ソフトバンク、児童養護施設の自立支援

オルタナ 2016年11月10日

ソフトバンクはCSR活動として、児童養護施設の卒園者や遺児孤児の支援につながる「チャリティスマイル」を行っている。毎月の携帯料金に10円を上乗せし、同社がマッチングして、中央共同募金会やあしなが育英会に寄付をする仕組みだ。2015年度の児童虐待件数は10万件を突破し、1990年度と比べる100倍に増えている。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
同社のCSR活動の柱の一つに、次世代育成がある。チャリティスマイルは、その一環として企画された。今年2月から同サービスを始め、加入者は8万人に及ぶ(10月12日時点)。加入者が携帯料金に10円を上乗せし、同社も10円を支払い、計20円を寄付する。
寄付金は、中央共同募金会やあしなが育英会を通して、全国の子ども支援を行う団体へ届けられる。児童養護施設で暮らす子どもたちの自立支援や遺児や孤児向けの奨学金として使われる。国内外で大災害が発生した際は、寄付金の一部が被災地支援を行う非営利団体へ届けられる。
9月末には、計570万円を、子ども支援を行う2団体に寄付した。寄付先は、社会福祉法人「子供の家」(東京都国分寺)と大阪児童福祉事業協会。
子供の家では、児童養護施設の退所者などのアフターケアを行う相談所「ゆずりは」を運営する。大阪児童福祉事業協会は、施設で暮らす子どもたちへ、対人関係を営む上でのソーシャルスキルを教えている。
同社はチャリティスマイルの特設ページをつくり、活動報告を行っている。寄付先の団体に協力してもらい、施設卒園者のインタビューなどを掲載している。チャリティスマイルの担当者である同社の山崎直里・CSR統括部は、「子どもたちが抱えている課題について、もっと多くの人に知ってほしい」と訴える
この企画を立ち上げるにあたって、山崎氏らCSR統括部の社員が児童養護施設の現状視察を行った。施設長らと話し、退所者や卒園者への「自立支援」が課題だと分かったという。

フォローは卒園後にこそ
現在、国として、施設を卒園した子どもたちの現状把握は行っていない。卒園者は、支度金を施設からもらうが、その額だけでは、マンションを借りて一人で生活していくのは困難だ。そのため、土木作業員として、住み込みで働く者が多いという。
福島の児童養護施設の支援を行うNPO法人BLUE FOR TOHOKU(ブルーフォートーホク、東京)代表の小木曽麻里さんは、「仕事を転々として、長続きしないと聞いている」と話す。
施設にいる子どもたちは、親から虐待やネグレクトを受けたことで小学生のときに、不登校になる子が多くいる。そのため、「学力が足りなく、高校に進学できる子は少ない。その結果、就職先が限られてしまう」と小木曽さんは言う。
子どもの貧困は日本が抱える重要な社会的課題の一つだ。月の収入が14万円以下の家庭で暮らしている子どもの割合は、6人に1人に当たる。しかし、政府が立ち上げた基金への反応は鈍い。子どもの貧困で苦しむ子どもたちの実態が見えづらいという声も聞こえる。
このような状況で、同社には期待が集まる。チャリティスマイルは今年2月に始まったばかり。熊本震災を契機に加入者は増えているという。
加入者の10円にマッチングする仕組みは、2011年の東日本大震災の復興支援として行った「チャリティホワイト」での実績がある。同サービスの累計加入者は299万人(2011年8月から2016年9月30日まで)で、集まった金額は10億円を超えている。
チャリティスマイルを立ち上げた経緯に、チャリティホワイトの仕組みをほかの社会的課題にも応用したいとの考えがある。利用者に解決したい社会的課題についてのアンケートを取ったところ、「子ども支援」が「東北支援」に次いで多かった。だが、その差はほぼ僅差で、ニーズは確実にあることが分かった。
山崎氏は、卒園者のOBOG会と連携して、「広報を強化していきたい」と力を込める。

「相対的貧困」の子が教育困難校に集まる現実

東洋経済オンライン 2016年11月9日

「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どものもつ学力、家庭環境等の「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

