「家族と暮らす」子どもの権利、実現なるか? ~ 子どものための革命と『新しい社会的養育ビジョン』 ~

土井香苗 国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ 2017年8月25日

社会的養護業界にとって、8月2日に革命が起きたとも言われる。厚生労働省の「新しい社会的養育ビジョン」が示されたためだ。子どもの最善の利益を中心においた質の高いこのビジョン、乳幼児の里親率75%、虐待児らの施設入所停止などの具体的な数値目標を含むため、業界に衝撃が走ったのだ。
しかし世間の注目こそ集めなかったが、子どものための真の革命は昨年5月、塩崎恭久厚生労働大臣(当時)のリーダーシップの下、国会で起きていた。施設入所率85%・里親委託率15%という施設偏重日本において、子どもの「家庭養育原則」を高らかに謳った児童福祉法改正である。
しかし戦後数十年にわたり子どもの施設入所を当然としてきた業界の法改正に対する反応は鈍かった。法改正に続いて、通知や里親委託ガイドラインの形でも厚生労働省は「就学前の乳幼児期は、養子縁組や里親・ファミリーホームへの委託を原則とする」と、施設偏重文化からの脱却を業界に求め続けた。しかし、残念ながら業界には「革命」にふさわしい改革の機運はなかった。「原則」と言われるうちは例外はありだ、だいたいこれまでどおりでもいいだろうと安心していたのだろう。
数値目標が8月2日に示されるに至って初めて、これまでどおりとはいかないと衝撃が走った。子どもの最善の利益を今後はしっかり実現するため、この新ビジョンの実現に向けて、日本社会が一丸となって改革に乗り出すべきである。

「新しい社会的養育ビジョン」 数値目標&ロードマップ 概要
○ 乳幼児: 75%を里親委託(7年以内)、新規施設入所停止
○ 特別養子縁組: 倍増して1千件(5年以内)
○ 2020年まで:フォスタリング機関事業の全国的な整備の確実な完了

日本の実態
日本では、虐待や予期しない妊娠など、何らかの理由で親子分離された子どもたちは全国で約3万8千人にのぼる。こうした「社会的養護」下にある子どもたちの約85%にも上る子どもが、児童養護施設や乳児院などで集団養育されている。里親家庭や養子縁組によって、新たに愛情を注いでくれる家族にめぐりあえた子どもたちは2割以下と例外的だ。こうした日本の「家庭分離・施設偏重」モデルは世界的にも突出している。
国際人権ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は2014年5月、こうした社会的養護の実態を、全国200人以上からの聞き取り調査をもとに報告書「夢がもてない―日本における社会的養護下の子どもたち―」(全89頁)にまとめて発表。以来、日本の施設偏重の実態を批判するとともに、現状の里親制度を含む社会的養護政策の抜本的な改革を求めてきた。

