負担増に備え、賢くやり繰り

読売新聞 2014年1月6日

 2014年、各家庭の「家計」はどうなるだろうか。4月の消費増税を筆頭に負担増を強いる税制や制度の変更が並ぶが、それらを和らげる変更もある。まずは中身を把握し、賢い家計のやり繰りを目指そう。
消費増税の影響
 消費税は、5%の税率が8%になる。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の小林真一郎さんは、2人以上の世帯で消費増税が及ぼす影響を試算した。
 年収200万円未満の世帯で、消費増税によって支出は年4万円増える。500万円台で年8・5万円、800万円台で年10・8万円などと、収入が多いほど支出額も大きくなる。
 だが、総じて年収が低い層ほど、収入に占める消費の割合が高く、消費増税の影響が大きいとされる。いわゆる「逆進性」の問題だ。
低所得者には配慮
 低所得者への影響を和らげる策も講じられている。
 一つは「臨時福祉給付金(仮称)」だ。住民税が非課税となる低所得者層に対し、1回限りで1人1万円を配る。年金受給者にはさらに5000円を加算。公的年金が4月に1%減額される点にも配慮した。
 子育て世帯にも、「臨時特例給付金」として給付金を配る。子ども1人当たり月1万~1万5000円の児童手当を受け取っている世帯を対象に、1回限りで1万円を支給する。
 また、年収250万円未満程度の低所得世帯の高校生を対象とした給付金を新設。高校生1人当たり国公立で年3万7400円、私立で3万8000円を支給する。4月の新1年生から適用する。
住まい・自動車は
 消費増税前に買い替えをと、年末年始は高価格帯の家電を買い求める客でにぎわった。
 消費刺激策も用意した。
 住宅ローン減税は拡充される。年末の住宅ローン残高の1%を最長10年間、所得税などから差し引ける制度で、現行は年20万円、10年間で計200万円が上限だが、年40万円、10年間で計400万円に増える。
 また「すまい給付金」を新設。年収510万円以下の人が対象で、年収に応じて最大30万円が受け取れる。
 自動車についても、購入時にかかる自動車取得税の税率を引き下げる。4月以降の購入で、普通車は現行5%が3%に、軽自動車は3%が2%になる。また、エコカー減税も拡充する。
その他
 だが、消費増税以外にも負担増となるものがある。
 70~74歳の医療費の窓口負担は、現行の1割から2割に引き上げられる。4月以降に70歳になる人が対象だ。
 高校授業料の無償化は、4月の新1年生から所得制限が導入され、年収910万円以上の世帯は対象外となる。
 地球温暖化対策税(環境税)も、4月に税率引き上げ。ガソリン代や電気料金などにそのまま転嫁されれば、平均的な世帯で月30円程度の負担増となる。
 高速道路料金の割引制度も縮小される。普通車以下で、大都市部の土日祝日(午前6時~午後10時)の3割引きが4月から廃止、地方の土日祝日(終日)5割引きが7月から3割引きなどとなる。
 さらに、6月には個人住民税が年1000円増税される。増税は10年間続く。
保険、ローン見直そう
資産運用も効果
 消費増税に代表される負担増にどう対処すべきか。家計の見直し相談を手がける「BYSプランニング」(大阪市)のファイナンシャルプランナー、釜口博さんは「取るべき対策は三つある」と話す。
 一つ目は「支出の見直し」。無駄な支出を減らすことだ。日々の買い物で安売りを狙うのも大事だが、釜口さんが勧めるのは、生命保険の保障の見直しや住宅ローンの借り換えなどだ。「毎月の出費に占める割合が大きい項目なので、一度見直すだけで支出をぐっと減らせ、その後もずっと効果が継続する」という。
 二つ目は「収入を増やす」。妻が専業主婦であればパートに出る、あるいはパートの勤務時間を増やすといったことが考えられる。資格取得などのスキルアップに励んだり、人脈作りに力を入れたりするのもよい。
 三つ目は「お金に働いてもらう」。手持ち資産の有利な運用先を探すことだ。ネット専業銀行など、比較的高金利の預金ができる金融機関に預けるのが代表例。
 また、元本割れリスクはあるが、1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、預貯金よりも資産を増やせることもある。
 対策の前提として、「毎月の収入と支出、金融資産の残高を確認して」と釜口さん。まずは現状把握から始めよう。(田渕英治)

1円玉、4年ぶり製造へ 財務省が来年4月の消費増税に備え

SankeiBiz 2013年12月24日

 財務省は24日、一般流通向けの1円硬貨を4年ぶりに製造すると発表した。今年度は当初製造しない予定だったが、来年4月に消費税率が8%に引き上げられるため、税率5%時よりも1円硬貨の需要があると判断した。3月末までに2600万枚を製造する。
 1円硬貨は、電子マネーなどの普及によって、需要が低迷。また、製造コストも高いことから、平成22年度以降は、コレクター向けの硬貨セット用だけを生産し、一般流通用は作ってこなかった。現在、5円硬貨、50円硬貨も製造していないが、現時点では製造再開の必要はないとしている。
 消費税をめぐっては、導入された平成元年に1円硬貨が不足し、流通現場で混乱が起きたこともあり、今回、事前に製造再開を決めた。