卒業式に集まる保護者でわかる親子関係
「教育困難校」では、一般的に学校行事への保護者の参加率が低い。過半数の親が学校に来るのは、入学式と卒業式くらいだ。中でも、中退者が抜け、生徒たちが淘汰された後に行うことになる卒業式は、最も出席率が高い。卒業式に集まる保護者を見ていると、「教育困難校」の親子関係がよくわかる。
3年間頑張った子どもが主役の場であるのに、非常に着飾った晴れやかな表情の保護者の一群がいる。PTA役員たちの多くもこのタイプで、ラメ入りやアニマル柄のきらびやかな衣装で招待者席に座っている。一見して保護者の年齢層は若く、中には30代前半と思しき人もいる。話を聞いていると、「自分は卒業できなかったから」「どうなることかと思ったけれど、卒業できて良かった」と心の底から卒業を喜んでいる様子だ。言葉遣いの端々に残る特有の言い回しや、ファッションセンスから判断すると、高校時代はツッパリやヤンキーだった保護者たちのようである。

1980年代にかけて生まれた「落ちこぼれ」という言葉
今の高校生の親世代は、1970年代生まれが中心。この時代は、子どもを評価する際の最大の基準が「勉強ができること」となり、それまでのそろばん塾や習字塾などの習い事にかわって勉強全般を教える塾が流行しだした頃といわれている。そして、続く1980年代にかけて「落ちこぼれ」という言葉が生まれた。学校の勉強について行けなくなった彼らは教師に激しく抵抗する。外見的にも、制服を改造し、独特の髪形をして、一目で「ワル」とわかる見た目を作った。まさに、この時代に高校生活を過ごしたのが、今の高校生の親世代であり、その価値観を受け継いで、彼らの子どもたちは現在の「教育困難校」の第1タイプ(ヤンキー系)の生徒になったのだ(第2タイプは無気力系、第3タイプは不登校系。前回記事「教育困難校には、どんな生徒が来ているのか」を参照)。 この親たちは、学校という制度への反感も強く、学校の被害者という意識を今でも持ち続けているようだ。そのため、学校と協力して子どもの教育にあたろうという思いがない。子が飲酒・喫煙、恐喝などを行って、指導のため保護者が呼び出されても、「学校が悪い」という姿勢を崩さない。何かの拍子に「モンスターペアレント」になり得る可能性も高い。

かつてのツッパリ、ヤンキーが親に
また、自分自身が勉強に恨みをもっているためか、「勉強は大事である」とは子どもに伝えていない。むしろ、「勉強よりも大事なことがある」と言い、スポーツやゲーム、ファッション等、自分にとって居心地の良い活動を重視し、何より友人関係に重きを置く。自身が高校中退で、職業選択に苦労した親にとっては、高校生活の質はともかく、何はともあれ、高卒の資格が得られて良かったと思うのは、共通した本音に違いない。
第1タイプ「ヤンキー系」の保護者とは正反対に、ほとんど普段着で来校し、ひっそりと会場の席に座っている保護者たちがいる。この人たちは、第2タイプ「無気力系」、つまり、おとなしくまったく生気のない生徒たちの保護者である。教職員におどおどした態度で接し、周囲の保護者とはほとんど話さない。祖母、祖父と思われる人が親の傍について来ていて、保護者用の受付で行う記名などの記入作業を代わりに行っている姿も時々見られる。
肩を狭め、うつむきがちなひっそりとした姿は、教室での子どもの姿と瓜二つだ。この親子は、厳しい社会を今後どうやって生きていくのだろうかと心配になるほどである。この2つのタイプの保護者とその子どもはまさに相似形であり、しっかりとした再生産の連鎖ができていると、教師たちは卒業式の場であらためて実感してしまう。

式典にふさわしいたたずまいで参加している保護者
一方、少数ながら学校の式典にふさわしい服装とたたずまいで参加している保護者たちがいる。ふるまいや言葉から、常識と知性が伺われ、子どもが卒業できた安心感もにじみ出ている。この人たちは、ほとんど第3タイプの生徒、つまり「不登校系」生徒の保護者だ。
実は、この保護者たちも、学校制度には大いに不満を持っている。子供が不登校になった直接の原因は、同じ学校の生徒か教師の言動だ。その言動が生じた背景をさらに分析すると、その陰には家庭の経済状況や本人の個性の問題がある場合も多い。しかし、保護者はそれらを解決する方向より、学校や教師を批判することで、自らの無力感を抑え、プライドを守ろうとしてきた。
小・中学校で不登校を経験しても、家庭に経済力があって、家庭教師を頼んだり、学習塾に行くことができれば、学年に見合った学力をつけることも可能だ。そのうえで、高校進学の際に私立高校を受験するという方法もある。大学進学のための特進コースの学費が払えれば、どんな受験生でも合格できるコースを持ち、幅広く受験生を集め、合格者の学力に幅のある中堅以下の私立高校に進学するほうが、何かと評判の悪い公立の「教育困難校」に進学するより「人聞きが良い」と思う保護者も多い。そこで、公立「教育困難校」には、経済的に恵まれない不登校の生徒が集まることになる。