新ビジョンに対する反応
衝撃を受けている社会的養護業界の反応はというと、一部先進的に取組んできた自治体などからは歓迎の声が聞こえるものの、横浜市(15年度末の里親委託率が13.5%)の担当者の声として紹介されていた「あまりに高い目標に驚いた」「数年単位で体制を整えるのは困難だ」が残念ながら代表的なようだ。里親虐待や不調への危機感からもっとゆっくりと進むべきとの声などもある。これまでもHRWは、自治体の児童相談所を含む業界関係の大人からこうした声をたくさん聞いてきた。被益者である子どもに声はなく、その結果、「子どもたち、十年~数十年家庭は待ってね」という不作為が近年ずっと続いてきた。
しかし、まずは想起して欲しい。そもそも家庭で暮らすことは子どもの基本的人権であり、必要のない施設収容をしないことは、政府の義務である(子どもの権利条約第20条3項)。数十年間も義務違反を続けたために、子どもの基本的権利の侵害に鈍感になりすぎているとしか思えない。私自身、何もしない不作為によって、大切な子ども時代を失った子どもたちから、だれが責任を持ってくれるんですか、と問われ続けて来た。
仮定の話だが、日本にほとんど学校がなく、多くの子どもが教育を受けられずにいたとしよう。学校建設が大変だ、いじめが心配だなどを理由に「しょうがない」となるだろうか。数十年かけて漸進的に改革すればいいとなるだろうか。いや、あり得ない。教育を受けるという子どもの権利を守ることを大前提に、日本社会が一丸となって、学校建設、制度整備、いじめ対策などを行い、親たちがリーダーとなって一刻も早く、と子どもの学びの場を確保するに違いない。
子どもが家族と暮らすという当たり前の権利。その実現のためにも、もう言い訳はやめて一丸となりましょう、予算とマンパワーを投入して早急に「十分な体制」を作って、乳幼児たちに家庭を早く保障しましょう、と網羅的な改革ビジョンを示したのがこの新しい社会的養育ビジョンなのだ。
ところで「乳幼児の里親委託率75%」の実現には、全国で毎年約900人の里親が新たに必要と試算されている。人口120万人程度の都道府県・政令指定都市(広島市・さいたま市くらいのサイズ)で、年間9人の新しい乳幼児里親が必要ということだ。決して無理な数ではないだろう。

フォスタリング機関
戦後数十年続いている施設養育モデルを脱却し、質の高い家庭養育に迅速に移行することが容易と言っているのではない。しかし、子どものために絶対必要だと言っているのだ。実現に向けて必要な制度・実務が新ビジョンにいくつも提示されている。中でも大事なのが、質の高いフォスタリング機関(里親への包括的支援体制)の迅速な導入・整備であろう。フォスタリング機関とは、里親とチームとなり、リクルート、研修、支援などを一貫して担う包括的支援体制。新米里親となる市民の不安解決のために、そして何より、里親虐待や里親不調などを予防して、質の高い里親養育を保障されるべき里子にとって、なくてはならない存在だ。
しかし残念ながら、全国でもまだフォスタリング機関は少数。これを迅速に全国に広げるためのひとつの方法として、乳児院・児童養護施設や、子ども支援に経験のある質の高いNPO等が多数、フォスタリング機関として手を挙げ活躍できるよう、国・自治体をあげて、支援する体制を整えて十分な予算を投入することが必要だ。新ビジョンでは、2020年までにフォスタリング機関事業の全国的な整備を確実に完了するよう求めている。

しなやかに…
新ビジョン発表以前から、自らをしなやかに変えている乳児院もある。たとえば、長野県にあるうえだみなみ乳児院の取り組みだ。赤ちゃんを預かる乳児院から機能転換し、3年かけて里親支援や産前産後母子支援などを事業の中心にする計画だ。乳児院としてのこれまでの経験や地域での信頼などを活かし、地域のニーズにあわせてスタッフの再配置・再トレーニングなどをすることを通じて、フォスタリング機能への転換を図っている。日本全国に約130ある乳児院の参考になるパイロット的取り組みであり、うえだみなみ乳児院に続いて、各地のニーズを踏まえて検討された計画に基づきながら、赤ちゃんの幸せのために一肌脱ぐという乳児院が続々と現れることを期待する。そうした日本各地の先進的乳児院のパイロット的取組みで得られた貴重な経験が、全国展開に活かされるべきだ。
ところで現在の措置費は、入所児童数を基本として各施設に支払われる制度だ。機能転換のための移行期間には入所児童数を計画的に減らしつつ新たな機能付加の準備をする必要があり、これを成し遂げるための費用をどう捻出するかも課題である。今後このような機能転換を図ろうとする施設を増やしていくためには、現在の施設入所インセンティブに基づく予算制度は改め、速やかに家庭移行インセンティブに基づく安定した制度を導入し法定化する必要がある。
新ビジョンが示しているのはフォスタリング機関事業の整備だけではない。ソーシャルワーク体制作り、社会的養護に関する第三者評価機関創設、子どものアドボケイト制度の創設、永続的解決(パーマネンシー保障)としての特別養子縁組の推進、里親制度改革、児童相談所・一時保護所改革、施設改革、自立支援などのビジョン・工程表を網羅的に示している。ひとつひとつ極めて重要なピースであり、どのピースも欠けることなく達成できるような予算とマンパワーを投入することが不可欠だ。それで初めて、ビジョンは幻ではなく現実に至るだろう。
日本の脱施設・家庭移行の動きは、多くの先進国から数十年遅れて今起きている。とすれば、十分な予算投入をしなかったためにおきた里親不調の頻発など、他の先進国のフォスターケアの発展における失敗から学び、これを避けることもできるはずだ。

