出生数が初めて100万人を下回る 一方、少子化対策「こども保険」の認知度は?

MONEYzine 2017年6月17日

厚生労働省が6月2日に発表した「平成28年 人口動態統計月報年計(概数)の結果」によると、平成28年に生まれた子どもの数は97万6,979人で、初めて100万人の大台を割り込んだ。過去のピークは第1次ベビーブームだった昭和24年の269万6,638人で、第2次ベビーブームの昭和48年には209万1,983人まで回復したものの、その後は減少傾向が続いていた。直近では平成27年が100万5,677人で5年ぶりに増加したが、平成28年には過去最低の水準まで減少した。

1人の女性が一生に産む子供の平均数を示す平成28年の合計特殊出生率は1.44で、前年の1.45から低下した。過去の推移をみると、平成17年には過去最低の1.26まで低下したものの、その後は緩やかながら上昇傾向にあった。直近では平成25年が1.43、平成26年が1.42、平成27年が1.45で推移していた。

合計特殊出生率の低下には歯止めがかかっているものの、少子化が進んでいる。そこで、小泉進次郎氏ら自民党の若手議員は保育や幼児教育を無償にするため、現在の社会保険料に上乗せして資金を集める「こども保険」の創設を提言している。

そんな中、株式会社ウェルクスと株式会社キッズラインは共同でこども保険に関する調査を実施し、その結果を5月26日に発表した。調査対象は子どもの保護者や保育士など159名で、調査期間は5月16日から21日。

こども保険の認知度を聞いたところ、「詳細を含めて知っていた」は9%にとどまり、「名前だけ知っていた」が37%、「今回初めて知った」が54%で認知度は低かった。こども保険導入の賛否については「賛成」が35%、「反対」が11%、「どちらでもない・分からない」が54%という結果になった。

具体的なコメントをみると、賛成と答えた人では「国の将来を担うこども達を、国民全体で守り、育てる事が大切」、反対と答えた人では「現金を支給したところで、子どもに使用されるとは限らない」、どちらでもないと答えた人では「お金をばらまくより、もっとわかりやすい形で使って欲しい」などがあった。

「こども保険の手当てが支給されたら、何に使うか」という質問に対しては、制度本来の目的同様に保育園の保育料や幼稚園の利用料として使うという回答は19%。最も多かったのは「子どものための貯金(34%)」次いで「習い事など保育以外の幼児教育費(17%)」、「おもちゃ、教材、衣類など子どものための物品の購入(9%)」などとなっている。また生活費として使うという回答が15%、その他(6%)の回答の中には、大学など将来の学費に充てるという意見もあった。

また、「どんな対策があればもう1人子どもを産もうと考るか」について意見を聞いたところ、最もニーズが高かったのは「金銭的な補助(65%)」。次いで育休・時短制度導入などの「勤務先のサポート(64%)」、「待機児童がいない状態であること(33%)」「家族のサポート(33%)」「家族以外の地域や周りのサポート(32%)」、「出産費用の無償化(25%)」という結果になった。

こども保険については意見が分かれるものの、子育てへの援助を求める声は根強い。その声にいかに迅速に応えていくかが、今まさに問われていると言えるだろう。

 

将来の年金受給に不安が85.8%、個人年金保険加入は3割弱 個人年金に関する調査

ZUU online 2017年6月19日

個人年金に関するアンケート調査で、将来の年金受給に不安を感じている人の割合は85.8%に上ることが分かった。個人年金保険に加入している人の割合は29.5%で、将来の年金受給に不安を感じながらも、個人年金保険の活用は進んでいない状況が明らかとなった。

■個人年金保険加入率は29.5% 全体の4割が老後資金対策を行っていない

同調査はマイボイスコムが3月上旬、インターネット上で実施したもの。1万1182人から回答を得た。

「将来の年金の受け取りに不安を感じているか」という問いに対しては、「不安」、「どちらかといえば不安」と回答した人の割合は合計で85.8%に達し、多くの人が将来の年金受給に不安を抱いている事が分かった。

また個人年金保険の加入状況の調査では、加入している人の割合は29.5%であった。個人型確定拠出年金は除いた数字となる。年齢層が高くなるほど加入率も高くなる傾向にあり、20代の加入率は2割弱であったのに対し、40台以上では約3割となっている。加入先は、「日本生命」、「明治安田生命」、「住友生命」、「第一生命」、「かんぽ生命」が上位となっているという。

