「専業主婦」が突然入院した時のリスクはハンパない。乳児期~幼児期のお子様をお持ちのあなたへ

マネーの達人 2017年6月23日

「日本死ね」で話題になった待機児童問題も、最近では保育士の待遇改善へステージが移っているのでしょうか。
少子化を問題視するのに保育は足りないというおかしな話は、早く解決してほしいものです。
そんな重要問題から見ると、かすんでしまうのでしょうか。いやいや専業主婦世帯は依然としてかなり存在します。
今回はつい見過ごされがちな、専業主婦が突然ダウンしたときのリスクについて述べたいと思います!

専業主婦の入院は家計に大ダメージ
専業主婦の入院が、なぜ家計にダメージを与えるのか
専業主婦には賃金収入はありません。ならばなぜ家計にダメージを与えるのか。それは、支出が増えるからです。

食費
お弁当は外食に、朝夕食はお惣菜に頼ることが増えるでしょう。家庭によりますが、普段の支出から少なくとも1万円はプラスになるでしょう。

保育料
それまでは自宅で専業主婦が面倒を見ていた子どもも、幼稚園入園前なら保育所で保育を、入園後なら延長保育をお願いすることになります。

幼稚園の延長保育
園によって差がありますが、月数千円~2万円程度。

保育所
認可保育所なら所得に応じて月2万円~5万円程度(高所得者ならさらに上がることも)ですが、自治体によって差があります。無認可保育所ならさらに負担は増すことになります。
サラリーマンの入院だとお給料こそ絶たれるものの、お給料の3分の2程度の傷病手当金が雇用保険から支払われます。
一方で専業主婦はそもそも現金収入がないため、そういった手当は当然なく、この支出増は家計を直撃することになりますよ!
特に保育料は月数万円単位になりますから、バカにできません。貯金がないなら、専業主婦にこそ医療保険が必要なのかもしれませんね。

「緊急一時保育」が用意されている自治体もあるが
ですが、保育料がバカにならない…と愕然としている余裕はありませんよ。
むしろ、それで済めばラッキーだと言えるかもしれません。
だって、待機児童問題が世間を騒がせている昨今です。突然保育が必要になったからといって、そう安々と預かってくれるものでもないでしょう。
実際「緊急一時保育」というような名前で、保育者の緊急入院のような事態に対応する施策を採っている自治体もあります。
しかし、制度が存在することと、実際に預かってもらえることとは違う。この制度が利用できれば、保育料は共働き世帯が認可保育所に預けるのと同額で済むのですが…。
私が入院した時には、役所の方の「緊急一時保育の制度は手続きに時間がかかりますが…」との言葉に、わが夫は子どもを抱えて愕然としたと言っていました。
時間がかかる理由は、ひとつひとつの保育所に、受け入れの可否を順番に尋ねていくからだとか。
保育が無ければ夫は働くことができません。しかし実際は保育料を用意しているだけでは、備えとしては心もとないのてす。

「一時保育」をつなぐという方法
結局夫が利用したのが、「緊急一時保育」ではない「一時保育」でした。
そもそもこの制度は、保育者の通院や法事、はたまた単なるリフレッシュのために1か月前など事前に予約をすることで保育を利用できるというものです。
1日契約で、保育料は地域や園によりますが1日3000~8000円程度です。
1日契約のため、原則毎日預かっていただく「緊急一時保育」と比べて、保育所側の受け入れハードルが低いのでしょう。
突然のお願いでも「〇曜と〇曜だけなら預かれますよ」というようなお返事がいただけることもあり得るのです。
夫は、この「一時保育」を複数の保育所にお願いし、それでも預け先が見つからないときには、お仕事を休んだりおじいちゃんおばあちゃんに休んでもらったり(定年延長でまだ働いている!)して乗り切ったとのことでした。
よくがんばってくれました…。

