捨てられる子、4年間で58人 孤立したまま出産

朝日新聞デジタル 2017年9月3日

小さないのち みんなで守る
路上などに遺棄された子どもが2013~16年度の4年間に少なくとも58人いて、うち10人が死亡していたことが、都道府県などへの朝日新聞の取材でわかった。多くが生後間もない赤ちゃんで、遺棄した人物が判明したケースの7割は実母によるものだった。妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。
遺棄された子どもの保護などを担う児童相談所がある計69自治体(全都道府県と政令指定市、2中核市)にアンケートなどで今年5~8月に取材。「遺棄され、保護された時に親が分からない児童」という厚生労働省の「棄児(きじ)」(捨てられた子)の定義などに沿って、死亡した子どもも含め自治体が把握している人数や発見場所などを聞いた。
発見場所は、路上(9人)、役場や児童養護施設などの敷地(9人)、トイレ(4人)、公園(3人)など。親が育てられない子どもを匿名で預かる慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもも19人いた。
58人のうち、詳細がわかった44人の中では、41人が0歳児。亡くなった10人を含む34人は生後0カ月児だった。発見時、低体温症など健康状態に問題があった子どもも10人いた。保護後の居場所は、里親(13人)、特別養子縁組(7人)、乳児院(7人)など。
遺棄した人物を児相が把握できた25人のうち、実母による遺棄は18人。ほかは実父らによるものだった。一方、身元がわからない子どもが4割弱いた。
関東のある自治体では15年冬、へその緒がついた全裸の赤ちゃんが道路端に置かれていた。低体温症になっていたが、回復し、現在は里親が育てているという。20代の母親が保護責任者遺棄致傷容疑で逮捕された。
各自治体に背景や要因を聞くと、「望まない妊娠」や「経済的に育てられない」「未婚・非婚」「家族や親族からの孤立」などを挙げるところが目立った。必要な施策としては、予期せぬ妊娠をした場合の相談支援の充実のほか、里親制度や特別養子縁組制度を推進し、それを周知することを挙げた自治体が多かった。
厚生労働省は、保護時に親が判明していた子どもを「置き去り児童」として「棄児」と区別している。今回の取材で置き去り児童についても聞いたところ、13~16年度で少なくとも計589人いた。
自治体によって置き去り児童のとらえ方に違いがあるが、一人親家庭などで夜間に子どもを家に残して親が仕事などに行くケースが目立った。車内に子どもを残して親が買い物に行ったり保育園に親が迎えに来なかったりした例もあった。少なくとも4人は、車内で熱中症になるなどして死亡していた。
赤ちゃんの遺棄は最近も相次いでいる。6月には、三重県四日市市の無職の少女(19)が生後間もない女児の遺体を自室のクローゼットに遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された。7月には神奈川県平塚市で、高校2年の男女が赤ちゃんの遺体を埋めたとして、死体遺棄容疑で逮捕された。
児相職員の研修を担う子どもの虹情報研修センター(横浜市)の川崎二三彦センター長は、実母による遺棄が多い背景について「相手の男性が何もしてくれず、親にも妊娠を打ち明けられないなど、家族関係の問題がある。実母が妊娠を隠さなくても済む社会にしていく必要がある」と話す。(長富由希子)

予期せぬ妊娠などで、生みの親が育てられない赤ちゃんが、生後間もなく命を落としてしまう悲劇が後を絶ちません。厳しい境遇のもとで生まれた赤ちゃんを社会で迎え、健やかに育てていく環境が十分に整っているとは言えません。すべての赤ちゃんの命を守り育てていくため、妊婦や生みの親、育ての親への支援を含めて何ができるのか。考えていきます。

