養護施設出身者に返済不要の奨学金…早大など

読売新聞 2016年9月28日

高校の卒業後、児童養護施設を退所した大学生らに、返済不要の「給付型奨学金」を支給する動きが広がっている。
来年度の入学生から早稲田大が制度を始めるほか、2018年度から青山学院大も続く予定で、「進学の機会が広がる」と期待の声があがっている。
児童養護施設は、親の虐待や経済的な理由などで家庭での養育が難しい子を受け入れる施設で、原則18歳になると退所を求められ、金銭的な不安から進学をあきらめる例も多いという。
早大が新設するのは「紺碧(こんぺき)の空奨学金」。4年間の授業料などを免除するほか、月9万円を支給する。応募できるのは、高校2年生~20歳未満の同大志願者。9月末までに申請し、進学前の11月に選考結果がわかる「予約型」で、入試で合格した場合のみ利用できる。高校2年生を対象に加えたのは、早めに奨学金の予約を取り付け、受験勉強に専念してもらうためという。

合否以上に気になる入学後の費用負担 どうなる?大学の奨学金制度

ベネッセ 教育情報サイト 2016年9月28日

9月ももう終わり。進学希望の高校3年生は、本格的に志望校を絞る時期に入っていることでしょう。保護者にとって、合否以上に気になるのが、進学後の費用負担です。国のほうでも、負担軽減のため、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金制度の見直しに取り組んでいます。

「課税所得の9%」も選べるように
現在の高3から導入が決まっているのが、「新たな所得連動返還型奨学金制度」の創設です。現在も、無利子奨学金に関して、通常の定額返還(私立大学の自宅生で5万4,000円を4年間借りた場合は月1万4,400円)に加え、年収300万円以下の世帯の学生が、卒業後も年収300万円以下なら返還が猶予される「所得連動返還型無利子奨学金制度」が2012(平成24)年度から導入されています。
利用者は、無利子奨学金貸与者の約30%(2014(平成26)年度で新規貸与者のうち4万5,340人)に上っています。しかし現行制度では、300万円を1円でも超えると、定額の返還が待っています。
2017(平成29)年度から創設することが決まっている新制度では、保護者の年収に関係なく、無利子奨学金を利用する全員が、新制度を選べるようになります。ただし、これまでは連帯保証人を付けるか(人的保証)、保証機関に毎月2,000~3,000円程度の保証料を払って保証してもらうか(機関保証)が選べましたが、新制度では、機関保証に一本化されます(保証料の引き下げは検討)。
先のモデルケースの場合、卒業後は、収入がゼロでも月2,000円、それ以降は、課税対象所得の9%相当を返還します(年収300万円の場合は月8,900円)。収入が増えれば、返還率に応じて、返還額も上がるわけです。なお、それでも返還が厳しい場合は、これまでどおり、返還猶予を申請することができます。

返還不要の対象者や方式は年末までに調整
一方、奨学金をめぐっては、これまで「有利子から無利子へ」の方針の下、貸与する人数の拡充を図ってきました。それでも、基準を満たしているのに予算不足で貸与されない「残存適格者」が、2016(平成28)年度時点で約2万4,000人いました。そこで文部科学省は来年度概算要求で、これらの人が全員借りられるよう、無利子奨学金の貸与人員を、2万4,000人増の49万9,000人と計上しています。この他、授業料減免も国立大学で2,000人増の6万1,000人、私立大学で1万2,000人増の6万人としたい考えです。
懸案となっている、返還の必要がない「給付型奨学金」の導入は、安倍晋三首相が8月の内閣改造時、2017(平成29)年度予算編成の中で実現できるよう、松野博一文科相に指示しました。概算要求には、対象者や必要額を明示せず、年末までの調整に委ねる「事項要求」としていますが、文科省では、児童養護施設退所者・里親出身者(約2,000人)や生活保護世帯(約1万5,000人)、住民税非課税世帯(約14万2,000人)などを対象に、一定の成績要件を設けたうえで、通常貸与額に上乗せ給付する方式や、貸与額の一部を返還不要とする方式を検討していることを明らかにしています。
政府は2012(平成24)年9月、高校授業料無償化に伴い、大学などの高等教育でも「無償教育の漸進的な導入」の方針を表明しています。まずは貧困家庭への支援が急務ですが、それ以外の家庭向けにも、更なる負担軽減策を目指してほしいものです。

「性犯罪の厳罰化」はいったいなぜ必要なのか

東洋経済オンライン 2016年9月28日

性犯罪の厳罰化をにらんだ法改正の動きが出ている
強姦罪や強制わいせつ罪など性犯罪の厳罰化をにらんだ法改正の動きが出てきています。
9月中旬、法務大臣の諮問機関である法制審議会が金田法務大臣に対して性犯罪の厳罰化等に関する答申を行いました。性犯罪に関する刑法のあり方については、これまでも多くの議論があったところです。今回の答申を受けて国会で刑法改正について審議される予定です。