母子家庭・父子家庭の多さ
そして、すべてのタイプに共通するのは、母子家庭・父子家庭の多さである。昨今では、高校・大学の入学式・卒業式に両親が出席することは珍しくない。しかし、それらは受験偏差値の高い高校・大学に限ったことであり、「教育困難校」ではそもそも両親がそろっている家庭が少数派だ。両親はいるようだが、高校3年間に何度も苗字が変わることもある。保護者が祖父母や叔父・叔母、成人した兄弟・姉妹、児童福祉施設職員となっている生徒もいる。これらからは複雑な成育歴と家庭環境が透けて見える。
現在の日本では、子どもの6人に1人が「相対的貧困」の状態にあり、ひとり親家庭の相対的貧困率は54.6%に及ぶといわれている(内閣府「平成27年版 子ども・若者白書(全体版)」より)。現場に身を置いていた筆者の感覚からすると、ごくまれな場合を除いて、この「相対的貧困」層の子どもたちが、「教育困難校」に入学すると言っても過言ではないように思う。「教育困難校」の卒業式では、親子関係とともに日本の「相対的貧困」の実情がわかるのだ。そして、同じタイプの親が同じタイプの子を再生産する姿が明らかに見えてくる。

「爪の汚れは便座の汚れの10倍以上」ってホント!?

@DIME 2016年11月10日

今年も流行が予想されるインフルエンザ。厚生労働省ではホームページなどを通じて、その予防法としてマスクの着用ともに、流水・石鹸による手洗いの徹底を推奨している。アルコール消毒液の「手ピカジェル」を販売する健栄製薬が一昨年、山野美容芸術短期大学とともに学生108名の『手のひら』と『指先(爪の間)』の汚れに関する衛生検査を実施したところ(※施術や実習の授業時間外の学生を対象に、ATPふき取り検査方法を用いて、微生物や菌などの汚れを測定、全学生の平均数値として、『手のひら』は、一般的な『トイレの便座』の汚れに比べて5倍以上の数値が測定され、『指先(爪の間)』に関しては、『トイレの便座』の10倍以上の汚れが潜んでいることがわかった。
さらに、爪の長さが2mm未満の学生と2mm以上の学生で比べると、『手のひら』は、大きな汚れの差異は出なかったものの、『指先(爪の間)』に関しては、爪の長い(2mm以上)学生の方が約1.9倍の汚れが検出される結果となった。

ATP検査の参考数値
・トイレの便座     : 179 RLU(幅44~438RLU)
・階段の手すり     : 485 RLU(幅48~2050RLU)
・エレベーターのボタン : 123 RLU(幅41~410RLU)
・ドアの開閉プレート : 76 RLU(幅48~173RLU)
※上記は清掃前の汚れを示した数値

聖路加国際病院附属クリニック予防医療センター内科医の斎藤奈津子氏は、爪周りのケアとこまめな手指消毒が必要だとアドバイスする。
「WHOより公表された’’WHO Guideline on Hand Hygiene in Health Care’’ではこれまで定石とされてきた流水と石けんによる手洗い方法から、より効果的に運用可能なアルコール消毒液による手指消毒と、自然爪の長さを短く(正確には6.35mm未満)することが推奨されています。
菌種としては皮膚常在菌がほとんどですが、中には医療関連感染を引き起こす菌も検出されることがあります。感染防御機能に障害があり、菌に対する抵抗力が低下している方は、皮膚常在菌でも感染症を引きおこす原因となり得ます。
爪の先端部分は構造上汚染が除去しにくいため、お客様に直接触れる職業の方は、手指衛生向上のために適切な自然爪の管理と、アルコール消毒液を使った手指消毒に積極的に取り組みましょう」

◆調査概要
調査日程: 2014年10月1日
調査会場: 山野美容芸術短期大学
調査対象: 施術授業・実習授業時間外の山野美容芸術短期大学在学中の学生(エステティック専攻、美容デザイン専攻)
調査人数: 108名
調査項目: 手のひら、指先(爪の間)
調査方法: ATPふき取り検査法
調査機器: ルミノメータSystemSURE PLUS
調査協力: ニッタ・アール・エヌ・セミコン
調査元 : 健栄製薬株式会社・山野美容芸術短期大学