最後に、市民ひとりひとりができること
ジョン・F・ケネディ米大統領が言った格言の1つが「国が何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何をできるかを問うてほしい」だ。
国・自治体が今回の新ビジョンのすべての施策を取ったとしても、子どもの「家族と暮らす権利」は、多くの善意の市民の参画なくしては成り立たない。市民ひとりひとりが、「里親」という生き方を社会貢献の選択肢のひとつとして考えてみる社会になるべきだ。子どもが人生を切り開いていく様を特等席で見られる「子育て」。そのやりがいは、他の何ものにも変えがたい充実感のはずだ。

 

早稲田「紺碧の空奨学金」 好条件も応募者わずか3人の理由〈AERA〉

AERA dot. 2017年8月26日

オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。
早稲田が児童養護施設出身者に奨学金を新設し話題となったが、好条件の奨学金制度にもかかわらず、応募者はわずか3人だったという。今後の課題を聞いた。

奨学金が社会問題となり、大学独自の給付型奨学金を創設する動きが広まっている。早稲田大学は2016年、児童養護施設入所者または出身者を対象とした「紺碧の空奨学金」を新設し、話題になった。
早稲田の入学試験に合格し採用されれば、入学検定料、入学金、授業料や実験実習料などが全額免除となり、さらには最大月額9万円が在学中の4年間支給される。その狙いを齊藤泰治学生部長は、
「経済的理由で大学への進学を断念する子どもたちのなかにも、本当は勉強したい若者がいる。社会全体で育てていく必要があり、大学もその一端を担う必要がある」
ただ、初年度の応募はわずか3件。問い合わせも10件程度にとどまった。実際に入学試験を受けるに至った者はおらず、採用者は出なかった。岡崎成光奨学課長は「大学も学ぶことが多かった」と振り返る。養護施設に広報して回るも「早稲田を受験できるような学力のある子どもはいない」。ある地方の施設では「宇宙に行くくらい難しい」と言われたこともあった。
また、想定外だったのは、問い合わせは養護施設ではなく、里親やファミリーホームの入所者、関係者からが多かったことだという。岡崎奨学課長はこう話す。
「3件の応募のうち1件は里親親子で対象にならず、応募から書類申請に進んだのは2人。今年は対象を広げ、里親家庭の里子やファミリーホーム入所者なども応募できるように制度を変えました」
初年度は想定より応募は少なく、採用者も出なかったが、それでも対象となる子どもがいることが分かったのは収穫だったという。
「書類申請を通過した2人ともが結局は受験をしなかったが、1人は地方の国立大学に進学したと聞く。新しい奨学金制度で、早稲田を目指せる子どもはいる。そんな彼らが入学して早稲田で学び、その姿を見てまた応募者が増えれば嬉しい」(岡崎奨学課長)
まだまだ制度の周知が必要で、職員自らが施設等に出向き、広報活動を続けている。(編集部・澤田晃宏)

 

