家庭の食品、施設に寄付

読売新聞 2014年1月27日

カーブスジャパン、缶詰など提供求める
 缶詰やレトルト食品など家庭にある食料品を持ち寄り、地域の福祉施設などに寄付する活動が全国で行われている。
 女性専用のフィットネスチェーンを展開する「カーブスジャパン」(東京)が行っている。全国に約1400ある店舗を窓口に、乾麺や調味料、米、飲料(酒は除く)など、常温保存できる未開封の食料品の提供を受け付ける。賞味期限は2014年5月1日以降のものに限る。安全確保のため、郵送や宅配は受け付けず、店舗に直接持ち込まれたものだけを対象とする。
 寄せられた食料品は、地域にある児童養護施設や母子生活支援施設などに届ける。余剰の食料品を生活困窮者らに配布する活動は「フードドライブ」と呼ばれ、アメリカで広がった。同社では、社会貢献の一環として07年から毎年この活動を続けている。昨年は1か月の期間中、約10万5000人が参加し、127トンが集まり、全国460の施設などに寄付した。
 2月15日まで受け付ける。問い合わせは、同社(0120・441・029)へ。

法務省:「嫡出子」記載を通達 性別変更の父、人工授精

毎日新聞 2014年01月27日

 法務省は27日、性同一性障害のため女性から男性に性別変更した夫とその妻が第三者との人工授精でもうけた子について、嫡出子として戸籍に記載するよう全国の法務局に通達した。夫に生殖能力がなくても法律上の父子関係を認めた昨年12月の最高裁決定を踏まえた措置。
 通達は、出生届が出された際、従来は空白としてきた父欄に夫の氏名を記載するよう指示。既に父欄が空白になっているケース45件についても、夫婦に連絡した上で夫の氏名を記載し、訂正するよう求めた。
 夫婦が人工授精の子と普通養子縁組や特別養子縁組を結んでいる場合は、法務局が夫婦と面談して説明した上で父欄に夫の氏名を記載し、養子縁組を解除する訂正を行うよう指示した。
 戸籍を訂正した場合には、その跡が残らないよう最初から戸籍を作り直す「再製」を行うこともできるとした。【伊藤一郎】

社説:千葉・施設虐待死 県の無責任は許されぬ

毎日新聞 2014年01月27日

 千葉県立の障害者施設「袖ケ浦福祉センター養育園」で19歳の男性障害者が呼吸困難に陥り腹膜炎で死亡した。職員に腹を何度も蹴られ嘔吐(おうと)した末のことだった。施設職員の低賃金や非正規雇用が多いことが虐待の背景と指摘する専門家もいるが、この事件は違う。これまで何度も告発や改善を求める声が上がりながら、対応を怠ってきた県と施設幹部の無責任こそが事件の核心だ。
 千葉県警は暴行した職員らの捜査を進めているが、県の数回にわたる調査では10人以上の職員が多数の障害者に虐待を繰り返していたことが明らかになっている。
 同センターは1966年に県立施設として開設され、外郭団体の千葉県社会福祉事業団が運営してきた。事業団は複数の施設に500人以上の知的障害児者を抱えていた時もあった。事業団の理事長は歴代県OBが天下りし、10人以上の県職員が勤務していたという。県からは毎年20億円の管理委託費が投じられ県職員並みの給与水準を維持していた。
 2006年に県直営から指定管理者制に移行して規模を縮小し、職員の給与水準も引き下げた。だが、行動障害の重い人を受け入れることで8億円の委託費が維持され、職員の配置は民間施設の2?3倍も手厚い。理事長職の天下りも続いている。
 事業団の施設での虐待は度々問題にされてきた。02年には15人の職員の実名を挙げて「血だらけになるほど殴りつけた」「歯を折る、骨折させる、みんなで囲んでリンチまがいのことをする」などと詳しく記した内部告発が県に届いた。県の調査に複数の職員が告発を裏付ける証言をしたが、虐待の中心的職員は軽い処分で済まされ、その後は常務理事に昇進して現在も居座っている。
 02年以降、県の担当課が事業団改革を試みて一部施設の運営を別の民間施設に移管することや、民間から顧問を採用することを計画したが、そのたびに理事長や県幹部の反対で挫折した。最近は他施設とも疎遠になり鎖国状態だったという。
 全国の施設でも過去には体罰が横行していた。90年代に虐待が社会問題となり、各施設で職員の意識改革を図って権利擁護に取り組んできた。最近は障害者虐待防止法(12年施行)に伴い、各都道府県の主催で職員研修を重ねている。同事業団も改善の機会は何度もあった。それをつぶしてきたのは県なのである。
 現在、千葉県は第三者委員会を設置して検証している。事業団職員や幹部の責任が問われるのは当然だが、現場に責任を押しつけるだけではだめだ。OBを含む県の責任を明確にしなければ、事件の全容解明も抜本改革もできるはずがない。

食中毒で脳症、ステロイド治療が有効か 東大研究班など

アピタル(医療・健康) 2014年1月25日

 腸管出血性大腸菌による食中毒で引き起こされる脳症は、ステロイドを短期間に大量に注射する治療が有効である可能性が、東京大の水口雅教授(小児神経科学)の研究班などの調査でわかった。これまで有効な方法がなかった食中毒での脳症の治療法として期待される。米専門誌電子版に掲載された。
 研究班は、2011年に富山県や福井県などで発生した焼き肉店の集団食中毒事件で、腸管出血性大腸菌O(オー)111に感染し、脳症になった21人の症例を調べた。このうち、ステロイドによる治療を受けた12人のうち11人は回復したが、受けなかった患者9人のうち、5人が死亡した。
 最近の研究で、腸管出血性大腸菌による脳症患者の血液中に、炎症を引き起こす物質が増えていることがわかってきた。ステロイドは、この物質の過剰な働きを抑える効果がある。腸管出血性大腸菌に感染すると、腹痛や下痢になり、重症化すると脳症などを引き起こす。(土肥修一)