<児童虐待>警察から児相への通告急増 26年連続件数増加

毎日新聞 2017年8月17日

<児童虐待>警察から児相への通告急増 26年連続件数増加

児童虐待相談の対応件数
厚生労働省が17日公表したまとめによると、2016年度に全国の児童相談所(児相)が対応した虐待件数(速報値)は前年度19%増の12万2578件で、1990年度に統計を取り始めて以来、26年連続で増加した。子どもの前で親が配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」を中心とした、警察からの通告が大きな増加要因になっている。各地の児相は警察との連携は重要としつつも、急増する通告件数への対応に苦慮している。
「自分が担当している地区ではありませんように」。関西地方のある児相では、地元の警察官が虐待の通告書を持参するたびにそんな空気が流れる。この児相では、虐待相談の半数以上が警察からの通告で、その7割弱を面前DVによる心理的虐待が占める。
東京都児童相談センター(新宿区)には警察から通告が一度に10件持ち込まれることもある。増え続ける通告を前に、緊急度などによる選別が必要として、通告を受理すると子どもが通う保育所や学校、地域の保健所などを通じた「初動調査」に力を入れ、優先順位を見極めるという。
一時保護するほどの深刻なケースでなくても、子どもへの支援に必要なため、親に連絡を取ろうとしても「夫婦げんかを1度しただけ。もう関わりたくない」と拒否されることも多い。子どもへのケアは行き届かないのが実情だ。
対応する職員数の不足は否めないが宿岩(やどいわ)雅弘事業課長は「警察が積極的に関わることで、虐待だけでなく、さまざまな困難を抱える家庭を発見できることもある。日常的な連携は今後も必要だ」と話す。
近年、面前DVが心理的虐待にあたると明確化され、警察のDVへの介入が強化されたことで心理的虐待を中心に警察から児相への通告の増加が目立つ。16年度は前年度比42%増の5万4813件で全体の45%を占めた。昨年は、警察庁が4月に全国の警察に対し、児相など関係機関への通告を徹底するよう通達した影響が大きいとみられている。
虐待の通告は法的には児相に限らず市町村などに対してもできる。だが、警察の通告は事実上、児相に限定されている。警察庁は「警察が取り扱う事案は緊急性があり、児童の安全を最優先に考えた場合、専門機関である児相に通告することになる」と説明する。
昨春成立の改正児童福祉法で、専門性の高い支援をする児相と、身近な相談にのる市町村との役割分担が明記された。心理的虐待は市町村が対応する方が適切な場合が多いとみられる。児相の負担軽減には、通告の段階でどの機関が支援を担うのかの「交通整理」が必要だ。
全国の児相所長でつくる任意団体「全国児童相談所長会」は13年から、厚労省に対し、警察庁と通告の扱いについて協議するよう求めている。同省は「今後警察庁と協議していく」とするが具体的な見直しは進んでいない。【藤沢美由紀、反橋希美】

 

<児童虐待>DV被害受けた母 子どもへ支援求める声

毎日新聞 2017年8月17日

厚生労働省が17日公表したまとめによると、2016年度に全国の児童相談所(児相)が対応した虐待件数(速報値)は前年度19%増の12万2578件。子どもの前で親が配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」を中心とした、警察からの通告が大きな増加要因になっている。

一方、DV被害を受けた母親からは、子どもへのきめ細かな支援を求める声が上がる。関西地方に住む30代の女性は約1年前、当時6歳だった子どもを連れ、交際相手の男性の元から逃れた。男性はささいなことで怒り出し、手がつけられなくなる。子どもの目の前で、布団に顔を押しつけられたり、性的な接触をされたりした。子どもと2人で壁際に追い詰められ、大声で威圧されたこともある。
交際相手と離れてから子どもに目立った変化はないが、今でも男の人の大きな声や乱暴な言葉遣いには敏感で「しゃべり方が怖い」と漏らしたりする。女性は子どもと民間支援団体による心理的ケアのプログラムを受けたが、こうした支援を提供できる団体や自治体は少数だ。女性は「プログラムで、私も子どもも心が楽になった。どの地域でも、被害を受けた子どもが支援を受けられるべきだと思う」と語る。

多くの児相がパンク寸前
山本恒雄・日本子ども虐待防止学会事務局長の話 多くの児童相談所が面前DVや泣き声通告の対応でパンク寸前の状態にある。児相が本来の機能を果たすには、一元的に通報を受け、緊急対応した上で児相と市区町村にケースを振り分ける専従機関が必要だ。またDVを目撃した子どもは、暴力を振るう親と離れても息長くケアすることが重要。法的に支援を制度化すべきだ。

