児相の一時保護、親の同意不要に

TBS系(JNN) 2016年9月30日

虐待を受けている子どもを家族から引き離す「一時保護」を児童相談所がより積極的に行えるよう、厚生労働省は保護者の同意を原則としないなどの見直しをした新しい運営指針を全国の自治体に通知しました。
一時保護をめぐっては、おととし、神奈川県相模原市の児童相談所が、両親から虐待を受けて自ら保護を求めた男子中学生について、親の同意が得られなかったなどの理由から保護を見送り、男子生徒がその後、自殺しました。
問題を受けて厚生労働省は、児童相談所が「一時保護」を積極的に行えるよう、運営指針を見直して全国の自治体に通知しました。具体的には、一時保護をする際の保護者の同意について、これまでの「原則として必要」から「望ましい」に表現を改めた上で、子どもの安全確保が必要な場面では「一時保護を躊躇なく行うべき」としています。

泣く子の口を押えつけ…ブラック保育園の“虐待隠し”を、保育士が明かす

女子SPA! 2016年9月29日

上司からの嫌がらせで、仕事が続けられなくなるほど追い詰められてしまうこともある“パワハラ”。働く人の大半が女性である「保育園」も、パワハラの横行しやすい職場のひとつだそう。
子どもに向けられる笑顔の裏に渦巻く、保育業界のブラックな素顔とは……? 職場環境に悩む介護士や保育士の駆け込み寺「介護・保育ユニオン」に声を上げたフミエさん(仮名・23歳)に、その実態をお聞きしました。

激務とパワハラで適応障害に
従妹の世話をしたことがきっかけで、小学校低学年のころから「保育士になる」という夢を一途に抱いてきたフミエさん。
資格取得のかたわらインターンなどで経験も積み、短大卒業と同時に、業界大手の認可保育園に採用されました(株式会社がチェーン展開する保育園)。長年の夢を叶えた喜びを胸にスタートを切った“先生”でしたが、目の当たりにした現実は想像を絶する世界だったといいます。
「園長や先輩保育士はなにひとつ教えてくれず、見よう見まねで保育にあたる日々でした。そのうえ、誰かが困っていてもみんな見て見ぬフリなんです。同時に泣き叫ぶ3人の乳児を私一人であやし続けたこともありました」
さらに、残業代のつかない居残りをさせられたり、業務時間内で終わらないほどのデスク作業を強いられて、自宅に持ち帰ることも頻繁にあったそう。
それでも「1年目だから」と文句ひとつ言わず、激務に耐えていたといいます。ところが、そんなフミエさんに追い打ちをかけたのは、園長からのパワハラ。
「ことあるごとに呼び出して、激しく叱責するんです。私が直接関わっていないのに『あなたのせいだ』と言われることも多々ありました。もっと努力しなきゃいけない、頑張らなくちゃって気持ちを奮い立たせていたのですが、めまいや吐き気に襲われることが増えて……」
いくつもの病院を受診し「適応障害」との診断が下ったのは、入社して半年も経っていないころ。
診断からしばらくは体調を優先させてくれたそうですが、間もなく「体調不良は気持ちの問題」「あなたは園に必要ない」など、再びパワハラを受けるようになったそうです。

全園児の前で「先生失格!」と罵倒され……
そんなある日――運動会の練習中に、“事件”は起きました。
「私が子どもの列を正していたときです。全園児、全先生が見ている前で、園長がいきなり私を怒鳴りはじめました。『その言い方はおかしい!』から始まって、延々と私のダメなところをあげつらい、『先生として失格』『辞めろ!』とまで言われたんです」
園長の感情だけで一方的に責められる状況。まるでみせしめのように全員の前で吊るし上げられ、フミエさんはその日を境に出勤することができなくなってしまいました。
医師や保育園の上層部とも相談して2か月休職しましたが、状況は改善されず、適応障害の症状も悪化してしまったことから、退職を余儀なくされたそうです。

