給付奨学金、高卒認定者も…成績優秀者が対象

読売新聞  2017年3月11日

文部科学省は、低所得世帯の大学生らを対象にする返済不要の「給付型奨学金」について、本格導入される2018年度以降、高卒認定試験に優秀な成績で合格した新入生にも給付する方針を固めた。
経済的な理由などで高校に入学しなかったり、中退したりした人の進学を後押しするためだ。
給付型奨学金は、住民税非課税世帯の学生が対象で、自宅か下宿か、国公立か私立かに応じて月額2万~4万円を給付する。17年度は下宿先から私立に通う成績優秀者と、児童養護施設出身者の計約2800人に先行して実施される。18年度以降は、高校側が在校中の成績や課外活動の成果を基準に対象者を決め、1学年約2万人に給付する。

365日休みなし、賃金0円の職業とは?あなたは働けますか?

ZUU online  2017年3月13日

長時間労働で休みなし、責任は重く、専門知識が必要、それなのに賃金はゼロ――。そんな求人があったら、あなたは応募しますか?しかし、世界では多くの人がその仕事に就いています。その職業とは何でしょうか?

「世界で最もきつい仕事」
海外で「World’s Toughest Job(最もきつい仕事)」という動画が話題になりました。ビデオチャットによる採用面接で、面接官は複数の候補者を相手に労働条件の説明をします。「24時間365日、休みなし」「体力と専門知識が必要」「報酬は、0円」――。「ありえない!」「ふざけてる」「合法なの?」との声が上がりますが、面接官は世界では何十億人もの人が実際に従事していると言います。その仕事とは何でしょうか?答えは、「お母さん」です。
お母さんの無償労働は、家族にとってかけがえのないものです。しかし、金銭的価値に置き換えにくいため、価値そのものを忘れられがちです。動画では、仕事の条件だと思って聞いているうちは信じられないといった表情だった面接希望者たちも、職業の名前を聞いて、納得した様子に変わりました。
このような状況から、家事や育児の無償労働をお金に換算する試みは政府や民間で定期的に行われています。日本ではドラマでも話題になりました。

主婦の家事労働の価値
ドラマでは、主人公の男性が同じく主人公の女性に結婚を装った家事代行サービスを依頼します。その対価として提示した金額は手取りで月給19万4,000円でした。年収にすると300万円ほどです。これは機会費用法(OC法)と呼ばれる試算法で、「無償労働の代わりに外で働いたら得られたはずの報酬」を主婦の賃金に換算するものです。
もう一つ主要な計算方法として、代替費用法(RC-S/RC-G法)があります。これは「主婦の仕事を外部サービスで代用した場合にかかる費用」から計算するものです。
たとえば1日の業務が炊事3時間、清掃1時間、洗濯1時間、買い物2時間、家計管理1時間、育児8時間(他作業と同時に行う)の計8時間だとします。炊事は調理員の時給1,163円、掃除は清掃員の時給992円、洗濯は洗濯工の時給1,015円、買い物や家計管理など家事雑事は用務員の時給1,141円、育児は保育士の時給1,238円をもとに計算すると、主婦の賃金は日給で1万8,823円、月収にすると55万円を超えます。
しかし、海外にはもっと高い試算があります。アメリカの調査会社salary.comが毎年行っている調査によると、主婦の家事労働の価値は11万8,905ドル(約1,200万円)にもなるそうです。

お母さんが「お母さん業」をできなくなったら
もし病気やけがなどでお母さんが家事や育児ができなくなったら、家計にはどのような影響があるのでしょうか。2つの影響が考えられます。