老後の資金作りを目的とした貯蓄・投資の状況についての調査(複数回答可)では、29.3%が定期預金、24.6%が定期預金以外の預貯金と回答し、老後資金の準備を預貯金で行う人が半数以上であるという結果が出た。株や投資信託と回答した人は21.5%、個人年金保険は19.1%という結果であった。多くの人が将来の年金受給に不安を感じながらも、投資や個人年金保険を活用する人の割合はそれぞれ2割前後と高くない事が分かった。また、39.6%の人は特に何もしていないと回答している。

■老後資金は自助努力でという風潮は強まる

退職後の生活を安心して送る為には退職時に3000万円を用意しておく必要があると一般的に言われている。退職金を考慮すれば妥当な金額にも見えるが、これは必要最低限の生活を送る為に必要な金額である。旅行や趣味等に興じる場合には、必要資金は更に増える。

総務省統計局の平成28年家計調査年報によると、65歳以降の生活に必要な資金の平均額は、公的年金を除いて月額16万円とされている。85歳まで生きるとすると、公的年金以外に3840万円必要な計算となる。また、あくまでも現在の物価水準、年金制度が前提となっている事も忘れてはいけない。

公的年金については、少子高齢化による影響などにより、現行制度への不安が広がっている。支給開始年齢の引き上げや給付抑制も検討されており、老後生活を不安無く過ごす為には自助努力が必要不可欠という論調は強まっている。

一方で今回の調査では、不安を感じる人は多いが、投資や個人年金保険等、積極的に対策を講じている人は少ない現状が浮かび上がる。2017年より制度改定が行われ、加入対象者が大幅に増加した個人型確定拠出年金(iDeCo)であるが、5月末時点での加入者数は55万人前後であるという。加入対象者は6700万人に上るとされており、加入率はわずか0.8%程度となる。

老後の生活でお金の心配をしたくないという気持ちは誰しもが思うところであろう。自助努力が求められる中、対策は早いに越した事はない。金融教育を徹底し、若いうちからお金の知識を身に付ける事も重要である。年金を所管する厚生労働省と金融分野を所管する金融庁等、多くの機関が連携し、問題の解決にあたる事が望ましい。(ZUU online編集部)

 

性犯罪の撲滅へ不断の取り組みを

オピニオンの「ビューポイント」 2017年6月19日

性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。性犯罪への処罰が軽過ぎると指摘されてきただけに当然の法改正だ。厳罰化というよりも適正化と言うべきだろう。だが、これで性犯罪が防げるわけではない。防止策にも留意すべきだ。
法定刑の下限引き上げ
性犯罪は「絶対悪」だ。被害者の尊厳性を破壊し、取り返しのつかない傷を与える。それで「魂の殺人」とも呼ばれる。ところが、刑は強盗などに比べて軽く、被害者の訴えがなければ起訴できない「親告罪」だった。親ら監護者による性犯罪は児童福祉法違反などの比較的軽い刑罰で済むケースもあった。
今回の改正刑法では、強姦(ごうかん)罪を男性も被害者になり得る「強制性交等罪」に改め、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げて殺人と同等にし、致死傷罪も5年から6年になった。被害者の心理的負担を軽くするため、検察官が起訴できる「非親告罪」とし、家庭内での児童に対する性犯罪への罰則も新設された。おおむね妥当な改正だ。
しかし、千葉県松戸市での小学3年女児殺害事件など凶悪な性犯罪が後を絶たない。罰則強化だけでなく、性犯罪それ自体をどう防ぐのか。今後の大きな課題だ。
とりわけ再犯の防止策が問われる。性犯罪は再犯率が高く、強姦罪の出所者の場合は40%近くに上るからだ(2010年版『犯罪白書』)。
例えば、04年の奈良女児誘拐殺害事件の加害者(当時36歳)は少年時に強制わいせつ事件を起こしていた。15年の寝屋川中1男女殺害事件の加害者(当時45歳)は、同事件の13年前に強制わいせつなどで懲役12年の判決を受け、14年に出所して再び凶行に走った。
奈良事件を教訓に刑務所や保護観察所で「性犯罪者処遇プログラム」を受講させる再犯防止教育が進められてきたが、効果は限定的だ。満期出所者には教育を受けずに社会復帰する例があり、「オオカミを野に放つ」との指摘もある。教育やカウンセリングだけで再犯を防げるのか、疑問も残されている。
海外の取り組みも参考にすべきではないか。フランスでは満期後も教育や監視を受ける制度がある。米国の一部州ではミーガン法で、加害者に住所などの個人情報の登録を義務付け、それを地域社会に告知している。韓国では児童を対象とした性犯罪者は初犯、再犯を問わず一律に薬物治療を行っている。
いずれも厳しい姿勢で臨んでいる。だが、わが国は加害者の“人権”を理由にこうした施策に消極的だ。
それで再犯を防げるのか、検討すべきだ。防犯カメラの設置や犯罪を招きやすい死角の解消など地域ぐるみの防止策も心掛けたい。
家庭教育支援にも目を
むろん性犯罪者を生み出さないことが最大の防止策だ。専門家は親子関係が歪(いびつ)だったり、愛情不足だったりするなど生育過程に問題がある時、性犯罪に走りやすいと指摘している。家庭教育支援や人の尊厳を守る人格・道徳教育にも目を向けたい。
改正刑法は性犯罪撲滅への始まりにすぎない。