複数の選択肢を確保しておこう
結局は、人とのつながり
何事においても複数の選択肢を確保しておくというのが重要です。
この問題をそう考えてみると、忘れてはならないのは大切なわが子の成長にかかわることだということでしょう。
背に腹は代えられない事態でも、子どもの気もちを後回しにするわけにはいきません。
預かってくれる保育所がそこしかなくても、子どもが本気で「行きたくない!」と言うところを利用するわけにはいきません。
となると、専業主婦の入院のような無視できない緊急事態のために、事前にできることが見えてきます。
それは、たくさんの保育所の園庭開放に積極的に足を運ぶこと。事前にわが子に、多くの保育所の施設や先生に慣らしておくことは相当なリスクヘッジになります。
また結局は人とのつながりですから、突然保育を依頼される保育所にしたって、知らない子(と保護者)よりは面識のある子の方が受け入れやすいと思うのです…。(執筆者:徳田 仁美)

 

新しい性犯罪規定(7月13日施行)の概要

園田寿 甲南大学法科大学院教授  2017年6月23日

はじめに
先日成立しました、110年ぶりとなる性犯罪規定の改正法が、7月13日より施行されることが決まりました。そこで、改めてその新しい性犯罪規定の概要について整理してみました。
主な改正点は、次の4点です。
1.強姦罪の抜本的な見直し(「強制性交等罪」への罪名変更、法定刑の引き上げ)
2.監護者としての影響力に乗じたわいせつな行為等の処罰(監護者わいせつ罪および監護者性交等罪の新設)
3.強盗強姦罪の見直し
4.強姦罪等の非親告罪化

1 強姦罪の抜本的な見直し
(旧)(強姦)
第177条 暴行又は脅迫を用いて13 歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3 年以上の有期懲役に処する。13 歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

(新)(強制性交等)

第177条 13 歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5 年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

a. 処罰の対象が広がった
まず、罪名が〈強姦罪〉から〈強制性交罪〉に改められました。
旧法では、(女性も強姦の共同正犯となることはできますが)強姦罪の主体は男性に限られ、被害者は女性とされていました。新法では、この処罰対象が広がり、性別を問わず、他人に対して性交、肛門性交または口腔(こうくう)性交をした場合が処罰されることになりました。
「性交等」には、犯人が、被害者の膣や肛門の中に、あるいは口の中に自己または他人のペニスを入れることに加え、自己または他人の膣や肛門、口の中に被害者のペニスを入れる行為が含まれます。肛門性交や口腔性交は、従来は強姦に対して刑が軽い強制わいせつとされてきましたが、行為の悪質性や重大性からこれらの行為も強姦と同じように処罰すべきだとされました。

b. 法定刑の引き上げ
旧法では、強姦罪の法定刑は「3年以上の有期懲役(原則20年)」とされていましたが、新法では、これが「5年以上の有期懲役」に引き上げられました。
これは、強姦罪の法定刑が財産罪である強盗罪(5年以上の有期懲役)よりも刑の下限が低いのは、被害者の性的自己決定権を財産よりも低く評価するものであり、不適切だとの批判があったためです。
なお、法定刑の下限を懲役3年から懲役5 年へ引上げたことについては、旧法では3年までの懲役ならば執行猶予が可能でしたが、刑の下限が懲役5 年に引き上げられた結果、情状酌量による減軽などがなされなければ執行猶予が付かなくなります。

c. 集団強姦罪(第178条の2)・集団強姦等致死傷罪(第181条第3 項)の廃止
これらの規定は、集団による強姦・準強姦という悪質性に対して強姦罪よりも厳しい刑を科す趣旨で2014年に改正されたものです。新法で、強制性交罪の法定刑の下限が引き上げられたことによって、これらの規定の意味がなくなりましたので、削除されることになりました。