サウジ戦を前に本田圭佑が「棄児」を憂う。ツイッターで再び社会問題に切り込む

SOCCER DIGEST Web 2017年9月3日

コメントに対して本田からの返信も。
9月5日に敵地・ジッダでサウジアラビアとのワールドカップ・アジア最終予選の最終戦を迎える日本代表。現地で調整を続けるチームだが、本田圭佑(パチューカ)が9月3日、自身のツイッターを更新し、社会問題に切り込んでみせた。
本田が取り上げたのは、同日早朝にアップされた『朝日新聞デジタル』の「捨てられる子、4年間で58人 孤立したまま出産」という記事について。親が生まれたばかりの子どもを育てられず、路上や公園、児童相談所の敷地へ遺棄する、いわゆる「棄児」の問題を憂う本田はツイッター上で、次のようにコメントしている。
「最悪。
母親も父親も周りの家族にも全員に責任があるし、何よりも母親は後悔してるはず。
これ、勇気出して子供を引き取りにいったら母親って捕まるんかな?それやったら根本的な問題が解決しないし、意味がないよね。」(原文ママ)
この本田のツイートには多くの共感コメントが寄せられている。なかには幼少期に親に捨てられたものの、探し出して再び親と連絡を取るようになったという方からのコメントもあったが、これに対して本田も「それはよかった。唯一の家族ですからね」と返信している。
本田はこれまで、ツイッターを通して受動喫煙問題や難民問題など、国内外の社会問題に関してたびたび意見を述べてきた。今回も選手としての知名度を生かすとともに、サッカー界の枠にとどまらない広い視野で、より多くの人々に社会の現実問題に目を向けさせている。

松本人志、体罰めぐる論調に疑問「納得いかない」

日刊スポーツ 2017年9月3日

ダウンタウンの松本人志(53)が、体罰をめぐる論調に疑問を投げかけた。
23日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」は、ジャズトランペット奏者の日野皓正氏が指導する男子中学生に対しビンタ制裁したことで賛否を呼んでいる騒動を取り上げ、松本は「この中学生の彼が叩かれたことを『クソッ』と思ったとしたら指導として間違えてたんじゃないですか。でも本当に反省したのであれば指導として正しかったんじゃないかと思う。結局、中学生の心の中が答えだと思う」と持論を展開した。
また松本は「我々くらいの世代はすごく体罰を受けたけど、今の時代じゃ『そんなのありえへん』ってみんな言うじゃないですか。でもなぜ今はありえないのか、誰も明確な理由を教えてくれない。なぜ今はだめで、昔は良かったんですか? 明確な理由がわからない」と疑問を呈し、「体罰を受けて育った僕らは、べつに今、変な大人になってないじゃないですか。屈折してたり。なんなら普通の若者よりも常識がある。にも関わらず体罰を受けて育った僕らは失敗作みたいなことを言われてるような気がして、どうも納得がいかない」とした。
元内閣総理大臣の故・宮澤喜一さんの孫でタレントの宮澤エマは、「体罰が問題なのは、必ずしも効果的に行われるという確証はない。だから先生に体罰をしていいですよっていう権利を与えてしまった瞬間に、その権力を持って暴走するかわからない。だからギリギリのところまでこのオプションを選ばないっていうふうに持っていかなければいけない」とコメントした。
また、番組放送中に尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏が「本当の親子関係でも、体罰はダメ」のタイトルでブログを更新。「昔は、いざ知らず現代では親がわが子殴るのはダメですよ 夫婦の間のDVを我が子に見せるのさえ『心理的虐待』にカウントされ、警察から児童相談所に通告されます 『子どもの人権』大人と同じですよーー」とつづり、「大人と子どもの関係性を如何にとらえるか?難しいテーマです みなさんとじっくり考えたいですね」と呼びかけた。

「一般社団法人」の新設法人数が8年連続で増加

東京商工リサーチ 2017年9月3日

2016年「一般社団法人」の新設法人調査
2016年(1-12月)に設立された法人12万7829社(以下、新設法人)のうち、「一般社団法人」は5996社で、2008年の調査開始以来、8年連続で過去最多を更新した。
2008年12月1日、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された。それまで「社団法人」は公益性が必要だったが、施行後の「一般社団法人」は公益性の有無にかかわらず、「一般社団法人」の法人格を取得できるようになった。また、事業の種類に制限はなく、設立に行政庁の許可も必要ない。任意団体や社会貢献を目的にした事業、同業者団体も「一般社団法人」として設立できる。
一方、「一般財団法人」は設立時に300万円以上の拠出が必要で、2016年の新設法人数は321社(構成比0.2%)にとどまり、「一般社団法人」と好対照になっている。
まだ、「一般社団法人」は公益性のイメージ先行しているが、利益を追求することに問題はなく、大まかには利益(剰余金)の分配(配当)をできない点が「株式会社」と異なる。
「一般社団法人」は、公益性が設立要件として不要で手続きが容易になった。敷居が低くなり、法人格を持たない任意団体が信用を高めるために法人格を取得することも可能で、多くのメリットを持つだけに、今後の推移が注目される。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象327万社)から、「一般社団法人」として2016年(1-12月)に新しく設立された法人データを抽出、分析した。

