「公認心理師」が国家資格化、“心理学ブーム”に備える教育界

ダイヤモンド・オンライン 2017年8月22日

今年9月に誕生する国家資格「公認心理師」に注目が集まっている。2017年7月、KEIアドバンスと東京大が共催した公認心理師に関する研修会には心理学関係者、学生約500人が集まった。
今まで心理職といえば、民間資格の「臨床心理士」が代表格。1990年代後半から起きた心理学ブームで臨床心理士資格試験の受験者は2000年に1000人を突破し、近年は2600人前後で推移している。新資格は医療現場での医師との業務の関係性に違いがあるものの、患者の心理面を支えるという業務内容は臨床心理士とほぼ同じだ。
そして他の資格の併存を許さない医師のような「業務独占資格」ではないため、将来的に臨床心理士と業務のすみ分けはされていく。
話題となっている大きな理由は、国家の後ろ盾がある資格だということ。就職に有利になるのではという期待感があるのだ。公認心理師は民間ではなく文部科学省・厚生労働省が管轄する。両資格とも学部を卒業後、指定の大学院(主に臨床心理士指定大学院の中から公認心理師資格取得大学院を設置する予定)に進学し、受験資格を得られる。ただし、臨床心理士は卒業学部を問わないのに対し、公認心理師は心理系学部・学科卒業である点に注意が必要だ。

大学院の人気は偏差値順
全国の臨床心理士指定大学院171校(17年4月現在。専門職大学院を含む)中、約半数が公認心理師への対応を表明した。顔触れも同志社大、立命館大、法政大、日本女子大、明治学院大、京都女子大、追手門学院大、大正大、京都文教大、愛知学院大など心理学分野での有力校が名を連ねる。これらの大学院を修了し、試験に合格すれば、公認心理師と臨床心理士のWライセンス取得が可能だ。
一方、大学院選びでは通いやすさや募集人数も気になるところ。東洋英和女学院大学大学院は共学で東京・六本木にキャンパスを構える。目白大学大学院は募集人数が30人と多く、狙い目といえる。
とはいえ、指定大学院の人気は「学部の偏差値順」であると大手予備校関係者は実態を明かす。
来年には早くも臨床心理士などの心理職実務者や大学教授などを対象に、特例措置で第1回の公認心理師の国家試験が行われる。
冒頭の研修会を開催した、臨床心理士指定大学院の受験指導に定評のある河合塾KALSを運営するKEIアドバンス・教育教材開発グループの森靖義課長は、「公認心理師の養成カリキュラムの真価や国家試験制度も不透明。ひとまず、臨床心理士を目指し、必要になったころに取得するのも一つの方法」と話す。
注目度が高い半面、公認心理師対応の大学・大学院がどこまで広がるかは、入試の詳細を含めて、これからの話となる。

 

子どもへのITリテラシー教育【前編】 ITエンジニアの親が、子どもたちにITとSNSを使わせるために試みたこと

はてなニュース 2017年8月10日

小中学生でもPCやスマートフォンを持つことが珍しくなくなってきた現代。初めてスマートフォンを持たせるとき、親たちはどのようなことを子どもたちに教育していけばいいのでしょうか。ITエンジニアのしょっさん(id:sho7650)さんが、家庭で実践しているという子どもたちへのITリテラシー教育について紹介します。

みなさま、はじめまして。しょっさん(id:sho7650)です。子どもへのITリテラシー教育という切り口で、我が家で実践してきたことを紹介したいと思います。
前編のテーマは「どのように子どもたちとITを関わらせてきたか」について。家族構成や関係、背景はご家庭ごとに異なりますので、すべてを受け入れていただけるとは考えておりません。我が家は四姉妹なので、環境としては少し特殊だと思います。一つでもお役に立てそうな事柄があれば幸いです。
ITは私たちに、とても便利で有益な環境を提供してくれました。業務は多様化、生産性と品質は向上し、遠く離れた人たちとリアルタイムで共同作業をすることも容易になりました。ネット上にあるものは、いつでもどこでも誰でも利用することができます。
一方で、ネットのない時代では考えられなかったような危険な目にあう可能性も高まりました。ほんの些細な一つの書き込みや、何気なく撮影した写真・動画は、一瞬で全世界に公開できます。公開された情報をきっかけに、内容によっては取り返しのつかない事態を引き起こすこともあります。
このような環境下にあるためか、保護者の一部には、子どもたちにIT、特にSNSを利用させることは「悪」だと考える方がいます。しかし、しばらくの将来にわたってITを利用しない社会はありえません。私たち保護者は、子どもたちに対して、ITやSNSとの関わり方を指導していく必要があります。