2 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設
(新設)(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第179条 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176 条(注:強制わいせつ罪)の例による。
2 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。
この規定は、18歳未満の者を現に監護する立場にある者が、その地位を利用して行った性犯罪を処罰するものです。
旧法では、強姦も強制わいせつも「暴行又は脅迫」(あるいは心神喪失や抗拒不能に乗じたこと)が要件となっていましたが、例えば被害者の意思に反して親子間で行われた性行為の場合、暴行や脅迫が行われていなければこれらの罪が成立せず、量刑がより軽い児童福祉法違反で処罰されていました。このような場合、被害者は加害者の庇護から逃れることが難しく、また、性的虐待が常態化しやすいことから、とくに暴行や脅迫を用いなくとも監護者としての影響力を行使することを要件としたものです。
「現に監護する者」とは、「実際に監護している実態のある者」という意味であって、必ずしも親に限りません。親子関係に同視できるような保護・被保護の関係があれば、「現に監護する者」に当たります。個別の事情によっては、養護施設の職員などは当てはまるでしょうが、教師やスポーツ指導者などは、「現に監護している者」とはいえないでしょう。

3 強盗強姦罪の見直し
(旧)(強盗強姦及び同致死)
第241 条 強盗が女子を強姦したときは、無期又は7 年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

(新)(強盗・強制性交等及び同致死)

第241 条 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179 条第2 項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。
2 前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
3 第1項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。

旧法では、強盗犯人が強姦をした場合には、第241条前段により、強盗強姦罪として「無期又は7年以上の懲役」という、強盗罪や強姦罪に比べて重い法定刑が規定されていました。他方、強姦犯人が強盗をした場合には、このような規定はなく、一般的な加重処理がされて、刑は〈5年以上30年以下の懲役〉となっていました。この点は、従来から同じ機会に強盗と強姦の両方の被害に遭うという点では同一であるのに刑罰が不均衡であるとの批判がありましたので、その点が改められました。

4 性犯罪の非親告罪化
(旧)(親告罪)
第180 条 第176 条から第178 条までの罪(注:強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪)及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 (略)

(新)削除

旧法が性犯罪を親告罪化していた趣旨は、被害者の名誉やプライバシーを保護することにありました。この点、新法は、被害者が告訴するかどうかの選択を迫られているように感じる場合や告訴したことにより犯人から報復を受けるのではないかとの不安を抱く場合があるなど、親告罪となっていることでかえって被害者に精神的な負担を強いている場合が少なくないとの認識から、親告罪に関する規定を削除しました。
ただ、これによって被害者のプライバシー保護や、被害者が起訴を望まない場合におけるその心情が軽視されないよう、慎重な捜査や公判段階における被害者の精神的負担軽減のためのいっそうの充実が望まれます。
なお、新法の施行前に行われた性犯罪についても、すでに告訴が取り下げられているといったようなケースを除いて、(被害者の精神的負担を軽減するという改正の趣旨から)さかのぼって非親告罪とすることが決まっています。(了)

 

虐待相談、12%増3514件 5年連続で過去最多更新 神奈川

産経新聞 2017年6月23日

県は平成28年度に横浜、川崎、相模原の3政令市と横須賀市を除く県内5カ所の児童相談所で受理した児童虐待相談受付件数が前年度比12・1%増の3514件で、5年連続で過去最多を更新したと発表した。警察からの通告が増えたことや、県民の虐待に対する認識が深まったことが要因とみられるという。
内容別件数では、子供の前で配偶者間暴力(DV)や夫婦げんかを行うなどの「心理的虐待」が1842件で半数以上を占めた。子供に食事を与えない、学校に行かせないなどの「保護の怠慢ないし拒否(ネグレクト)」が854件、たたいたり骨折させたりする「身体的虐待」が786件で続いた。
年齢別では就学前の乳幼児が1538件と全体の約4割を占め、小学生(1193件)や中学生(503件)も年々増えている。
児童相談所への通告は「警察」が1405件で最も多く、次いで「近隣・知人」が597件、「家族・親戚」が536件で続いた。
県子ども家庭課の担当者は「児童福祉司を増員するなど相談体制の強化を図っている」とし、「未然防止には、早期に支援機関に知らせることが有効」と呼びかけている。