 

施設で暮らす子ども、世界各地で270万人【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会 2017年6月1日

ユニセフ(国連児童基金)は今月1日、専門誌「子どもの虐待とネグレクト(Child Abuse & Neglect)」の中で、世界各地の施設で暮らす子どもの数は少なくとも270万人に上るという新たな推計を明らかにしました。しかしながらこの数値は、氷山の一角にすぎず、大半の国々では、公式のデータと実際の数との間に、おおきな隔たりがあると考えられます。
「児童養護施設や孤児院などの施設では、家族と離れてすでに弱い立場に置かれている子どもたちが、暴力や虐待、そして認知的・社会的・感情的発達への長期的な影響を受けるリスクが高まります」と、ユニセフ本部・子どもの保護部門チーフ(局次長)のコーネリアス・ウィリアムズは指摘します。「最も優先すべきことは、子どもたちをそのような施設ではなく、家族と一緒に暮らせるようにすることです。幼少期の子どもにおいては特にそうです」
ユニセフの最新の推計は140カ国のデータに基づいています。中央・東部ヨーロッパ地域は、10万人中666人の子どもが施設で暮らしており、これは世界で最も高い割合です。世界の平均が10万人中120人なので、比較すると5倍以上に上ります。次に高い割合は、先進国(10万人中192人)、続いて、東アジア・太平洋地域(10万人中153人)となっています。
ユニセフの調査は、多くの国々では未だに、社会的養護の下にある子どもの数について、正確な数値を把握する機能的なシステムが欠如していることを強調しています。多くの国々が公式のデータとしているのは、施設で暮らす子どもの実際の数のほんの一部です。民間の施設で暮らす子どもたちは、その数に含まれていないことがよくあります。
「公式のデータを実態に沿う数値に改善するためには、子どもを擁護する施設すべてを網羅した、より正確で包括的なリストを政府が把握すること、そして、定期的に、施設で暮らす子どもの数の徹底的な調査を行うことが不可欠です」と、ユニセフの統計専門官で、本調査に携わったクラウディア・カッパは述べています。「そうすることで、この問題の広がりを把握し、政府とともに効果的に対処することができます」
調査はまた、子どもが施設で暮らすことになる主要なリスク要因として、家庭崩壊、健康面の問題、障がい、貧困、社会的サービスの提供が不十分であること、などを示しています。
各国政府は、可能なかぎり家族が別々になることを防止し、また、里親家庭など家庭的な環境を提供するなどして、施設で暮らす子どもの数を減らすことを求められています。ユニセフは、コミュニティを基盤とした家族への支援プログラムへの投資も必要だと指摘しています。

日本でも、社会的養護を必要とする子どもたちに、家庭的環境での養育を推進するための取組が進められています。この目的のために2016年4月に設立された「子どもの家庭養育推進官民協議会」の発起団体の一つとして、当協会は、同協議会による政策提言等に参加しています。

■本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、 https://www.unicef.org/media/media_96099.html からご覧いただけます。

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)