朝寝坊癖がなおらない子どもに、親ができることは?<叱らない、ほめない子育ての極意>

幻冬舎plus 2016年10月7日

ミリオンセラー『嫌われる勇気』をはじめ数々の著書を通じて、「アドラー心理学」を日本中に広めた岸見一郎さん。
実は、岸見さんがアドラー心理学と出会ったのは、子育ての悩みがきっかけでした。
当時お子さんの保育園の送り迎えをする中で、大人の思い通りに動かない“子ども”という存在に、戸惑い試行錯誤していたそうです。そんな時、まだ日本語に翻訳されていなかったアドラーの著書を友人から借り、実行してみたところ、自身の子どもに対する考え方が大きく変化しました。
ウィーンに世界で初めての児童相談所をつくるなど、教育に強い関心を寄せていたアルフレッド・アドラー。そのアドラーの哲学を凝縮、現代の子育ての悩みを踏まえた上で、どう「実践するか」を書いた一冊、『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』から、<叱らない、ほめない子育て>の極意を抜粋して紹介いたします。

子どものことは親が一番よく知っているという思い込み
子どもには、親でも代わることができない、自分で解決するしかない課題があります。子どもがそのような課題に直面している時、親は基本的には見守るしかありませんが、自力では解決できないこともあるかもしれないので、そんな時にそなえて「何か手伝えることがあったらいってね」と伝えておくことはできます。
そして、もしも、子どもの方から何らかの援助を求めてくれば、可能な範囲で手伝うことはできます。これが子どもに協力するということの一つの面です。可能な範囲でというのは、例えば、子どもの代わりに親が勉強するわけにはいかないからです。
大事なことは、親は、子どもからの援助の依頼がなければ、動くことはできないということです。あるテレビドラマで、息子の妻が妊娠したことを知った姑が、彼女が勤務する会社に行って、今は身体が大切だから、と海外出張のスケジュールを取りやめにしてほしいと頼む場面がありました。大方の人は、姑のこの行いを笑止と見るでしょうが、子どもに対してこれと同じようなことをしていることに気づいている人はどれだけいるでしょう。
親が勝手に動いてはならないのは、一つには、子どもの課題は基本的に子どもにしか解決できないからですが、もう一つは、親といえども、実は子どものことを本当に知っているとは限らないからです。「この子のことは、親の私が一番よく知っている」という人がいます。そういう親も、自分が子どもだった時は、親から同じことをいわれて反発を覚えたのではないでしょうか。
親子に限らず、他の人のことについては、自分に引きつけて推測することはできますが、はっきりしたことはわからないことが多いように思います。間違った判断をするくらいなら、子どもの言動について疑問に思うようなことがあれば、率直にたずねることをお勧めします。
協力するということについては、さらに次のような面もあります。子どもと関わる場面でどうしていいものかわからない、という経験をしたことがない親はいないでしょう。そんな時も、子どもがしていることで、親が困っているということ、例えば、朝起きるのが遅いというようなことについて、率直に話し、子どもに協力を求めることはできます。そうすれば、子どもの方から解決策を提示してくることもあります。
子どもについてわからないことがあっていいのです。わからないからこそ、そのことについて、子どもにたずねてもいいと親が思い、実際に必要な時には、たずねることができなければ、子どもを援助することはできません。
子どもの方も、どうしていいかわからないことがあるはずです。子どもが自力で問題を解決できるにこしたことはありませんが、子どもが自力でできないことについては親に援助を求めてもいいですし、この親なら相談に乗ってくれそうだと子どもに思ってもらえるようになりたいものです。

