養子縁組、同意した後に取り消し 振り回される子ども

朝日新聞デジタル 2017年9月8日

特別養子縁組が成立するまで

小さないのち みんなで守る
実父母が育てられない子どもを、子どもが欲しい別の夫婦が迎え、戸籍上の実の親子になる特別養子縁組は原則、実父母の同意のもとに行われる。だが、縁組成立前に実父母の気持ちが変わるなどして、子どもが育つ環境に影響することがある。
朝日新聞が、児童相談所のある全国69自治体にアンケートしたところ、実父母が同意後、翻すなどして縁組を取り消したケースが2014~16年度に計20件あった。民間の仲介団体への取材でも、同意の取り消しは複数あった。
親と連絡が取れないケースは縁組はさらに難しくなる。「行方不明で意思が確認できない場合、どこまで待てば良いのかわからない」(沖縄県)との声も。民法では、実父母が意思表示できない場合などは、同意がなくても縁組は可能としているが、「具体的な要件や進め方が示されていない」(佐賀県)との意見もあった。
また、養育はできないものの、縁組には同意しないという実父母もいる。そうした子どもたちは、施設以外の場で育てられる機会を失いがちだ。アンケートでは「親権が優先されるため、子どもの幸せにつなげることができない」との意見も寄せられた。
海外の養子制度に詳しい中央大学の鈴木博人教授(家族法)によると、欧州では養子となる子の利益を図る「欧州養子協定」に基づいて制度を整備。そのなかで同意については、出産前後に親の気持ちが揺れることを考慮し、出産後の一定期間は縁組の同意を取らない代わりに、いったん同意すれば撤回できない仕組みなどがあり、子どもの養育環境が何度も変わることを防いでいるという。
鈴木教授は「日本では、家裁の審判が確定するまでは親はいつでも同意を撤回できる特殊な作りになっている」と指摘する。(山本奈朱香)

 

虐待情報協定、24都道府県に 警察と共有、昨春から続々

産経新聞 2017年9月6日

急増する児童虐待に対応するため、警察と自治体との間で情報を共有する協定の締結が、計24都道府県に上ったことが5日、分かった。虐待事件をきっかけに昨春以降では18都道府県が続々と締結(見直し含む)、他に少なくとも5県で締結準備が進んでいる。
警察と自治体との連携強化は昨年1月、埼玉県狭山市で3歳女児が虐待死した事件がきっかけだ。この事件では、市の職員が女児の自宅を訪問したが警察に通報せず、一方で近隣からの通報で警察官が自宅に駆け付けたが児童相談所(児相)に通告しないなど、連携不足が顕在化した。厚生労働省によると、警察に相談内容を知られてしまうことで保護者が児相への相談を控えたり、児相の事務が増えたりするため、情報共有が進まなかったという。
警察庁は同年4月、全国の警察に自治体との情報共有を徹底するよう指示。情報共有を協定に明文化することで、虐待を早期に発見し子供の安全確保を目指した。特に児童福祉司は1人当たり平均100件以上の案件を抱えており、児相がつかんだ情報を警察に提供し、被害の拡大を防止することも目的となる。

 

社会的養護が必要な子、4万5千人 施設養育が8割超

朝日新聞デジタル 2017年9月5日

社会的養護が必要な子どもたちはどこに

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厚生労働省によると、実父母のもとで暮らすことができず、社会的養護が必要な18歳未満の子どもは2016年3月末で全国に約4万5千人いる。そうした子どもたちは、乳児院や児童養護施設などの施設や、里親家庭などで育てられる。日本は施設養育が8割を超え、欧米などに比べて「施設偏重」と指摘されている。
家庭養育には主に、「里親」に育てられるケースと、「特別養子縁組」を結んだ養親に育てられるケースがある。里親は、子どもが自立するか、実父母と暮らせるようになるまでの一定期間育てるもので、親権は実父母が持ったままだ。
特別養子縁組は、養親と養子が戸籍上の親子となり、実父母は親権を失う。里親に比べ、特定の大人と安定した愛着関係を結びやすいとされるが、縁組後に児童相談所の支援が届きにくい課題もある。
国は昨年、児童福祉法を改正。家庭養育を増やすため、里親や養子縁組への支援を児童相談所の業務に位置づけた。

 

横浜市北部児童相談所で食物アレルギー誤食

カナロコ by 神奈川新聞 2017年9月6日

横浜市は5日までに、市北部児童相談所(都筑区)一時保護所で、食物アレルギーがある小学生男児に誤食させるミスがあったと発表した。
同児相によると、2日午後3時半ごろ、卵アレルギーがある男児に、誤って卵を含むチョコレート菓子を提供。男児が食べている途中で、菓子パッケージの成分表示を見た保育士が気付き中断させた。男児の健康状態に変化はないという。
一時保護所職員が、男児のおやつを用意する際の書類に誤って卵入りの菓子の商品名を記載したことなどが原因。今後は複数人でアレルギー成分の確認に当たるという。