「児童養護施設に住んでいる」高1女子の悩み

TOKYO FM 2017年6月1日

TOKYO FMのラジオの中の学校「SCHOOL OF LOCK!」では、日々10代のリスナーから寄せられた声をお届けしています。
5月31日の放送では、児童養護施設で暮らす高1の女子リスナーの悩みを取り上げました。パーソナリティのとーやま校長とあしざわ教頭が、このリスナーと直接電話で話したやり取りを紹介します。

とーやま校長「今、思っていることがあるんだよね?」
リスナー「はい。中学校1年生から家庭の事情で児童養護施設で暮らしているんですけど、『施設に住んでいるよ』っていうことを高校で初めて出会った友だちに言ったほうがいいのか悩んでいます」
とーやま校長「中学の時に施設に住んでいるってことを、友だちに言ったことはあるの?」
リスナー「あります。通っていた中学校は施設のみんなも行っていて、地域の人は知っているので」
とーやま校長「そうか。共通の認識があったんだね。このタイミングで高校の新しい友だちに、このことを言ったほうがいいのかって思ったのは、何かきっかけあったの?」
リスナー「きっかけは、中学の頃塾に通っていて、別の中学の子に『施設に住んでる』と言ったことがあったんです。気軽に言ったんですけど、“ゴメン”ってすごく謝られて……」
とーやま校長「その友だちは“聞いちゃいけないことを聞いちゃった”って思ったんだ?」
リスナー「多分、そうです。今までは施設について話すことに対して、何かを思ったことはなかったんです。だけど、自分が“一般の人はこういう風に思っているんだろうな”って思っていたことと実際とでは、大きなギャップがあったことに気がついて……」
とーやま校長「自分でもびっくりしたんだね。それで高校の新しい友だちに言ったほうがいいのか? っていうのに繋がるんだね」
リスナー「はい。高校は今までと違っていろんな所から生徒が来ているから、施設の存在を知らないっていう人もたくさんいて……」
あしざわ教頭「施設を知らない人は、“施設”という言葉にイメージがついちゃっているのかもしれないね」
リスナー「中学の時の塾の友だちには、“どう思ったか正直に教えて?”と聞いたんです。そしたら“テレビの中の話だと思った”って言われて、全然身近じゃない存在なんだなって思いました」
とーやま校長「だけど、その友だちは正直に言ってくれたわけじゃん。初めて知ったからそういう反応になっちゃったけど、相手も悪気は無かったと思うんだ。俺や教頭はたくさん生きている分、施設で暮らしている人や働いている人がいるっていうのはわかる。おおよその事情は想像できるから、“そうなんだ”っていう感じで受け止めることができる。でも友だちはまだ10代だし、そういう話が身近にあるわけではないよね」
リスナー「はい」
とーやま校長「だから、自分自身が“普通だよ”って思って過ごしていれば、周りの友だちも“普通じゃん”と思うようになると思う。だからこのままでいればいいんじゃないかな」

ここで、別のリスナーから届いたメッセージを紹介しました。
【俺も養護施設に住んでて、高校の友達に言うのはやっぱり抵抗があったけど、言ってみたら想像と違って普通に接してくれた(笑)。(17歳・男性)】
あしざわ教頭「相手は気を遣って思わず“ゴメン”って言ってしまったと思うんだよね。そこから施設の話をすることによって、校長が話していたように理解をするし、お互いの共通言語として成立するんじゃないかな?
俺も母親が亡くなってて、たまに友だちと家族の話になった時に『うちは母親が亡くなっているんだけど』みたいな話をすると、“ごめんなさい!”みたいな空気になったりするの。でも周りは知らないんだからしょうがないじゃん。そこで“大丈夫ですよ”ってことをこっちから提示していくと、相手も理解してくれるんだよね。それに近いのかなって思ったな」
リスナー「あぁ~」
とーやま校長「話の流れでそのことについて話すと、結構な確率で“ゴメン”っていう反応をされるかもしれない。なぜなら、みんな知らなくてびっくりするから」
あしざわ教頭「でも友だちだったら、そういう話をしてくれたら俺は嬉しいけどね。そこからもっと仲良くなれるし、そういう話をできる相手のほうがどんどん気軽に話せると思うな」
とーやま校長「うん。知らないことが突然目の前に現れたから、みんなびっくりしているだけだよ。それが普通だって分かったら、友だちなんだから分かってくれるよ」
リスナー「自分の普通をどんどん広めて、みんなの普通にすればいいんだなって思いました!」
とーやま校長「そうだね。ということは特別に意識しなくてもいいし、いつものお前でいればいいんだよ!」
リスナー「はい!」
とーやま校長「話聞かせてくれてありがとう。たくさん友だちを作って、たくさん思い出を作れよ。ただ、高校生活はあっという間だからな! 振り落とされないようにな!」
リスナー「はい(笑)」
とーやま校長「じゃあね!」
リスナー「ありがとうございました!」

