児童虐待、家裁も関与へ 改正児童福祉法など成立

朝日新聞 2017年6月15日

急増する児童虐待への対策として司法の関与を強める児童福祉法などの改正法が14日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。児童相談所(児相)による保護者への指導について、効果を高めるため家庭裁判所(家裁)が関わるようになる。厚生労働省は来年4月の施行を目指している。
想定するのは育児放棄などの虐待があり、児相が保護者の同意なしに子どもを引き離して児童養護施設などに入れる必要があると判断するケースだ。児相は家裁に承認の審判を申し立てる。家裁はその是非を決める前に児相を管轄する自治体に対し、保護者への生活改善指導などをするよう勧告できることになった。
児相は子どもを一時保護して保護者から引き離す役割も担う。そのため保護者が児相の指導に反発することがあり、家裁の関与で効果を上げるのが狙いだ。一時保護の場合、原則の2カ月を超えれば家裁の承認が必要にもなった。
また、保護者が子どもに近づかないように家裁が出す「接近禁止命令」の範囲が広がることになった。保護者が同意して施設に入るなどしている場合や一時保護中でも、子どもを連れ戻したり危害を加えたりする恐れがあれば対象とする。(西村圭史)

 

<性的少数者>児童養護施設での配慮 自治体に周知へ

毎日新聞 2017年6月13日

古屋範子副厚生労働相は13日、児童養護施設で過ごすセクシュアルマイノリティー(性的少数者)の子どもへの配慮を自治体などに周知する考えを示した。
民間団体が5月、児童養護施設の4割以上に性的少数者とみられる子がいるとの調査結果を明らかにしたが、同施設は2015年に文部科学省が学校に「きめ細かな対応」を求めた通知の対象外。参院厚労委員会で牧山弘恵委員(民進)の質問に「文科省の取り組みを参考に(行政の担当者などの)全国会議を通じしっかりと周知したい」と答えた。

 

公認心理師の実習先に福祉施設も カリキュラムの導入は18年度から

福祉新聞 2017年6月15日

心理職の国家資格「公認心理師」を養成するカリキュラムがこのほど固まった。実習先の候補には児童相談所、地域包括支援センター、社会福祉協議会といった相談機関のほか、児童福祉施設、老人福祉施設、救護施設など福祉施設も多数挙がった。
カリキュラムは9月までに厚生労働省と文部科学省の省令で定め、最短で2018年度から大学・大学院で導入される。
5月31日、厚生労働省の検討会(座長=北村聖・国際医療福祉大教授)が報告書をまとめた。昨年9月から検討を始め、今年3月末までにまとめる予定だったが、ずれこんでいた。今後、実習先の確保を含め、大学・大学院は養成課程の開設準備を急ぐ。
養成ルートは三つあるが、そのうち4年制大学と大学院で計6年間学んだ人が国家試験を受けるルートが基本となる。このルートによる公認心理師が誕生するのは23年度末になる見込み。
大学での履修科目は「福祉心理学」「障害者(児)心理学」「精神疾患とその治療」など23科目。大学院では理論と支援の展開を中心に9科目学ぶ。
大学での実習は公認心理師が働く主要5分野(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)の施設見学が中心で、80時間以上とする。
大学院での実習は450時間以上で、学生は個別のケースを受け持つ。
実習先となる施設の種類は大学、大学院とも同じだ。
国家試験の実施機関は、一般財団法人日本心理研修センター(村瀬嘉代子理事長、東京都)。第1回試験は18年12月までに行われ、実務経験(実習先に指定された施設での業務)など所定の要件に基づく経過措置対象者が受験できる。
試験の実施回数は毎年1回。試験問題は150~200問程度で、全問マークシート方式とする。試験時間は計300分程度とし、合格基準は正答率60%以上とする。
公認心理師法は議員立法により15年9月に成立。一部は施行済みだが、今年9月15日までに全面施行となる。厚労省によると、心理職の勤務者数(推計)が最も多いのは保健医療分野で約2万4500人。教育分野は約1万7000人、福祉分野は約1万人。