子どもが非行を中心とした問題行動を起こしてしまう理由とは

ベネッセ 教育情報サイト 2017年2月10日

保護者に嘘をつく、きょうだいをいじめる、保護者のお財布からお金を持ち出す……、これらの行動をお子さまが起こした場合、お子さまは心に大きなストレスを抱えているかもしれません。今回は、少年非行に詳しい立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘先生に、子どもが非行を中心とした問題行動を起こしてしまう理由についてお伺いしました。

子どもの問題行動はストレスを感じている証拠
わたしは以前、家庭裁判所調査官として、少年非行の問題に関わってきました。現在も、大学で教壇に立つかたわら、相談室や児童養護施設のスーパーバイザーとして、子どもの非行を中心とした問題行動について相談を受けています。少年非行にはさまざまな定義がありますが、家庭裁判所では少年による非行を、3つの種類に分けています。

【少年非行とは】
・犯罪少年…14歳以上20歳未満の犯罪をした少年
・触法少年…14歳未満の刑罰法令に触れる行為をした児童
・ぐ犯少年…今のままの状態を続けると犯罪行為をしてしまう、または刑罰法令に触れる行為をしてしまう可能性が高い20歳未満の少年

どの非行行動も、子どもから発せられるSOSのメッセージであることが多いのです。その子を取り巻く人間関係の中に何らかのストレスがあり、そのはけ口として万引きなどの非行行動をとってしまうことが多いのです。特に多いのは保護者やきょうだいとの人間関係においてトラブルを抱えている場合ですが、友達や先輩との関係、先生との関係でストレスを感じて問題行動に至ることもあります。子どもは、自分の気持ちを内省し、保護者や第三者に伝える力が未熟なため、無意識のうちにきょうだいをいじめたり、万引きをしたりすることで、親の関心を引こうとする場合があるのです。

子どもに問題行動の多い家庭とは?
多くのご家庭から少年非行に関する相談を受けますが、「うちの子に限ってなぜ問題行動を起こすのかわからない」と言われることも少なくありません。多くの保護者がお子さまを「良い子」に育てようと、さまざまな努力や工夫をされていると思います。しかし、お子さまを思いやるあまりに、過保護や過干渉になってしまい、それがお子さまの負担になっている場合があります。保護者の期待や要求が高くて、お子さまはそれに応えようとしてかなり無理をしてしまうのです。上手にそのストレスを解消できる子もいれば、保護者に本音を言えず欲求不満がたまり、非行行動でそのストレスを解消しようとする子もいるのです。
ですから、お子さまの非行行動は何らかのお子さまからのSOSであるととらえ、原因を追求するとともに、家庭でのコミュニケーションが一方通行になっていないか振り返っていただきたいと思います。多くの保護者が良かれと思って取っている行動が、お子さまにとって負担になっている可能性もあります。

気を付けたいお子さまからのサイン
非行行動は、最初は保護者の目の届く家庭内で起こります。幼児であれば、友達をいじめる、友達におもちゃを貸さないということが頻繁に続けば、何らかのストレスを抱えている可能性があります。小学生であれば、嘘をつく、頻繁にケガをする、きょうだいをいじめるなどが挙げられます。
その段階でお子さまのストレスが解消されなければ、家庭外の学校や社会で非行行動を行ってしまうことがあります。お金の持ち出しや万引きになると、事態はより深刻です。お子さまが日々の生活において何らかの欲求不満を抱えていることは明らかですので、早めの手立てが必要になってきます。