子どもにPC・スマホを与える理由
我が家では、PCもスマホも一人一台以上与えています。その理由は次の3つです。
<連絡を取りやすくする>
子どもたちは、成長につれて友だちといろいろな場所へ出掛けるようになります。
それまでは地元の公園で遊んでいた子どもたちが、突然、電車に乗って気軽に遠出するようになります。携帯電話やスマホのない時代では子どもからの連絡を待つばかりでしたが、今では便利なことに、メッセンジャーアプリでいつでも相互に連絡を取ることができます。GPS機能を利用すると、子どもの所在地も分かります。この機能だけでも、スマホを与える理由としては十分です。

<将来の選択肢の拡大>
子どもたちの将来の選択肢を狭める必要はありません。
社会人のみなさまはご存知のとおり、今の社会では、PCやスマホを使わずに暮らしていくことは難しい状況です。業務ではPCを使って書類を作るでしょうし、スマホで連絡を取り合う企業も少なくありません。PCを一人一台与えているのは、若い頃からITに触れてもらい、抵抗感をなくしてほしいと考えているためです。

<専用のToDoツールを家庭内で共有>
我が家では、お手伝いや宿題の実績によって、お小遣いの金額を変動させるという仕組みを準備しています。
具体的な内容については次回説明しますが、同じくITエンジニアの妻が開発した専用のToDoツールを利用させるために、PCやスマホを使わせています。また最近では、タスク管理ツール「Trello」で家庭内の課題管理や稟議申請などを行っています。他にも家族間で同じシステムを利用する機会があるので、PCやスマホを通して全員が家庭内ツールを操作できることは一つのメリットです。

いつから子どもにPC・スマホを使わせるか
次の問題は「いつから」子どもたちにPCやスマホを与えるかです。
我が家では、子どもたちに3歳からPCを使わせています。私が幼い頃に「Macintoshは3歳でも使えるパソコンです」というフレーズを聞いた記憶があり、「将来、子どもができてその子が3歳になったらMacを買い与えよう」と決めたことがきっかけです。
単純すぎる理由ですが、早いうちから慣れておくに越したことはない、が我が家の育児方針です。幼少時からその時代のキーボードやマウス、ウィンドウシステムなどのインターフェースに触れておくことで、後々の抵抗感を排除できるのではないかと考えています。
また「視力が落ちるのではないか」という点について、我が家では「視力は遺伝する」説を受け入れているので、なるようになるものだと思っています。
スマホは中学生からです。小学生の単独行動は活動範囲が狭かったり活動時間帯が限られていたりするので、日常の生活圏内は安全な範囲に収まっていると考えています。
中学生になると、子どもたちは友だちと遠出を始めます。大抵、誰かの親か兄姉がついていくケースが多いのですが、そうではない場合、特に場所が遠くなると、何かあったときに親たちはすぐにそこまで行けません。状況を理解するためにも、スマホは必需品となります。