広がる「給付型奨学金」 学生支援へ企業も名乗り

産経新聞 2017年6月2日

貧困家庭の増加など学生を取り巻く環境が厳しさを増す中、経済的に苦しい学生を支援しようとする社会の動きが広がっている。文部科学省は今年度から、返済不要の給付型奨学金の支給を先行実施。民間団体や企業も導入を進めている。与党内でも教育無償化の実現に向けた議論が盛んだ。専門家は学生生活を支える柱が強化されることに「意義は大きい」と評価しながらも、条件付きの奨学金制度については慎重な利用を呼びかけている。
私立大3年の竹内雅貴さん(21)は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を受けている。「借りるのはなるべく短い年数にしたい」と考え、アルバイト代も学費などに充てている。竹内さんは「勉強したいことがあっても、時間とお金がかかると考えて思いとどまることがあった」と明かす。

与党内では安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正による教育の無償化を打ち出したことで、議論が活発になっている。自民党教育再生実行本部の桜田義孝本部長は5月、大学の授業料を無償化し、卒業後に所得に応じて一定割合を徴収する「出世払い」方式の制度導入などを盛り込んだ提言書を安倍首相に渡した。
奨学金のあり方も見直されている。国は平成30年度から、住民税非課税世帯の大学進学者らを対象に月額2万~4万円の給付型奨学金の導入を決めた。29年度は児童養護施設出身者ら、特に経済的に厳しい学生を対象に先行実施する。
社会貢献の一環として奨学金の返済を支援したり、奨学金制度の導入を進めたりする企業や団体も出てきた。ブライダル関連の「ノバレーゼ」は24年、社員が返済している奨学金の残高に応じて最大200万円を支給して肩代わりする「奨学金返済支援制度」を設けた。勤続年数5年と10年の社員が支給対象だ。
吉野家ホールディングスは、大学の入学金などを貸与する奨学金制度を創設し、先月15日から1カ月間、牛丼チェーン「吉野家」でアルバイトをしている高校3年生を対象に募集を始めた。大学卒業後に同社に入社して4年働いた場合は返済免除とする。詳細は今後詰めていくという。

社会福祉法人「さぽうと21」は、パチンコ業界の有志と連携し、景品に交換されずに放棄されるパチンコ玉(1個4円換算)やコイン(1枚20円換算)などを元にした「pp奨学金」事業を運営。3月には学生8人へ月額3万~5万円の振り込みを終えた。本格実施は今年度からで、「さぽうと21」の吹浦忠正理事長は「奨学金を通じて国際的に通用する日本人や社会のリーダーを育てたい」と意気込む。
中京大の大内裕和教授(教育社会学)は給付型奨学金の広がりについて、「利用者が将来の不安を感じずに勉学に励める意義は大きい」と評価。一方、条件付きの奨学金制度については「本人の希望通りなら問題はないが、自分を縛る可能性もある」として、慎重な検討を勧めている。

文科省によると、平成26年度の大学の授業料は国立大の標準額が53万5800円、私立大の平均額が86万4384円で、10年前の16年度と比べると国立が1万5千円増、私立が4万6432円増になっている。
授業料が上がる一方で、学生の懐事情は厳しさを増した。JASSOの調査によると、学生の収入額に占める家庭からの給付割合は16年度は65・9%だったのに対し、26年度は60・6%に減少。奨学金の割合は16年度の14・0%から26年度は20・3%まで拡大。大学生(昼間部)の51・3%が何らかの奨学金を受給していることも分かった。
東京地区私立大学教職員組合連合の調査によると、首都圏を中心とする私立大に28年度に入学した下宿生への仕送り月額(6月以降の平均)は、16年連続減少の8万5700円。昭和61年度の集計開始以降、過去最低を更新した。