構成比は年々上昇
2016年の全国の新設法人のうち、「一般社団法人」は5996社で、前年より8.0%(444社)増加した。増加率は下落をたどるが、2016年は「合同会社」の増加率7.8%増を0.2ポイント上回り、主な法人格別で増加率トップとなった。新設法人に占める構成比も、4.7%に上昇した。

産業別 10産業のうち8産業が増加
産業別では、金融・保険業と運輸業を除く8産業で増加した。増加率では、農・林・漁・鉱業が前年比86.4%増でトップ。2016年の農・林・漁・鉱業の新設法人41社のうち、7割を占める29社(構成比70.7%)が農業関連で、一部は農業と福祉を連携した「一般社団法人」もみられた。次いで、小売業が33.3%増、製造業の27.3%増の順。
構成比では、社会貢献事業などを含むサービス業他が78.1%と圧倒的だった。次いで、情報通信業の7.5%、金融・保険業の5.9%、不動産業の4.2%と続く。

業種別 医療・福祉事業が続伸
業種別では、社会貢献や業界団体などを含む「他のサービス業」が2186社(構成比36.4%)で最も多かった。次いで、「学術研究,専門・技術サービス業」の1364社(同22.7%)。上位2業種で約6割を占め、3位に医療・福祉事業が入るなど、「一般社団法人」となり公益性を求められなくても、他の法人格とは一線を画す業種が活用していることがわかる。
設立数200社以上で、増加率トップは医療,福祉事業の増加率17.0%増だった。2015年も同36.0%増と高い増加率を示しており、医療・福祉分野の市場拡大を裏付けた格好となった。

都道府県別 新設法人数は東京が最多
都道府県別では、東京都の2189社(前年比1.9%増、構成比36.5%)が最多。次いで、大阪府が528社(同6.9%増、同8.8%)、神奈川県が299社(同5.3%増、同4.9%)と続く。
増加率では、有料老人ホームや保育園、福祉サービスの運営を目的する新設法人が多かった宮崎県が100.0%増でトップだった。次いで、佐賀県68.2%増、福井県63.2%増、鳥取県60.0%増、徳島県56.5%増、愛媛県50.0%増の順。
減少率では、高知県が40.0%減でワースト。続いて、青森県33.3%減、岩手県28.6%減、島根県21.1%減、和歌山県20.6%減の順だった。

2008年12月、公益法人の制度改革として、「社団法人」は「一般社団法人」へ変更された。「社団法人」に必要だった公益性、主務官庁の許可がなくなり、これまで法人格を持たなかった業界団体や社会貢献組織なども「一般社団法人」の法人格取得が可能で、活動の幅を広げやすくなった。
「一般社団法人」は、利益剰余金の配当に制限はあるが、事業内容は自由で利益計上も問題ない。「一般社団法人」を大別すると、「非営利型」と「普通型」に区分され、「非営利型」は公益外の収益事業のみ課税される。「普通型」は「株式会社」などと同様にすべて課税される。
また、公益目的に事業を行う「一般社団法人」は行政庁の認定で「公益社団法人」の法人格を得ることも可能になった。
だが、過去の社団法人のイメージが強く、「一般社団法人」は公益性が条件で、行政庁の許可を必要と認識する人も少なくない。そのため「公益性」のイメージを悪用し、「一般社団法人」の法人格を乱用する事態も起きている。例えば、2017年3月に児童福祉法違反容疑で元代表理事が逮捕された「一般社団法人赤ちゃんの未来を救う会」は、営利目的で養子縁組を斡旋したとして摘発された。
「一般社団法人」の法人格の要件が下がり、2016年の新設法人に占める割合は約5%に上昇した。今後も「一般社団法人」は増加が見込まれるが、同時に「一般社団法人」を隠れ蓑にした不正行為を防止するチェック機能も求められている。