コミュニティサイトの子ども被害、H29上半期は過去最多919人

リセマム 2017年10月20日

コミュニティサイトおよび出会い系サイトに起因する事犯の被害児童数の推移
 コミュニティサイトを通じて事犯の被害に遭った18歳未満の子どもは、平成29年上半期に919人と過去最多となったことが、警察庁が10月19日に発表した資料により明らかになった。被害者の9割以上がフィルタリングを利用していなかったという。

罪種別の被害児童数の推移(コミュニティサイト)
 警察庁は、平成29年1月~6月におけるコミュニティサイトなどに起因する事犯の現状と対策についてまとめた資料を公表した。
 コミュニティサイトを通じて事犯の被害に遭った18歳未満の子どもは、平成20年より増加傾向が続いており、平成29年上半期に919人と過去最多となった。
 一方、出会い系サイトを通じて事犯の被害に遭った18歳未満の子どもは13人と過去最少だった。平成20年の出会い系サイト規制法の改正以降、減少傾向にあり、事業者による年齢確認、書き込み内容の確認強化などによりさらに減少している。
 コミュニティサイトに起因する事犯を罪種別にみると、「青少年保護育成条例違反」38.1%、「児童ポルノ」31.4%、「児童買春」26.4%、「重要犯罪」2.7%、「児童福祉法違反」1.3%の順に多い。児童買春と児童ポルノの被害児童数は増加傾向にある。
 被害者919人を年齢別にみると、「16歳」25.1%、「15歳」21.9%、「17歳」21.7%、「14歳」16.1%、「13歳」10.4%、「12歳」3.9%、「11歳以下」0.9%の順に多い。14歳以上の被害者が多く、特に16歳と17歳は増加傾向にある。
 フィルタリングの利用の有無が判明した被害者のうち91.0%が被害当時にフィルタリングを利用していなかった。フィルタリングを利用しなかった理由について「子どもを信用している」「子どもに反対された」などと回答した保護者が多かった。
《リセマム 工藤めぐみ》

 

過去最高ペースの児童虐待に防止を呼びかけ

関西テレビ 2017年10月21日
 
 虐待を受けたと疑われる子どもの数が全国で最も多い大阪で子どもを持つ母親らによる虐待防止を訴えるイベントが開かれました。
 大阪市北区で行われたイベントには子どもを持つ母親20人が参加しました。
 大阪府警が虐待の疑いがあるとした子どもの数は、去年まで3年連続全国最多となっていて、ことしは9月までで7121人と前年を上回るペースです。
 イベントでは3人の子を持つお笑い芸人のくわばたりえさんも登場し、子育ての大変さについて話し、1人で悩まずに誰かに相談してほしいと訴えました。
【くわばたりえさん】
 「100点のママになろうと思わないでください。誰かに助けを求めて恥ずかしいことじゃないと思うんですよ」
 警察は「近所で少しでも虐待の疑いがあれば、児童相談所などに連絡してほしい」としています。

 

職場で「妊活宣言」、晩婚・晩産化で広がるニーズ

大手小町(OTEKOMACHI) 2017年10月22日

仕事と不妊治療の両立難しい
 「もうすぐ妊活に入るから」
 IT教育やソフトウェア開発の「スピードリンクジャパン」(東京)で働く太田可奈さん(35)は、職場でこう宣言している。
 妊活とは、妊娠の知識を身につけたり妊娠しやすいように体調を整えたりすること。忙しい職場にあって、太田さんの宣言は先手を打った環境作りだ。
 結婚は7年前。仕事は楽しく、気づけば30代半ばになっていた。「自分が抜けたら迷惑をかけると思うこともあるが、年齢的に少し焦りがある。そろそろ後輩に仕事を任せ、子どもをつくることに集中したい」と明かす。
 厚生労働省の人口動態統計によると、第1子出産の平均年齢は1985年には26・7歳だったが、2016年には30・7歳まで上昇した。晩婚・晩産化の進行は、妊活への意識を高めている。
 同時に、不妊への不安を抱く人も増えているようだ。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2015年)によると、不妊を心配したことのある夫婦の割合は35%を占める。このうち実際に検査や治療を受けた割合は20代の12%、30代、40代のそれぞれ19%。妻が30代で子どものいない夫婦に限ると33%に上る。
 出産医療に詳しいジャーナリストの河合蘭さんは「キャリアの妨げになるのではという懸念から子どもを持つことを先送りして、気付いたら妊娠しづらい年齢になっていたという人は多い」と指摘する。不妊治療をする人も増えている。
 不妊に悩む人を支援するNPO法人「Fine」(東京)が今年3~8月、5000人余りの男女を対象としたアンケートでは、96%が「仕事と不妊治療の両立が難しい」と答えた。不妊治療は体調などに合わせて急な通院が必要になることがあるが、上司や同僚には言いづらい。言っても理解されなかったという声もあった。

不妊の心配はどの年代にも
支援・休職制度の導入企業は少数
 「Fine」理事長の松本亜樹子さんは「不妊治療にどの程度の通院が必要かといった情報は、ほとんど知られていない」と話す。
 こうした中、まだ数は少ないが、出産支援に取り組む企業も出てきた。
 富士ゼロックス(東京)は2012年に不妊治療を想定した「出生支援休職制度」を導入した。会社に申請すれば最長1年間休むことができる。これまでに男女約20人が利用した。
 制度を利用して出産した40代の女性社員は、休職前を振り返って「治療に専念する余裕がなかった」と話す。フレックス勤務を活用して病院へ駆けつけるなどしていたが、仕事の予定を組みにくく、ぎりぎりのやり繰りが続いた。
 制度の利用を決断したのは、「最後の1年間というつもりで、思い残すことがないように治療に専念したい」と考えたから。以前は時間的な問題から通院をあきらめていた病院に転院した。リラックスして過ごしていたところ妊娠し、出産した。職場復帰を果たした今、「仕事を辞めずに治療に集中できたことが非常に大きかった。こうした制度がもっと広がってくれれば」と話す。
 「Fine」の松本さんは、「支援制度と同時に大事なのは職場の理解。制度があっても活用しにくければ意味がない。不妊治療に限らず、がん治療や介護など、様々な事情を抱えている人にとって働きやすい雰囲気作りが大切だ」と話している。