「いい子症候群」とは?どんなお子さまに当てはまるの?

ベネッセ 教育情報サイト 2017年7月16日

「いい子症候群」という言葉を聞いたとき、みなさんはどのようなお子さまを想像しますか?
「いい子」とありますから、「やさしくて思いやりのある子?」と思うかたもいるでしょう。また、「症候群」という言葉から「大丈夫かな?」と少し心配な気持ちになるかたもいるかもしれません。
では、「いい子症候群」とはどのようなお子さまのことなのでしょうか。15年以上保育業務に携わってきた保育士がご説明します。

「いい子症候群」とは?
「いい子症候群」とは、保護者のかたが思い描くような「いい子」でいようとするお子さまのことです。
お子さまはいい子でいようとして、自分の気持ちを抑えてしまうことがあります。
また、「パパやママに喜んでほしい、認めてもらいたい」といった気持ちから保護者のかたの言う通りにしか行動できず、自分の意思をもてなくなってしまうこともあるでしょう。
「いい子症候群」のお子さまはこれらの積み重ねによって、トラブルの回避方法がわからないまま成長してしまったり、コミュニケーション力が低下してしまったりする可能性があります。
また、「いい子症候群」のお子さまは保護者のかたと一緒にいるときに「言うことを聞くいい子」でい続けようとするあまり、保護者のかたの目の届かない場所ではたまったストレスをよくない方法で発散しようとすることもあります。例えば家の外ではいじめる側になってしまったり、幼稚園や学校などの先生の言うことを聞こうとしなくなったりといったことが行動として現れる場合もあるようです。

「いい子症候群」かも? チェックしたいポイント3つ
以下では「いい子症候群」になるかもしれない、あるいはなっているかもしれないことを確認できるチェックポイントをご紹介します。
もしお子さまに当てはまる言動があったら、保護者のかた自身の言動に気をつけていく必要があるかもしれません。ただし当てはまることがあるからといって、育児に自信をなくす必要はありません。このチェックはよい方向へ進んでいくためのものと考えてください。チェックしたことをきっかけに、保護者のかたがお子さまの兆候や保護者のかた自身の言動について気づけることが重要です。

【ポイント1】保護者のかたの指示がないと不安なお子さま
何か選択をしなければならない場面で、お子さまが保護者のかたの顔色を見るようなことはありませんか?
「何を選んでいいのかわからない」と思っていたり「“こうしたい”という希望はあるけれど、それを言うと叱られてしまうかもしれないからパパやママに選択してほしい」と思っていたりする場合があるかもしれません。また、保護者のかたの指示で行動を決められてきたお子さまは自分で考えることなく、言動が受け身になりがちです。

【ポイント2】感情表現が乏しい、自己主張することが苦手なお子さま
欲しいものを主張して駄々をこねることがない、泣いてぐずることがないなど、お子さまが子どもらしい感情を素直に表現しなかったということはありませんか?
実際に欲しいものがないという場合もありますが、「本当の気持ちを言ったらパパやママの意思に反してしまう」と考え、素直な気持ちを口に出せなくなっているかもしれません。

【ポイント3】反抗期がなかったお子さま
保護者のかたが困ることがないほど、お子さまに反抗期がなかったということはありませんか?
保護者のかたからすると手のかからないとてもいい子に感じるかもしれませんが、反抗するということは自分の意思をもち成長していくということです。従ってそれがなかったということは、自分の意思をがまんして過ごしていたという抑圧された感情をもっているかもしれません。
また抑圧された感情は、「自分の気持ちは言っても無駄だから言わない」など、「人に認めてもらえない」という気持ちを増幅させます。そのため、そういった気持ちをもったまま失敗を経験すると深く落ち込んでしまい、前向きになるのが難しくなってしまうことがあるでしょう。

お子さまが「いい子症候群」になってしまう理由
例えばお子さまがどんなところでも走り回ってしまうというとき、お子さまにどのように声をかけていますか?
思わず「いい子にしなさい」「言うことを聞きなさい!」などと強めに何度も言ったり、ときには強い口調で「なんでいい子にできないの?」「なんで言ったことができないの?」と怒ってしまうなど、保護者のかたの気持ちを押しつけようとしてしまうことがあるかもしれません。
同世代のお子さまと一緒に過ごす場面ではどうでしょう。自分のお子さまだけができないことがあったとき、「なんでうちの子だけできないの」という残念な気持ちを顔に出してしまうということはありませんか? また、お子さまが小さかった頃、ひとりで上手に洋服を脱げたときや靴を履けたときなど、できるようになって当たり前と思い、ほめなかった経験はないでしょうか。
このように、ルールを重要視し過ぎて保護者のかたの理想を押しつけてしまうことが多く、お子さまの気持ちを理解しないことがあると、お子さまは「いい子症候群」になりがちです。また、お子さまをほめない、お子さまが関心のあることに興味をもてない、お子さまよりも保護者のかた自身の気持ちを優先に考えてしまうことが多いなど、お子さまの気持ちを無視した行動をとってしまうことがある場合にも、お子さまを「いい子症候群」にしてしまいがちです。