虐待危険度、警官が50項目で判定 大阪府警独自の試み

朝日新聞 2017年6月2日

大阪府警は1日、児童虐待の危険度を警察官が素早く客観的に判断できる独自システムの運用を始めた。保護者や児童への聞き取りなどをもとに、パソコン上の50項目のチェックリストを入力すると危険度が4段階で即座に判明する。危険度を自動的に算出する仕組みは珍しいといい、府警は「対応の迅速化により、一人でも多くの子どもを救いたい」としている。
府警に4月に新設された専門部署「児童虐待対策室」がリストを作成した。府警が昨年、虐待が疑われるとして児童相談所に通告した子どもの数は8536人で、3年連続で全国最多だった。このうち、昨年に府警が子どもを保護して児相に通告した虐待容疑事案475件を改めて検証した。さらに育児放棄(ネグレクト)や心理的な虐待などの疑いで通告した事案150件もあわせて分析し、リストの項目に掲げる特徴をまとめた。
リストは、重大性・悪質性▽緊急性▽保護者▽被害児童▽通告歴など、の5分類。「保育所や幼稚園などに在籍しておらず、第三者の目が行き届かない」「一時保護歴、または施設への入所歴がある」などの50項目からなる。警察官が保護者らから聞き取りした結果をパソコン上で入力すると、危険度の高い順にA~Dの4段階で自動的に表示される。

 

60万匹のゴキブリを育てたプロが語る「やっぱりコワい!ゴキブリの生態」――家のなかへの侵入を防ぐことは難しい

SPA! 2017年6月3日

2億5千万年前には存在していたと言われる最古の有翅昆虫「ゴキブリ」。見た目が気持ち悪い、汚らしい……。ゴキブリは厚生労働省から「衛生害虫」にも指定されている。衛生害虫とは、薬機法で規定された害虫で、伝染病の病原体を運んだりすることにより、私たちの健康を脅かす存在とされている。
ヤツらを退治するにはどうしたらいいのか。だが、私たちは意外とゴキブリのことを知らない。ネット上では様々な憶測が飛び交い、眉唾モノの対策法まで拡散される始末。それほどまでにゴキブリと私たちの生活は切っても切れない腐れ縁とも言えるだろう。
ゴキブリ対策といえば、『ごきぶりホイホイ』のアース製薬だ。同社の殺虫剤カテゴリーでブランドマネージャーを務める渡辺優一氏は、なんと約60万匹のゴキブリを飼育室で育てた経験をもつ。今回は、そんな害虫の専門家にゴキブリの生態と対策法の真偽を聞いてみた!

