「養親に育てられてよかった」が9割―最新調査

オルタナ 2017年4月7日

日本財団はこのほど、養子縁組家庭への調査を行った。その結果、9割の子どもは「養親に育てられてよかった」と感じていることが分かった。この調査は15歳以上の子を持つ養子縁組家庭を対象とした。児童相談所や民間養子縁組団体など複数の団体を横断的に調査した日本初の試み。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
調査の結果、子どもの90%は「養父母に育てられてよかった」と回答し、養親の95.6%は「子どもを育ててよかった」と回答した。養子であることで嫌な思いをしたことがあると答えた割合は26%だった。幸福度の平均は7.6と、国民生活選考度調査による一般平均の6.41よりやや高い結果となった。
子どもの92%は自分が養子であると認知しており、83%は真実告知を受けてよかったと回答した。児童養護施設出身者の専門学校、短大、大学などへの進学率が23.3%だが、養子縁組家庭の子どもは、69.8%だった。
今回の調査では、子が15歳以上である878の養子縁組家庭へアンケートを送り、回収できたのは親が294件で子どもが211件だった。

本当は怖い!? 「ほめる子育て」の落とし穴

デイリー新潮 2017年4月10日

3歳の娘を持つTさんは、最近悩んでいることがあると言います。
「いつも娘の描く絵や、お手伝いを『すごいね~!』とほめていたら、娘が何かというと私のところに来て、“ほめられ待ち”をするようになってしまって。ほめられるためにではなく、楽しんでやってほしいのですが……」
実は、ほめるということは、プロの保育士でも難しいと感じているのだそう。それは、「すごい」「えらい」「うまい」などで済んでしまうから。大好きなママやパパにそう言われると、子どももとっても喜びますよね。その顔が見たくて、ついほめてしまうという方も多いと思います。
けれども、よく考えてみてください。「すごい」「えらい」「うまい」はジャッジです。裏を返せば、できないと、「すごくない」「えらくない」「うまくない」ということ。
子どもが、「○○ができる僕はえらい、それができないあの子はダメ」と判断しても仕方ありません。
それは、知らず知らずのうちに大人の基準を与えてしまっているということにつながります。
では、どうすればいいのでしょう。
ほめ方のポイントはほめるよりも認めてあげることだと、保育士の小竹めぐみさん、小笠原舞さんは言います。
2人の共著『いい親よりも大切なこと ~子どものために“しなくていいこと”こんなにあった! ~』から詳しく紹介します。

子育てのつらさは9割が思い込み!? 『いい親よりも大切なこと ―子どものために“しなくていいこと”こんなにあった! ―』

ほめるよりも、認めてあげる
子どもの言動や喜怒哀楽を、そっくりそのまま認めてあげること。そこに自分の評価を挟まずに、「目の前の事実」を言葉にするだけでいいのです。
子どもがとても真剣に描いた絵があったとしましょう。
「ほめたい!」と感じたあなたは、なんと声をかけますか?
思わず、「すごい!」「うまい!」と言いたくなると思いますが、焦らず言葉を選んでください。
先ほど伝えた通り、ぜひ、「目の前の事実」を言葉にしてあげてほしいのです。
「雲を大きく描いたね~!」「ずいぶん細かく描いてるね!」「このお花の色、ママ大好き!」と伝えてみる。子どもは「そうでしょ?」と言わんばかりに笑顔になると思います。それだけで、もう十分彼らは満足するのです。
子どもは、大雑把に「すごい!」とだけ言われるよりも、「あなたの太陽は、緑色なのね!」などと具体的に見てくれたことのほうが嬉しいのです。お話ができる年齢なら、太陽を緑色にした理由を聞けば、きっと答えてくれるでしょう。

「事実をそのまま認めるようなほめ方を続けていくと、自分なりの表現を楽しみ、自分らしさを大事にする子になります」と小竹さん・小笠原さん。
今日、お子さんをほめるとき、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

赤ちゃんが泣く意味 受け止めて 寺田清美教授から報告

福祉新聞 2017年4月7日

「赤ちゃんは『泣く』のが仕事よ」と、かつては言われたものです。
しかし2004年の子ども未来財団調査によると、赤ちゃん連れでバスや電車に乗っている際に、赤ちゃんの泣き声がうるさいと注意されて嫌な思いをしたことのある母親は8割に上るそうです。
また、06年の厚生労働省調査では、虐待死した子どもの4割が0歳児であり、そのうち7割は6カ月未満児です。その理由は、子どもが泣く意味や接し方が分からないからというものが少なくありません。
つまり、「お腹が空いた」「オムツが濡れた」「抱っこしてほしい」など、赤ちゃん自身が思いを伝達できる唯一の表現である泣く行為を否定的に捉えている現状があります。
保育者を含む大人が子どもの育ちを考える時、この「泣き」の行為を肯定的に受け止め、伸びやかに表現できる環境を整えることこそ求められているのです。
子どもが、主体的に環境(人、事物、出来事など)に関わるためには、この泣いた時に十分受け止められて、甘えられるなど肯定的に受容されることが基礎となります。安心して受け止められなければ、赤ちゃんはやがて、泣きも笑いもしない反応の乏しい子へと成長していくのです。
つまり、人生の最初のスタート期であるこの泣くという行為を私たち大人が無償の愛で包みこみ受容することで、やがて主体的に遊びに関われる子につながるわけです。
そのため、この時期の乳児の反応を丁寧に観察し受け止めることが大切です。
4月の進入園児が入る時期、園からは泣き声が聞こえるでしょう。新しい環境に身を置けば、赤ちゃんでなくても誰もが泣きたくなるのは、ごく自然の事柄です。新入園の時期は親子ともに不安なものです。
ここで主任保育士の出番になります。赤ちゃんの泣く行為を肯定的に受け止めて、「今日も元気な声が聞こえるわね」と、やさしく新米のママ・パパに声を掛けて頂きたいのです。
さらに個人差はありますが、生後7カ月頃から始まる人見知り期の乳児も同様に泣く行為が見られます。一過性のものであることに対する理解度も高めたいものです。
主任保育士のその背中を周囲の保育士たちは、観察しながら保護者対応の仕方を学んでいきます。主任保育士の笑顔と優しい一声が保護者や職員の心の栄養になることでしょう。
【寺田清美さん略歴】東京成徳短期大学教授。保育歴26年(係長副園長)の経験もあり、社会福祉士の資格も持つ。厚生労働省の社会保障審議会保育専門委員会の委員なども務めている。