児相の対応を批判 県社会福祉審月内に検証報告書 [大分県]

西日本新聞 2014年02月08日

 県中央児童相談所が昨年、一時保護した女児が過去にわいせつ行為を受けていると情報提供を受けながら家庭に戻し再び被害を受けた問題で、県社会福祉審議会児童相談部会は6日、児相の対応を検証する会議を開いた。委員からは危機意識の欠如への指摘が相次ぎ、今月中に検証報告書をまとめることを決めた。
 部会は有識者や医師などの委員で構成し、この日は非公開で協議。県によると、児相は外部から二度、女児へのわいせつ行為の情報提供を受けながら、事実確認をせずに家庭に戻し、自宅訪問をしなかった。委員は「幼児への性犯罪行為の常習性を踏まえ、継続的なフォローが必要という危機意識を持つべきだった」「情報提供者に確認し、必要なら一時保護すべきだった」などと批判したという。検証報告書は再発防止に関する提言も含める。
 また、大分市萩原で1月、小学2年の男児=当時(7)=が自宅で殺害され、母親(40)が殺人の疑いで逮捕された事件も協議。児相など行政機関への相談がなかった背景などを検証し、半年後をめどに報告書をまとめることを決めた。

大泉餓死 母親に懲役7年 「育児放棄の延長線上」

東京新聞 2014年2月7日

 大泉町の自宅で当時三歳の次女ミオちゃんを餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われたフィリピン国籍の母親ワシザワ・マリレン・マルセロ被告(38)の裁判員裁判。懲役七年を言い渡した六日の前橋地裁判決は、「犯行は育児放棄の延長線上でなされた」と厳しく断じた。 (伊藤弘喜)
 公判では、当時十四歳の長女にミオちゃんの世話を任せてフィリピンに一時帰国した行為が「置き去りによる遺棄」に当たるかどうかをめぐり検察と弁護側が真っ向から対立。長女に保護を期待できたかどうかや、被告が適切な保護の手段を取っていたか、ミオちゃんが発育不良だったのかが争点となった。
 判決は、「ミオちゃんを自宅に残すことを知人に知らせなかった」と指摘。ミオちゃんは栄養不足から心身ともに発育不良で、中学校に通う長女にミオちゃんの世話は期待できなかったと認定し、親としての一定の責任を果たしたとして無罪を訴えた弁護側の主張を退けた。
 高山光明裁判長は「過去にも子どもを残して一年半帰国せず、子どもたちが児童福祉施設に保護された。子育てを安易に考える態度が高じた犯行」と断じた。ワシザワ被告は判決の読み上げが始まってから、タオルで涙をぬぐい続け、時折うつむいていた。
 裁判員の一人は閉廷後の記者会見で、ワシザワ被告が施設からミオちゃんを引き取った後の児童相談所の対応に触れ、「追跡調査をしてほしかった」と残念がった。児相や中学校などの対応を検証している県の子育て支援課は「関係機関に情報が十分に行き渡らなかった。二度と起こらないようにしたい」。
 事件をきっかけに、太田市内の教会に通うフィリピン人の女性有志が、子育てに困っている家庭を行政につなぐ支援を始めた。借金を抱えるシングルマザーのうわさを聞くと、訪ねて相談に乗っている。ただ、的確な情報を得るのは難しく、相手から連絡が途絶える場合もある。有志の一人は「支援は大変。私も疲れてしまった」とこぼした。