SNSとの接し方・利用の仕方を指導するには
子どもにスマホを持たせることでの一番の危惧は、SNSでしょう。子どもたちが自由にアカウントを作成するのを阻むのは困難です。また、学校の連絡が公式Twitterアカウントで通知されるケースもあり、アカウントを作成しなければならない状況が発生することもあります。そうなると、子どもたちに対してSNSを利用するためのリテラシー教育が必要になります。
我が家は夫婦共にITエンジニアなので、私たち二人の間では特にこれといったガイドラインや教育計画、資料を準備したりはしていません。保護者のいずれかがITに明るくないような場合は、親もしかるべき教育を受けた上で、ある程度のガイドラインや教育計画を準備したほうが良いでしょう。
では、どのようにSNSのリテラシー教育を行っているか。我が家では、普段の生活の中で、必要に応じてSNSに関する話題を子どもたちとやりとりしています。たとえば、テレビのニュースなどをきっかけにして、SNSを利用したことによる炎上事例やセキュリティー事例などをその都度話すようにしています。
ある程度の年齢になれば、子どもたちはこうした教育の必要性も理解してくれます。ですが、まだ幼い小中学生に対して仰々しく教えようとすると、「つまらない」と言って話を聞いてくれなかったり、反抗心を抱いてしまったりします。ですので、普段の会話の中で自然に伝えることを意識しています。
内容としては「身バレしないこと」を重点的に繰り返し説明しています。特に次の2点です。
?個人・家族の情報(氏名、住所、自撮り写真、家族構成、連絡先)を書き込まない
?個人・家族の行動を正確に載せない ?1日の詳細の行動計画……?
?過去の旅行・行動に対するコンテンツの公開……○
?現時点の場所(GPSの場所情報)を含むコンテンツ公開……△
その他のセキュリティー事象などについては、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が子ども向けに面白い動画コンテンツを作成していますので、それらを用いて説明しています。たとえば、次のようなものが我が家ではウケが良いです。

また、SNSを通して危険なコンテンツへアクセスしてしまう可能性もあります。フィッシングや詐欺などで意図せず誘導されてしまうかもしれません。普段からセキュリティー意識が高ければ回避できますが、まだ経験の少ない中高生では、自分が騙されているかどうかを判断するのは困難です。したがって、教育と合わせて親がコンテンツの利用制限を行うことが重要になります。
我が家では、導入できるアプリを制限し、G Suiteを使って子どもたちのAndroidスマホをすべて妻の管理下に置くようにしています。また、撮影した写真はすべて妻のDropboxへと転送されるようにもなっています。原則、GoogleのアプリやAndroid端末を利用していれば、不測の事態が発生したときでも妻側で状況を確認できるというのが利点です。
子どもたちからPCやスマホを取り上げて暮らしていくことは、これからの時代を考えると安全な策ではありません。したがって、安全かつ楽しく利用するための関わり方を正しく教育していくことが親の務めになってきます。まず、PCやスマホを使わせる理由を明確にすること。そして、PCやスマホを利用する場合の危険性について事例と共に説明することが重要です。利用にあたり、必要最小限の制限や管理を行うことも大事でしょう。

リテラシー教育に大事なのは親子の関係性
さらっと「教育は親の務めです」と記述したものの、親が信頼されていない限り、どのような方法をとっても反発されてしまい、子どもに話を聞いてもらえない場合があります。
ITに限りませんが、親が子どもを教育する際には親子の信頼関係が育まれていることが重要なポイントです。信頼関係がある親子だと、SNSのアカウントを相互にフォローし合って、お互いの活動状況を共有できます。教育のためだけでなく、良好な関係を築くことでお互いの隠し事を減らし、困っていることがあれば話し合うような環境を作ることができます。我が家でもお互いにアカウントをフォローし合っていますが、特に不便だと感じることはありませんし、子どもたちも同様のようです。
さらに、我が家では「対話」を意識しています。その中でも「挨拶」「感謝」「謝罪」は特に重要で、これらはすべて「対話」につながっています。挨拶も感謝も謝罪も、自分から話し始めないと先に進みませんし、それらの後に本当に重要な対話が始まります。親として、私は子どもたちに誰とでも仲良くなれるコミュニケーション能力を身につけてほしいと考えています。それには「挨拶」「感謝」「謝罪」ができるということが大前提です。人と人とが接するために必要なプロトコルを持った上で、対話ができることを望んでいます。
では、いつ「対話」を持つか。我が家では、食事の時間を対話の時間としています。かといって、食事中にテレビを付けておくことを悪とはしていません。それどころか、ゲームをしていることも、ライブビデオを流していることも、映画を観ていることもあります。それらは話のきっかけにすぎず、目的は対話をすることです。家族でなるべく長い時間を共に過ごし、そして対話をすることが、親子の信頼関係を育むのに必要不可欠な時間であると考えています。