泣く子どもの口を押さえつける
精神的に追い詰められてしまったフミエさんですが、「今度こそ」との思いを胸に、違う保育園で再び先生として働きはじめます。しかしそこでも、理想とはかけ離れた現実が待ち受けていました。
「ひとりの先生が、子どもが泣いたり騒いだりしたときにすごい力で口を押さえつけていました。園長もそばにいて目撃しているのに、注意するどころか気づいていないフリをしてその場を去ってしまうんです」
これはまぎれもなく虐待だ――。
同僚の虐待行為を報告しようにも園長が知らぬふりをするのだからと、意を決して本部に通告。ところが本部から帰ってきた答えは「あの先生がそんなことをするとは思えない」「まずはあなたから園長に話してみてよ」などで、まったくもって取り合ってくれなかったそうです。
「虐待がおこなわれているのに本部も園長も隠蔽しようとするので、思い切ってユニオンに相談しました。はじめの園と2園目それぞれにしかるべき対処をしてもらうために、今はユニオンのサポートを受けながら準備を進めています」
パワハラや虐待を目の当たりにしてもなお「保育園の先生として働きたい」と語るフミエさん。彼女の起こした行動が、先生や子どもたちにとって“安らぎの場となる保育園”を増やすきっかけになってくれることを願わずにはいられません。

千葉県の違法特別養子縁組事件についての解説と声明

駒崎弘樹 認定NPO法人フローレンス代表理事 2016年9月30日

特別養子縁組団体からなる、「日本こども縁組協会」呼びかけ人の駒崎です。本日は、許されざる事件とその報道について、日本こども縁組協会として、事件関係者にもヒアリングを行った情報に基づき、解説を行い、声明を発したいと思います。
当該団体は、我々の協会とは一切関係ありませんが、しかし特別養親縁組に関わる事件だったことから、あえて社会的にメッセージを出したいと思いました。

どんな事件だったか
「養子あっせん団体に事業停止命令 優先紹介へ現金要求」朝日新聞デジタルhttp://bit.ly/2d6jkJgが最もしっかり経緯をフラットに報道しているため、こちらを一部引用させて頂きます。
……引用……
千葉県は27日、社会福祉法で定める「不当な行為」にあたるとして団体に事業停止命令を出した。厚生労働省によると、養子あっせんの停止命令は全国初とみられる。
この団体は同県四街道市の「赤ちゃんの未来を救う会」。
(中略)
東京都の夫婦は50代の夫と40代の妻。県や夫婦によると、夫婦は昨年11月、ネットで養親希望者に登録。主にメールや電話で連絡をとった。今年2月、負担金のうち100万円を先に払えば「優先順位が2番目になる」と持ちかけられ、4月に団体の銀行口座に振り込んだ。5月には「来月出産予定の子どもがいる」と残る125万円も要求され、現金で支払った。
夫婦は6月中旬に生まれた男児を助産院で引き取った。その後、生みの母が「最終的な同意の確認なく連れ去られた」と県に相談し、男児は夫婦の関係者らを介して7月初旬に戻された。
養子あっせんをめぐっては、2013年に一部団体が養親希望者から不透明な寄付金を得ていることが問題となり、厚労省が児童福祉法が禁じる営利目的のあっせんをしないよう団体への指導監督の徹底を自治体に通知。この中で金品の支払いを優先条件とすることを禁じている。
……引用終了……
つまり、正当な対価(かかった費用)を特別養子縁組団体が受け取る事は問題ないのですが、お金を払うから優先順位を上げるという事はダメですよ、ということです。(また、実親の同意撤回に対して、子どもをすぐに返さなかったこともダメな点です。)
この「優先順位とお金の紐付け」という違反を犯してしまったことが、史上初の業務停止(*1)へとつながったわけです。

処分の内容;
社会福祉法72条第1項に基づく事業の停止命令
処分理由;
(1)法第70条に基づく報告の求めに応じない
(2)福祉サービスの提供を受ける者の処遇につき不当な行為をした

背景
こうしたことが起きる背景には、「制度の不在」があります。
特別養子縁組の仲介と言うのは、児童福祉に関する高い専門性と倫理意識が求められます。しかし、現在は、第二種福祉事業と言う届け出さえ出せば、誰でも始めることができる制度になってしまってます。
本来であれば保育園のように、ある一定の基準に基づいて、認可される仕組みでなくてはならないはずです。しかしそうした仕組みが存在せず、誰でもできるようにしてしまっている。これが問題の本質です。