養子、里親の喜びや葛藤 制度への理解訴え 佐賀市でフォーラム

佐賀新聞 2017年2月7日

特別養子縁組として養父母の家庭で育った福岡県の大久保文(ふみ)さんと、里親制度を活用して子どもを預かった夫婦らが5日、佐賀市で開かれた里親推進フォーラムで体験を語った。実親の存在を知った時の思いや養育の喜び、葛藤を振り返り、虐待や経済的な理由などで実親と暮らすことが困難な子どもたちを養育する社会的養護の現状や課題を問い掛けた。
生後1カ月から養父母の下で育った大久保さんは25歳の時、実親の存在を告げられた。「ショックだったけど、だまされた訳じゃない。ずっと言えなかったんだと理解している」と養親の気持ちを推し量った。
戸籍上、養親の実子と同じ扱いになる特別養子縁組で、「マスコミは悲劇的に描いたりするけど、実際は養子だと思い返すこともないほど将来や友だちのことで頭がいっぱい」とも。同じ境遇の人たちがイメージで語られることへの違和感を明かした。
10代の男女3人を一定期間預かった養育里親の女性は「実子に恵まれない中で親にさせてもらったという喜びが大きかった」と振り返る一方、子どもが実親に会いたいとせがみ、反発した時の戸惑いを語った。8カ月と3歳の子どもを養育した夫婦は、子どもが病気になった時、名字が違うために診療手続きに手間取った経験を紹介、里親制度のさらなる理解を求めた。
フォーラムは、里親制度への理解を深めてもらおうと、県と社会福祉法人洗心和合会、支援相談員らでつくる里親推進フォーラム実行委員会が主催し、320人が耳を傾けた。タレントのユージさんも講演し、幼少期に父親と離婚し、自分を一人で育ててきた母親への愛情などを語った。

誰が彼女たちを買うのか? 児童買春をする男性の「加害者像」

BestTimes  2017年2月7日

「なぜ彼女たちは裸になったのか」など、性を売る側の女性にばかりが注目されがちな売買春の現場だが、もう一方の当事者である男性側に目を向けることによって、見えてくるものはあるのか!?「見えない買春の現場 『JKビジネス』のリアル」を2月9日に刊行予定。「性の公共」をつくるという理念の下に、現代の性問題の解決に取り組んでいる坂爪真吾氏に語っていただいた。

「児童買春は減っている」現実と報道のギャップ
意外に思われるかもしれないが、児童買春の逮捕者数は減少傾向にある。警察庁生活安全局少年課の統計資料(平成26年版・児童虐待及び福祉犯の検挙状況等)によると、児童買春の送致件数は2004年の1668件と比較して、2014年は661件と半分以下に減少している。2014年には女子高生との散歩やマッサージ、場合によっては性的行為を売りにする「JKビジネス」が流行語大賞にノミネートされ、あたかも秋葉原を中心とした都市部で児童買春が蔓延しているかのような報道がなされたが、それは統計的に見れば真実ではない。
90年代に巻き起こった女子高生の援助交際ブームも、実際は女子高生だけが活発に援助交際をしていたわけではない。前述したメディア型風俗の隆盛によって、専門学校生や大学生、会社員や専業主婦など、幅広い年代の女性が援助交際に参入するようになり、その過程で女子高生だけに報道によるスポットライトが過剰に当てられただけである、という見方もある。…
「児童」も「売買春」も、いずれも人々の感情をかきたてるキーワードであるため、どうしてもメディア上ではセンセーショナルな形で報道されがちだが、児童買春を正しく問題化していくためには、そういった報道と実態の乖離を意識する必要がある。

買春男性を巡る神話
『多発する少女買春 子どもを買う男たち』(いのうえせつこ:2001年・新評論)では、未成年の少女を買春する男性には、下記のような特徴があると書かれている。
・恋愛経験が乏しく、母子分離できていない
・同年齢の異性と対等な人間関係を持てない
いずれの特徴も、多くの人が児童買春する男性に対して抱いているイメージではないだろうか。ちなみに同書の中では、タイトルに反して実際に少女買春をしている男性は一人も登場しない。著者もそうした男性に対して直接インタビューは行っていない。児童を買春する男性の姿は、あくまで伝聞や新聞記事などの二次情報に基づく著者の想像のみで描かれ、批判されている。つまりこうした特徴は、実際に児童を買春している男性に一度も会ったことの無い女性が先入観で作り上げた、幻想としての「加害者像」にすぎない。
ちなみに、児童を買春する男性は常に「加害者」になるわけではない。女子高生の援助交際が流行した90年代には、未成年の少年少女が共謀して、援助交際を装って男性を誘い出し、盗みや暴力で金品を巻き上げる「オヤジ狩り」が流行した。児童買春を行ったことを世間に知られることを恐れて被害届を出さない・出せない男性の弱みにつけ込み、金を巻きあげようとする男女や業者は現在に至るまで存在している。…