今回の答申の主な内容は、以下のとおりです。
①法定刑の引き上げ(例:強姦罪について懲役3年以上から懲役5年以上)
②強姦罪において、男性も被害者とする(現行法でも強制わいせつ罪については男性も被害者となります。)
③18歳未満の者に対して親などの監護者がわいせつ行為などをした場合、強姦罪等に問うことができる条文を新設する
④被害者の告訴がなくとも罪に問える非親告罪化
これらの改正点については、人によって、またそれぞれの改正点によって、さまざまな意見があることでしょう。これまでの刑法は何が問題だったのか、改正点のポイントはいったい何か。順に解説していきます。

強姦罪の下限を懲役5年以上へ
①法定刑の引き上げについて
従来の刑法においては、男性が無理やり女性を姦淫した場合(強姦罪:懲役3年以上)よりも、無理やり人から物を奪った場合(強盗罪:懲役5年以上)のほうが罪の下限が高かったことは、被害者をはじめ多くの方から問題だとされてきました。そこで、強姦罪の下限を懲役5年以上とする改正案が提示されました。

人の性的自由を侵害する被害は男性にも起こり得る
②男性も強姦罪の被害者とすることについて
強姦罪はこれまで被害者が女性に限られ、行為態様も男性器が女性器に挿入されること(「姦淫」)に限られていました。これは、一般的に性犯罪の被害者が女性を想定されていたことや、妊娠の危険を重視していたことなどに理由があります。
しかし、暴力的に人の性的自由を侵害する行為による重大な被害は男性に対しても起こり得ますし、身体的・精神的に重大な苦痛を伴う被害を受けることについて被害者の性別によって差はないと考えられ、そこで今回の改正案では被害者に男性を加えることとされました。
被害者に男性を加えることにともない「姦淫」の定義も変わります。男性器を女性器に挿入することに加え、逆に女性器に男性器を挿入させること(この場合も議論されています。)や、男性器を男性または女性の肛門に挿入すること、口に男性器を挿入することも含まれるという試案が出されています(試案では「性交、肛門性交または口腔性交」とされています。)。
従来は強制わいせつ罪として処罰されてきた行為の中でも、肛門性交および口淫は、濃厚な身体的接触を強いられるものであって、従前の「姦淫」と同等の悪質性及び重大性があると考えられることから、「姦淫」と同様に加重処罰の対象とすることが適当であると考えられています。
これらについては少々問題が提起されています。たとえば、口に男性器を挿入すること(口腔性交)については、もちろん卑劣な犯罪ではあるものの、妊娠の危険がないだけでなく、これまで一般的に考えられてきた「強姦」とはイメージがかけ離れており、従来の「姦淫」(男性器を女性器に挿入すること)を罰していた強姦罪について下限が軽いということで厳罰化することになったにもかかわらず従来の強姦罪では対象とされていなかった行為について安易に対象としない方が良いのではないかということが指摘されています。

子に対するわいせつ行為について
③親などの監護者から子に対するわいせつ行為等に関する新しい条文について
被害者の意思に反して行われる親子間の性交が、立証の困難さなどの問題から、強姦罪ではなく、より軽い児童福祉法違反(10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科)などで処分されている現状があること、また、被害者の意思に反して行われる性交等の中には、暴行または脅迫を用いることがなくても、従来の強姦罪や強制わいせつ罪に当たる行為と同様に悪質であるものが存在すると考えられてきたことから、新しい条文を設けることが提案されています。
試案では「監護者であることによる影響力があることに乗じてわいせつ」等をした場合に罰せられるとされています。試案にいう「監護者であることによる影響力があることに乗じて」という言葉の定義が十分に固められる必要があります。
たとえば、これまでの裁判では、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」には、相手方が意に沿わないキスや裸の撮影も該当するとされてきました(もっとも相手方の反抗を著しく困難にさせる程度の暴行・強迫を用いたものに限られます。)。これらについては、一般の親子間でも問題となり得ます。そのため「監護者であることによる影響力があることに乗じて」という文言についてどのような行為がこれに当たるか議論を深めるべきである、または、特別な規定を定めずに従前どおり強姦罪や強制わいせつ罪、児童福祉法違反などの適用で対応すべきという指摘があります。