特別養子縁組あっせん法案
実は、こうした異常とも言える状況を変えようと言う動きもあります。それが超党派の議員たちがこの臨時国会で提出しようとしている特別養子縁組あっせん法案です。
特別養子縁組あっせん法案では、特別養子縁組を行う民間団体を許可制にしようという仕組みになっています。これによって、今回のような明らかに違法性が高い運営を行っている団体をキックアウトできるのです。

誤解による報道を行うメディア
一方で、今回問題だったのが、既存の制度や法律にあまり詳しくないメディアの方々が、バイアスのかかった報道を行っていることです。
例えば、読売新聞です。
現金受け取り養子あっせん、県が業者に停止命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160927-OYT1T50123.html
この見出しは、あたかも現金を受け取ったことが問題であるかのように感じさせる内容です。
しかし、養子縁組支援においては、補助金は1円も頂けません。よって、縁組までにかかった費用(交通費や出産費、ソーシャルワーカーの人件費、団体運営費等)については、養親から頂かざるを得ません。
ですので、現金(であろうが振込であろうが)を頂くことは、何ら不当ではありませんし、厚労省通知によっても認められています。よって、論点がずれてしまっています。
また、毎日新聞の報道(http://mainichi.jp/articles/20160928/k00/00m/040/085000c)などでは、「養親が産院から連れ去った」とありますが、日本こども縁組協会は、養親、養親の弁護士、そして問題のあった縁組団体からの独自のヒアリングを行ったところ、実親の翻意があったのは事実ですが、養親が「連れ去った」という事実はない、ということでした。
さらに、時事通信の報道(http://bit.ly/2ddRqMo)でも、事実関係を取り違えた説明がなされています。「同会に不審感を抱いた女性が県に相談。県が夫婦宅で男児を見つけ、女性に返した。男児にけがなどはなかった」とありますが、実母さんが最初に相談したのは警察です。またその後、千葉県警が会の事務所を訪問。そこに当然子供はおらず、同時に警察が千葉県へ通報した、という流れです。したがって県が子供を保護したわけではなく、ホテルの一室で養親が直接、実母に児童を返した、というのが実際の状況です。
事業者が不法な行いをしたことは事実で、彼らの行為は許されざるものですが、彼らのことを信じた養親たちもまたある意味被害者です。しかし、一方的な報道が行われることによって、非常に深い心理的な傷を負っているようです。
メディアの方々は、ぜひ報道の前に、専門機関に問題の背景や事情についてお問い合わせを頂けたらと思います。もちろん日本こども縁組協会も、できるだけ力になりたいと思います。

再発を防止するために
現在、野田聖子議員や田嶋要議員らが、臨時国会に提出しようとしている「特別養子縁組あっせん法案」ですが、残念ながらいまだに与野党間で調整がついていないようです。一刻も早く、与野党の建設的な話し合いが行われ、調整をつけ、法案提出をすることが、非常に重要です。そして許可制を実現することが、こうした事件の再発を防ぎます。
ぜひ国民の皆さんには、与野党の国会議員に法案の実現を呼びかけて頂けると、嬉しいです。
特別養子縁組は、予期しない妊娠をした実親を救い、子ども達を救い、子どもを育てたい養親たちの願いを叶える、素晴らしい制度です。そうした制度が、適切に世の中に広がっていくよう、関心を持って頂けることを、願っています。

なぜまたそこに突っ込むのか! 服を着るのに張り合う子どもに、つい吹く保育士

BEST TIMES 2016年9月30日

勝つのはどっちだ!?
兄弟の子どもがいる親御さんは、「なんでそんなことで張り合うのか」と思いながらも、ついその姿に笑ってしまうことってあるのではないでしょうか。
「かわい過ぎる」「不覚にも泣いてしまった」……と反響が寄せられている男性保育士による『ハンバーガグー!』(てぃ先生・著)。そのひとつをご紹介します。