ゴキブリの生態を害虫専門家に聞いてみた!
ゴキブリを効率良く倒すためには、まずはその生態から探っていきたいと思う。
「暗くて暖かい場所、隙間や狭いところを好み、ジメジメした湿気の多いところに集団で住んでいます。ゴキブリは夜行性なので、人間が寝静まった頃にひっそりと移動します」
たとえば、家ではどのような場所にいるのだろうか。
「いちばんよくいるのはキッチンです。具体的には冷蔵庫の裏など(冷蔵庫はずっと稼働しているので、暖かくなっている)。とはいえ、わざわざ調べてみない限りはなかなか発見しにくい場所。ゴキブリは基本的には警戒心が強いので、出てくるということは何か理由があるんですね。エサや水が欲しかったり」
やはり、そこはエサが豊富なキッチン。生ゴミはもちろん、小さな米粒や食べカスなども見逃さずに群がっているイメージがある。それだけ“嗅覚”が優れているのか。
「じつは、ゴキブリは嗅覚というより、頭部の“触角”でいろんなことを感知しているんです。物理的なものはもちろん、ニオイまで触角で察知します」
ゴキブリは、触角の嗅感覚子にある受容細胞により様々なニオイを感じ取ることができるのだという。では、外にいるゴキブリが「この家はエサがありそうだ」と近寄ってくることもあるのだろうか。
「いいえ、そこまでの感覚ではありません。たまにニュースでも話題になっているゴミ屋敷など、よっぽどのニオイを発している場合は別ですが……」
とはいえ、もしも寝室で寝ているとき、パジャマなどに食べカスなどが付いていたら、近寄ってきてしまうこともありえる気がする。
「ゴキブリは警戒心が強いので、動いているモノに対しては逃げると思います。ですが、暗い寝室で動かずに寝ていたら“人間をモノとして認識する”こともあるかもしれません。その場合は、パジャマの食べカスに寄ってきてしまうことも無きにしも非ず、だと思いますね」
では、ゴキブリに好きな食べ物はあるのだろうか。それがわかれば、その食べ物の処分にはより一層、気を付けようと思えるのだが……。
「好んで食べるというより、なんでも食べますよ。食べカス、壁紙や本の表紙、仲間の死骸や糞、人間の髪の毛など、あらゆるものを食べる雑食性。電気コードをかじってショートの原因になるぐらいです。それで『美味しい』と感じているのかどうかは、ゴキブリ本人に聞いてみないとわかりませんが(笑)」
ゴキブリが出現したとき、叩こうと思っても素早くカサカサと逃げてしまう。じつは、視野もすごいのでは?
「じつは、ゴキブリの目はほとんど見えていないんです。ただ、これも触角が優れているので、少しの振動なども感じとる。ゴキブリは足の瞬発力や反射神経が高いことから、逃げられてしまうのでしょう」
そんなゴキブリだが、一方で、じつは良いことをしているなどはあるのか?
「ないですね。ゴキブリは病原菌を運ぶということがいちばん厄介な部分。アレルギーの原因にもなります。もしかすると、生態系にとっては良いこともあるのかもしれませんが、人間にとってはないと思います」

ゴキブリの害
・病原菌の運搬(サルモネラ菌、赤痢菌、小児麻痺ウイルスなど)
・糞、死骸などがアレルゲンになる
・見た目、突然の出没、不潔さなどによる不快感
・食品や書籍、電気系統の食害(ショートさせる)
参考:『害虫と殺虫剤の基礎知識』(アース製薬株式会社)

ゴキブリの侵入経路はどこからやってくる?
いつの間にやら家のなかに侵入し、私たちを驚かせるゴキブリ。果たして、どこからやってくるのか。
「ゴキブリは、カラダが薄い。つまり、外と家のなかで数ミリぐらいの隙間があれば、どこからでも入ってきますよ。通気口や換気扇、網戸、配水管……。よっぽどキッチリ密閉されていないと。ただ、現実的には完全に侵入を防ぐということは難しいですよね」
なんとも恐ろしい話だが……。では、一戸建てやアパート、マンションなど、住居ごとに違いはあるのか。
「ゴキブリは外でも生活できますが、家のなかのほうが快適なんですよね。たとえば、一戸建てだったら。新築だったとしてもたくさん家が建ち並んでいるエリアだったり、近くに飲食店があったり、ゴミ捨て場があったり、そういった場所だったら入ってきやすいですよね。マンションやアパートだったら、新築なら比較的いないと思いますが、古いところならもう、そのなかのひと部屋でもゴキブリがいれば、移動能力があるので、ほかの部屋にも移っていきますよね」
ビルの上のほうの階に住んでいれば、ゴキブリは来ない、という噂もあるが。
「いきなり飛んでいくことは出来ないので、確率論としては減りますが、ゴキブリはビルの何階でものぼっていきますよ」
ここでひとつの疑問が……飛ぶのではなく、のぼるとは!?
「ゴキブリは下から上に飛ぶことって、ほとんど出来ないんですよ。滑空、いわゆるグライダー飛行しか出来ない。ですので、いきなり10階には行けません。あくまで、壁伝いにのぼっていくんです。1階に入ってしまったら、2階、3階……あとはゴキブリがのぼっていきたいかどうかですけど」
つまり、同じ建物のなかでひとつでも不潔な部屋があれば、ゴキブリは増えていき、どこにでも出現する可能性がある。こうしたゴキブリの“負の連鎖”も起こりうるのだ!