虐待の子ども「一時保護所」全国調査へ 劣悪施設を点検

朝日新聞デジタル 2017年7月23日

虐待された子どもたちを受け入れる「一時保護所」について、厚生労働省は初めて全国的な実態調査に乗り出す方針を固めた。児童虐待の急増で利用が増えており、劣悪な環境の施設がないか点検する狙い。生活環境や職員の対応を調べ、改善につなげる。
調査は全国共通の評価基準をつくり、一時保護所が第三者機関に委託して行う予定。厚労省が25日にも開かれる有識者検討会で方針を示す。
一時保護所は児童相談所の付属施設で、全国に136カ所ある。虐待を受けたり非行で保護されたりした、おおむね2歳から18歳未満の子どもを一時的に受け入れる。対応件数は増加傾向で、2015年度は2万3276件で前年度から1271件増えた。
定員を超えて受け入れている施設も8カ所あり、環境悪化が懸念されている。公的な調査は横浜市と堺市が独自に行っているだけで、厚労省が実態を把握する必要があると判断した。

 

おりに入れられ…中国人孤児たちの総合格闘技クラブ、動画拡散で波紋

AFPBB News 2017年7月24日

【AFP=時事】中国で、親を亡くした12歳の少年2人がおりの中で総合格闘技(MMA)を戦う動画がソーシャルメディア上で拡散し、波紋を呼んでいる。
報道によると、同国南西部の四川(Sichuan)省成都(Chengdu)にある総合格闘技クラブでは、親を亡くした幼い子ども数百人を養子とし、養育するとともに格闘家としてのトレーニングを受けさせている。
物議を醸したのは中国の民間動画ストリーミングサイト「梨視頻(Pear Video)」で配信された短いドキュメンタリー動画で、小学生ほどの年代の少年2人が八角形の鉄製のおりの中で激烈な戦いを繰り広げる様子が捉えられていた。一方の少年は相手の少年をノックダウンすると、マット上でうずくまる相手の頭部や体をさらに何度も殴りつけている。傍らではビキニのトップスとジーンズのショートパンツを着たモデルたちが声援を送り、マイクを持った男性が少年たちは「自らの運命のために戦っている」と叫んで観衆をあおっていた。
ドキュメンタリーの中で総合格闘技クラブの創設者は、孤児を管轄する民生部の地方支所が子どもたちを連れてきたと語っている。またクラブの子どもたちの大半は、チベット族を含む中国の少数民族の出身だという。
国営紙・新京報(Beijing News)は、このクラブが児童を搾取しているとして非難し、厳しいトレーニングを受けたり、激しい試合で争ったりしている子どもたちが、法に基づいた教育を受ける権利を享受しているのだろうかと疑問を呈した。
一方、中国版ツイッター(Twitter)の「ウェイボー(微博、Weibo)」ではこの問題について激論が交わされ、あるユーザーは「未成年者を勧誘し、報酬を奪いつつ、興行に出演させること、しかも暴力的な興行に出演させることは違法だ」と批判した。
だが別のユーザーは、このクラブがなければ、少年たちは路頭に迷い、犯罪に手を染めるかもしれないと擁護した。ドキュメンタリーの中である14歳の少年は、安全でしかもきちんと食事ができて幸せだと述べている。この少年は「食べ物、服、住むところ、何でもある。ここの食事は(自分の家よりも)ずっとましだ。家ならばジャガイモしか食べれないが、ここには牛肉も卵もある」と語った。
2015年末時点での中国の孤児は50万人とされ、このうち20%以下の子どもは国が養育を受け持ち、わずか5%が養子となっているが、その他の子どもたちについては定かでない。

 