 

大学進学、諦めないで 給付型奨学金などさまざまな支援制度が

ベネッセ 教育情報サイト 2017年8月15日

経済的理由で大学進学などを断念することのないよう、文部科学省は、「高等教育進学サポートプラン」を公表しました。給付型奨学金の創設などの他にも、貸付金制度や奨学金の返還など、大学入学時から卒業後までにわたる、さまざまな制度や仕組みを紹介しています。

非課税世帯への支援策を導入へ
同サポートプランは、「一億総活躍社会実現のための奨学金事業の大幅拡充」をキャッチフレーズにして、新しく始まる給付型奨学金制度や、その他のサポートの取り組みなどについて、2017(平成29)年度大学等入学者と18(同30)年度大学等入学者を対象に説明しています。新しい取り組みとしては、返還不要の給付型奨学金の創設、住民税非課税世帯に対する無利子奨学金の選考の際の成績基準の撤廃、所得連動返還型奨学金制度の導入、児童養護施設にいた学生に対する一時金給付などが挙げられています。
まず、2017(平成29)年度大学等入学者を対象にしたサポートによると、18(同30)年度本格導入予定の給付型奨学金の一部を先行実施して、私立大学などの自宅外通学者を対象に月額4万円を給付します。給付対象は住民税非課税世帯で、学力・資質要件を満たすことを証明する高校の校長による推薦が必要となります。
従来の貸与型奨学金では、日本学生支援機構の無利子奨学金(第一種奨学金)について、高校の成績評定が「平均3.5以上」とされていた成績基準を、住民税非課税世帯の学生に対して撤廃します。さらに、これまでは無利子奨学金の貸与基準を満たしていても定員の関係で借りられない学生がいましたが、2017(平成29)年度入学者からすべての資格者に貸与できるようにするとしています。
この他、2017(平成29)年度入学者から卒業後の奨学金返還月額が、所得に応じて引き下げ可能になる「所得連動返還型奨学金制度」が導入されます。

給付型奨学金では月額2~4万円を給付
2018(平成30)年度大学等入学者からは、返還不要の給付型奨学金が本格的に導入され、国立大学等の自宅通学者には月額2万円、国立大学等の自宅外通学者と私立大学等の自宅通学者には月額3万円、私立大学等の自宅外通学者には月額4万円が給付されます。給付型奨学金の対象者は約2万人で、住民税非課税世帯であること、そして一定の学力・資質要件を満たすことを証明するため、高校長による推薦があることが条件となります。
この他、同サポートプランでは、大学入学前後の支援制度として、都道府県社会福祉協議会による「生活福祉資金貸付制度」(無利子)、都道府県などによる「母子父子寡婦福祉資金貸付金」(無利子)などの制度を紹介。また、高校などに「スカラシップ・アドバイザー(仮称)」を派遣して、高校生やその保護者に対して奨学金制度を安心して利用できるよう説明する相談窓口を開くなどのサポート制度も新しく実施すると説明しています。
経済的な不安や困難などを抱えている高校生や保護者などは、同サポートブランを参考にしてみてはいかがでしょうか。
※高等教育進学サポートプラン ~一億総活躍社会実現のための奨学金事業の大幅拡充~
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/12/__icsFiles/afieldfile/2016/12/26/1380888_1_1.pdf

 

最低賃金、平均848円に…最高は東京958円

読売新聞 2017年8月17日

厚生労働省は17日、各都道府県の審議会が取りまとめた今年度の最低賃金(時給)の改定額を発表した。
引き上げ後の全国平均は前年度比25円増の848円。上げ幅は過去最大だった昨年度と同額。上昇率は3%で、政府目標の「3%程度」が今年度も達成された。
厚労相の諮問機関である中央最低賃金審議会が7月に示した目安(全国平均で25円増)に、都道府県の審議会が地域の実情などを考慮し、決定した。
この結果、新潟、鳥取、宮崎、沖縄の4県で中央が示した目安よりも1円上積みされた。新たな最低賃金の最高は東京都の958円、最低は高知、宮崎、沖縄など8県の737円。10月頃から順次、適用される。
政府は今年3月にまとめた働き方改革実行計画で、最低賃金を年3%程度引き上げ、全国平均で1000円を目指す方針を示している。