【性犯罪刑法・2020年までに】性虐待を見つける眼差しを育てる「リフカー研修」

小川たまか ライター/プレスラボ取締役 2017年8月25日

附帯決議のついた改正刑法 さらなる改正の目標は3年後
7月13日、性犯罪に関する改正刑法が施行された。110年ぶりに大幅改正されたこの刑法。非親告罪化したことや、これまで強制わいせつで裁かれていた口腔性交・肛門性交の強要が今後は膣性交の強要と同等に扱われることなどには一定の評価がなされている一方で、内容の不十分さも指摘されている。
今回の改正には附帯決議がついた。この中で訴えられている「暴行・脅迫要件」の是非などについて、3年後を目標に、すでに活動を始めている当事者/支援者団体もある。附帯決議についての検討が2020年を目途にスタートするためだ。
この刑法改正に至る当事者や支援団体の活動を取材する中で、ある国会議員が口にした言葉が印象に残っている。「法は世につれ、世は法につれ」。「歌は世につれ、世は歌につれ」をもじった言葉で、法は世の中の流れによって変わるし、また世の中も法によって変わるという意味を込めたという。法が変わることで世の意識は変わるが、一方で世の意識が変わらなければ法改正にもつながらない。3年後までにさらに世の中の理解を深めることが必要となってくるだろう。
可視化されづらい性暴力の問題を世に投げかけるために必要なこと。そのキーワードのひとつは「暗数」だ。もちろん日本に限った話ではないが、性暴力に暗数はつきものだ。犯罪白書によれば、「性的事件」の被害申告率は18.5%(平成24年調査・過去5年間の申告率)。また、内閣府調査によれば、性交を強要された女性のうち、警察に相談した人はわずか4.3%である。この暗数をどれだけ減らしていけるかは、性暴力を社会全体で考えていくための一つの大きな課題だと感じる。

「日本を変える威力がある」リフカー研修とは
性暴力の中でも子どもへの性虐待は特に発覚しづらい。被害者自身が自覚するまでに時間がかかることも多く、加害者からの口止めが行われることもある。また、子どもが大人に被害を訴えても信じてもらえなかったり、「恥ずかしいことだから人には言うな」と被害を伏せられたりすることも、発覚しづらい理由だ。
日本は子どもへの性虐待が少ないと思われがちだ。しかしたとえば、『子どもへの性的虐待』(森田ゆり)内では、「子どもと家族の心と健康 調査報告書」(日本性科学情報センター/1999年)では、13歳未満の女子の15.6%、男子の5.7%、18歳未満の場合は、女子=39.4%、男子=10%が性的被害を受けているという調査結果を引用している。「性的虐待はたいへん頻繁に起きている。しかし表面化することはまれである」(同書)。私自身取材を続けて感じるのは、性暴力は決してレアケースではなく、むしろ身近な犯罪ということだ。
子どもへの性虐待をどのように発見していくか。発見するための「目」をどれだけ増やすか。ここに着目した取り組みが、RIFCR(TM)研修(以下、リフカー研修)だ。医師であり、認定NPO法人チャイルドファーストジャパン理事長を務める山田不二子氏は言う。
「日本を変える威力はあるだろうと思いますよ。リフカー研修を子どもと接する人たち全員が受けるようになれば、極めて多くの子ども(被虐待児)が見つかってくる」
RIFCR(TM)とは、性虐待に限らず、虐待・ネグレクトや犯罪などの人権侵害を受けたことが疑われる子どもを発見した人がどのように子どもから話を聞き、通告するかをマニュアルにまとめたもの。アメリカのCornerHouseというNPOで開発され、日本では2011年から子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク(現・チャイルドファーストジャパン)が全国で研修を実施している。主な対象は、保育士、幼稚園や小中高校の教職員、医師、保健師、心理士、市町村職員、児童相談所職員など。