お子さまの気持ちを尊重しよう!
保護者のかたはつい、大人の目線でものを見たり考えたりしたりしてしまうかと思います。とはいえ、お子さまが「いい子症候群」にならないようにするためには、保護者のかたがお子さまと同じ目線に立ち、お子さまの気持ちを理解して向き合っていくということが重要です。
お子さまはひとりの独立した個人であることを理解しましょう。何がしたいのか、どんな気持ちなのかなど、お子さまの本音を確認することが大切です。
そしてお子さまがどんなことを言っても、きちんと受け止めてあげましょう。これはお子さまの言いなりになることとは違います。どんな気持ちで何を思ったのかを理解してあげることが重要です。その気持ちを理解したうえで、さらに社会的ルールを踏まえた気持ちなど、成長した気持ちが必要だと感じたときは、そのことを説明し、理由を伝えてあげてください。
また選択しなければならないことがある場面では「子どもだから」という理由で保護者のかたが決めるのではなく、お子さまが自分で選択する機会をきちんと与えてあげるようにしましょう。その積み重ねは成長とともに「自分は認めてもらった」という自信や責任感へとつながるはずです。
このように、「いい子症候群」は保護者のかたがお子さまの気持ちを尊重し理解することで回避できると言えます。お子さまが生まれたとき「おなかが空いた」「お尻が気持ち悪い」「眠い」と泣くのは、意思表示をしている証拠です。
それから成長するにつれて、さらに自分自身の意思を言葉や行動で表現するようになります。そうして自分の意思を表現していくことで、他人とのコミュニケーションの仕方を覚えたり、自分の発言に責任をもったり、行動に自信をもったりしていくのです。
保護者のかたも、お子さまはそうやって大人になっていくのだと考え、できるだけ考えを尊重し見守ってあげましょう。

 

「マジでイケメン」暴力に悩む少女を助けた大学生、「未成年者略取」にならない理由

弁護士ドットコムニュース 2017年7月16日

父親からの暴力に悩んでいた兵庫県西宮市の女子中学生(12)の保護に協力したとして、男子大学生が兵庫県警から感謝状を送られたニュースが7月上旬、ネット上で話題になった。
感謝状を送られたのは、関西学院大2年の森田悠斗さん(19)。報道によると、森田さんは6月2日夜、西宮市内の本屋の前で、雨宿りする女子中学生を見つけた。持っていた傘を渡して、立ち去ろうとしたところ、中学生が追いかけてきて「家に帰れない」と泣きだされたという。
森田さんは警察に行くことをすすめたが、中学生が嫌がったため、大学の後輩の女性を呼んで、自宅で事情を聞いた。「父親から殴られている」と打ち明けられた森田さんは、警察に相談した。中学生は現在、児童相談所で保護されているそうだ。
インターネット上では、森田さんを「まじでイケメン」と賞賛する声が多数あがった。ただ、一部では「おまえらがやると逮捕」「オッサンがやると未成年者略取です」といった声もあった。はたして、今回のようなケースでは、どう対応するのがいいのだろうか。小野智彦弁護士に聞いた。

「未成年者略取罪」の保護されるべき法益とは?
「森田さんがとった対応がベストだと思います。
今回、中学生が女性ということもあり、協力者として後輩の女性を呼んだのは、正解です。事情を聞いて、虐待ということで、警察に相談したのも正解です。
警察に相談すれば、警察から児童相談所へ通告してもらうというルートがありますので、今回のケースでは、まさにそれに則った対応だったと思います」
少女を連れ去ったりすれば、刑法の未成年者略取罪に問われることもある。今回のケースはとの違いはどこにあるのだろうか。
「未成年者略取罪の保護されるべき法益は、(1)未成年者の身体の自由と(2)親権者の保護監督権の2つといわれています。
したがって、未成年者の承諾があったとしても、親権者の承諾がない限り、形式的には、この罪にはあてはまることになります。
しかし、今回のケースでは、未成年者を暴力を振るう親権者から保護するという目的でされたものであり、正当な行為であって、違法性がなくなるものと考えられます。
未成年者を保護するという目的であることをきちんと証言してもらえる状況作りという観点からも、後輩の女性を呼んだのは、正解だったと考えられます」

 

犯罪被害者への国の給付金、親族間犯罪にも支給拡大へ

朝日新聞 2017年7月14日

犯罪被害者に国が給付金を支給する制度について、警察庁の有識者検討会は14日、原則不支給だった親族間犯罪での支給対象を拡充することなどを求め、提言をまとめた。同庁は制度を改正し、来年度の施行を目指す。
警察庁によると、2016年に摘発された殺人事件(未遂を含む)は全国で770件。親族間だった割合は55%を占めた。
現行制度では親族間の犯罪について、加害者の利益につながることがあるため、特殊なケースを除いて給付金を支給していない。
検討会は、離婚調停中など親族関係が事実上破綻(はたん)していれば全額支給することを提案。無理心中などで残された18歳未満の子どもについても支給することを求めた。例えば夫婦間の殺人の遺児には現行では支給されないが、児童養護施設に入るなど加害者を利する恐れがなければ支給される。
この制度は殺人などの犯罪に遭いながら、損害賠償などが受けられない被害者や遺族に支払われるもので、1981年に施行された。16年度の受給者は390人で、支払総額は約8億8200万円だった。
警察庁は4月に大学教授らで構成される有識者検討会を立ち上げていた。(浦野直樹)