支出が増える
親や親戚などお母さんの代わりに無償で対応してくれる人がいない限り、家事育児を外注する必要が出てきます。食事は外食や総菜が増えると、自炊に比べてコスト高になります。また、掃除や炊事を家事代行サービスに依頼し、子どもを保育園やベビーシッターに預けるとなると家計には負担となります。
家事代行サービス大手の料金表を調べてみると、一般的なプランで週1回2時間利用すると1ヵ月 2万~4万円かかります。また、認可保育園の児童1人当たり月額保育料は、厚生労働省の調べによると「2万円以上3万円未満」の世帯が最も多いようです。しかし認可保育園は待機児童問題で入所が難しいため、もっと割高な認可外保育園か、1日1万円が相場と言われるベビーシッターになることもあり得ます。

世帯収入が減る
専業主婦には、傷病手当金や失業保険などの公的な保障はありません。また、専業主婦がいてくれたおかげでフルタイムや残業の仕事ができていた配偶者も、家事育児を負うとなるとこれまで通りに働くことは難しくなります。時短勤務やポジションの制限は、収入減に直結します。

いざという時のための備えと普段からの話し合いが大切
お母さんが家事や育児をできなくなった時の影響は生活面・経済面に広く及びます。しかし、経済的打撃については、貯蓄や保険などの備えで補うことができます。
一般的には、専業主婦には生命保険は必要ないと考える人が多いようです。なぜなら、一家の大黒柱として収入を得る夫と違って賃金労働をしていないので、働けなくなっても世帯の収入は保てるという考え方があるからです。しかし実際には支出増・収入減のリスクがあるので、専業主婦の保険も不要とは言えないかもしれません。
受けられる公的または私的な支援や勤務先の規則をもとに、もしもの時の必要額はどのくらいか、普段から家族で話し合いをしておくことが大切です。(提供:保険見直しonline)

WOWOW「6歳子役」を未明まで働かせ謝罪、「働く子ども」は法律でどう守られる?

弁護士ドットコム 2017年3月12日

ドラマ撮影のため、6歳の子役を未明まで長時間にわたり働かせたとして、衛星放送のWOWOWが3月1日、ホームページで謝罪した。同日、文春オンラインにて「WOWOWドラマで天才子役が号泣した徹夜の違法撮影」と題した記事が掲載されたことを受けてのもの。
WOWOW社は、子役、保護者に対して「深くお詫び申し上げます」と謝罪した上で、「児童の健康等への配慮から、午後8時以降撮影しない、また長時間に及ぶ撮影は行わないという方針であたってまいりましたが、同日の撮影スケジュールに遅れが生じたため、現場の判断でこのような事態に至りました」と弁明した。
子役は、1月20日正午から翌日午前2時まで、また同月21日正午から翌日午前5時まで行われた撮影に参加していたという。「働く子ども」の労働について、法律ではどのように定めているのだろうか。太田純弁護士に聞いた。

「働く子ども」は法律でどう守られる?
「今回は、基本的に子役を深夜業には就かせないという局内(社内)方針がある中で、たまたま現場での撮影が延びてしまったとのことです。事態の発覚を受けて局が取った行動は、改めて局内の方針を徹底することと、児童福祉への配慮の姿勢を示した点で、適切であると思います」
太田弁護士はこのように述べる。
「労働基準法(以下「法」といいます)では、未成年の労働者に関して、3つの年齢区分によって、(1)未成年者(満20歳に達しない者)、(2)年少者(満18歳に満たない者)、(3)児童(満15歳に達する日以後の最初の3月31日が終了するまでの者)を、保護するための規定を設けています。
そして、(3)の児童に関しては、当然ですが、(1)と(2)に関する保護規定も適用されます」
そもそも、児童を労働者として使用することに問題はないのか。
「大原則は、児童を労働者として使用することは、児童の健康と福祉、修学の機会保障のため、本来禁止されています(法58条1項)。
許されるのは、あくまでも例外的場面です。13歳以上の児童につき、一定の非工業的業種に限り、ア)健康及び福祉に有害でなく、イ)労働が軽易であること、ウ)修学時間外の使用であること、エ)労基署長の許可を得ること、の4つの条件を充たした場合に、労働者として使用することが認められます(法56条2項前段)。
その更なる例外として、13歳未満の児童については、映画の制作又は演劇の児童に限り、
これらア)~エ)の4つの条件を充たした場合に、はじめて使用することができます(法56条2項後段)。
労基署長の許可に関しては、年少者労働基準規則という規則が許可条件を規定しています。
それによると、演劇子役として、例外的に使用が許されるためには、労基署長に対して、修学に差支えがないことを証する学校長の証明書や、親権者または後見人の同意書を提出して許可を得る必要があり、それらの証明書、同意書、さらに年少者の年齢を証する戸籍証明書を事業所に備え付けなければなりません(法57条)。
このように、そもそも労働者として使用できるのか、ということについて、法令の定める条件をきちんとクリアする必要があります」