被害者の精神的負担を解消へ
④性犯罪の非親告罪化について
従来は強姦罪と強制わいせつ罪は親告罪(被害者による処罰を求める意思(告訴)が必要とされる犯罪)とされていますが、この趣旨は、裁判を行うことによって被害者の名誉やプライバシーが害されるおそれがあることから、被害者の意思を尊重することにあるなどといわれています。
しかし、現実には肉体的、精神的に多大な被害を負った被害者にとっては告訴するかどうかの選択を迫られていると感じられる場合があるなど、被害者に精神的な負担を生じさせていると指摘されていました。
非親告罪とすることによって、罪に問うかの判断を委ねられることによる被害者の精神的負担を解消でき、また、重大な犯罪である性犯罪が国の責任で刑事訴追できるようになります。ただし、被害者が罰しなくて良いと述べている場合に、捜査協力についての負担や、法廷における証言等の負担をかけさせてしまうおそれがあり、また、被害者のプライバシーや名誉が害されるおそれがあります。
非親告罪であっても被害者は捜査に協力しないことはできますが、刑事裁判における証人尋問について拒否すると刑事訴訟法の定めにより強制されることがあります(被告人に争う機会を保障するためにも証人尋問の機会は保障されるべきです。)。法制審議会においてもこの点は議論されていますが、十分に配慮して対策を講じなくてはなりません。
今回の性犯罪に関する刑法改正案は、国会はもちろんのこと世論の反応も先行きに影響を与えます。国民全体で議論が深まっていくのが望ましいでしょう。

思わずウルッと来ちゃうストーリー。子どもがお母さんを心配する理由がかわいすぎる!

BEST TIMES 2016年9月28日

子どもが「ママ、頑張ってる?」と聞いた理由
子どもの言動にハッとすることってありますよね。かつては自分も持っていたはずのその感性、どこに置いてきてしまったのだろう……そんなふうに思わせてくれる一冊が話題を呼んでいます。
「かわい過ぎる」「不覚にも泣いてしまった」……と反響が寄せられている男性保育士による『ハンバーガグー!』(てぃ先生・著)。そのひとつをご紹介します。

朝、パパやママと登園して来る子どもたち。お別れの際に子どもがかける言葉はご家庭によってさまざまです。
「いってらっしゃーい!」
と手を振るパターン。一番多いです。
「きょうは はやい?」
今日のお迎えが早いのか遅いのか確認するパターン。毎日同じでも一応確認します。
「きを つけてね」
身の安全を心配するパターン。君もね。
「……」
すでに遊びに夢中でなにも声をかけないパターン。パパやママにとっても、後ろ髪を引かれる思いをしなくてすむので意外と好評のようです。
男の子(4歳)はいつも、
「がんばってね!」
ママにこう声をかけています。
「がんばるね! ○○くんもね!」
ママも男の子にこう返します。お互いのおでこをくっつけながら言い合う、その姿がいつも微笑ましく、こちらまで元気をもらうのです。
その男の子が登園時に珍しくぐずる日がありました。そんなときもあります。眠いとか、体調が万全でないとか、どうにも寂しいとか。
ママはいつもと変わらず「がんばろうね!」と言っておでこをくっつけようとしますが、男の子は頑なに拒否します。それがお別れの合図だとわかっているからです。その日は泣いたまま、ママが「行って来るね」と言うだけになりました。
その後、園庭で遊んでいると、男の子が僕のところにやって来て言いました。
「ママ がんばってるかな?」
寂しそうな表情で言います。いまにも泣き出しそうです。「絶対に頑張っているよ」と答えると、小さく頷いていました。

お昼寝の時間。寝る直前にも、
「ママ がんばってるかな?」
と聞いて来ました。「絶対に頑張っているよ」と同じ答えを返します。また小さく頷く男の子。「絶対に頑張っているよ」以外の言葉でも声かけをしたのですが、どうやら「絶対に頑張っているよ」が一番響いているようでした。
楽しそうに遊んでいるのだけれど、たまに「ママが頑張っているか」が不安になって聞きに来る、その日はずっとこんな調子で過ごしていました。
夕方。お迎えの時間です。男の子のママはいつもより少し早く来てくれました。
「今日どうでした?」
ママも一日中気になっていたようです。
「いつも通り楽しそうに過ごしていましたし、頑張っていましたよ」と答えると、「頑張っていましたか」と僕の答えに笑っていました。
「ママ!」
と、お迎えに気がついた男の子が小走りでやって来ます。
「ママ がんばってた?」
今日ずっと気になっていたことを聞きます。「ママ頑張ってたよ。○○くんは?」と聞き返すママ。
「がんばった!」
うれしそうに答える男の子。安心したという表情です。いつもより長めに抱きしめ合ったあと、仲良く帰っていきました。
翌日の連絡ノートには、「昨日は『がんばってね』ができなかったから、私が頑張れないんじゃないかと不安になっていたそうです(笑)」というママからのコメントがありました。
日常のなかにあるほんの些細なやり取り。でも、子どもにとってはとても大きなこと。そして、それは大人にとっても大きなこと。そんなことを感じさせてくれました。