「ねぇ、それ はんたい だよ」
園庭から戻ってきて着替えをしているとき、男の子(3歳)がお友だちに向かって言いました。Tシャツの袖口に頭を入れようとしています。『反対』とは違うのですが「入れるところが違うよ」と言いたいのでしょう。
そのお友だちは、
「ほんとだ!」
と言って、一度それを脱ぎました。
「おもしろいねー」
と笑いながら自分もTシャツを着ようとする男の子。すると今度は、
「それ ちがうよ」
と男の子を指差して言うお友だち。見ると男の子も袖口に頭を入れようとしています。
「あれー」
と笑いながら脱ぐ男の子。
「こうだよ」
と少し威張った感じで再びTシャツを着るお友だち。男の子も負けじと、
「できるよ」
と言いながら、頭をつっこみました。
ふたりとも袖口に頭を入れています。
ただ、ふたりにはこの状況がわかりません。先に正しくTシャツを着ようと必死です。こっちは笑いを堪えるのに必死。

「できた?」
相手がどうなったか気になって聞くお友だち。
「え、うん。もうすこし」
まだ頭が袖口の状態なのに誤魔化す男の子。
ふたりとも早く着たいので『一度脱ぐ』という行為をしません。何とかこのままでうまく着たいようです。Tシャツのなかで頭を動かしますが、なかなか襟口を見つけられません。
「できた!」
と声をあげたのは、先ほど誤魔化そうとした男の子。まだ袖口に頭がある状態です。まったくできていません。
「ぼくも もう できるから」
そういうお友だちもまだ頭は袖口。
いよいよ助け舟を出そうと、
「ふたりともTシャツの裏表が反対だよ。見てごらん」
と言いました。素直に脱ぐふたり。本当は裏表は合っていましたが、脱ぐきっかけを作ってあげたかったのです。
「あ ほんとだー」
「はんたい だね」
合っていたのにこう言っています。かわいい。
その後は、ふたりとも落ち着いて襟口に頭を入れることができました。
子ども同士というのは一番良いライバルです。
どちらかのほうが優れている、ということではなく、お互いに刺激しあって成長していくもの。それを見守るのはとても微笑ましく、面白いことです。

学童保育の非常勤職員、正職員と同じ仕事をしているのに年収は3分の1。格差に怒りの声

週刊SPA! 2016年9月30日

世にブラック企業が蔓延するなか、「安定・安心」と思われていた公務員の職場もブラック化が進行しているという。現場で働く人々を直撃、その非人間的な労働環境の実態をリポートした!

同じ仕事をしているのになぜか年収は3分の1!?
東京都多摩市の伊藤和巳さんは、市の学童保育の非常勤指導員だった。子供が好きで’00年に求職したが、正職員採用枠がなく、仕方なく「正職員の補助」の非常勤職員として入職した。契約は1年(毎年更新)。初任給は税込み約20万円。
「同期の本庁の正職員が、6月にボーナスを何十万円ともらいます。僕たち非正規はゼロ。退職金も残業代も手当の類はゼロ。土日出勤の加算も、賃上げも10年ありません。それで年収は正規職員の3分の1程度。それなのに仕事は補助業務などではなく、保護者会への参加、連絡帳の記入、入所希望者との面談など、正職員とまったく同じ。待遇だけが違うんです」
伊藤さんは賃金について市に質問したことがある。
「同じ仕事をしているのに、なぜこんなにも賃金が違うのですか?」
回答はこうだった。「正規職員はハンコを押しますから」。
公式文書に押印をする正規職員が最終責任を負うということだ。
「それだけで賃金3倍の格差は大きすぎる」(伊藤さん)
ところが、ほとんどの学童保育施設ではその格差を感じにくい。学童指導員に限れば非正規が全職員の9割以上を占めるからだ。
「現場が非正規だけで100%の自治体もあります」(同)
都内某市に住む女性指導員は「私は時給計算だから、月十数万円しか稼げない。でも、みんながそうだから、最近まで昇給も有給休暇もないのが当然と思っていました」と語る。
「非正規に支給するのは手当ではなく報酬だから、手当に当たるボーナスの支給はできないとの解釈です。でも大阪府吹田市は、報酬の名目で実質的にボーナスを支払っているんです」(同)
つまり、任用者である自治体の「裁量」で手厚さが異なるのだ。
「学童指導員だけじゃなく、保育士の半分以上、学校給食の調理員の6割以上、図書館職員も7割近くが非正規。多くが正職員と同じ仕事なのに低い待遇を受けている。その労働環境を是正したいんです」