買う男性も「被害者」になる場合があるのだ。
売る側の児童が家庭環境や学校、経済事情などの複雑な問題を抱えていることは容易に想像できるが、買う側の男性も同じように複雑な事情を抱えていることまでは、なかなか想像が及ばない。買春男性を糾弾したい、性暴力を根絶したいと願う女性団体が児童買春の現状を社会に発信する中心になっている現状では、なおさらだ。どうしても、「児童を性的に搾取する極悪非道の加害者」という一面的なイメージに留まってしまう。
しかし本当に児童買春の問題を解決するためには、「主人公」である買う側の男性の背景を、先入観や偏見を排除した上でより深く分析する必要があるはずだ。
(「見えない買春の現場 『JKビジネス』のリアル」より構成)

これで「予算」が分かる!仕組みやキーワード解説

神戸新聞NEXT 2017年2月9日

一般・特別会計、地方交付税、義務的経費…。兵庫県や市町の予算記事に毎年並ぶ言葉です。「税金の使い道をチェックしたいのに、用語が難しく、内容がすっと頭に入ってこない」。そんな声も読者から寄せられます。新年度予算案の発表シーズンに合わせ、その仕組みや頻繁に使われるキーワードの意味などをまとめました。(黒田勝俊)

役割/年間の活動計画を示す
「行政」と呼ばれる国の機関や都道府県、市町村は、毎年4月から翌年3月末までの「年度」を基準に動いています。新しい年度が始まる前に作るのが「当初予算案」で、どんな支出があり、それにどんな収入を充てるのかが書かれています。
いわば年間の活動計画です。予算案を見れば、自分が住む街の“家計事情”も見えてきます。
ちなみに、予算に「案」が付いているのは、議会の了解をまだ得ていないからです。知事や市町村長が作った予算案を、同じく住民の代表である議員がチェックした上で、正式な予算となります。年度の途中に、予算を追加したり変更したりするのが「補正予算」です。

歳入・歳出/収入不足を“貯金”で補う
予算は大きく、歳入(収入)と歳出(支出)に分けられます。歳入と歳出は同額です。
歳入の種類(収入源)には、地方税=キーワード【1】▽地方交付税=【2】▽国庫支出金=【3】▽地方債=【4】などがあります。
また歳入には、自治体が自らの権限で確保した「自主財源」(地方税など)と、国などから交付された「依存財源」(地方交付税や国庫支出金)などに分けられます。歳入に占める自主財源の割合が高いほど自立していることになり、予算記事でも「自主財源比率が前年度比△%減の□%」などと使われます。
税収が豊かで、地方交付税を受け取らなくても財政運営できる自治体は「不交付団体」と呼ばれます。兵庫県内では、かつて芦屋市が“常連”で、08年度には高砂市と播磨町も不交付でしたが、09~16年度はゼロ。16年度は全国で77自治体あり、都道府県では東京のみでした。
歳出を説明する記事では、具体的な使い道のほかに、「義務的経費」「投資的経費」という言葉がよく登場します。義務的経費とは、職員の人件費▽扶助費=【5】▽公債費=【6】などで、削るのが難しい経費のことです。投資的経費は、公共施設のインフラ整備費などを指します。義務的経費が多いほど、新しい事業を行う余裕がない、ということになります。
予算も家計と同様、基本的に収入の範囲内でしか支出ができませんが、収入が不足し「収支不足」が生じることもあります。こうした場合は基金=【7】を取り崩したり、地方債を発行したりして対応します。

キーワード
【1】地方税 自治体が住民や企業から徴収する税金で、個人住民税や法人事業税などが収入の中心。都道府県税と市町村税に分かれる。
【2】地方交付税 全国のどの地域の住民も一定水準の行政サービスが受けられるよう、税収が少ない自治体などに国が交付する。
【3】国庫支出金 地方交付税と同じく国から交付されるが、特定の事業に使い道が決められている。
【4】地方債 自治体が資金を調達するための借金。地方債を発行して借金することを「起債」という。
【5】扶助費 生活保護や児童福祉、高齢福祉、障害福祉などの現金・物品給付のための経費。生活保護費や児童手当などが該当する。
【6】公債費 地方債の元金や利子を支払うための借金返済費。
【7】基金 家計でいう預貯金。使い道が制限されない「財政調整基金」や、特定の目的のために積み立てた「特定目的基金」がある。

「週休3日」広がるも…給料は?仕事量は?