私と妻は今の状態が“最高で理想的な家族の形”というにはまだまだ遠いと考えていますし、子どもたちも同様に捉えているようです。各々の考える理想があって、そこに到達していないことも理解しています。それでも我が家には必要十分の信頼関係があり、家族が長く共に過ごすことを当たり前のように感じている節があります。これは、普段からお互いをよく理解するために対話を重ね続けてきた結果です。
家族はできる限り、共に過ごす時間を持って、対話をしていくこと。
PCやスマホを持たせる以前に、まず、この関係性を築いていくことが重要だと考えています

 

何度でも言う。疲れをとりたいなら…寝る前のスマホ、パソコン、TVは絶対NG!

BEST TIMES 2017年8月21日

お盆休みも明け、またサラリーマンには戦場が待っている。適切な睡眠で体の疲れをとり翌日に備えたい。しかし…眠れない。それも「疲れている」のに眠れない。そんな悩みを抱えている方は案外多いのではないだろうか? 最新刊『自律神経が整えば休まなくても絶好調』(ベスト新書)を上梓した医師・小林弘幸氏がその原因を解き明かす。

「疲れているのに眠れない」が起きるわけ
睡眠不足を訴える人が増えています。
厚生労働省健康局の調査では、「睡眠での休養」について「あまりとれていない」か「まったくとれていない」と答えた人が、30代で27.5%、40代で32.5%にのぼりました。ビジネスパーソンに限って調べれば、もっと割合が高くなるのではないかと思います。
人々が訴える睡眠不足には二種類あって、一つが「睡眠のための時間がとれない」というパターン。
しかし、6~7時間の睡眠が確保できないほど従業員を働かせる企業は、まずありません。あったとしても、これからは淘汰されていくはずです。
実は、「睡眠のための時間がとれない」と嘆く人たちの大半は、行く必要もない飲み会に参加したりして睡眠時間を削っているケースが多く、「本当に時間がつくれない」わけではありません。
問題は、もう一つの「眠りたいのに眠れない」という人たちです。現代社会には圧倒的にこちらが多いのです。

「疲れているはずなのに眠れない」
「明日は大事な仕事があるのに眠れない」

こうしたことが起きるのは、ほぼ100%自律神経の乱れが原因です。
私たちの体は日内変動を繰り返しています。日中は活動的に動くために交感神経が副交感神経よりも優位になっていたのが、夕方から逆転し始め、眠る頃には副交感神経が優位になってリラックスした状態で眠りに入っていくのが、本来の私たちのリズムです。
しかし、現代社会では、このリズムを乱してしまうことが多々あり、そのために、夜になっても交感神経が優位な興奮状態に陥ってしまうことがあるのです。

パソコンやスマホ、テレビは自律神経を乱す
ベッドに入る前には、副交感神経を優位にする「寝るための準備」があり、その時間を大事にすることこそが休息には必要です。
たとえば、翌朝6時に起きなければならない人が、夜の10時までパソコン作業をしていたとしましょう。「このままベッドに入れば8時間も眠れる」と考えても、そうは問屋が卸しません。
興奮してなかなか寝付けないか、寝付けたとしても質の悪い浅い眠りしか得られません。あるいは、夜中に覚醒してしまうのがオチでしょう。
それよりも、睡眠時間自体は6時間に減ったとしても、ぬるめのお風呂につかるなど、質の高い睡眠を得られるような2時間を過ごしたほうがいいのです。
理想は、寝る3時間前までに夕食を済ませ、日記をつけたりして静かな時間を過ごし、寝る1時間前までにお風呂に入ること。この間、パソコンやスマホ、テレビなどは見ないことです。
人間は、睡眠に入るときに体温が下がりますが、お風呂から出て1時間も過ごしていると、ちょうどいい体温低下が起こります。そのときにベッドに入り、静かに目を閉じていれば、気持ちよく眠りにつけるでしょう。