SOSキャッチ電話 児童虐待、性犯罪など深刻事案の判明も 兵庫

MSN産経ニュース 2014年2月7日

開設半年 相談289件
 県は、地域で犯罪や児童虐待などの異変を察知した場合に匿名で通報できる「ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談」の窓口((電)078・341・1324)を昨年7月1日に開設して以降、6カ月間の実施状況を発表した。相談件数は計289件で、このうち生命・身体にかかわるなど深刻で経過確認が必要な案件は55件だった。
 相談の内訳は、住環境53件▽人間関係・ハラスメント29件▽近隣トラブル23件▽親族問題18件▽高齢者問題24件▽消費生活16件▽交通問題14件-など。その他、非行やいじめ、児童虐待、性犯罪などの相談も寄せられた。
 相談者の61%が60歳以上で、地域別では神戸市と阪神間が65%を占めた。
 中には「深夜、マンションで子供の泣き声が聞こえる」との相談も。警察官が泣き声のする部屋を訪問し、「母子家庭で子供同士のけんかが絶えず、母親が子育てに行き詰まっている」という状況が判明。市の子育て支援担当窓口に相談するよう助言したという。
 同電話相談は「何かおかしいが、どこに通報していいか分からない」といった場合を想定。窓口で受けた通報や相談の内容によって県警、または県や市町の専門相談機関に連絡する。県と県警が構築しているネットワークを生かし、迅速な対応を目指す。
 月~金曜(祝日、年末年始除く)の午前9時~午後4時に受け付ける。

子ども虐待防止学会が緊急要望書 「明日ママ」問題

朝日新聞デジタル 2014年2月7日

 児童養護施設を舞台にした日本テレビ系のドラマ「明日、ママがいない」について、日本子ども虐待防止学会は7日、「子どもの福祉に反する内容が多く含まれている」などとして、子どもらへの一層の配慮を求める緊急要望書を日テレに送った。
 番組をめぐっては、全国児童養護施設協議会などが「施設の子どもへの偏見を生む」などと抗議。同局は「これまで以上に子どもたちに配慮する」とする文書をホームページで公表している。
 これに対して学会は「今後多少の変更はあったとしても、放映がトラウマとなり、フラッシュバックなどが起きる危険への対処がない」などと指摘。ドラマの前後で、設定が実際の施設とは異なることを子どもにもわかるよう説明することや、虐待などでトラウマを抱え心理的な反応が起きる恐れがある場合には、視聴を控えるよう呼びかけることなどを求めた。
 同局は「要望書の内容を検討させて頂きます」とコメントした。

四日市の乳児虐待に周囲気付かず 状況把握難しく

中日新聞 2014年2月7日

 生後八カ月の次男に暴行し、けがを負わせたとして傷害の疑いで四日市市札場町の食品販売員中河加純容疑者(21)が六日に逮捕された事件は、家庭訪問していた市職員も周囲も虐待の兆候に気付かず、育児に悩む母親をケアする難しさを浮き彫りにした。
 市は二〇一二年十二月二十日以降、亡くなる二週間前の一三年三月十四日までに計三回、保健師の資格を持つ女性職員が中河容疑者方を訪問していた。訪問はそれぞれ一時間ほどで、中河容疑者から育児の悩みを聞いたり、次男の様子を確認したりしていたが、虐待の疑いはなかったという。
 市担当者は「母親から育児の悩みをもっと引き出せていたら、何か兆候を見つけられたかもしれない」と悔やむ。市は訪問記録を見直し、対応が適切だったか検証する。
 中河容疑者の近所の男性(63)は「亡くなる前、赤ちゃんが特別、大きな声で泣いていたという覚えもない」と振り返る。子どもがいる二十代の女性は「上の子を抱いているのを見かけたことはあるが、下の子がいたことは、亡くなったときに救急車が来て初めて知った。近所の若いお母さんの輪にも入っておらず、育児の悩みがあったのかもしれない」と話した。
 八〇〇グラムで生まれた次男は、生後すぐ新生児集中治療室(NICU)に入り、十二月ごろまで入院していた。県子ども虐待対策監の中山恵里子さんは「母親の不安解消という点でも、在宅移行への支援は必要」と語る。
 逮捕の数日前に警察からの連絡で知ったという県児童相談センター(津市)と北勢児童相談所(四日市市)は、事件の概要を調査して再発防止に役立てる。センター担当者は「こちらから戸別訪問することはなく、家庭や市役所などからの通報がないと虐待を把握できない」と話す。
 (佐野周平、井口健太、安藤孝憲)