日本テレビ系(NNN) 2017年2月8日

導入する会社が増えている「週休3日」。ヤフーも今年4月から導入することがわかり、大手企業をはじめ全国に広がりを見せている。「週休3日」で仕事や生活はどう変わるのか。実際に導入している会社を取材した。
■街の人は「週休3日」についてどう思っているのだろうか。「希望する/しない」人ごとに意見を聞いてみた。
■希望する・30代会社員「収入がちょっと減ったとしても自分の時間がほしいなというのはありますね」
■希望せず・50代会社員「出さなきゃいけない資料の数が、変わらなかったら必ずどこかで負荷がかかってしまいますから、2日で今のままで十分かなって」
■一方、専業主婦からはこんな声もあった。
■30代・専業主婦「(Q:もし給料が減ったら?)(給料は)あまり減らずに、その制度が利用できるのなら一番いいですけど」
■ユニクロでは、一部の社員を対象に2015年から導入している「週休3日制」。ヤフーでも2割程度、給料が減る見込みだが、育児、介護などを抱える社員を対象に4月からの導入を予定している。
■東京・千代田区にあるIT企業でも去年の10月から週休3日制を導入。こちらも対象は育児や介護を抱える社員だが、給料を減らさずに週休3日制を導入しているという。
■保育園を運営する会社も去年から週休3日制を導入。給料面は変わらないという。なぜ、給料を減らさずに週休3日にできるのだろうか。
■週休2日と3日の保育士で1日の働き方を比べてみた。週休3日制の保育士は、週休2日制と比べると、1日の勤務時間が長くなっていた。つまり週休3日をとるかわりに、1日の労働時間を長くしているというわけだ。
■一方で、週休3日制を導入して失敗したケースもある。ある人材派遣会社では3年前、約2割にあたる成績上位者に給料はそのままで週休3日制を導入。しかし、他に日にしわ寄せがいき、残業になってしまったり、他の人に負担や迷惑をかけているのではないかと感じ、気が休まらず、かえって負担に感じてしまったという。
■その結果、利用者の成績がダウン。そのため、マイナーチェンジしたという。
■その名も「気分で出勤」。3日目の休日を完全に休むのではなく、仕事があれば自分のペースで働ける日に、1か月ごとの成績で決める「完全成果主義」だという。
■制度を利用している社員「平日なのに羽をのばせているところは、すごくリフレッシュにつながって、普段の事の時に、より凝縮して、がんばろうって思えるかなと」
■働き方が、ますます多様化していきそうだ。

「吸えるの?」「吸えないの?」…たばこをめぐり、飲食店に波紋が広がっている

ホウドウキョク 2017年2月9日

受動喫煙対策で、WHO(世界保健機関)から、最低レベルと酷評されている日本。
厚生労働省は、2020年の東京オリンピックまでに、飲食店などを原則、建物内禁煙とするべく、今国会中にも新たな法案を提出したい考えだ。
タバコを吸わない人の肺がん増加中!…何と意外なモノで予防できます!!

IOC(国際オリンピック委員会)が、たばこのないオリンピックを掲げる中、オリンピックの開催都市では、2004年のギリシャ・アテネ以降、いずれも罰則つきの受動喫煙防止ルールが導入されてきた。
しかし、2020年に向け、日本・東京では、これが努力義務にとどまっている。そのため、厚生労働省は、飲食店などを、原則、建物内禁煙とする新しい法案を今国会にも提出したい考えだ。
受動喫煙防止のための新しい法案では、飲食店の従来の喫煙席は禁止され、飲食ができない喫煙専用室ならば設置が可能となる。

面積が30平方メートル以下のバーやスナックなどの飲食店は例外
しかし、面積が30平方メートル以下のバーや、スナックなどの飲食店では、「喫煙専用室」を設置することが難しいため、これらの小規模の飲食店を「例外」とし、喫煙できるようにすることなども、あわせて検討されている。
「例外」の小規模飲食店では、受動喫煙の注意などを呼びかける表示を店頭に掲げることが、義務づけられる見通しだ。
この変更は、1月、外食産業などの業界団体が主催した緊急集会で、当初、飲食店全面禁煙だった厚労省の案に対し、「喫煙室の設置は費用面などで難しい」などの反対意見が出されたことなどから、今回、例外が検討されることになった。

さらに議論が必要なグレーゾーンの店も
さらに、まだまだ議論が必要なグレーゾーンの店もある。
例えば、ラーメン店やすし店。
子ども連れの客が利用する店では、たとえ面積が30平方メートル以下であっても、禁煙にすべきとの声もある。
多種多様な飲食店のどこまでが例外となるのか。その線引きは難航する可能性がある。