どのくらい働かせてもいいのか?
「これらの条件をクリアした上で問題になるのは、どの程度の時間、働かせられるのかということです。
15歳以下の児童の場合、時間管理をするにあたっては、労働時間だけでなく、修学時間も含めてカウントされる点に注意が必要です。つまり、『修学時間+労働時間(舞台稽古や衣装の着替えなども含めて)』が1週間に40時間、1日に7時間を超えてはなりません(法60条2項)」
深夜に働くことについてはどうなっているのか。
「まず、18歳未満の者が深夜業(午後10時~午前5時)を行うことは、原則禁止です(法61条1項)。児童の場合、例外規定によって労働者として使用できるとしても、さらに『深夜業』の時間が厳しく定められています。すなわち、午後8時以降午前5時までの深夜に使用することは、原則禁止とされています(法61条5項前段)。
そうすると、午後8時まで舞台が続いていたときに、午後8時にピタッと、子役を交代させなければならないのか?と疑問に思われるかもしれません。業界でも、プログラムを午後8時までに終演させるか、午後8時以降は子役を交代するような演出にするのかは、悩みの多いところでしたから、いわゆる構造改革特区構想を巡り、政府内でも議論が繰り返されてきました。
その結果、厚労省の労働政策審議会が答申を取りまとめ、『深夜=午後8時~午前5時』の定義に関して、演劇と映画製作に関しては、厚生労働大臣の認める場合で、地域と期間を限定した上で、これを『午後9時~午前6時』と、1時間繰り越して適用できることとされました(法61条5項後段)。これによって、子役を大人に交代させる必要がなくなったのです」
労基法上の規定に違反した場合、罰則はあるのだろうか。
「児童を保護するための労基法上の規定に違反した場合、とりわけ、年少者の労働時間・休日及び深夜業の規制に違反すると、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が法定刑として定められています(法119条)。
また、児童であっても、賃金は直接本人に支払われなければなりません(法59条)。未成年者の場合は独立して賃金の請求ができ、親権者らはこれを本人に代わって受け取ってはならないとされています」

労働者ではなく「事業者」とされたケースも
「ここまで、児童が労働基準法上の『労働者』に該当する場合についてお話してきましたが、かつて、児童が『労働者』ではなく『事業者』に該当するとされたケースもあります。
昭和63年当時、国民的な人気を誇った光GENJIさんのメンバーに14歳の方がおられ、深夜業の可否について、議論がなされました。その時、労働省(現厚労省)から出されたのが、いわゆる『タレント通達』です(昭和63年7月30日 基収第355号)。
これによれば、芸能活動などを行う場合に、(1)本人の提供する歌唱、演技等が他人によって代替できず、本人の個性が重要な要素となっていて、(2)その報酬が労働時間に応じて定まるものではなく、(3)労働時間の管理の面で原則として拘束を受けず、(4)契約形態が雇用契約でない場合には、『事業者』であって、そもそも労基法上の『労働者』に該当しないとされました。この通達によって光GENJIさんのメンバーには労基法が適用されず、深夜業の制限を受けないこととなったのです」