被虐待児の負担を避けるための聞き取り
研修テキストでは、性虐待が疑われる子どもの様子や、被虐待児を発見したときに、どのような聞き取りを行えば良いのかがまとめられ、受講者はテキストを参考にしながら講師から研修を受ける。
私も2016年にこの研修を受講した。研修やテキストの具体的な内容については、公開が認められていない。扱う内容が非常にデリケートであり、誤って伝わる危険性を考慮してのことだ。
CornerHouseがRIFCR(TM)を開発したきっかけについて山田氏は言う。
「虐待を受けた子どもが身近にいるのにそれを見逃してしまうことがある。もしくは、子どもが開示(虐待を打ち明けること)をしたときに、被害を聞きすぎて、その後の児童相談所の調査・警察の捜査に支障をきたすこともあります」
初期対応では最低限の聞き取りしか行わないのが原則だ。これは聞き取る側の言葉によって記憶に事実と異なることが混入したり、開示の内容に変更が起こってしまうこと、また繰り返し被害内容を聞き取ることによる負担を減らすため。しかし日本ではこういった知識が共有されておらず、大人・子どもに限らず、性的被害について繰り返し長時間の聞き取りが行われることがある。
2014年にリフカー研修を受講した、納田さおり西東京市議会議員は言う。
「日本の社会では、多くの子どもたちが性的虐待を受けている現実について共通認識として浸透しているとは言い難い状況にあるため、性的虐待を受けた子どもに直面したときの多くの大人の反応は『まさかそんなことがあり得ない』という疑いに陥りやすいと言えます。疑いを持った大人の聞き取りには誘導的要素が混入しやすく、子どもは混乱し発言を混濁してしまうことは容易に想像できます。
実際、性的虐待より社会に浸透しているいじめや体罰についての子どもへの聞き取りの場面において、最初は親に率直に打ち明けた内容でも、疑いを前提としながら教師が聞き取りをすると証言やニュアンスを変えてしまうケースが見受けられます。まして、性的被害を受けた子どもは恥ずかしさや怖さ、辛さなどの気持ちが混沌としている状況にあり、何人もの大人に聞き取りをされることで、さらにこの混沌が加速して証言の一貫性に欠けることもあるでしょう。
リフカー研修は子どもの性的虐待は『あり得るもの、存在するもの』という大前提に立ち、まずは子どもの異変の気付きから始まり、子どもの目線に立って丁寧に話を聞く被害者中心主義の面接手法のため、子どもの心の揺らぎを察知し、その発言を安定したものに導くことが出来ます。理想としては認知症サポーターと同じように社会に広く周知され、普及することが望ましいと考えています」

必須化には遠い? 問題把握の道は
これまでにチャイルドファーストジャパンを通じてリフカー研修を受けたのは約2000人。子どもと関わる現場の公務員などについては必修化が必要ではないかと感じるが、現在のところ、その目途は立っていないという。山田氏は「必修化しないといけないけれど、なるかどうかはわからない」と話す。
「国がどこまでこの問題を重大と認識するかというところ。精力的なトップがいる都道府県なら条例とかでできるかもしれないけれど、本当の意味で必修化するためには国。法律が変わらないといけない。国がそこまでの意識を持っているかどうかは、どうなんでしょうね」
山田氏が訴えるのは、やはり「暗数」だ。
「被害を訴えた子だけが被害者だと思ってはいけないということです。被害者は暗数になっていて被害児たちがたくさんいる問題なんだと。そういう傾向の強い犯罪です」
平成27年度に児童相談所に寄せられた性的虐待の通報件数は1518件(速報値)。身体的虐待(2万8611件/27.7%)、ネグレクト(2万4438件/23.7%)、心理的虐待(4万8693件/47.2%)に比べると件数はかなり少なく、全体の1.5%。
しかし山田氏は、実親以外からの性虐待の場合、実親がそれを見過ごしたことによる「ネグレクト」にカウントされていると指摘。同居人や兄弟からの性虐待についても虐待別の統計が必要であることを訴える。
リフカー研修の受講証明書には「子どもを守るパズルの1ピースとして」という言葉がある。見過ごされている被害や、専門的対応の不足。カバーする一つの取り組みとして、リフカー研修の広がりを期待したい。