ソーシャルワーカーの活躍なるか 人材養成の見直しで緊急討論集会

福祉新聞 2016年10月7日

厚生労働省が12月から来年にかけて社会福祉士養成の見直しに乗り出すことを受け、福祉関係17団体が加盟するソーシャルケアサービス従事者研究協議会(白澤政和代表)は9月17日、都内で緊急討論集会を開いた。
二木立・日本福祉大学長は福祉の対象を拡大するとした厚労省の方針を説明し、「ソーシャルワークの職能団体や養成団体にとって絶好のチャンスと言えるが、他職種の参入によりソーシャルワーカーの就労の場が狭まる危険も併せ持っている」と問題提起した。
二木学長が注目したのは、7月に厚労省が立ち上げた「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」だ。その検討テーマとして医療・福祉の人材養成見直しが挙がっている。
具体的には、医療や福祉の資格に共通の基礎課程を設けたり(2021年度開始を目指す)、福祉系有資格者が保育士を取得しやすくなるよう試験科目を一部免除したりすることを検討する。社会福祉士、精神保健福祉士はその対象に入った。
これが実現すれば「史上最大の改革」(二木学長)となるだけに、会場となった東洋大(文京区)には大学の教員ら約200人が参加。厚生労働省の担当室長もコメンテーターとして同席し、教室の外まで立ち見の人であふれかえった。
シンポジウムでは、ソーシャルワーカーの養成や働き方などが議論された。藤田孝典・ほっとプラス代表理事(埼玉県)は「私は学生時代に新宿の夜回りなどを経験したが、自分が何をすべきかがよく分かった。実のある実習先をもっと増やしてほしい」と注文した。
勝部麗子・豊中市社会福祉協議会福祉推進室長(大阪府)は「現場では人材が疲弊している。頑張る人ほど燃え尽きて仕事を辞めてしまう」と指摘。アイデンティティを持って働ける環境を整えることが大切だとした。
西元幸雄・社会福祉法人青山里会常務理事(三重県)は「社会福祉法人は本来、ソーシャルワークをする組織だ」と主張。17年4月の法人制度改革のカギはこの点にあると訴えた。
二木学長が会長を務める日本社会福祉教育学校連盟などソーシャルワーク教育を担う団体の検討委員会は、社会福祉士養成の講義科目を減らし実習時間を増やすなど、養成の見直し案を近く厚労省に提出する方針だ。

残業100時間超えがこんなに? 世界初の「過労死白書」から見える5つのこと

BuzzFeed Japan 2016年10月7日

政府は10月7日、世界でも例のないという「過労死等防止対策白書」を初めて閣議決定した。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】
長時間労働の是正を課題としてあげているこの白書は、おととし施行された過労死防止法に基づいたもの。
白書には、どんなことが書かれているのか。BuzzFeed Newsでは内容を5つのポイントにまとめた。

1.月の残業100時間以上:11.9%
企業約1万社(回答1743 件)、労働者約2万人(回答1万9583人)を対象に厚生労働省が実施したアンケートをもとに、1年で残業が一番多い月を見た場合の数字だ。
月に100時間以上とは、週休2日なら、1日あたり5時間になる。
「過労死ライン」とされている80時間以上の割合を見てみると、22.7%。業種別では、情報通信業が44.4%と一番高く、「学術研究、専門・技術サービス業」(40.6%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)と続く。
理由はどの業界も「人員が足りないため(仕事量が多いため)」「予定外の仕事が突発的に発生するため」などに集中しているようだ。

2.「強い不安、悩み、ストレス」を感じる:52.3%
厚労省の別の調査に基づいたもの。
そのうち「仕事の質・量」が原因と答えた人は、65.3%。セクハラ・パワハラを含む「対人関係」は33.7%だった。
また、労働局への相談件数を見ると、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、6万6566 件(22.4%)と、最多になっている。

3.仕事を理由に自殺:2159人
警察庁のデータに基づくもの。2011年の2689人以降、減少傾向にはある。
自殺した人のうち、40~50代が45.7%。20~30代が44%だ。動機で見ると、「仕事疲れ」を理由に自殺した人は31%にのぼる。

4.過労死や過労自殺での労災認定:189人
昨年度の数字。「業務における過重な負荷」により、脳や心臓の病気を発症したという請求件数は、795件。「運輸業、郵便業」が22.8%と一番多い。この10年間、700~900件台で推移している。
労災が認定された「過労死」は96人。このうち1ヶ月の残業時間が80時間以上だったのは、全体の92.7%。40~50代の認定が73.9%を占めている。
一方、労災認定された過労自殺(未遂も含む)は93人。40~50代が59.1%と高い割合を占めた。

5.年平均労働時間:アメリカと韓国の方が多い
日本の労働者一人あたりの年間労働時間は1734時間(2015年)で、1990年に比べれば、330時間減った。諸外国と比較したのが、上のグラフだ。
労働時間では韓国、アメリカに次いで3番目だが、週49時間以上働いている割合を見ると、韓国は32.4%、アメリカは16.4%、日本は21.3%と2番目になる。
男性に限ってみると日本は30%になるが、韓国は38%と、さらに上を行く数字だ。