有する職業が上位にランクインした。子どもの頃とは視点も考え方も異なるため、大人になって夢が叶っている人は2割程度に留まる結果となった。

大人になって学んでおけば良かったと思う能力トップは「お金の稼ぎ方」
「子どもの頃に学んでおけばよかったことをすべてお選びください」という問いに対して、回答の上位3項目は「お金の稼ぎ方」(402)、「コミュニケーション力」(312)、「プレゼン能力」(299)となった。特に「お金の稼ぎ方」については9割以上の人が回答しており、子どもの頃一番学んでこなかった「お金の稼ぎ方」を大人になって痛感している様子がうかがえる。また、「コミュニケーション力」「プレゼン能力」と社会人になってから多くの場面で必要とされるスキルが上位に挙がっていることから、実体験からの回答となっていると考えられる。
昔と違い、子どもの習い事は当たり前になり、習わせるものも時代とともに変化している。何を習わせるにしても、親は子どもに対し、大人になっても役立つことを習わせたいもの。何か習い事をさせさいときは、どういう大人になってほしいか、といったことをまず明確にしなければならないのかもしれない。

【調査概要】
調査方法:紙回答
調査地域:全国
調査期間:2016年5月21日(土)
調査対象:20代~50代の子どものいる親 男女 計486人

監視?防犯?プライバシー?設置に揺れる福祉施設の監視カメラ

けあZine 2016年8月17日

福祉施設においてさまざまな問題が取りざたされる現在。監視カメラの導入についても、その賛否が問われています。施設としてどう方向性を打ち出すのか。そのメリットやデメリットについて考えていきましょう。

1. 施設運営と犯罪
ひと昔前まで、福祉施設に監視カメラを設置することは、いくら防犯上有効なものだったとしても、道義的に褒められたものではないという考えが主流でした。そこに暮らす方々を、カメラで監視することによって効率的に管理するイメージがあったからでしょうか。施設見学に行って監視カメラを目にすると、嫌な気分になったのを覚えています。
しかし職員による入居者への虐待が次々と発覚する中、そういった考えは世間的にも少しずつ薄れていったように感じます。家族が不審に思って取り付けるくらいなら、やはり最初から付けておいた方が良いのではないか……と。この意見には賛否両論あり、「プライバシーがなくなる」「信頼されていないと職員の士気が下がる」「虐待の防止策なら教育に力を入れるべき」など、まだ議論の余地がありました。そして、先月起きた障害者施設の悲しい事件。この事件で監視カメラは防犯の意味では役に立たなかったようですが、「福祉施設に監視カメラは必要ない」とはもう誰も言えなくなりました。
「利用者の安全を守る・命を守る」という観点でいえば、災害対策の方がピンとくる施設運営です。これまでいろいろな事件はありましたが、それは入居者の命を脅かす種類のものは稀でした。しかし現在はまず施設としての防犯対策に重点を、とりわけ監視カメラは標準設備と言わざるを得ない時代になったように感じます。

2. 導入にあたり、忘れてはいけないこと
入居を決めるための見学や問合せなどで、施設の防犯対策や監視カメラについて問われるケースが増えています。預ける側の家族としては、「安全に過ごして欲しい」と願うのは当たり前です。監視カメラの有無で入居を決める方も、今後は増えてくるでしょう。監視カメラ(防犯カメラ)を設置している福祉施設を見てみると、次のようなケースに分かれています。
1.出入り口のみに設置している
2.出入り口とパブリックスペース(食堂や廊下など)に設置している
3.居室を含め、全ての場所に設置している
4.出入り口やパブリックスペースは設置。居室のみ、入居者や家族の希望で設置する
防犯用や徘徊による事故防止のための監視用など、各施設の特性や考え方によって設置されています。公にはされていませんが、中には職員がサボっていないかなど、職員側の監視用として使用しているケースもあるようです。
しかし、「監視カメラが設置されているかどうか」が重要なのではありません。本当に大切なのは、設置にあたって施設としての方針や運用ルールがきちんと決められているかという点。防犯を掲げれば何でもまかり通ってしまうようでは、そこに住む方々の自由が簡単に失われてしまう危険があるでしょう。これはとても危険なことです。福祉施設は、そこに住む方々の安全を守るのと同時に、プライバシーも守らなければなりません。
導入にあたっては、そこで暮らす入居者や家族、職員へも必ずこれらを説明しましょう。「常にカメラに監視されている」と感じるのか、「守られている・安心だ」と感じるのかは個人差があるもの。だからこそ、施設としての方針と運用のルールを策定し、しっかり利用者やその家族に説明していくことが大切になります。「いつの間にか付いていた」なんてことのないようにしたいものです。

3. 監視カメラの効果
外部からの犯罪を抑止する効果として、やはり監視カメラは有効です。そして、残念ながら減らない職員による入居者への虐待に関しても、かなり有効と言わざるを得ません。

虐待防止に効果
人は誰でも間違うもの。さまざまな悪条件が重なると、超えてはいけない一線を越えてしまう時があります。そこを踏みとどまらせてくれるのが教育であり、プロとしてのプライドであり、そしてスキルでした。しかし人手不足の現在、そうした教育を受けていなかったり、プロとしての意識が欠けていたり、あるいはメンタルコントロールのスキルが低い職員がいるのが実際です。事業所としていくら研修に力を入れても追いつかない状況なのです。そういった意味で、「カメラがある」という職員への非常に分かりやすいメッセージは、抑止力となって効果を発揮します。もちろん、それだけに頼ってはいけません。教育や研修はしっかりと行うべきでしょう。

事故解明の手段となる
入居者は、時として予想できない動きをします。例えば、原因不明の内出血がでることもあるでしょう。動けないはずなのに、ベッドから落ちるといったこともあります。もし部屋にカメラが付いていれば、次の事故を防止するための手段を見つけることができるかもしれません。また、原因を解明することで、家族がモヤモヤと抱いていた不審を取り払うこともできます。虐待を疑われた職員を守ることにもなるのです。

4. 国としての対策は
今後議論されてくると思われますが、国や自治体としての対策はどうなるのでしょうか。現在のところは、各事業所に注意喚起の文書が回った程度です。そこに示されているのは、施設内の防犯体制の整備や地域住民との協力など。しかし、これで安全は守られるのでしょうか。
大規模な法人なら、監視カメラの導入や夜間の警備員の配置などが考えられます。しかし、小規模な民間の場合はそうはいきません。設備の導入費用や人件費の増加は、現実的に厳しいといった面もあるでしょう。国は、要件に当てはまる事業所には段階に応じた補助金を出すなどといった具体案を、是非とも検討してほしいものです。
少なくとも、「各事業所の努力で何とかしましょう」レベルの話ではない問題です。尊い福祉の担い手に安心して働いてもらうためにも、国のフォロー体制がしっかりと整えられることを願います。