本当に夏バテ? もしかすると「亜鉛欠乏」かも…精子減少も〈週刊朝日〉

週刊朝日 2017年7月25日

このところの酷暑で、体がバテバテという人も多いのではないだろうか。だが、単なる夏バテだと思っていたら、実は「亜鉛欠乏」の可能性も。特に夏は汗で亜鉛が失われやすいので注意が必要だ。“あの食材”をプラスし、亜鉛欠乏を徹底予防しよう。
「最近なんだかイライラする、元気が出ない、貧血かも……。そんな症状がある人は、“亜鉛欠乏”かもしれません。体内の亜鉛は汗と一緒に流れ出てしまうので、夏は特に亜鉛が不足しやすい。注意が必要です」
こう話すのは、みまき温泉診療所(長野県東御市)の医師、倉澤隆平さんだ。亜鉛は必須ミネラルの一つで、タンパク質の生成に使われたり、酵素の活性を上げたり、情報伝達の機能を果たしたり、身体に欠かせない栄養素だ。それだけに、不足で起こる症状も実に多岐にわたる。

【亜鉛欠乏による代表的な症状】
発育の遅れ 味覚障害 嗅覚障害 食欲不振や減退 精子減少 無月経 免疫低下 皮膚のかゆみ 傷の治りが遅い 貧血 下痢 口角炎 舌痛症 元気が出ない イライラなど精神症状
倉澤さんがこれまでに経験したのは、食欲不振や皮膚のかゆみ、口角炎や味覚障害などだ。このほかに精子減少、無月経なども起こることがある。舌痛症では原因がわからず、「精神的なもの」と片付けられてしまっていたケースも少なくないという。
亜鉛欠乏の患者を数多く治療する倉澤さんは、長野県北御牧(みまき)村(現東御市)の住民約1400人を調査。現代人は亜鉛が不足している実態を突き止めた。1970年代と比べると血液中の亜鉛量は少なく、成人の3割が亜鉛欠乏に陥っている計算になる。
ではなぜ、亜鉛欠乏になるのか。7年前から食事を実測し、現代人のミネラル不足を訴える、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一さんは、食材の影響を挙げる。
「野菜などに含まれるミネラルの量がかなり減っています。自然栽培が行われていたころと比べると、半分ぐらいになっているのではないでしょうか」
小若さんらは、市販の弁当や外食、加工食品のミネラル量を調べると、厚生労働省が定めた推奨量をはるかに下回っていた。理由として考えられるのが、加工食品の製造で行われている“ブランチング”だ。
「野菜や肉などを軽く加熱する工程のことで、殺菌や、アクを取り除く、色をよくするなどの目的で行われます。ブランチング後に食材を冷凍し、解凍して洗うため、ほとんどのミネラルは流れてしまう。亜鉛はごくわずかしか残りません」(小若さん)
亜鉛は、体内で作られないため、不足したら食べ物で補うしかない。小若さんが「いつもの食事に“プラスアルファ”して」とアドバイスするのが、「大きめ(10センチほど)の煮干し2匹」か「煮干しやアゴ(トビウオ)の粉末を大さじ2杯」を毎食とるという方法だ。
「粉末は非精製のゴマ油やオリーブオイルなどと混ぜてペースト状にするといいでしょう。元はだしなので、料理の味がよくなります。夏なら冷しゃぶのタレ、そうめんや冷や奴にかけてもいいでしょう」(同)
このほかにも、亜鉛が多く含まれるカキなどの貝類を、意識してとるようにしたい。
こうした食事の改善を試みても症状が改善しない場合は、医療機関の受診を。服用している薬の影響なども考えられるためだ。
「脂質異常症や骨粗しょう症、認知症の薬のなかには、亜鉛欠乏を招くものが少なくありません」(倉澤さん)
強い皮膚のかゆみを訴えた80代の患者に、それらの薬をやめてもらい、亜鉛製剤を処方したところ、症状は改善したという。
「亜鉛欠乏は個人差が大きく、同じ量でも症状が出る人と出ない人がいます。まだ症状がない人も健診などで血液検査をする際に、亜鉛の量を測っておくといいと思います」(同)

亜鉛の豊富な食品(mg)
カキ(貝)/中3個/6.6
鶏レバー/6切れ/2.3
十割そば/1食分/1.9
牛乳/200ml/0.8
クルミ/9粒/0.7
アーモンド/19粒/0.6
煮干し粉/大さじ1/0.5
(「食品と暮らしの安全」をもとに編集部で作成)